Re:トリガーには無限の可能性があるんだ!   作:アルピ交通事務局

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第15話

 

 1月8日、ボーダーの入隊式が始まった。忍田本部長が健闘を祈ると色々と言った。

 式は終わったのでちゃんとした事をすると狙撃手は佐鳥さんに連れられ、他は嵐山さんと木虎と時枝さんに連れられた。

 

「貴方、隊員になったのね」

 

 ついて行っている時に木虎が俺と空閑の存在に気付く。

 迅さんからと言うか上から色々と報告を受けているだろう、しかしそれでも驚かれる。まぁ、高確率で玉狛支部にスカウトされたエンジニア、そういう認識だろう。魔神を使って良いのは部隊を率いているオペレーター限定だと言っているので知ってる人は知ってる玉狛支部の新人エンジニアレベルだろう。

 

「今から戦闘訓練を行う……と言ってもそんなに難しくはない。アレを素早く倒すんだ」

 

 嵐山さんが戦闘訓練を行うと言った。

 いきなりの戦闘訓練なのでざわめきが起きるが嵐山さんにとってはそれは想定内で直ぐに対応をする。

 ボーダーのシステムで作り上げた電気で動くトリオン兵(仮)ことバムスターを倒す。それが戦闘訓練だ。

 戦闘訓練とか言っているので大丈夫とか不安になっている。遊びでボーダーに入ったのか?と言いたい。

 中にはアレぐらいならば俺の腕で余裕だぜと思っている奴が居る。しかしそれでも理想と現実は違ったりする。

 

「やぁ!三雲くん!次は君の番だ!」

 

 新人は1分を切ればそれでいいぐらいと木虎が言っている。

 そんなもんだろうなと思いながらも嵐山さんがわざわざ呼んでくる。あいつ、嵐山さんの知り合いなのか?となり悪目立ちする……しかしそれはそれでありがたいものだ。戦闘訓練開始のブザー音が鳴り響き、直ぐに終わる。

 

「……三雲くん、貴方やる気あるの?」

 

 特になにもせずに棒立ちになりバムスターにやられる。

 戦闘はそれだけで終わった……終わりだから次に行くのだが木虎が呆れている。なんの行動もしなかったのを。

 

「あるに決まってるだろ」

 

「だったら少しは動きなさいよ」

 

 まともな動きを1つも取らなかった。その事に関して木虎は呆れているが、俺は至って真面目にやっている。

 動き方とかそういうのがわからないの?と蔑む様な目で見てくる……遊真がなにかを言いたそうだが、我慢をしてくれる。

 そう、それでいいんだ……今度は空閑の番が来た。

 

「0、6秒!?」

 

「おかしい!故障だ!」

 

「やり直しを要求する!」

 

「む……じゃあ、もう1回やるか」

 

 遊真は0、6秒で倒した。それは何かの間違い、異次元の速度なのでありえないと言っている。

 じゃあ、もう1回やり直してやるともう1回やれば今度は0、4秒……さっきよりも速くなっている。コレはマグレでなく純粋な実力、彼奴は異次元の強さを持っている。

 

「なるほどな……お前は本物ってわけか」

 

「ならば決まりだね」

 

「本物は本物同士で手を取り合うのを」

 

「おことわりします」

 

「なっ!?」

 

「三雲くんと上に上がるんだろ?じゃあ、無理だな」

 

 C級三馬鹿が遊真と手を組もうと言い出すが遊真はハッキリと断る。

 嵐山さんは俺と部隊を組んでを迅さん辺りから聞いているのかそりゃあ無理だなと直ぐに納得する。

 その後も他の人達がバムスターを倒すが……部隊を率いている隊長やオペレーターなんかが視線を向けてきている。今日は入隊式、もしかしたら掘り出し物が見つかるかもしれない。そういう考えがある人達が見ていたりする。

 

「なるほど、上から話を聞いてましたが凄まじいですね」

 

「あんなの慣れれば誰だって出来ることでしょ?それよりもエンジニアのメガネ、あれは無いでしょう」

 

 その中には風間隊も居た。遊真は噂通りで実力もしっかりしている、そういう判定をして俺は無いと認識している。

 俺にとってそれでいい、それこそが俺の望んだ状況である……

 

「成る程な、上から話を聞いていたがここまでとはな……」

 

「風間さん……あの、今は」

 

「手間は取らせない……トリガー起動(オン)

 

 風間隊の隊長こと風間さんが現れた。

 トリガーを起動してトリオン体に換装する。なんでトリオン体に換装するのかと疑問を抱くがそこはA級、まさか!と直ぐに気付く。

 

「風間さん、空閑くんはC級なんですよ!」

 

「俺の目当ては空閑じゃない……三雲、お前だ」

 

「……風間さん、勘弁してくださいよ。今さっきバムスターにボコボコにされたんですよ」

 

 遊真に挑むのかと嵐山さんはC級なんだからと言うが風間さんの目当ては俺だった。

 え、なんでそっちなの?とC級の人達が思う。木虎も嵐山さんもそっちなの?と疑問を抱くが風間さんはある仮説を立てている。

 俺は風間さんにバムスターにボコボコにされたと言って流そうとするが風間さんは逃さない。

 

「なに、アレはトリオンを電気で代用して無限に戦える様になっている。お前は上を、その先を目指している……ハッキリと言おう。エンジニアとしての価値は既に理解している。だが、隊員としての価値はまだ分かっていない」

 

「三雲くん、無理に受ける必要は無い」

 

「……風間さんは今、その状態ではなにがメインウェポンなんですか?こっちは自作じゃなくて支給品で1本しか使えないんで他の補助系のトリガー使われたら、どうにもならないんですけど」

 

「そうか。ならスコーピオン1本で勝負しよう」

 

「じゃあ、やりましょうか」

 

 風間さんがスコーピオン1本で勝負をすると言う。

 そのハンデがあっても強いのを嵐山さんは知っている。木虎も知っていて格上も格上なのでもうちょっと考えろな顔をしている。

 風間さんを相手にどれだけやれるか、時枝さんが遊真以外のC級も他にも訓練があるからと連れて行く。

 

「オサムの奴……自分であんな事を言ってるのに……おれにも忠告してるのに……」

 

「……空閑くん、先に言っておくけど風間さんはボーダーでも3本の指に入るスコーピオンの使い手よ。攻撃手2位で個人総合3位でスコーピオン1本でも三雲くん程度なら余裕で倒せるわ」

 

「こなみ先輩レベルなら余裕だろうな……でもまぁ、大丈夫だ」

 

「大丈夫って……」

 

「オサムは知恵と知識と工夫で戦うタイプでなるべく最短で万能じゃない最強を探してるから」

 

 遊真に止めるように木虎が言っているが遊真は特に心配が無い。

 俺には俺の戦い方がある。理想と現実が違うし俺は持っていない人間だ。無い人間の強みは作ることや工夫することだ。

 

『戦闘訓練開始』

 

「っ!?」

 

「風間さん」

 

「……ルール違反だからな、俺の負けだ」

 

 試合は一瞬で決着がついた。風間さんがスコーピオンしか使わないと言っているのにシールドを使った。

 だから風間さんの反則負け、形式上では俺の勝ちになる。そして風間さんは色々と理解をした。

 

「風間さん達が居ない時にイレギュラー門がありましてね、それの恩赦かどうかは知らないけれども3200ポイントスタートです……そこから最短で上に上がる方法を考え、この形に落ち着いた。と言ってもコレは最初のスタートライン、B級に上がる為だけの物ですから……銃手(ガンナー)は俺に向いてないので」

 

 やった事は至ってシンプルだ。

 俺のトリオン能力でトリオン体を破壊出来るギリギリの威力にし、射程も数メートルに絞り、弾数も5発に絞り残りは速度に極振りした追尾弾、ハウンドをクイックドロウで撃った。風間さんは咄嗟に反応しシールドを使ったのでハウンドが当たらなかったが、風間さんはシールドを使わないと言わせた。意識したかしてないかは分からないが、シールドを使わせて反則負けにした。

 

「三雲……弓場を真似たのか?」

 

「まぁ、参考にはしましたよ。玉狛支部に入り浸れるので弾丸の設定をしっかりと弄くれる。トリオン体を破壊出来て、間合いは数メートルの速度重視のハウンドを。本音を言えばアステロイドで行きたいのですが銃の腕に自信無いんで」

 

 B級隊員になる条件は至ってシンプルだ。

 ボーダー隊員はポイントを持っており、そのポイントを対戦で奪い合う。要するにレーティングゲームだ。

 4000ポイントを越えれば一応は大丈夫じゃないのかと認められ、B級隊員になる。色々と訓練があってそこからポイントを貰えるが一気に手に入れるには個人ランク戦しかない。だから追尾機能最大のトリオン体を破壊出来る最低の威力で半径数メートルの射程範囲の速度重視の弾丸を使う。

 

「タネが割れたので再戦はしませんよ。風間さんが認めた条件での反則負け終わりです」

 

「……そのやり方でA級は壁にぶち当たるぞ」

 

「このスタイルはC級限定ですよ」

 

 再戦はしない、タネが割れたのでもうどうしようもない。

 シールドを使うことが出来ないC級隊員達ならば、シールドモードに切り替えることが出来るレイガスト以外、皆に人気な攻撃手、弧月やスコーピオンを使っている奴等ならば余裕でカモれる。でもさっき風間さんがシールドで防いだから効果的では無い。

 

「修、よかったのか?」

 

「か、烏丸先輩!?」

 

「……アレはお前の入れ知恵か?」

 

 仮想訓練室から出れば烏丸さんが現れた。恋する乙女の顔に変わる木虎とこの戦闘スタイルに関して教えたのかと聞く風間さん。

 風間さんの問いかけに対して烏丸さんは答える。

 

「基礎的な知識とか純粋な真正面からの戦闘は色々やりましたけど、こういうのは全部修の考えです」

 

「成る程……」

 

「烏丸さんと三雲くんは」

 

「ああ、俺の弟子だ。とは言え、修と俺とじゃ色々と違うから教えれる事が殆ど無いんだがな」

 

 風間さんに自力で答えに辿り着いたとなればなにかを認めようとする。

 そして木虎が烏丸さんとの関係性を聞けば弟子だと答えたので嫉妬の視線を向けられる。ここに他の烏丸さん信者が居れば視線が突き刺さりまくっていただろうな。

 

「修自身は弱いですよ。ただし、ちゃんと戦わせればですが」

 

「……基礎的な戦闘能力が低いが、そこを戦術でカバーをするのか……面白いし、嫌いなタイプではないな」

 

「む……次はおれじゃないの?」

 

「俺はA級だ、早々に挑めない……戦いたいのならば上がってこい」

 

 風間さんはトリオン体から生身に戻った。

 ここから第二ラウンドで遊真が戦う展開にはならない。遊真はそうなるんじゃないのかと思っていたので風間さんはカッコいい事を言って去っていった。

 

「オサム、コレでカザマさんは……」

 

「上に上がる過程でそれをする人は出てくる……A級には目をつけられると認識した方がいい。良くも悪くもな」

 

「……貴方達、なんの話をしてるのよ」

 

「オサムがナメられてほしい、そういう風に思ってるんだよ」

 

「……は?」

 

「オサムは知恵と知識と工夫であれこれするタイプだから、そういうのがなんだかんだで1番危険だって認識されてなにか特別なトリガーや強いサイドエフェクトがあるから強いんじゃなくて、純粋に普通に強い人に真正面からの純粋な勝負に挑まれたらオサムは普通に負ける。実際、とりまる先輩にめっちゃボコられてる」

 

 自分はエリートだから見下されたくない、ナメられたくないというのが木虎の考えだ。

 歳下には慕われたい、同年代には負けたくない、歳上にはナメられたくない、そういう考えを持っている。

 でも俺は逆だ、コイツは使えない厄介な奴じゃないとバカにされ続けていた方がいい。

 

「ホントの実戦形式だったらガイスト状態の俺を1回だけとは言え倒せたからな」

 

「なっ!?ガイストを使っている烏丸先輩を倒した!?」

 

「なんだったらレイジさんもこなみ先輩もなんだかんだで1回は負けてるからな」

 

「……っ!!」

 

 ボーダー随一と言うか最強部隊の隊員を倒している。

 木虎はありえないと驚くが……木虎はついさっきまで俺を見下していた。バムスター相手になにもしていないと思っていた。でも、蓋を開ければ違っていた。トリオン体を破壊する、トリオン兵と戦わないのを前提に弾の設定を調整したハウンド……きっと気付かずに1本を奪われる。100回やって99回勝てるが1回は負ける。この1回は確実に引き摺る……そしてその1回を連続で無理矢理起こすのが俺の仕事だ。

 

「弱い人間には弱い人間のやり方がある……まぁ、努力も出来るエリートには関係無い話だろうが」

 

「…………貴方がA級に上がってきたら覚悟しておきなさいよ……」

 

「そうなったらA級のトリガー製作とか改造権を行使して玉狛第一みたいにランク戦の出禁をくらうな……」

 

「アルケイデスとか確実に殺しに来てるから色々と言われるだろうな」

 

 今ここで真正面から挑みなさい!とは木虎は言わない。

 俺に真正面から挑んでも勝つことが出来ると認識しているから、そこは問題ではない。俺が何かしらの奇策云々を使ったりするのは今までの流れからして読むことが出来ている。だからその奇策を真正面から撃ち破る、初見殺しを自分の性能で上回るという。

 中々の根性だがA級に上がれば色々なトリガーが解禁する。B級のルールに則ったトリガーだから……烏丸さんはアルケイデスはエグい性能をしているから玉狛第一と同じになるだろうなと考える。

 

「じゃあ、行きましょうか」

 

「あ、ああ……」

 

 まだ他にもやらないといけない事がある。

 嵐山さんに連れられ個人ランク戦のスペースの説明や隠密行動の訓練などについても説明を受ける。

 その過程で千佳がアイビスで本部に大穴を開けたので謝罪してるが鬼怒田さんが気にするなと言うが俺には雑な対応をする。

 

「っひ!」

 

 さっさとB級に上がらないといけない。申し訳ないがもうすぐB級に行ける弧月使い、スコーピオン使いをカモにする。

 出来る限りポイントが高い奴を、クイックドロウで即座に撃ち抜く。回避しようとしても追跡する。むしろ回避した方が追跡するのでその移動の一手が無駄になってしまう。

 

「4000ポイント越えたので正隊員のトリガーください」

 

 入隊式の初日にB級に昇格した。B級に昇格したのでトリガー開発室に向かい手の甲に映し出されるハウンドのポイントを見せた。

 エンジニアチーフの1人こと雷蔵さんはマジかと驚いている。

 

「……そのやり方、禁止にしなきゃダメじゃないかな?」

 

 どうやって上に上がったの?1日で?と聞くのでクイックドロウでカモった事を言えば雷蔵さんはいい顔をしない。

 デスクワークの様に淡々とした感じのやり方で戦っている。色々な状況を想定した上で色々なトリガーがあるからこういう作業ゲーみたいな勝ち方……未知のトリオン兵とか未知のトリガー使いを相手にしたら高確率で負けるんじゃないのかとなる。

 

「まぁ、この相手にはコレがこうかはばつぐんとかこうかはいまひとつとかそういうのありますから……滅茶苦茶流行ってC級降格の条件の1500ポイント以下になったらナーフなり制限なりしなきゃダメ……でも、弓場さんと言う一例もある」

 

「どういう風に返事をすればいいのか分からない。弓場の奴は何百回の戦闘経験とかそういうので強くなったタイプだからな……それで落第してる奴が出たのと成功したのが出れば」

 

「なんのリスクも失敗も無しに進める橋は何処にも無いというわけですよ……ま、とりあえず今の内とだけは」

 

 こっちには使える手札はそれなりにある。

 遊真の攻撃という王道的な武器がある。千佳の膨大なトリオンがある。王道的な物や数に物を言わせた戦術が使えるが、そこに三雲修らしいクソゲーが出来る……まぁ、一応はリアルタイムでバイパーの弾道処理が出来るって武器はあるんだが、トリオンが少な過ぎるからどうしても弾速と射程が……当てない牽制の弾も最初から当てるつもりが無いってバレればその時点で詰み……せめて米屋さんぐらいのトリオン能力があればもうちょっと頑張れたんだがな。

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