一般常識人に新エリー都は生きづらい   作:こなひー

51 / 53
 雰囲気しか知らない関西弁知識で、果たしてどこまでやれるのか。
とても良いキャラだけどちょっと引けない……、音ゲーのパリィの奴以外全部S+取ったから許して……。


48.恥ずかしエピソードって後から何回も刺してくるよね

「……」

「……」

「Zzz……、ンナァ……」

 

 今、『Random Play』には何とも言えない沈黙が流れていた。どうしてこうなったのか。原因はさっき店に入ってきた緑髪をサイドテールにしている彼女、千夏さんにあった。

 

 

 

 遡って数分前、静かだった店内に俺と眠そうなトワ。そこに突如、店の扉がバーンと開く音が響いた。目を覚ましたトワが転げ落ちて、床で横倒しになった。

 

「店長さ~ん! 助けてぇ~!」

「えっ」

 

 泣き叫びながらそう言って入ってきたのが、千夏さんである。姿に見覚えがあった俺は硬直した。確か彼女、この間アイドルの大会かなんかで100位入賞を祝われていたような気がする。超うろ覚えで申し訳ない。

 

「へっ、あ、あれ……店長さんやない……?」

「あ、どうも。バイトのサクです」

 

 俺の存在に気付いた千夏さんは、顔を真っ赤にして震えだした。これ多分、アキラかリンと話すつもりで行ったのに、他人の俺しかいなくて空振りしたやつだ。かわいそう。

 

「あ、え、そ、そうなんですか~……。あの。店長さんは?」

「あ、今出かけてます」

「そ、そうですか~……あはは~」

 

 初対面の相手に恥ずかしい姿を見せてしまった千夏さんは、目をひたすら泳がせながら店の隅で小さくなってしまった。そして俺もなんと声をかけたらよいかわからない。トワは横になったまま寝てしまった。

 

 

 

 そして今、この気まずーい空気である。誰か助けてくれ。

 

 

 

「うぅ~、やってしもたぁ~……つい店長さんしかおらんと思いこんどった……。店長さん優秀やからな~、バイトくらいおるやろうし、おらん時もそらあるわぁ……」

 

 沈黙の次はボソボソと一人反省会が始まってしまった。あの、全部聞こえちゃってますけど。

 

「あの、アキラとリンに何か用事がある感じですか?」

「へっ!?」

 

 急に話しかけてしまったせいか、ビクッと体を震わせた。

 

「あ、すいません。なんか急用っぽかったんで、よかったら伝えておきましょうか?」

「……」

 

 ちょっと警戒されている。涙目で隅に縮こまってるその姿は、まるで小動物のようだ。しばらく悩んだ後、千夏さんはゆっくり口を開いた。

 

 

 

「サク君、やったっけ。インターノットって詳しかったりする?」

「え?」

 

 

 

「……おかしーと思わん!? うちただ普通にしゃべってるだけやのに、なんで『ノットミームの女』とか言われなあかんの!?」

「まあ、確かにひどいですね」

 

 彼女の悩み、それは発言がノットで流行っているミームと被りがちなせいで、ノット界隈では、そういうネタを多用するキャラ扱いになってしまっていたことだった。

 

 特に千夏さんの独特なしゃべり方は、アニメとかのキャラによく似ている部分がある。そのせいで、普通にしゃべっているだけでそういう語録に引っかかってしまうらしい。

 

「こんな言葉狩りみたいな……人の心とか無いんか!?」

「千夏さん、また出ちゃってますよ」

「だから出ちゃってるってなんやの! ほんま……訳分からん!」

 

 千夏さん、多分そのセリフと頭ガシガシもアウトです。こんな感じで、全く意図してない注目のされ方をしてしまっている彼女は、嫌すぎて店長に泣きつこうとしていたのだった。

 

 あと一度悩みを打ち明けた勢いで、俺への警戒心がどこかへ飛んでいっていた。多分、これがいつもの喋り方なんだろうな。

 

「流行るにしてももっと、うちらの自慢の歌で知って欲しいわ……」

「うーん、俺もインターノットはあまり詳しくないですし……やっぱり店長に伝えたほうが――」

「あ、それはええよ。連絡先はうちも持っとるし」

「あれ、そうなんですか?」

 

 じゃあ何で突然店に来たんだろう。まさか実は、あの女たらしに直接会うための口実だったりするのか。最近勢いを増しているアイドルにまで既に通じているとは、恐ろしいなあのプロキシ。

 

「はー……なんや、話したらスッキリしたわ! 聞いてくれてありがとうな!」

「あ、そうですか……」

 

 スッキリした顔の千夏さんは、店の隅からようやく出てきた。そこで見せてくれた彼女の曇りなき笑みは、本物のアイドルだとわからされた瞬間だった。

 

 というか、俺何もしてないんだけど。彼女の元気が戻ったならそれでいいか。

 

「あ、良かったら……連絡先、交換してもええ?」

「いいですけど、いいんですか?」

「うん! サク君、ええ人みたいやから。……うちの恥ずかしい所、見なかったことにしてくれたし」

「まあ、触れてほしくない所って、誰にでもありますからね」

「……あはは、せやな」

 

 こうしてまた1つ、思わぬつながりができたのだった。今度404へ遊びに行くという約束をして、彼女は帰っていった。この後、妄想エンジェルのアカウントを見て、フォロワー数の多さにスマホを落としかける位には驚いた。

 

 

 

 ちなみに妄想エンジェルにとって、店長はレッスン指導にメンタルケア、有識者との仲介、おまけにテトリスをやってくれた恩人らしい。……テトリス?




 サクは良い意味で等身大かつ流行りにあまり乗らないタイプなので、アイドルとも普通に話せる仲になれると思うんですよ。

 千夏にここぞとばかりにネットミームを詰め込んでいる悪い大人がいるのは、まぎれもない事実。だから二次創作で多少パロネタとか入れても問題ないですよね、と開き直ってみる。



 テトリス好きだから楽しくやってたんですけど、回転とハードドロップのボタン位置だけ変えさせてほしかった……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。