1
「ねえ、小佐内さん、お願いがあるんだけど。」
隣りの席の小佐内さんに櫛田さんがお願いごとがあるらしい。つい、聞こえてしまっただけで盗み聞きをする意図はなかった。
要約すると、堀北さんというあまり協調性のない女性がクラス内で浮いてしまっているから仲良くなるために、カフェを利用するけれど、その際に周りの席を取って欲しいらしい。
「ねえ、小鳩くん。一緒に甘いもの食べに行かない?」
わざわざ、孤立しているからと言って仲良くなりに行こうとする奇行に興味を惹かれていた僕は一も二もなく同意して、櫛田さんが来て欲しいと言っていたカフェに向かうことにした。
「へぇー、人気なんだね。学校終わってすぐなのにもうこんなに人いるんだ。これは確かに席を取っていてもらわないと座ることなんて出来なさそうだね。」
「小鳩くん。やっぱり聞いていたんだ……。」
そういえば、説明はされていなかったな。
「まあ、隣の席だしね。つい聞こえることもあるでしょ?」
「そうだね。まあ、説明の手間が省けたしいいけど。」
えっと?確か堀北さんが座る席を固定するために席を埋めていて欲しいもし友達が席に座れなかったら堀北さんが来た時に席を立って欲しいっていうのと、周りにいていざという時手助けをして欲しいだっけ?
「わざわざ、孤立しているから友達になろうとするなんて櫛田さんも物好きだよね。」
「別に悪いことじゃないと思う。一人よりも複数人いるほうができることは多いから...」
「悪いとは思ってないよ。ただ僕にはできないだろうなって思っただけ。」
「あ、来たみたいだし、あんまり会話しないようにしないと。」
小佐内さんの、席からは、ドアのほうなんて見えないはずなんだけど、どうやって見たんだろう。ばれないようにドアに視線を向けると確かに、堀北さんは来たみたいだ。
今回僕たちは、目立つ必要はない。このフラペチーノに舌鼓を打つだけで構わない。
少しだけ聞き耳を立てる。
「あれだな、周りから見ると俺たちカップルに...見えないだろうな。」
確かに堀北さんだけがわざわざ来るわけないし、話しているのを見たのは、えっと…綾小路としか話しているのを見たことがなかったね。少し考えれば綾小路が誘ったってわかったのに。
「堀北さん偶然だね。綾小路君も、二人はここよく来るの?」
「今日はたまたまだ。」
「私は一人で来たんだ~。」
「帰るわ。気に入らないわね。何がしたいの?」
「やだな?偶然だよ。」
櫛田さん、それはなんのことが正解だね。
「さっきここにいた二人も、隣の席の人も。みんなDクラスの生徒だったわ。これは偶然?」
よく気付くね。ああいうタイプはクラスメイトのことなんて、覚えてないタイプだと思っていたのだけど。
「よく気付くな。全然気づかなかった。」
「私たちは、放課後すぐにここに来たのよ。とすると、彼女たちはこのカフェに来てせいぜい数分。帰るには早すぎるわ。」
「悪い。ちょっと根回しした。」
うん、しっかりと周りを見ているね。でも、その推論には穴がある。ただ、フラペチーノが来るまで、席で待っていた可能性を考えていないことだ。まあ、席を立ったのが、どちらもDクラスの人、しかも櫛田さんとは話しているのをなんどもみたことがあるのに、一切、話しかけず一瞥もしようとしなかった。それが怪しいと言えるんだけどね。たぶん、ばれないようにという気持ちが先行しちゃったのかな?
「堀北さん、私と友達になってください!」
「私のことは放っておいてほしいの。クラスにも迷惑をかけないわ。」
「でも、たった独りぼっちじゃ寂しすぎるよ。」
「私は一人を寂しいとは。思わないわ。時間の無駄ね。あなたの発言すべてが不愉快よ。」
「おい、本当にいいのか。三年間ぼっちってことだぞ。」
「九年間続けてるから大丈夫よ。幼稚園を含めればもっとね。」
さすがに、手助けをするべきだろうね。
「堀北さん?その考え方が悪いとは言わないけど、どうして友達が必要としないのかぐらいは、教えてあげてもいいんじゃない?」
「あなたは、確か小鳩君?何の用?」
「いや?ちょっと櫛田さんに、堀北さんと友達になる手伝いをしてほしいと、頼まれてね。」
正確には、頼まれたのは僕じゃないけど。性格がきつい人はあまり小佐内さんに向いていないだろうからね。互恵関係は、嫌なことから逃げるために互いを言い訳にする契約。嫌なことから逃げるために僕が矢面に立っても大丈夫だろう。
「だったら結構よ。私は櫛田さんと友達になりたいだなんて思っていないから。」
「でもどうして友達を必要としないかだけは教えてあげる。ただ助けてもらうことしか考えていない煩わしい連中だからよ。」
そのまま、堀北さんは帰って行ってしまった。
結局、僕は何もできなかったわけだ。
「えっと、綾小路くん、小鳩くん。ごめんね。堀北さんに嫌われるような事させちゃって。」
「大丈夫だよ。」
「大丈夫だ。」
「小佐内さんもありがとね。手伝ってくれて。」
「ううん。私は別に...何もできていないから。」
「ううん、助かったよ。ねえ、これからはどうするの?」
「寮に変えるつもり。」
「私も...。」
「じゃあ、一緒に帰らない?小佐内さんあと綾小路くんと小鳩くんも!」
帰り道、話相手が欲しいってことかな?少佐内さんは、櫛田さんと仲良くなっているみたいだし誘われるのはわかる。でもなんで僕までなのだろう?でも断る理由はないし、小市民的には承諾するのが筋だよね。
「もちろんだよ。」
「ああ、俺も嬉しい。」
そのまま、すぐに帰寮とはいかないんだけどね。まだ、僕たちが頼んだプラペチーノは飲み終わってないし、綾小路のもだからね。
飲み終えたら席を立って、帰寮することになった。迷惑をかけたお詫びにと、代金は払うと言ってくれたけどさすがに払わせるわけにはいかないからね。丁重にお断りして、そのまま帰路に着いた。
そのまま、他愛ない雑談をして、終了すると思っていたんだけど、
「あ、そうだ。小鳩くんに聞きたいことがあったんだ~。少佐内さんとのなれそめを教えてほしいの~。」
「馴れ初めといっても、そんな特別なことなんてないよ。中学三年生の夏ごろから、付き合い始めたってだけで。」
嘘は言っていない。付き合い始めたは行動を共にし始めたということでもあるからね。詭弁だけど。
あまり、話すつもりがないのが分かったのか、櫛田さんはあまり、追及してこなくて、そのまま終われば、ただの他愛ない雑談だったんだけど。いや、この後の話も他愛ない雑談といえば雑談なんだけど。
「なあ、恋愛ってどんな感じなんだ?俺にはよくわからなくて。」
と綾小路がいろいろと尋ねてきたのだ。少し意外に感じる。あまり自分から積極的に話しかける感じには見えなかったからだ。
そして、僕は、その気持ちはわからない。小佐内さんも同じだろう。どうしても知りたいのなら、可能かもしれないけれど、いま、現在としてはどうでもいい。けれどなにか答えなきゃいけないだろうから、適当に答えた。
「さあ?それは人それぞれとしか言えないんじゃないかな?」
「そうだね。...私もそうだと思う。」
「そうか。人それぞれか。難しいな。」
連絡先を交換して二人とは別れた。
2
櫛田さんに手伝いを申し込まれてからかな?僕たちが本格的にこの学校について調べるようになったのは。もしかしたら、小佐内さんは、もうとっくのとうに動いていて知らされたのが最近のことなのかもしれない。
とはいえ僕は、あまりお手伝いできていないんだけどね。適正の問題でね。小佐内さんは情報を見つける行動力や観察眼に優れているからね。僕は、ここに間違いがあります。さて、間違いはどこでしょう?を解くのが得意だから。
まあ、撤退の支援をしたり、一人では不自然になるところに連れ添うぐらいのことはしているんだけど。
おっと、新しく連絡が来たな。この生徒手帳も怪しいから、メッセージのやり取りで落ち合う場所を決めるときにぐらいしか使わない。
「小鳩くん、ほら座って。」
促されて席に座る。
「まずはこれを聞いてほしいの。」
周りに音が漏れないように、イヤホンを使う。
「…はあ、やっぱりもっとうまいもんが喰いてえな。」
「そんなこと言ったって、ポイントがない以上買えるもんも買えねえよ。」
「クラスポイントさえ上がればなあ。」
「おいっ、ばか、それは言うんじゃねえ。周りに誰もいないからって気が緩みすぎだぞ。」
ここから先は音声が小さくなって聞き取りずらい。多分周りに聞かれないように声のボリュームを落としたのだろう。
「....じゃ…ク……ト...........」
音声はここで終わっている。
「重要そうな情報はここぐらいしかなかったから、切り取っていたの。口止めを学校自体にされているみたい。クラスポイント、これって何だと思う?」
「そうだね、単純に考えれば今使っているポイント、仮称p(プライベート)p(ポイント)としよう。これが最初に配られたポイントだとすれば、クラスポイントはその入手にかかわってくるポイントだろうね」
「うん、それは間違いないと思う。山菜定食、つまり0ポイント料理を食べてのこの発言だし、ppの使い過ぎだとすればppを使用しすぎたのような発言が出てくるはず、もしくはppが上がればっていうはずだから」
「c(クラス)p(ポイント)は、それぞれのクラスに適用されるんだろうね。名称的にそうなると思う。これが、毎月10万p払われる真相ってことになるのかな?」
「私たちに伝えないのは、私たちの本質を見るため?」
「そうだね。情報を与えないのは、情報を与える理由がない。もしくは、情報が与えられないほうが都合がいいから。そして、そう考えた時、伝えない理由は、僕たちを試しているから、そう考えるのが最も納得できる。」
試して何がしたい?こういう時は、この学校の目的から考えるべきだ。この学校の目標それは、進学、就職先にほぼ100パーセント答えること。
確かに全生徒とは、書いてなかった。
つまり、評価基準を下回った場合、答えてくれるわけではないということか?
じゃあ、答えてくれるのはどれくらいか?これはまだ、わからないな。この学校の余裕にも関係してくるだろうから。
僕は先ほど考えたことを小佐内さんに、伝えた。
「とはいっても、情報は足りない。推理じゃなくて妄想だといわれても仕方のないことだと思う。」
「ううん、裏付けをとるのは、私の仕事。あってるかどうか調べて来るね。」
どうやって、裏付けをとってくるのかはわからないが、小佐内さんなら、可能だろう。とはいえ一応聞いておく。
「手伝うことはあるかい?」
「必要になったら伝えるね。」
僕もできることを考えていこう。あの考えは的を外れているとは思えない。でもこのままだと、いくつか不自然な点も存在する。最も大きな点は、意図的に監視カメラの存在しない場所を作っていることだ。もし先ほどの推論が正しいなら、監視カメラがしっかりとつけられている理由はわかる。けれど、つけれていない理由はわからないからだ。
僕にできることはそんなに多くはない。
一番簡単な方法は先生に聞くこと、もしかしたら簡単に答えてくれるかもしれない。でも探っていると気取られるのもあまり良くない。
調べたいこともあるし、図書館にでも寄ってみよう。
というわけで、僕は図書館にやってきた。いろいろと探すのだけれど、入学にあたって調べたときとあまり変わらない。
せいぜい、理事長が誰かとか、社会に通用する人材を育成するとかを書いているけど、口当たりのいい言葉しか並べていない。
口当たりは大事にするべきらしいけどね。小佐内さん曰く。
それにしても、この図書館は大きいな。でも、その割にはほとんどの生徒は勉強するぐらいにしか使用していないのが残念だね。ちょっとぐらいは借りていってもいいんじゃないかな?
何度か、聞いたことがあるミステリ作品を見つける。開いて読み進めていく。大掃除につい漫画本を読み漁っていく感覚に近いかな。調べ物をしているのについ小説を読んでしまうのは。
近くの席を取り、読み進めていく。
なるほどね。有名な作品なだけある。スラスラと読めるしとても面白い。
読み終えて、本を棚に返そうとする。
「その作品は面白いですよね!」
九に話しかけられてびっくりする。
「えっと?君は?」
「あ、ごめんなさい。急に話しかけられて驚きましたよね。私はCクラスの椎名ひよりです。あまりこの学校で読書をしている人が少ないのでつい話しかけてしまいました。」
「そうなんだ。僕はDクラスの小鳩常悟朗だよ。そうかな?クラスにもう一人か二人くらいは読書をする人もいるんじゃないかな?」
「いえ、それがいないんです。」
分かりやすく落ち込んでいるな。わかりやすく本好きって感じだね。
「でも僕だって、そこまで読書家ってわけじゃないよ。調べ物をしに来たのだけどその過程で有名な作品だから少し読んでみようって思っただけだからね。」
「でも、読んでいるだけでもうれしいです!探し物ですか?私、この図書館によくいるのである程度はお手伝いできると思います!その代わりといっては何ですが少し感想を言い合いませんか?」
「ありがとう。助かるよ。」
その、椎名さんに手伝ってもらって少しだけ詳しいことを知れた。まあ現状だとこの情報がどれだけ重要な情報かわからないけどね。その代わりといってもいいのかな?そして読んだ本のの感想を椎名さんにいった。
やっぱり、勉強系の本が多いね。ついでだし少し勉強していこうかな?数学系の参考書はここらへんだよね。思ったよりも分厚いな。
3
それから、4月が終わりそうなころ、小佐内さんさんから連絡が来た。いつもの場所で待ち合わせをするらしい。
「うん、小鳩くんの言ってることは正しそうだったよ。」
「裏付けが取れたってこと?」
「うん、Aクラスになれたら、自分が行きたいところに行けるのに、とかを先輩の前でいって、それを言ってはいけないって言われたから、正しいといえるね。」
なるほどね。確かにその方法だったら、的外れなら何を言っているのだろうと思われて、正しかったら口止めをされているわけだし止めに来るはず。
「でも気付くのが遅すぎたね。まあ早く気付いていたとしても信条的に伝えることはなかっただろうけど。」
「そうだね。今考えてみればあそこまでの放任主義も私たちがどれだけまじめにやるかを見られていたんだと思う。」
「じゃあ、現状のクラスポイントは低いだろうね。クラスでしっかり授業を受けている人は少ないし。」
「でも、一旦はこれが結論でいいのかな?これで今までのように、小市民的行動をするべきだよね。」
意識的かどうかはわからないけど、少佐内さんはがっかりしているように感じる。
「いや、待って。最初の疑問は解かれていない。なぜ監視カメラが全体を映らないようにしているかが。これを見つけるまでは、制限を撤廃するって話だったはず。」
「そうだね、そうだったね。」
少佐内さんは下を向いている。自分の顔を見られたくなかったのだろう。そうでなければこんな顔はしなかったはずだから。
こんな冷めきった笑顔を。
4
そうして五月が訪れた。ポイントを見る。0ポイントか。思ったよりも減らされたね。一応5万ポイントほど残したけれど小佐内さんに付き合うのは難しくなるだろうね。
そのまま朝の支度をして、部屋を出る。
ちなみにだけど、この寮は男性と女性で分かれてはいない。階層自体は分かれているんだけどね。だからエレベーターに乗るときに一緒に乗り合わせるなんてのは日常茶判事なのだけど。
「おはよう、小佐内さん、奇遇だね。」
「うん、おはよ。小鳩くんの推理当たったね。」
「推理じゃなくて妄想だったけどね。ポイントが配られないんじゃ甘いものを食べに行くのも一苦労だろうね。」
配られるポイントがもっと遅い時間の可能性もあるけれど、希望的観測はあまり口にしないほうが良いよね。
「でも減らされたにしてもどの行為がどれくらい減らされたのかは知りたいね。」
「そうだね…。先生は教えてくれるかな?」
そのような雑談をしながら学校いたけれど
ホームルームを告げるチャイムが鳴った。そのあとすぐに茶柱先生がクラスに入ってくる。いつもより険しい顔をしている。
「せんせー、ひょっとして生理でも止まりましたー?」
デリカシーというものがない。クラスの女子から敵視されているのがわからないのかな?
「これよりホームルームを始める。が、その前に質問はあるか?気になることがあるなら聞いておいたほうが良いぞ。」
先生がそう言ってすぐにいくつかの手が挙げられた。
「あの、今朝ポイントを見たら振り込まれていないんですけど。毎月一日に支給されるのではなかったのではないですか?」
「本堂、説明しただろ、その通りだ。今月も問題なく支給されている。」
「え、でも…振り込まれていなかったよな?」
本堂は周りの友人と顔を見合わせる。
「…お前らは本当に愚かな生徒たちだな」
茶柱先生は不気味な雰囲気を醸し出している。どれくらいの減るのが普通なのかは知らないけど、ポイントが減っていたことを言っていた人はほかクラスにいたけれど、ポイントを振り込まれてのはDクラスだけらしいし気持ちはわからなくはないかな。
「ポイントは振り込まれた。これは間違いない。このクラスだけ忘れられたという幻想は存在しない、」
「ははは、なるほど、理解できたよ、この謎解きがね。簡単なことさ。私たちDクラスは1ポイントも支給されなかった、ということだよ」
「はあ?なんでだよ。毎月10万ポイントが振り込まれるって…」
そうはいってないね。
「高円寺の言う通りだ。全く、これだけヒントをやって自分で気付いたのは数人とはな。嘆かわしいことだ」
その言葉を吐くと同時に僕のほうへ視線が注がれる。気付いたのに気づかれたのかな?それとも全然動揺しなかったから怪しまれたのか。
平田が手を挙げる。
「…先生、質問いいですか?腑に落ちないことがあります。振り込まれなかった理由を教えてください。でなければ納得できません。」
「遅刻欠席、合わせて98回授業中に私語や携帯を触った回数391回ひと月で随分とやらかしたものだ。この学校ではクラスの成績がポイントに反映される。その結果振り込まれるはずの10万ポイントをすべて吐き出しただけのことだ。入学式の日に直接説明したはずだ。この学校は実力で生徒を測ると。その結果、お前たちは0という評価を受けたそれだけだ。」
解決編と洒落こんだわけだ。あまり聞きたい話というわけではないけどね。
「お前たちは自らを律することはできない愚か者たちだ。そんな者たちに毎月10万使わせてもらえると思っているのか?ありえないだろ。なぜ疑問を疑問のまま放置しておく?これらの結果はすべてお前たちによる自己責任だ。」
「とはいえ、私も鬼ではない。いいことを教えてやろう。今月マイナスに抑えたとしても、ポイントは0で増えはしないが裏を返せば、どれだけ遅刻欠席しても関係ない、ということだ。覚えていて損はないぞ。」
覚えておいて損はない…か。
「どうやら無駄話が過ぎたようだ。本題に入ろう。」
茶柱先生は手に持っていた筒から厚手の紙を取り出す。それを黒板に張り出す。
これがクラスポイントね。なるほど、見事にDクラスは0ポイントだ。
綺麗に並んでるな。
Aクラス 940
Bクラス 650
Cクラス 490
Dクラス 0
「段々理解したか?お前らがDクラスにに選ばれたか?」
「この学校では、優秀な生徒たちの順にクラス分けされている。最も優秀ならAクラス、ダメな生徒はDクラスへと。つまりお前たちは最悪の不良品ということだ。実に不良品らしい結果だな。」
「しかし、1か月ですべてのポイントを吐き出したのはお前らが初めてだ。逆に感心するよ。まあ私も鬼ではない。寮に生活するのは、無料だし、食事も無料のものはある。死にはしない。」
この発言は、あまりうれしくないな。頑張る理由が消えてしまう。0ポイントで生活するのはさすがに厳しいぞ。
「…これからは、ほかの連中にバカにされるということか。」
「なんだ、自らん体面を気にするんだな。なら頑張って上のクラスに上がるといい。クラスポイントは毎月振り込まれる金と連動しているだけじゃない。お前たちでも500ポイントを超えれば、DクラスからCクラスに昇格できるというわけだ。」
「さて、もう一つお前たちに知らせなくてはいけない残念な知らせがある。この結果は先日行った小テストの結果だ。そろいもそろって中学では何をしていたんだ?お前らは」
僕の点数は80点ほど、簡単な問題はほとんど解けた。ただ、一問ミスをしてしまったらしい。他の生徒はほとんどが60点ほどしか取れていない。平均点は65点ほどね。
「これが本番なら7人は退学措置になっていたところだ。」
「退学!?どういうことですか!?」
「赤点をとったものは退学となるただそれだけだ。」
「そして最後に一つ、希望の進学先、および就職先に応えるのはAクラスだけの特権だ。それ以外の生徒には何一つ保証しないだろう。」
「浮かれていた気分は払しょくされたようだな。このホームルームにも意味があったのかもしれないな。中間テストまで後三週間赤点を取らずに乗り切る方法はあると確信している。ではこれでホームルームを終了とする。」
茶柱先生はそのまま、教室を出ていった。