Re:トリガーには無限の可能性があるんだ! 作:アルピ交通事務局
ボーダーの玉狛支部で戦神丸のメンテナンスをしている。
と言っても戦神丸は全然使っていないので何処かが故障とかそういうのはあんまり無い。基礎的なスペックが上がっているとか蓄えているトリオン残量とか戦闘用の人工知能がどれぐらいに成長しているかの確認等がある。
色々と終えて最終段階、戦神丸をワックスで磨いている。赤色の塗装がちょっと気に食わないのでスプレーで上手く誤魔化し色味に味を出していたら戦神丸にプラモデルのワックス……いい感じの艶が出る。
「おさむ、コイツ動くのか?」
「ああ、ボーダーのトリオンを擬似的に再現するシステムに繋げば動かし放題だ」
「おれでも」
「無理だ……今、ワックスを磨き終えたところで乾かしてるんだから」
陽太郎が目を輝かせている。男の子で子供でロボットならばそれはもう興奮するだろう。
純粋に操縦したいと思っているのだろうが戦神丸は運転させない。戦神丸に搭載されている知能が陽太郎は無理だと判断し首を横に振った。
「……レイジ達がセンパイとして色々としているんだ!おれもセンパイの1人としてなにかしたい!」
「………じゃあ、絵面が地味だけれどもそれが出来れば後々役立つ事を頼もうか」
小南パイセン達が先輩風を吹かす……あ、パイセンだけが先輩風を吹かしているか。
陽太郎も自分も先輩なのだからなにかをしてやりたいと思っている。その心だけで充分だと言いたいのだが1つ、やっておいて損は無いことを思いついた。と言うかそれをした方がいいんじゃないかと思えるが時間がかかるし手間もあるしでやっていない。
「分かってると思うが過去に拉致された人が居る国は友好的じゃない近界民だ……返してくれと言っても返してくれない。かと言ってその国に対して軍事侵攻して国を倒すのは難しいことだ……だから交渉のカードを作る」
「カード?」
「そう……遊真の普段の反応や歴史の教科書を見るに食事関係はこっちの世界はスゴく発展している。だからそれの種を用意する」
陽太郎にも出来ることがあると戦神丸を乾かしている間の時間を使うと仮想訓練室を出る。
ホワイトボードに過去に拉致した国=友好的じゃない近界民と書いて交渉に使えるカードを作る。遊真の今までの反応と外国人がこの国に来るところを見るに食事の文化がスゴく発展した日本らしい武器を出そう。
「陽太郎にはその種が発芽してちゃんとしっかりと成長して新しく実を実らせてその実から新しく種を選んで新しい実を作る管理なんかをしてもらう」
「それなら陽太郎にも出来そうだね」
「ただし……肥料云々もしっかりと、市販品でなく手作りするんだ」
「うぇ……修、それは全員が嫌って言うわよ?」
陽太郎にも出来ることかどうかなのかの判定を一応は宇佐美さんがしてもらう。
食べ物を育てる、それならば陽太郎にも出来ることだ。ただしやる以上はしっかりとする。肥料とかも自家製だ。それを言えば、小南パイセンが嫌そうな顔をした。
「動物の糞から作る肥料もありますけど、リンゴの芯とかジャガイモの皮なんかの果物や野菜の食べない食べれない部分とかその辺に落ちている落ち葉から肥料は作れます。なんでしたら生ゴミを肥料に変える高性能なゴミ箱も市販であります」
「大丈夫だ、おさむ!らいじんまるのがある!なんだったらおれのを」
「やめなさい!下品よ!!」
「いや、でもアンモニアとかその辺は……美少女JKから採取したアンモニアを用いて作った肥料で育てた野菜」
「修くん、それやったら全部の方面で敵を作るから絶対に止めてね。やったら私、玉狛第二のオペレーターやめるから」
うんこならば雷神丸や自分のがあるという。一応はそこからも作れなくはない。
けど、今回は落ち葉とか生ゴミとかから肥料を作る。全部の方面から敵を作る感じな事が浮かぶのだが宇佐美さんから釘を刺される。
流石にそれは変態が食うから……パイセンは外面が良いのでこの子から採取したアンモニア(意味深)を肥料に混ぜて作りましたとかいう写真……絶対に怒られるからやめよう。
「冗談ですよ……とにかく落ち葉や野菜の皮や芯なんかの生ゴミから肥料は作れるからそこも拘る……近界民に対して美味しいご飯を売る、美味しいご飯の元になる食材の作り方と食材の種と調理法を売る……この交渉カードが何処まで効果的かは分からないが、こっちの世界でもその辺は色々としてるから効果はある」
「効果があるって言うけどイマイチ、ピンと来ないわね」
「まぁ、極端な一例を上げるなら日本はポテチにするの限定だけとは言え外国のジャガイモを入荷してます」
「え、マジで?」
「マジです」
飽食国家で食の流通とかそういうのがあんまり分からないパイセン。
ポテチのジャガイモが外国産のジャガイモと言えば驚かれた。
「その辺で売ってるポテチも国産100%じゃない可能性もある。逆に国産100%を売り文句にして売る。日本の物だから高品質、安心して食べられる。そういうブランド力がある……ボーダーの遠征がどういう設定かは知らないけれども、ブランド力はそんなにないと思う」
「ブランド力?」
「このメーカーなら安心できるとか言うアレ」
ボーダーがどういう設定で向こうの世界に行っているのかが分からない。
しかしこの実験に成功したのならば色々と設定を足すことが出来る。ブランド力も手に入れる事が出来る。陽太郎がブランド力の意味が分かっているのでザックリと教える。ブランド力はバカに出来ない。大手のメーカーとよく知らないメーカーの炭酸飲料の差が大分酷い。身に沁みて知っている。
「安全は審査を厳しくすれば問題は無い。ただ安心は時間かけないと作れない。迅さんの予知だってそれが使える利益になるってなるまで時間が掛かったのと同じだと思えばいい」
「迅の予知は信頼と信用と安心と安全は一応はあるけどその逆もあるからなんとも言えないわね……」
「じゃあ、話を戻しますけど陽太郎は土を採取、肥料作成、温度管理のビニールを用意する等をして食べ物を育てる。育てる食材は3つ、じゃがいも、玄米、イチゴだ」
陽太郎の前にじゃがいも、玄米、イチゴを置いた。
それとは別に10個ぐらいのイチゴを皿に乗せておいて色々とあるだろうが食べてくれと3人に食べさせる。
「美味っ!?……修、これいいとこのイチゴじゃないの!?」
「今まで食べたイチゴで1番美味しいし甘い……なんて品種なの?」
「……さぁ?」
イチゴを食べて美味しいとリアクションを取るパイセンと宇佐美さん。
品種について聞いてくるけれどもその辺については特に気にしていないから考えてもない……そこまで詳しくはないからな。
「さぁ?って、あんたが用意したんだから品種ぐらい確認しときなさいよ」
「……………まぁまぁ、美味しいからいいじゃないですか。陽太郎、この3つをちゃんと食べれるところまで育てるんだ」
「分かった……おさむ、種をくれ。おくじょうで育てる」
「いや……目の前にある物から育てるんだ。目の前にあるジャガイモから新しくジャガイモは作れる。目の前にある玄米から新しく玄米を作ることが出来る。目の前にあるイチゴから新しいイチゴを作ることが出来る」
品種を知らないと言えば呆れられるが気にせずに陽太郎に3つの栽培を任せる。
陽太郎は一番最初の種をくれと、屋上で育てると言うので種は無い、目の前にある3つの食材から作れる。
「あ、それ知ってる。無限ネギと同じ感じなんだよね!」
「似たようなもんですね……ジャガイモからジャガイモを作る、俺の用意したので成功すれば少しでも可能性が上がる」
「イチゴもこの粒がイチゴの種だから……てか、大丈夫なの?修学旅行で沖縄に行った時、なんか植物持ち帰るなとか空港にあったんだけど勝手に向こうの世界に持ってっていいの?」
「…………………………パイセン、そこは触れちゃダメですよ……」
「アウトなんだ」
自分ところの独自の野菜云々を他所の国に渡すとかそういうのになると色々と問題が生まれる。
国でこの農家で育てられた物!と認定する前に高級な果物の種子を盗んで自国で栽培して色々と揉めた一例は普通に存在している。
宇佐美さんもアウトなんだと薄々感じていた……絶対に農林水産省や農協の人に怒られそうだが、コレ以外に貿易は……あ、電化製品を売ればいいか。
「野菜と米と果物を売る……こっちから拉致された人を助けに来たとか堂々と言えば拒まれる可能性があるし行商人でその土地のトリガーや果物と物々交換してるとかいう設定で動ける様になる」
「お〜……そういうのもあるね」
「あんた、戦闘以外では色々と役立つわね……でも、そうなると肉とか魚とかも欲しくなるわよね。鮪の養殖に成功したってテレビで見たからいけるんじゃ」
「鮪はどうかはしらないですけど豚とか牛は卵子と精子を冷凍保存してるんで国から許可を貰えば1体から一気に10匹ぐらい増やせます。保存の部分をどうにか出来れば向こうの世界でも正しく育てれば神戸牛になる牛やTOKYOXの豚とかは作れなくもないですが……下手なことしたら農林水産省の偉い人にめっちゃ怒られます」
「……どっちにせよ怒られるんだね……」
「ええ、めっちゃ怒られます」
異文化交流をする以上は食べ物関係は何処かの段階で引っかかる。
政府の偉い人にもその辺は言ってあるけれども、その辺はある程度は俺の裁量に任せるとかになっている。しかしその政府の偉い人は政府の偉い人であって農林水産省の偉い人ではないので農林水産省とか農協とかにめっちゃ怒られる。
「家畜に関しては土地柄故に合わないとかありますし、育てるのにスゴく手間が掛かります……神戸牛とかTOKYOXとかの超メジャーな奴等は気温や環境変化に弱かったりミネラルウォーターとか有機野菜の端っことか酒粕とかで育てないと上質に育たないんで」
「……修くん、詳しいね」
「戦闘方面じゃ割と直ぐに限界を迎えそうなのでその辺の知識を武器にしてなんか出来ればなと……」
ホントに戦闘方面は千佳のトリオンを借りたりとかしないといけないから情けない。
陽太郎にジャガイモからジャガイモを、玄米から玄米を、イチゴからイチゴを栽培する方法を教えた……先ずは林藤支部長に許可を貰うところからスタートし、土を山から手に入れるところからスタート……酸性とかアルカリ性とかそういうのも確認しないといけない。
「スゲえ手間がかかってんな……でも、陽太郎に出来る仕事があってよかったわ」
コレで陽太郎も無事に先輩風を吹かす事が出来る。
林藤支部長が玉狛支部の屋上を使って良いと許可をもらった……林藤支部長はそこまで1からかとなるが、そこまでしないとダメだ。
「……乾いたか」
陽太郎に色々と説明したり林藤支部長に許可を取ったりしたら戦神丸のワックスが乾いた。
無事に戦神丸を乾いて他になんか異常が無いかの確認をしていると背後に人影が……と言うか小南パイセンが居た。
「修、やるわよ」
「…………………」
「1回ぐらいいいじゃない!」
パイセンが戦神丸と戦いたいという。
戦神丸はロボットって説明はちゃんとしてあるのに、壊したらダメだって言ってるのに戦いたいという。
見た目は可憐だが中身はアマゾネスなのが女子ボーダー隊員の実態かと思う。
「1回だけで途中でストップって言ったら止めてくださいよ」
「それぐらいちゃんとするわ、さ、早く乗っちゃいなさい」
毎回毎回このやり取りをするのは嫌なので1回キッチリと決着をつける。
戦神丸に搭乗して戦神丸を操作する事が出来るようにし、擬似的に無限にトリオンが使えるかどうか確認をし問題は無いと言うので小南パイセンと戦闘をすることに。
「逃げる!」
「ちょっと!この期に及んで逃げるの!?」
戦闘開始と同時に逃げる。
開幕で逃げるのかというが小南パイセンは近距離戦のプロである、逃げるのも悪い手ではない……と思ったが壁にぶち当たる。
これ以上は逃げられないかと分かれば戦神丸の刺股を持って刺股を小南パイセンに向かって投げる。小南パイセンは軽々と避けた。刺股は仮想訓練室の地面に突き刺さる。
「あの威力ならモールモッドは簡単ね。修、それ以上は無理よ」
「でしょうね」
戦神丸の二本の刀を抜いた。
小南パイセンは手斧こと双月を振りかぶるので右の刀で受け止めて左の刀で斬りかかるが小南パイセンは受け止めようとし……吹き飛ばされた。あ、ミスった。
「っ……なんて馬鹿力……」
「戦神丸は俺の苦手な近距離戦を誤魔化す為に近距離戦特化の魔神で特殊な能力は無いですが運動性能は通常のトリオン体よりも遥かに高いんです」
吹き飛ばされたパイセンは起き上がるが戦神丸の馬鹿力を見誤っていたとなる。
やはり戦闘に関しては頼りになるパイセンだ……オペレーターの人に頑張ればパイセンを10分くらいなら足止め出来ると言った。
パイセンのトリガーは玉狛トリガー、玉狛トリガーはトリオン効率度外視なところがあるので意識しているかどうかは分からないが決着は即座に、時間をかけないとか……しかしパイセンは間抜けだがバカではない。ここがトリオン無限の状態なのを知っている。
パイセンは双月を繋げて巨大な斧にする。
斧を振りかぶるのでこっちは刺股だと双月の刃じゃなくて棒の部分を押さえた。
「……向こうの攻撃は飛ばされる、回避しないといけない。双月の棒のところを抑えられる……修、訂正するわ。あんた戦闘でもまぁまぁやるじゃない」
戦神丸がロボットだから反応とか反射がエグいぐらい早いおかげで成立しているが、パイセンは俺を認めてくれた。
「認めてくれたのならばこのまま終わりにしませんか?」
「嫌よ……てか、さっきからあんた攻めじゃなくて防御を重視にした戦いをしてるじゃない。戦神丸があんたの苦手な近距離戦を想定してるなら踏み込みは大事よ」
「対人戦がはじめてなんで色々と頑張ってるんですよ」
「近距離戦ならもうちょっとドカンと来なさい!」
「ぶっちゃけた話、戦神丸はトリガー使いを想定しての戦闘用の魔神じゃないんです!?」
千佳のトリオンに物を言わせた空王丸とか空神丸とかそっち系の方が……確実にクソ野郎と言われる害悪戦法、上から爆弾を落とすと言うクソゲーをするから仕方ないと言えば仕方ないが。
トリガー使いが来たらそれはそれで別のトリガーで戦う、運動性能が高いだけで特殊な能力を持っていないのだから限界がある。トリオン兵を倒したりするのに戦神丸、トリガー使いは匣兵器とかを使う感じだ。ヘラクレスオオカブトことアルケイデスとか完全にトリガー使い用の匣兵器だし。
「……やっぱり……………遊真と同じ感覚でやってるけどコレが1番よね」
「パイセン、ストップ!ダメ!ホントにダメ!メテオラは、中距離以上の攻撃は」
「実戦にダメも待っても無いわ!」
「ストップ!メテオラ入れての戦闘なら無理!」
パイセンは間合いを開いてメテオラを使う。
戦神丸は中距離以上の攻撃に対して滅法弱い。双月だけで倒すという意地を捨てて爆発する弾ことメテオラを放ってきた。
当てるメテオラは使わない、動けば爆発に巻き込まれるメテオラを使って動きを制限して明らかに獲物を狙っている捕食者の目をしているって
「ギブアップ!パイセン、ギブアップ!……あーーーーっ!!」
「あ…………ごめ」
戦神丸の右足、もげました。
こういうオチが待ち構えているからパイセンとは戦いたくないと言っていたのに、パイセン途中で止めるとか言っているけど絶対に熱くなって止めてくれないからやりたくなかったのに……
「はぁ……仕方ない、新星戦神丸にバージョンアップするか」
戦神丸が使えなくなった。