Re:トリガーには無限の可能性があるんだ! 作:アルピ交通事務局
「と言うわけでスカウトしてきた三雲修くんことメガネくんと日本の国籍を手に入れた遊真と千佳ちゃんです!」
「いや、なにがというわけよ!?」
「玉狛に新人が入る。そいつ等の師匠をしてくれ……大体そんな感じだ」
林藤支部長に玉狛支部に連れてきてもらえば玉狛支部の面々と顔を合わせた。
小南パイセンの「誰コイツ?」発言からはじまり迅さんがスカウトしてきたとスゴくざっくりと説明をした。
パイセンが意味わかんない!となっている中で落ち着いた筋肉こと木崎レイジ、レイジさんがゆっくりと状況を飲み込む。
「迅がスカウトしてきたという事は色々と訳ありかそうすることでいい方向に未来が進むかか……」
「流石レイジさん、話が分かってくれる」
「あ、アタシだってそれぐらい分かってたわよ!」
「迅、色々と噛み砕きすぎだ…………」
「待ってください、迅さん……少し上手い具合に誤魔化そうとしないでください」
「え、なんのこと?」
「俺はボーダーにスカウトされた。正式な書類を交わしていないけれども俺自身の意思で認証した、厄介なのは母さんの説得だけで……空閑と千佳は連れてこられた状態ですよ」
「まぁ、なんかそういう流れが生まれてるけど入隊するとは言ってないな」
迅さんが玉狛支部の新入りのちびっこ達だと紹介してくれるが、俺しかまだ決まっていない。
空閑もある程度は空気を読んで今まで黙っていたけれども入隊するとかそういうのは一切言っていない。
「迅さん、それは」
「大丈夫、メガネくん達は入隊する……オレのサイドエフェクトがそう言っている」
話を有耶無耶にしたり上手く誤魔化したりで揉み消す事は良くないのは分かる。
如何に良い未来が見えていても、他人にああだこうだ強制させるのは流石にマズいんじゃないのかとモサッとしたイケメン……烏丸さんが言うが、迅さんは問題は無いと言う。
「この前のトリオン兵を見つけたり自作のロボットで撃退したのが修くん、半分は向こうの世界の人間の遊真くん……千佳ちゃんは?」
「レプリカ、トリオン測定のチューブを出してくれ。俺と千佳用に2つ」
『心得た』
2人がスカウトされて当然なのとかは分かるけども千佳は?となったのでレプリカにトリオン能力を可視化させてもらう。
俺が先にチューブを握る。一瞬でトリオン測定が終わりトリオン能力を可視化したものを見せる。
「……自分で言うのもなんですがトリオン能力も雑魚です」
「コレって入隊試験で落とされるレベルでしょ?」
「そしてチカがこちらです」
「え……ウソォ!?」
俺のトリオン能力を見ればパイセンが少ないと白けた感じになる。
しかし千佳のトリオンはヤバいと空閑が紹介しレプリカが千佳のトリオン能力を可視化した物を見せればパイセンはいいリアクションをする。パイセンだけでなく烏丸さんもオペレーターの宇佐美さんもレイジさんも驚いた。
「宇佐美、今直ぐにトリオンを測定する装置を!」
最初に動いたのはレイジさんだった。
トリオンを測定する装置を持ってきてくれとオペレーターに宇佐美さんに言えば宇佐美さんはハッ!と意識を取り戻し、直ぐにゲームボーイみたいな見た目の装置を持ってきて千佳に聴診器みたいなチューブを握らせる。
「……マジで?」
「あれ、見栄を張るとかそんなんじゃなくてホントにあのレベルのトリオン能力なの!?」
「すみませんけど1から10段階評価でお願いします」
「……38……」
パイセンが驚いている。宇佐美さんも見栄とかそういうのじゃなくて正真正銘あの量だと驚いている。
具体的なのが分からないので1から10段階評価でと俺が言えば38と言うので烏丸さんも驚いている。
「こんなちんまい体の何処にそんなトリオンが」
「……林藤支部長が今、色々と書類を用意しているから最年長であろうレイジさんに聞きます……コレは放置していいですか?」
「このレベルのトリオン能力は見たことが無い、直ぐに保護だったり自衛の手段を教えたりするべきだ」
「そうですね……コレで1つの一例を作れましたね……」
「……なにが言いたい?」
「千佳が単純に規格外なのかは俺基準ではイマイチ分かりません。世界は広いので千佳以上のトリオン能力を持った人間が居るかもしれない……そのゲームボーイみたいな見た目のトリオン測定装置は大量生産は可能な筈、なんだったら純粋にトリオンを測定するだけの装置の設計図は俺が作れる……ああ、コレは保護しないと自衛の手段を教えないと危険だ。そう思える人が三門市の中にボーダー外に居た……コレからどうする?」
「……一般人のトリオン測定をしろ、そう言いたいんだな」
「ええ、コレをネタにして上層部をちょっと揺すって三門市の小中高でトリオン測定を義務付け……三門市長に一般市民からトリオンを回収する装置を学校に取り付けるようにしてもらう」
「それは」
「いやいや、そんな難しいものじゃないですよ。金のある学校は登校や下校を電子機器で管理している。それと似たような事をする。学校に登校したらトリオンを半分回収する、トリオンは指紋と同じで1人1人違う。そこで生体認証をして学校に登校したとする。そして下校時に残っているトリオンを回収してこの生徒は下校しましたとする……保護者はちゃんとしたシステムがあるで大助かり、ボーダーはなにかがあった時の蓄えているトリオン増加、Win-Winな関係性……機材はともかくそれに必要なプログラミングとかは出来ていますよ」
「……随分と手際がいいな」
「色々と考えた結果、1番楽なトリオンの稼ぎ方がそれなんですよ」
金のある学校やちゃんとした小学校は子供の登下校をしっかりと記録して保護者に伝えている。
このシステムを利用して学校に登校した下校したを記録する際にトリオンを回収する……物凄く効率が良い。
「俺は俺自身の限界点は割と直ぐに見えている、貴方達3人からみっちりと指導を受けたとしても嵐山隊の木虎の様なエリートに真正面から純粋な実力では勝てない……そう認識している。だからあらゆる手を模索する。無い人間は今ある物をより効率良くか全く未知の物を作る。俺は無い人間だから効率良くよりも未知の物を作る……とまぁ、色々と言いましたけどA級の隊長としてこんな一例がありましたので実施してくださいと進言をお願いしたいだけですよ」
この件に関してはそれ以上もそれ以下も無い。雨取千佳と言う一例が生まれた以上は第二第三の千佳が居るかもしれない。
トリオンを回収するのと千佳と同じ子供がこれから先なにかの拍子で生まれるかもしれない。少なくとも俺は原作知識をもらっているが更にその先を知らない。物語を終えたとしてもBORUTOの様に息子世代とかが色々と活躍する感じで終わる。もしくは近界民が絶対に門を開かせない装置を作り上げて完全なる鎖国をするのどちらかだ。
「千佳、俺は第二第三の千佳を探せるように整備はした……それが上手く行くかどうかは分からないけれども一応はした。今度はお前が言いたい事をハッキリと言うんだ」
「……ボーダーが向こうの世界に遠征しているって聞きました……ホントですか?」
「ホントだよ。あたしも行ったことある……って言っても遠征艇の船番だったけど。行き先とかも決められないし目的も様々だから……誰か拐われたの?」
「はい……だから聞きたいんです。その人達を連れて帰る、取り戻すことに成功した場合はどうするのか……先の話ばかりしてて足元が見えないって言われたらそこまでです。でも、そこは聞いておきたいんです。帰ることに成功した後にボーダーはどういう風に扱うんですか?」
「それは……まだ1人も見つかってないからなんとも言えない……どうしたの?」
「私の友達は近界民に拐われたと思います。でも、それは4年半前に出来事とは別件です。当時小学生だった友達を見つけて助けたとして……その後に今度はボーダー隊員として働いてもらう……それが私は認められないんです」
宇佐美さんが遠征について教えてくれる。千佳は拉致された人についてどういう風に対応をするのかを聞いた。
過去に拐われた人を見つけ出したという一例は聞いたことがない。仮にあったとして……それをボーダーは秘匿しているならボーダーの信頼株は地に落ちる。
「皆さんがラッドを撃退している間に遊真くんと接して文化が大きく異なる違う世界の住人はこんな感じなんだと感じました。私のトリオン能力が物凄くても私は修くんが作ったトリガーしか触れてない。ボーダーのトリガーでボーダーのやり方でも今から色々と頑張っても絶対に1年は掛かる。それで友達と再会できて……違う文化の人の社会への復帰をちゃんと考えていますか?ボーダーにとって都合の良い話をしないといけないのは分かります。でも、それが終わった後にボーダー隊員になる。戦うことしか出来ない人間になっている人達に社会復帰させる道はあるのか?……助けた後にボーダー隊員が確定なら私は許せない」
「ん〜……千佳ちゃんの言いたい事は分かるけどもその辺は隊員であるオレ達にはどうしようもない事だよ。そういうのは他の部署に言わないと」
「今ここでハッキリとしてほしいです……現に遊真くんは昔のボーダーの人の子供、林藤支部長が遊真くんのお父さんにお世話になったし遊真くんが訪ねに来た最上宗一さんの代わりに面倒を見ると言ってボーダーの入隊コースを当たり前の様に作っています。それに関してボーダーの偉い人達は特に疑問視してません。ボーダーにとってそっちの方が色々と都合が良いのは分かります。ボーダーが無いと大変なのも分かってます……でも、でもっ!!」
「千佳、落ち着け……言いたいことは伝わってる筈だ……ボーダーにとって都合の良い悲劇のヒロインにするまでは許せる。でも、また戦場に立たせるのか、それしか知らない状態になったのならばそれ以外を教えれらるのか……その為の下地は今のところ出来ていない。ボーダーと無関係な拉致された奴を1人でも助けることに成功したらもう1度言おう……俺もそれまでの間に色々と下地を作るつもりだ」
ボーダーにとっての都合の良い悲劇のヒロインはまだ受け入れられるがそれ以上は飲み込めない。
ボーダー以外にもこの世界には色々な物がある。三門市から出ていけば無限の可能性が広がっている。それなのにボーダーに縛り付けるだけでなくボーダー隊員として戦わせる、コレじゃなんにも変わらない。
「……コ、ココアがあるけど飲む?」
千佳が思っていた以上に重たい物を抱えていた。適当に返してはいけない……しかし無理とも可能とも言えない。
小南パイセンが気を紛らわせようとココアを作り始める。
「少し、1、2時間ほど気持ちの整理に時間をください」
「あ、ああ……」
「空閑もどうするのかを考えてくれ」
「…………」
気持ちの整理に1、2時間欲しいと言い空閑にも今後どうするのかを考えてほしいと頼む。
空閑は答えが決まっていないし、千佳もこのままそうなってほしくは無いと思っている。小南パイセンがココアを入れてくれたのでそれを貰い外を見る。橋の上にある支部だから良い景色だ。
『オサム、少しいいだろうか?』
「ああ、構わないぞ……空閑がボーダーに入らず向こうの世界にってなら空閑についていきたい。勿論空閑にとって色々と得する事は約束出来る」
『そのユーマについてだ……今のユーマは生きる目的が無い』
レプリカは空閑について語り出す。向こうの世界で有吾さんに鍛えられてそこそこの腕だったが調子に乗った結果、死にかけた。
有吾さんは笑いながら黒トリガーになった。何故か笑って黒トリガーになっていた。それについて空閑は知りたいので黒トリガーを元に戻せないか聞きにこちらの世界にやって来た。
「空閑のあのトリオン体には有吾さんのトリオンデータがあるからそこから有吾さんの人格と記憶を引き継いだトリオン兵は作れる……ただ、それは倫理観だけで言えば間違いだ。有吾さんが最後になにを思ったかは知らないが有吾さんは迷いなく黒トリガーになった。形はどうあれ蘇らせたら色々と言われる」
『ユーゴならばそう言うだろう……しかし君はどういう?』
「その有吾さんは空閑有吾の人格と記憶を引き継いでいる、向こうの世界に関する情報が山の様に溢れている……俺が倫理観を溝に捨てるだけで大体は終わる。戦争に携わる仕事をしている、人を殺せる兵器を作っている。だから今更倫理観なんて無視しようと思えば出来る……でもそれを空閑が許可するかどうかは分からない」
『……ユーゴにその事を聞こうとするならば最後まで生きてみれば分かる、そんな事を言ってくるだろう。しかし今のユーマは生きる目的が無い……私としてはユーマの死にかけの生身の肉体を治したい。オサムはなにか手段は持っていないか?』
「空閑の怪我の度合い、四肢の損傷と目玉の損傷とかならどうにか出来る。臓器に関しては摘出、胃袋を摘出しないといけない可能性が高いから食事は全てトリオン体でしないといけない。大ダメージを受けて臓器摘出になるから60歳も生きられない可能性もある。なによりも俺はそっち系に関してはあんま手を出していない。四肢や臓器が損傷するレベルの怪我した人を勝手に改造するのはこの国の法律に触れる所がある。政府の偉い人には話は通せるが……所謂、人体を改造する改造手術そのものを行った事は無い」
『なんと、治せるのか!?』
「治すんじゃなくて改造するが正しい。腹の傷を塞いでトリガー技術を応用して出来た義手や義眼を装備する。飯を食うとか車の免許とかが厄介になるがトリオン体になれば誤魔化せる……ただし現時点では机上の空論に近い。俺はトリガー工学は色々と出来るが医療方面に関してはあんまりだ。だから、空閑が負っている怪我に対して誰かが適切な治療したその後に空閑の義手義眼義足を作るというのは出来る」
『最初の一歩目が難しい……いや、ジンの予知を頼れば成功率を段違いに、成功する未来に……』
「それで、空閑に生きる目的を与えてほしいって?だったら色々とすればいい、誰かに指示されて物心ついた時からそれが当たり前だったら色々と価値観が狂う。空閑は今、有吾さんの元を離れた。悪いことはしたら色々と言うが、それ以外ならば色々な事を試してみればいい。現に空閑は自転車に乗るのを苦戦していたがスゴく楽しそうにしていた。こっちの世界は……いや、この日本という国は娯楽という事に関しては右に出る国は存在しない」
『…………』
「空閑が戦うことが楽しいとかそういうのを思っているのならばボーダー隊員になればいい。訓練と称しているがゲーム感覚で何度でも戦える、それが最高だと熱狂するボーダー隊員も多い。生きる目的を俺に与えてほしいというのならば、今から俺はボーダー隊員になる。エンジニアとしては好き勝手やって隊員としては真面目にする。戦闘に関しては千佳と俺とじゃ自前のトリガー以外だと使い物にならない」
空閑と一緒に戦いたいと言う思いはあれどもぶっちゃけボーダーのトリガーに頼らずにどうにかなる。
「じゃあ、仕方ないな……チカがあんな感じだったしオサムもなにするかわからないんだ、力を貸してやるよ」
「……レプリカ、ハメたな」
『なんのことだ?』
俺が空閑に対して力を貸してくれと頼むのを待っていた。
空閑も空閑でなんだかんだで仕方がないからと腹は決まっていた感じでレプリカは素知らぬフリをする。
「空閑、お前の肉体を治す一番最初のステップは医者任せだ。迅さんを経由してその医者で治せるかどうかの確認、その後に義足や義手は作る……名目上はテスターって事で上から予算を引きずり下ろす……有吾さんの人格と記憶を引き継いだトリオン兵は作る。高確率でお前に何で笑っていたのか答えを教えてくれないだろうが、有吾さんが居るか居ないかで未来はそれなりに変わる」
「……ま、親父に怒られそうになったらおれが頼んだってことにしておく。通じるかどうか分からないけど」
「どうだろうな……トリオン経由で作ったトリオン兵にサイドエフェクトが宿るならこの研究の分野を進めてもいいと思うが……」
それが出来たならば迅さんのトリオンを使って迅さんのトリオン兵を作る。
そうすることで迅さんに掛かる負担が下がる……迅さんのサイドエフェクトはサイドエフェクトでも特にチートで超感覚だから……。
「まぁ、なんとかするか」
仮に迅さんのトリオンから作る迅さんの人格と記憶を持ったトリオン兵に予知能力があれば便利だ。
大本である迅さんからトリオンの火種を貰わないといけないが緊急時には迅さんが見ているものから未来を選べる。
「ごめんね、修くん。遊真くん。ちょっと感情的になりすぎてた」
「都合の良い悲劇のヒロインになるのは誰だって怒ることだから気にするな」
「チカ、どうするんだ?」
「うん……ボーダーに入隊して遠征を目指す……このままじゃダメなのは私が1番分かってるから」
「……じゃあ、上を目指すか」
形はどうあれ部隊が作られる。
ボーダーに入隊することを決めて林藤支部長の部屋に向かう。
「待っていたよ、3人とも」
迅さんと林藤支部長が入隊の書類を持ってニヤニヤしていたのが若干ムカついた。