Re:トリガーには無限の可能性があるんだ! 作:アルピ交通事務局
「じゃあ、いってくるね」
呼び出した戦神丸に搭乗した千佳は爆撃地帯に向かって走っていく。
戦神丸はこう、ジェット噴射での推進的なのが出来ないので基本的には歩きだ……俺のトリオンから千佳のトリオンに切り替わったからスゴい速い。
「さて、じゃあいくか」
空王丸で空を飛ぶ。狙いの的についてはバカデカいので楽だ。
ブゥーンと音を鳴らしながら空王丸は空を飛んでいるイルガーに向かって飛んでいく……と、木虎と鉢合わせをする。
ガン無視していた木虎が別口から帰ったとか言われて追いかけてきたもしくは上に失敗したと報告……性格的に失敗報告は無いか。
「鳥型の近界民?」
「1日に2回もイレギュラー門、ボーダーは大変だな」
「っ、その声は!」
人型から鳥型になっている空王丸を見て敵だと反応をする木虎。
襲いかかってきたら困るので空王丸から音声を流す。声は流石に覚えているので驚いている。
「買い物をしようとしたらこのザマだ……お前しか居ないって事は色々と切羽詰まってるみたいだな」
「貴方には関係無い事でしょ!」
「悪いが俺は既に事件に巻き込まれた側だ……悪いが、そいつは倒させてもらうぞ」
「余計な真似はしないでくれるかしら」
「ああ、余計な真似はしないさ……
イルガーの上に乗っている木虎は余計な真似はするなと言うので余計な事はしない。
空王丸に搭載されている砲台の銃口を向けてトリオンの弾丸を撃てば一撃で破壊した……使っているのが千佳のトリオンだから威力が凄まじい。空王丸に搭載されているレーダーに反応していないのでイルガーは無事に撃破した。しかしそれによってイルガーがトリオンを用いて使っていた浮力を失う。空王丸は両足で掴む。落下してくるイルガーを市街地には向かわせない。多分だが自爆機能は無くなっているだろうが、落ちれば物理的な重さで街が破壊される。
『オサム、大丈夫だ』
空閑から連絡が入った。大丈夫と言うことはイルガーを落下させる手筈が整った。
あんまり時間が掛かった場合は人型に移行して持ち上げて運ぶかと思ったが流石と言うべきか、空閑は手が早い。
空王丸の足の爪を離せばイルガーが引っ張られる。ならばと爆撃地帯に向かえば瓦礫を撤去したりして道を作っている戦神丸が居た。
「千佳、どんな感じだ?」
「レーダーには生体反応が少し……多分だけど壊された家の中に居る感じだと思うよ」
避難の度合を聞けば殆ど出来ている。しかし、破壊された家の中に埋もれている。
コレは早くしないといけないなと空王丸を鳥から人型に変形させ、戦神丸と一緒に瓦礫の中に埋もれている人達を救助した。
コレぐらいで大丈夫だろう、後はボーダーに任せておこうと言える範囲が来た。そして木虎も居るので連行するつもりだなと空王丸を鳥型に変形し戦神丸をガッチリと掴んで飛び去る。空王丸はマッハの速度を出せるので木虎は当然追い掛けられない。
*
「どうもどうも〜」
日が沈んだ頃のボーダーの本部の基地の重役達が居る会議室。
ボーダーで1番偉い人こと城戸、本部長の忍田、玉狛支部長の林藤、メディア対策室の根付、開発室室長の鬼怒田、営業担当の唐沢と重役達がとある男を待っていた。
迅悠一、趣味を暗躍という色々と怖ろしい男である。重役達が緊急で会議を開くのには2つの理由がある。
1つはイレギュラー門、修の通う三門第三中学校に門が発生した。色々とあるがボーダーは門を引き寄せる代わりに絶対に防衛しないといけない、そういう約束を交わしている。しかし今回、その門が絶対に出ない区域に出てきた。
殆どが偶然にその場に居合わせたボーダー隊員がどうにかした、しかし三門第三中学校には隊員は当然いないし訓練生も居ない。
嵐山隊を送り込んだ結果、事件は既に解決してあるとなり解決したのがボーダー隊員でなく、三雲修と全く聞いたことが無い人間だった。試しに調べてみたがボーダーには三雲修と言う人間はどの部署にも居ない。
「迅、イレギュラー門についてなにか分かったか?」
「ええ、まぁ……答えは明日辺りにでも分かりそうな感じです」
「ならば……彼について視てくれたまえ」
イレギュラー門が何故発生しているのか?
世界中で開かれている門を誘導する装置の故障か、その装置を無効化する装置での侵攻かと色々とある。調べてもよく分からない。
迅は眼の前に居る人間や見たことある人間の少し先の未来を視る予知の能力がある。三門第三中学校から渡された修の顔写真を見せれば迅は黙る。
「メガネくんのプロフィールは?」
「三雲修、15歳。三門第三中学校に通う中学生、学校の成績はとても良く、電子工学関係の資格を幾つか持っている……彼が三門第三中学校に出てきたトリオン兵を自作のロボットで倒した」
「……マジすか?」
「実際に倒したか云々は置いといてロボットは嵐山隊の面々がハッキリと見た」
修から見えている色々な未来、未来は無数に広がっている。
修が運命の分かれ目を作っているターニングポイントな存在なのは直ぐに理解した、しかしどうして彼が話題に上がったかに聞けば自作のロボットで自力でトリオン兵を倒した。そんな事が出来る奴なんて聞いたこともないので流石の迅も驚いている。
「そしてそのロボットとは別の機体に搭乗した三雲修と木虎が遭遇した」
「連れて来る事が出来なかったんですか?」
「連れてこいと言ったが、連れてこんかった」
「木虎が失敗って相当だな」
色々な事が見えているが、メガネくんと一先ずは色々と会話をしたい。
連れて来る事が出来なかったのかを聞けば無理だった、木虎ならば色々と言いながらもしっかりと熟すのに失敗は相当だ。
とりあえず住所も分かっている、明日にでも会いに行く……と言うより会いに行かなければイレギュラー門の原因が分からない。
「この件に関してはオレの預かりって事で……そっちの方が良いってオレのサイドエフェクトが言ってる」
ボーダーには色々と派閥はあれども街を守ろうという思いは確かだ。
向こう側の正体がよく分からない、だから下手に突いてもいいわけではない。ここは1つ、迅に任せるかで話は終わった……
「城戸司令、昨日の破壊されたトリオン兵、彼が倒して足跡を残さないように仮定したとしても……ロボットが2体、同時に居ると言う話が出ています……迅がボーダーに不利益な事はしないですが、三雲修が近界民と繋がりがある可能性もあります。迅の動向を監視させてください」
かのように思えたが、修がとにかく怪しいのには変わりは無い。
迅ならば上手くやってくれる、その信頼はあるがそれと同時に迅は城戸派と呼ばれる派閥の人間にとって不利益な事をする可能性が高い。迅は近界民にも良いやつが話が通じる奴が居るから仲良くしようぜの玉狛支部派なので、仮に近界民との関わり合いがあった場合は迅はしれっとなにかをする。そもそもで三雲修が近界民だと言う可能性すらもあるのだ。
「いいだろう、三雲修の監視を許可しよう」
城戸司令は万が一を想定し、三輪隊の監視を許可した。
*
「どうもどうも〜」
朝、起きて朝ごはんを食べ終えた後にインターホンが鳴った。
誰だと思えば色々と敵に回したくない男、迅悠一が現れた……が、驚くことはしない。
「ボーダーの人でしょうか?」
「お、なんで分かるの?」
「昨日、木虎から堂々と逃げましたのでちゃんとした大人の方が来るかなと」
迅が来ることは想定内だ。
ボーダーの人かと聞けばなんで分かるかと聞いてくるのでちゃんとしたボーダーの人で大人の人が来るかなと答える。
「それが分かるなら、出来れば木虎について行ってほしかったな」
「俺を連れて行って何処でトリガー工学を学んだ云々を聞かれるので嫌です……それよりもイレギュラー門を対応しなくていいんですか?」
「大丈夫、ほら、原因を持って来てくれ……っ!?」
「ここが修くんの家だよ」
「……誰だ?」
イレギュラー門を解決しなくていいのかと聞けばイレギュラー門を解決する方法は見つかったと空閑と千佳が現れた。
千佳が空閑に俺の家を教えているのだが、迅さんと会話をしているので誰だ?となる。迅さんは空閑を見て固まった。
「お前、近界民か?」
「……!?」
「ああ、待て待て。オレは近界民だからっていきなり攻撃しない。向こうの世界にも何度か行ったことがあるし……」
「なんで遊真くんが近界民だって分かったんですか?」
「おぉ、よくぞ聞いてくれました!オレは見たことがある人や目の前に居る人の未来を視る事が出来るサイドエフェクトを持っているんだ」
「サイドエフェクト……ってなに?」
「優れたトリオン能力が原因で人間の能力の延長線上にある物を手に入れる……千佳の近界民が来たら分かる動物的本能もそれの一種だ」
空閑がなにもしていないのに近界民だと当てる迅さん。
空閑が警戒をするので迅さんは敵対しない意思を示した後に何故に自分が近界民だと見抜いたのかを教えればサイドエフェクトと言う用語を知らない千佳の為に答える。
「まぁ、ここで立ち話をするのもなんだから上がってください」
「それじゃあお言葉に甘えて」
「修、誰だったの?」
「ボーダーの人だったよ」
「あ、どうも。メガネくんのお姉さん」
「母です」
「え?」
「……嘘じゃない……」
とりあえず迅さんには上がってもらおうと部屋に上げる。
母さんが来客が誰だったのかを聞こうと現れたので迅さんが気さくに挨拶をしてくるが、迅さんですら母さんを姉と勘違いする。
空閑は驚いている。言っていることも嘘じゃないと困惑をしている。
「こんな感じだけど来年で40のおばんにぃ!?」
「あーっと、手が滑ったぁ!」
余計な事を言ったので足を踏まれた。一切の慈悲なく踏まれた。
でも言っておかないと16で子供を産んだとか言われそうだ……来年で40になるおばさんなんだよ、母さんは。
このやりとりを終えて足の痛みに耐えながらも自分の部屋に向かった。
「色々と話したいですけどもここでは話せないので……クローゼットの中で」
「うぉ!?クローゼットが広い!?」
クローゼットを開けば中は膨大に広かった。
明らかにクローゼットの大きさに合わない、中に異空間があると言われても納得するレベルの物である。
「このクローゼットはトリガーの一種です……トリガーを起動すれば生身の肉体を別空間に入れますよね?それの応用で、バカでかい異空間を作っているんです」
「トリガーで空間を拡張って、スゴいことをしてるね……とは言えコレで厄介なのも……」
「さて、落ち着けるようにしましょうか」
俺はクローゼットの中にある異空間に置いてある指輪と匣を取り出す。
指輪を指に装備して凹みがある匣の凹みの部分に指輪にある鉱石の部分を挿入すれば匣がパカッと開いた。中からはヘラクレスオオカブトが出てきて俺の肩に停まった。
「メガネくん、それは?」
「主に近距離で戦わないタイプの人が近距離戦になった際に代理で戦ってくれるトリオン兵の一種……匣兵器と言って色々と便利なアイテム、それのアニマルタイプの匣兵器でトリガー使い用の匣兵器、ヘラクレスオオカブトのアルケイデスです」
「……オレの事を信用してないかな?」
「いえいえ、信用はしています。ただ殴り合いになったりした時に先に潰せるようにはしておきたいだけです」
「それを信用していないって事になるんだよ」
「あのっ……修くんを無理矢理連行するんですか?」
「待った。待った。今回は別件で来ているから」
俺を連行するのかを千佳が聞けばそれはしないと、絶対の線引きはしている。
余計な事を言えばロクでもない未来が待ち構えているのを知っているからだろう。
「メガネくんに会えばイレギュラー門の原因が分かる、オレのサイドエフェクトがそう言っているんだ」
「俺は普通に空閑にこの国の文字の勉強を見つつ千佳が聞きたいことや知りたいことを教えてもらう予定で特になにもしてない」
「ああ……遊真、お前イレギュラー門の原因を持ってるんだろ?」
「なんと、それも見抜かれたのか……スゴいサイドエフェクトだな」
空閑は鞄の中からフナムシみたいな見た目のトリオン兵を出した。
レプリカが空閑の指輪からニュインと出てきたと思えばトリオン兵について説明をしてくれる。
『はじめまして、私はレプリカだ。このトリオン兵はラッド、主に偵察に使われるトリオン兵でレーダーに映らないトリオン兵だ。色々と調べた結果、このラッドには門を開く機能が搭載されている。コレと同じ機能を持ったラッドがざっと数千体この街に居る』
「成る程ね、門誘導装置の故障とかじゃなくて内側から誰かが門を開いたってことか……ありがとう、コイツを解析に回せば直ぐにレーダーに映るようになるから後はボーダーで処理をするよ」
「そうですか……俺についてああだこうだ言わないんですか?」
「色々と聞きたい事があるけど優先順位的にこのトリオン兵の破壊が1番だ……じゃ、失礼」
迅さんがそう言うとクローゼットから出ていく。
こっち側も色々と聞こうかと思ったが、こっちには空閑が居る。買ってきた漢字ドリルを片手にこちらの世界の文字について勉強をする。その間に千佳が幾つか質問をする。向こうの世界がどんな感じなのか、拐われた人はどうなっているのか等を。
俺からは特に質問はしない。
「近界民に狙われる1番の理由はトリオンだろうな……試しに千佳のトリオンを測定してみるか」
『コレを握ってくれ』
「え、えっと」
「先に俺がやるから」
近界民に狙われる1番の理由はトリオン、千佳のトリオンを測定してみようとなりレプリカがチューブを出す。
千佳が怯えているので俺が先にやるとなれば手のひらサイズのトリオンキューブが出現した。
「コレがオサムのトリオン……小さいな」
『ああ、とても小さいな。狙われるならば3倍は欲しい』
「そうなったら今頃俺は死んでいたよ……いけるか、千佳?」
「うん」
『む……計測に少し時間がかかる』
俺がポンッと計測を終えたのに千佳は計測に時間がかかる……トリオン格差が酷い。
「オサムとチカってどういう関係性?」
「昔からの幼馴染みだ……お前の想像している面白い展開は無い……ただ、近界民関係で色々とあってそれに関して世話をしていたり協力してもらっている。昨日の空王丸の動力源のトリオンなんかは千佳のトリオンで出来ている……俺のトリオン工学云々は確実にトリオンで詰んでるから、それを千佳に肩代わりしてもらってる」
「てことは、チカは物凄くトリオンを持ってるのか……」
「だからずっと狙われている。それが原因で被害者も出てしまった……迅さんが早急に帰ったが俺は迅さんに問い詰めるつもりだった、街を戦場にしているのならばトリオンが豊富な子供に対してなにか調査をしないのか?と……」
『計測が終わった。コレがチカのトリオン器官を可視化したものだ』
「……え!?え!?……いや、修くんは」
「デッカ!?これオサムの何倍?」
『量も質も全てにおいて最高と呼べる、私のデータに無いレベルのトリオン器官だ。素晴らしいぞ、チカ』
千佳のトリオン能力を可視化したものを見せてくれる。
千佳と同じぐらいとは言わないが半分以上、小柄な千佳でも1mは普通に越えているのでさっきの俺のトリオン能力が如何に貧相なのかが分かる……マジで情けないな。
「コレは……ボーダーに保護してもらうのが1番なんじゃないのか?」
「まぁ、そこが1番落ち着けるところだろう……ただし、千佳にはその気が無い」
「そうなのか?」
「それは……」
「空王丸は千佳がいざという時に逃げる為にもある。だが空王丸での戦闘を千佳は頑張っている……千佳自身もこのままなにもしないという選択が嫌なんだろう」
「うん……このままじゃダメだって、自分から変わらなきゃいけないって……近界民の世界に行きたい、その為には戦えないといけない。だから、空王丸の戦闘シミュレーションを頑張ってるの」
……ボーダーに入隊をとは言わないのがな……まぁ、なんとも言えない。
千佳は聞きたいことがあるので聞く。空閑は嫌な顔を1つもせずに答えてくれる。そして勉強は進み空閑はなんとか自分の名前を漢字で書くことが出来るようになった。