一般常識人に新エリー都は生きづらい   作:こなひー

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 2.6に白祇重工の出番が少なかったのは、花火の設営とかしてたから。という一説をどこかで見たので、話を作ってみました。

 出番がないキャラは裏でこういうことしてた、とかそういう話はとても好きです。


50.春節の裏方でもきっと何かしら起こっている

 春節が近づき、六分街中がそわそわし始めていたころ。白祇重工では打ち上げ花火装置のメンテナンスと設置作業が行われていた。俺は今その手伝いに来ている。その理由は、ベンさんからのメッセージだった。

 

『ちょっとばかし人手が欲しい。臨時バイトの報酬は出すつもりなんだが……』

「あ、じゃあ俺行きます」

『すまねえな。明日頼むぜ』

 

 他のみんなは忙しそうだったので、行けるのは俺だけだった。手伝いといっても、白祇重工のクマシリオン達と比べたら貧弱なので、ほぼ雑用係みたいなものだ。けれど、役に立てるならと喜んで引き受けた。

 

「あの花火たちって、白祇重工が担当してたんですね。知らなかったです」

「おう。俺らのお得意様からの頼みだからな!」

 

 クレタさんも結構乗り気である。いつも見せない彼女の年相応の笑みは、とてもまぶしく見えた。しかしそんな彼女に水を差すように、耳をつんざくようなドリル音が鳴り響いた。

 

「よっしゃあ! いい調子だぜ兄弟! 本番が楽しみだな!」

「あの、アンドーさんが花火よりうるさいんですけど」

「ったく……おいアンドー! いい加減ちゃんと手伝わねえと、お前の兄弟を打ち上げんぞ!」

「しゃ、社長! それだけは勘弁してくれぇ!?」

 

 兄弟を人質に取られたら、流石にどうしようもなかったアンドーさん。静かになったまま、大人しく作業に戻っていった。

 

 

 白祇重工の従業員達が作業をしている中、明らかに空気の異なる4人がいた。俺は雑用がてら、話しかけることにした。

 

「で、邪兎屋は何で手伝いを?」

「甘いわねサク! これは金づ……スポンサーたちとのつながりを作れる、いわばビジネスチャンスなのよ!」

「今金づるって言わなかった?」

「気のせいよ!」

 

 ニコはどこに行ってもニコである。そんなだから借金まみれになるんだぞ。

 

「ま、あたしたち春節で出番があんまり無さそうだったからなんだけどねー」

「メタい。そして悲しい」

 

 猫又の悲しいボヤキに、何とも言えない気分になった。出番という理由もあるけど、澄輝坪までの交通費とか考えたら、邪兎屋が通うのは難しそうだ。俺だってパエトーンの謎ワープが無かったら行くこともなかっただろうからね。

 

「今更だけど、素人が花火作りの手伝いとか出来るんですか? なんか資格とかいるんじゃ……」

「ああ、花火自体は職人が作ってる。打ち上げ装置と配置の準備が、俺たちの役目だ」

 

 打ち上げ装置を抱えて近くを歩いていたベンさんが、俺の疑問に答えてくれた。成程、それなら経験が無くても手伝えそうだ。

 

 

「ハンバーガー型の花火が完成したわ。見た人は皆、ハンバーガーを食べたくなるはず」

「夜空に輝くスターライトナイトカラーの打ち上げ花火! 俺ちゃんは今、全てのファンの期待を背負っている!」

 

 近くでアンビーとビリーが悪ガキみたいな事を企んでいた。喜ぶ人はいるかもだけど、別企業の金で勝手に推し活するのはマズいと思うよ。

 

「君達、頼んだ配置と随分違うけれど。……プログラムに含まれていない花火はNGだから、悪いけど元に戻してほしいな」

「……却下されてしまったわね」

「す、すまねぇ同志達よ。俺ちゃんは無力だった……」

 

 わぁ、グレースさんがまともなこと言ってると違和感が凄い。もしかしてよく似た別人だったりするのかな。

 

「ところで君、機械人だよね? この作業が終わったらちょーっと体を見せてほしいのだけれど……」

「な、なんだかわかんねえけど、猛烈に嫌な予感がするからノーサンキューだぜ……」

 

 あ、やっぱりグレースさんだったわ。ほんと見境ないなあの人。……もしかして、青衣さんとかこないだ知り合った盤岳さんとかも危ないんじゃないかな。

 

 

 

 今日分の作業が終わった後、ベンさんと共にお茶をもらって一息ついた。

 

「サク、手伝ってくれて助かったぞ」

「ベンさんもお疲れさまでした。結局作業っぽいことはできませんでしたけど」

「何言ってんだ。おかげで野郎どもの作業効率が上がったってもんだ」

 

 結局俺に出来たのは、打ち上げ装置の位置確認だったり、従業員へのタオルや水の差し入れとかだった。もっと鍛えたほうがいいかもしれないな。

 

「……ところで、グレースさんとアンドーさんは何で倒れてるんですか。なんか頭上に燃焼、DMG150%って出てるんですけど」

「ああ。アンドーの兄弟でなんか企んでいたみたいだったからな。社長に折檻されたんだ」

「アンビーやビリーと同レベルじゃん……」

 

 自分の趣味ぶっこまないと気が済まない病なのかあの人たち。いたずらが未然に防がれたようで何より。

 

 

「花火、実は楽しみなんですよね。……前の時は寮に籠りっきりで、見る気力も無かったんで」

「……そうか。まあ、楽しめるといいな」

「ありがとうございます。今なら、心配ないと思います」

 

 リゾートも普通に楽しめたし、きっと次の春節も楽しめそうだ。




 最近、メタネタの入れ具合とかしんみりな展開を入れるかどうかとか、結構探り探りです。今の感じでも良ければ、この調子で進めていこうかと思います。

 気が付けばもう50話超えていた……? 思い付きで初めてからずいぶん遠くまで来たものだ……。いまだにどこまで続くのか決めていないのですが、気持ちの続く限りは投稿していこうかなと思っています。


追記
続けていこうと言った直後なのですが、しばらく更新止めようかと思います。

自分で見返してみたら、もしかしてマンネリ化しているのでは、と思ったためです。
見ていただけてはいるのですが、このままだと惰性になりそうなので、一度他の作品を色々書いて腕を磨いてから戻ってくるのもありかなーと。

また気まぐれにはなってしまいますが、よろしくお願いいたします。
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