ぬるりと転生した。
なーんか誤作動で死んで、お詫び特典とダンジョン渡されて異世界へGO。
神っぽい人から説明されたけど一応おさらいする。
・俺は1度死んだ
・そして原因は神さまが書類ミスで死期が大幅にずれてた
・おわび特典──転生特典GET
・転生したらダンジョンを経営する仕事を任された
まあとりあえず、ダンジョン拡張するか。
俺はダンジョンマスターになった。
できるのはダンジョンの運営と配下の召喚だけ。
でも、この
ダンジョンの中だけならあらゆる攻撃を無効化できる。
まあ考えるよりダンジョンを実際に作ってみる事にした。
最初は洞窟みたいな感じだけどめちゃくちゃ狭い。
鍾乳洞みたいでごつごつしてる。
ダンジョンの拡張のレートは5DP払えば廊下、2DPで部屋、そして10DPで階層追加となっている。
そしてその
「うーん、いっぱいあるなあ。」
赤レンガ
丸石
大理石
近未来
ダンジョンの見た目はいっぱいあったが丸石の床と壁にした。近未来は世界観に合わないし、なにより照明代がかかるらしい。そして赤レンガと大理石は松明が必要で、ちょっと割高。
丸石が1番ダンジョンっぽいしな。
とりあえずダンジョンの内装を決めたから次にサーチバードを召喚した。
神からの情報によるとこいつを召喚すると周辺の情報をGETするサーチが解禁される。
タブレットから出た青い閃光が目を叩いた。
「おっ、サーチ解禁された」
俺は早速使ってみた。
しかしどうやらサーチ機能はサーチバードの目で見た所しかわからないらしい。
でも近くに村があるのは見えた。
それに近くで狩人が縦に3mくらいあるデカ猪を追いかけていた。
「殺す…いや情報持ち帰らす?」
うーん、どっちにしようかな。
「へいタブレット、どう思う?」
情報を持ち帰らせることが重要かと
「ふーむ、じゃ生かすか。」
ゴブリンの巣穴に偽装しよう。
そんで村を襲撃して冒険者を呼ぼう。
胸が広がるなあ、最高だぜ、ダンジョン!
「!」
狩人が気配に気づき、目線を茂みに向ける。
「この臭い、ゴブリンか」
小声で喋る狩人。
そしてその側にいる猟犬はその
ゴブリンの臭いは浮浪者に近く、仮に赤子を近くに寄せようものなら即座に泣くであろう刺激臭と腐敗臭が混合された最悪な香り。
ゴブリンは棍棒や石を武器にする。
その時、ガサガサと言う音が静かな森を支配した。
隠れるということを一切知らないこの音はホブゴブリンの特徴だ。 ホブゴブリンはゴブリンが大人になった姿であり、その蛮力は驕りを生む。
狩人は獲物たるロングソードを即座に抜いた。
そして現れた先の尖った枝を持ったホブゴブリンを打ち据える剣は首を跳ね飛ばし森に軌跡を描いた。
「ギャギャッギャ!」
すると狩人が首を飛ばした瞬間を狙って石を握ったゴブリンが飛び出し、頭に振り下ろそうとする。
その軌跡は空を切り、狩人の蹴りが顔面を撃った。
頭蓋を潰し動かないゴブリンに、狩人は安堵した。
「危なかった、当たっていたら死ぬやも知れなかった」
「ツーマンセルでの行動、つまり集落が大規模になっているということか、 領主め調査を怠ったな」
忌々しげに顔を歪める狩人。
「ゴブリンの集落は早くに潰さなければならない、冒険者ギルドに依頼をするか。」
「あの枝…」
狩人はホブゴブリンが持っていた短い細く尖らせた枝をひょいともちあげ、しげしげと見る。
つぶさに観察した狩人はそこから推測した。
「枝の加工、つまり火を使える可能性があるな」
「あの石はおそらく床に叩きつけた物だろう」
ゴブリンの手に握りられている石。
打製石器には使い込まれている様子が薄い。
それに成長途中のホブゴブリンだったとしても警戒をほとんどしていないように見えた。
集落が中規模くらいなのか?
「とりあえず村長に連絡するか」
視線を外した狩人は足跡を残して村に帰って行った。
「おお、あの様子だと情報を持ち帰ってくれるかな?」
ダンジョンは情報が命だ。
挑戦者が居なくても今の規模なら自然から吸収した
とりあえずそのためにもダンジョンを探索者用に改修しなければならない。
今迷宮にいるのはキングゴブリン1、ジェネラル1、ホブゴブリン26、ゴブリン80だ。
ゴブリンは通常人語を理解することはできないがダンジョンマスターの言葉は違う。
そもそも言葉ではなく
まあこっちから連絡するのに困ることはないし、さらにイメージした映像とかも見せられる。
一応命令権は持っているから命令すればその通りに動くけれど、事前に訓練させたりイメージ映像を見せたりする方が動きがいい。
ゴブリンの巣穴に偽装されたダンジョンは探索者にダンジョンと気づかれることはないだろう。
つまり雑魚狩り専門──冒険者が来る。
打製石器くらいは作れるみたいだけども、
投石とかの方がたぶんいい。
ダンジョンの中は石が無限にリポップするしね。
あ、そうだ。
前に博物館とかで見たことがあった。
アステカの民族が狩りに使用した投槍器、アトラトル。
あれを使うのが1番いいだろう。
まあ本来の使い方は槍投げなんだけど、槍は高いし石でいいや。スリンガーはちょっと誤射が怖い。
ホブゴブリンの体躯は165cmほど、腕もちょっと長い。
当時のアステカの民とほとんど同じ身長だし、腕は長い方がいいだろう。
アトラトル ×50 2DP
アトラトル50本が2DPかあ。
まあいいや、買っちゃおう。
ポチッとな。
瞬間、青い光った霧のような物がタブレットから広がり、やがて少し離れた所で宝箱の形をとった。
宝箱といっても木箱だが。
開けてみると溢れんばかりにギチギチに詰められていた。
木箱は5つ並べられていて中身のアトラトルが斜めになっている。
10本もこの立方体によく入ったなあ、と思うけどまあ上手く詰められてる。
とりあえず近くに居たゴブリンを廊下に立たせて、
手頃な石とアトラトルを渡した。
「この道具の名前はアトラトルって言うんだ」
「アトラトルの使い方はこうだよ」
「ギャ」
全てを理解したようなゴブリンはアトラトルを使って廊下の奥の壁に、石をカーンという澄んだ音で当てた。
ダンジョンコアのそばに銅鐸があったけど磨くのがだるすぎて今や命中したか示す的。
分厚いけどちょっと今までの投石で曲がってたり凹んだりしてる。
「ジェネラル、今の見てた?」
「ガ」
「うん、なら伝えておいで。」
「ガガ」
「うん?」
「あー、もしかして」
「冒険者、来ちゃった?」
「ガ…」
サーチバードが示したのはダンジョンからおよそ150mの所に冒険者がいるって言う情報。
侵入者警報高いんだよな、400DPは商売なめすぎてる。
しょうがないし隠れてるか。
「タブレットさん、隠密モードを開始して」
「3」
「2」
「1」
濃い青色の煙がダンジョンマスターを覆い、見えなくなると消えていた。
これはダンジョンマスターだけの権限、隠密モード。
某クラフトゲームで言うところのスペクテイターモードと大体同じ。ていうか全部同じ。
この時は物をすり抜けられるし物体と重なれる。
そして目を合わせると視界をジャックして相手側の視点を見れる。
ただダンジョンの中でしかできないから前これで外に行こうとしたら普通に隠密モード解けた。
ダンジョンマスターって言うのはダンジョンと完全に結びついている。 だからダンジョンの外には出られない。
人間に例えると内蔵が出ていく様なものだし当然か、
そしてダンジョンは自然から魔力を奪い代謝する。
老廃物が魔石とか宝箱とかかな。
だからダンジョンが大きくなって賄いきれなくなると崩壊して俺も死んじゃう。
体が死んでも内蔵はちょっとの間生きていけるけど、
ダンジョンとダンジョンマスターはより密接な関係にあるからダンジョンが枯れるとダンジョンマスターも死ぬ。
だからダンジョンにダンジョンシーカーを誘い、相手の生命を奪うことで魔力をダンジョンに補充する。
まあ脱線したけど侵入者は2人組らしい。
魔法使い風の女と騎士みたいな男。
てゆうか杖めちゃくちゃでけえなあ。
多分あれひとつで1.2m位あるし遠心力でぶん殴られたら痛そうだ。 多分先端に重量が集中しているのか杖の先っぽを持っている。 タブレットさんによるとこのダンジョンの中で魔法はめちゃくちゃ使いやすくなるらしい。 魔力の通り道って言うのがすっごい多いから魔法の威力が上がるんだと。
ダンジョンの入り口に早速やってきた。
ふふ、歓迎しよう。
「ねえジーク、あ」
「早速かあ。」
ジークと呼ばれた騎士風の男は幅広の剣を抜き下段に構え、曲がり角の先を警戒している。
「「「ギャギャギャギャ!」」」
曲がり角から出てきたのは三体のゴブリンだ。
割れて鋭くなった石を握っている。
粗末な剣と言うにはあまりに太い、槍の先端と言うべきな形状の石でもってして皮鎧を貫こうとする。
「遅いわ!」
「ギャ!」
1名死亡。 だけどここはダンジョン内。
たとえ死んでも記憶と経験を保持した新しい個体に生まれ変わる事が可能だ。
死に際に投げた石が後ろの魔法使いと思しき女の頭に放物線を描いて吸い込まれるように命中──防御された。
「危ないわね!クソゴブリンが!」
黄色の台形のような形をした魔法の盾。
不意を打った投石だったんだがなあ。
そしてジークが振り上げられた剣で胴体を肩から脇腹まで割いてそこからの切り上げでゴブリンを2体まとめて殺した。
「おいおい楽勝じゃねえか、なあ?」
「・・・私は危なかったけど?」
「キレるなキレるな落ち着け落ち着け」
「まあ…いいけど。」
「それにしてもこの洞窟、随分トゲトゲだな」
「ええ、とても曲がりくねっているし、足元に沢山石が転がってる。」
「うっかり転んだら頭に穴が空きそうだ」
「不吉なことを言わないで、ジーク。」
「わかったよ、イヴォンヌ」
「そうしてちょうだい」
そしてジークとイヴォンヌが奥に足を踏み入れた。
「扉…ということは」
「人工物、ダンジョンの可能性があるわね」
「どうする?」
「ふ、全員蹴散らすに決まってるでしょ」
「それもそうだな、ゴブリンなんて俺らにとっちゃ塵以下だぜ、なあ?イヴォンヌ」
「ええそうね、この苛立ちは奴らで解消することにしましょう、ジーク。」
「オラァ!」
ジーク、イヴォンヌ一行が扉を蹴破り見たのは何も無い廊下だった。 ただ長く作られた廊下で、床は丸石になっている。 そして左右に扉が沢山着いていて、扉は木の扉ではなく固い鉄の扉に見えた。
ふっふっふ、この部屋に来たからにはもうおしまいよ。
「何だこの扉」
「開けてみましょ」
扉を引き、左の扉を空けた。
しかしあるのは土壁であり部屋につながっていなかった。
「きゃあ!?」
「どうした!イヴォン、ヌ?」
「あ」
「ああ」
「うわあああああああああああ!!!!!!」
飾りの着いた兜を付け 、その肌は刺青で覆われている。
腰蓑は鉄の装備へと変わり、その赤く光る双眸でジークを見つめている。
そしてその武器は粗末な石ではなく、大きな骨剣であり、その刃のあるべきところには棘があり1度斬られたら死に至ることが1目でわかる。
そしてその体は筋肉質であり怠惰な腹などなかった。
引き締まり8つに割れた腹筋は鉄より固く、その腕の太さは丸太1本を超えるほどであり、足は錨を想わせるほど重々しい筋肉の鎧に包まれている。
ゴブリンジェネラルだ。
ゴブリンジェネラル。
ホブゴブリンの統率者でありその力は村を単独で破壊する蛮力で、さらに挑むなら最低 冒険者8人が必須である。
イヴォンヌの首から上が無くなっている─なぜ?
あの吐き捨てられた頭は?──まさか。
気が触れたジークは剣をめちゃくちゃに振り回し、狂乱し大声を出している。
「う!ああぁぁああああ!!!」
骨棘を奇跡的に回避したものの掠めた左手が原型を留めない細かな肉片に変わった。
俯き泣き、後悔するジーク。
ああ!なぜこんな依頼を受けてしまったんだ。
クソ、くそくそくそ!
───────あ
ジークはダンジョンの糧になった。
「御身が無事でなによりです、主よ。」
跪いて敬を示すゴブリンジェネラルに、声は応えた。
ありがとうね、ゴブリンジェネラル。
君のおかげだよ、今後ともよろしく!
「はっ!」
侵入者を倒したおかげでとんでもない量のDPが出た。
まあ毎秒ちょっとずつ維持で減っていくけどそれ以上に獲得できた。 198DPもあるなら…
ふふ、夢が広がっていく!最高だ、ダンジョン。
決めた。 俺は世界で一番のダンジョンマスターになる。
はは、はははは!ははははははは!
ゴブリンキング
ゴブリンジェネラル
俺はこの世界で、一番のダンジョンマスターになるぜ!俺の歩む覇道を共に進もうじゃないか!
「はっ!」
「了承致しました、主よ!」
双子月が見下ろすこの空で、きっとこのダンジョンが一番輝いている。火よりも、遥かな空の上で輝く太陽よりも!
ダンジョンものはやっぱり人を殺さないとねえ、ダンジョンじゃないね!