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TVアニメ#12「君に朝が降る」時───秀華祭における演奏時、後藤ひとりが救っていたある少年のお話から、この物語は始まります。
以下、注意点です。あらすじにも記載しましたが、一応。
〇 シリアス多め
〇 オリ主(男)視点要素
〇 メインキャラ曇り要素(鬱要素は残らないよう配慮しております)
〇 ぼ喜多/ぼリョウ/ぼ虹/リョウ虹 等 要素
以上の要素が多数在る作品となります。
また、この物語はフィクションです。
一部、実際にモデルになった作品、現実世界における楽曲、及びそれをモチーフにしたキャラクターが登場しますが、実際の人物、団体等は関係ありません。
原則、原作の設定や背景全遵守の上、アニメ1期の直後から分岐する形でストーリーが展開していく形となります。
当作品はぼっち・ざ・ろっく!という作品が好きな全ての方にどうか少しでも伝わって頂ければ、という想いと愛を込めて執筆しております。
原作の物語の続きとして、どうか見て頂けたら幸いです。
それでは、どうぞお楽しみ下さいませ。
※
歓声が
その熱は、およそただの高校の文化祭のものにしては、余りにもボルテージが高過ぎる。そんな風に、俺には思えた。
数百人以上が集った秀華高校の体育館。
その中で、大歓声が沸きあがっていた。周りを見渡せば、同じクラスの女子達が拍手や
十月二日。秀華祭二日目に行われたその文化祭ライブの盛り上がりは最高峰。
その中で、ライブステージで演奏をし続ける四人の少女達の姿が
数十秒前。
彼女のギターは弦が確かに切れていた。
俺はそれをハッキリと、視認していた。あんな突如の機材トラブルならば、普通の人間であれば心が折れてしまっても有り得ない話じゃない。
少なくとも、誰だってパニックにはなってもおかしくないはず。
だと言うのに。
彼女は諦めなかった。
瞬時に、近くにあった酒瓶を手に取り「ボトルネック奏法」でピッキングを試すという離れ業を見せた。思わず、目を剥いて俺はそれを凝視した。
信じられなかった。
あんな技術を、とっさの機転で出来る人間は稀だ。ましてや、普通の高校生には到底出来得るものじゃない。長年の経験と技量が在るプロですら、高い難易度のもの。
どうして、と思った。
何で、諦めないんだ、と。
あんな状況、普通の人間なら心なんてへし折れるのに。
なんで、どうして君は折れないんだ?
何が君を、そこまで立ち上がらせた?
そんなことを思いながら、ただただ俺はその姿に惹き寄せられた。
─────きっと、だから、なのかもしれない。
どうしようもなく俺は、そんな彼女に視線が釘付けになっていく。無意識に瞳孔は大きく開いて、その姿にかつての憧れの残像を見た。
幼い頃から、それは何度も焦がれた存在。
脳裏に強く焼き付く様な、ヒーローの象徴。彼女の姿は、それを幾度も俺に彷彿とさせた。
例えるなら、雨が降った後の夜空。
灰色の雲が晴れ、その存在を煌々と示すあの
かつて。
俺なんか要らなかった。生まれてくるべきじゃなかったんだ、と。
そう言って、生まれてきた意味を、否定していた時が何度もあった。
別に、誰に言われたわけでもない。でも、確かに思ってしまったことがあった。
夢は叶わない。
願う夢になんか、なにひとつ、価値など無い。
夢を叶えられるのは、
それを願うのは、ただの
ただ、自分で勝手にそう決めつけて、夢から目を逸らしていた。
それを、気づかれたくなくて、笑ってごまかしてたんだと思う。
そう。今、この瞬間まで。
─────だけど、言われた気がした。
そんなことないよ、と。
その音に、独奏の激しさの中に、そんな切実な想いを、勝手に俺は感じた。
それはまるで、まるで─────痛みに寄り添うような。
この手を引いて、どこまでも明るい光の中へ連れ出してくれるような、そんな音で。
涙が、溢れていた。
無意識に目を見開き、目尻が異常なほど熱くなっているのに気付いた時には、もう遅かった。周りからそれを見られることすらも、どうでも良くなるくらいに。
それは、重なる。
かつて自らにとって “憧れ” だった『一番星』と。俺自身が、かつていちばんなりたかった、そんな存在と。
『光』に、救われた。
焦がれた。かつて。
身を焦がす程に憧れて─────何度でもこの腕を夜空へ伸ばした『光』。
届くはずも無い。それは届きたくても、決して届かなかった閃光そのもの。
だけど今、その揺らめく光は、確かにこの身を
その光の中へ、もっと手を伸ばしたいと願う。
彼女に、彼女たちにしか放てないその光に、もっと触れたい。
そんな渇望にも等しい願いが、俺にとっては彼女の姿をさながら「星」の様に感じさせたのかもしれない。
だから。
だからこそその日、俺は確信をした。
その光はきっと、この命が潰えるその日まで、幾度でもフラッシュバックすると。
故に、思わずにはいられない。
願わくば、ただその光を守れたなら。
それがどんなに辛くても、苦しくても、たとえこの身を滅ぼすことになったとしても。それでも──────この身を救ってくれたあの光を、あの輝きをどうか守ることが出来たのならば。
その『光』を一生懸けて背負い続けることが、もしも許されるのなら、叶うというのなら。
それはどんなにか幸せな事で。
どんなにか幸せな『奇跡』そのものなのだと。
ただ一つ。そう、願ったんだ。
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Lake Sorayama Presents.
原作:はまじあき
「ぼっち・ざ・ろっく!」(芳文社 まんがタイムきららMAX 連載)
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ぼっち・ざ・ろっく!
フラッシュバッカー
空山 零句
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BOCCHI THE ROCK!
-Seirios-
-Contents-
#01『今、僕、アンダーグラウンドから』
#02『君という花』
#03『星座になれたら』
#04『リライト』
#05『ソラニン』
#06『それでは、
#00『無限グライダー』
#07『君の街まで、月並みに輝け』
#08『青春が忘れられなくてなにが悪い。この瞬間を忘れてやらない』
#09『夜の惑う星、カラカラ騒ぐ思考を連れて歩く』
#10『秒針少女』
#11『Re:Re:』
#12『フラッシュバッカー』
Epilogue『シリウス -Seirios-』
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登場人物
後藤ひとり
秀華高校一年。本作の主人公。通称「ぼっち」。
結束バンドにおいて
だが実の所、その心根は非常に優しく、決して他者を否定しない性格。臆病ゆえに観察力が鋭く、周りをよく見ている。加えて、凄まじい努力家でもある。
秀華祭を終えた約一週間後、突如として吉沢春樹に体育倉庫前へ呼び出されるが……。
吉沢春樹
秀華高校一年。今作におけるもう一人の主人公。
後藤ひとりと同じクラスの男子高校生。男子サッカー部に所属していた。
台風ライブ、文化祭ライブの演奏をする結束バンドもとい後藤ひとりの姿に強く惹かれ、想いを寄せるようになっていく。聴覚、洞察力に非常に優れるが、本人にはあまりその自負は無い。
後藤ひとりにその想いを伝える為、体育倉庫裏へ彼女を呼び出す。
伊地知虹夏
下北沢高校二年。結束バンドにおいて
ダメな大人には割と容赦ない。
山田リョウとは中学生の頃からの付き合いがあり、彼女のバンドを見た事をきっかけに勧誘。共に結束バンドを運営している。姉の伊地知星歌の為に「STARRY」を有名にする事を誰よりも夢見る。バンドの運営のみならず、家事等もこなす通称「下北沢の大天使」。
山田リョウ
下北沢高校二年。結束バンドにおいて
音楽及び作曲においては、バンドの支柱を担う高い実力を示す。作曲のポテンシャルは著しく高い。実は非常に面倒見が良く、後輩想い。こと音に関しての自身のポリシーや拘りは、メンバーの中でも随一である。
喜多郁代
秀華高校一年。通称「喜多ちゃん」。
結束バンドにおいて
自身の「なんでも出来てしまう」性格にコンプレックスを抱く。だがひとり、リョウの指南によりギターを始めて僅か半年でボーカルギターを務めあげる卓越した才能も持っている。バンドにおいては、SNSによる広報も担当しているSNS大臣である。