小市民シリーズ×ようこそ実力至上主義の教室へ   作:金銀好き

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3話

 

教室は茶柱先生による爆弾情報を渡されて阿鼻叫喚となっている。

 

「みんな落ち着いてほしい。」

 

あれている教室を制すために立ち上がる。

櫛田さんの援護支援によって教室はいちおうはまとまりを見せる。

 

「今月、僕たちはポイントが貰えなかった。これはとても大きな問題だ。まさか卒業まで0ポイントで過ごすわけにもいかないだろう。だからこそ、来月は必ずポイントを獲得しなければならない。そのためには遅刻や授業中の私語、携帯をさわるのはやめるように互いに注意するんだ。」

 

「変わんないならやる意味ないだろ」

 

「でも、僕たちのポイントは増えない。マイナス要素であるのは間違いないんだから」

 

「何をやろうが勝手だが俺を巻き込むな」

 

須藤は正論で返されて居心地が悪いのか、教室を出ていった。

 

「なんで、あんなに協調性がないの?ほんとサイヤク」

 

須藤が教室から出ていったと同時に、クラス内の女子から、非難が出てくる。

 

「小鳩くん。小佐内さん。放課後、これからどうやってポイントを増やすかの話し合いに参加してほしい。」

 

「もちろんだよ。ポイントを増やすことは急務だからね。」

 

「私も手伝う...」

 

「ありがとう」

 

平田はそれだけ言うと、ほかの人にも話しかけに行った。一人一人に話しかけることで断りづらくしようとしているんだろうね。あんまり人を増やしすぎてもまとまりが生まれるとは思わないけど。

 

話し合いは、放課後教室で行われた。司会進行役を平田が、書記を櫛田さんがするらしい。

 

「そもそもほんとにポイントなんて増えるの?無理じゃない?あの須藤とかがいる時点で授業態度を評価されるとは思えないんだけど。」

 

「そうだよね。あんな奴退学になっちゃえばいいんだよ。」

 

嫌われてるな。確かに授業態度が一番悪かったのは須藤だけど、ほかの人だって、良かったとは言えないのに。

 

「だとしてもだよ。僕たちはクラスメイトなんだ。協力していくべきだと思う。」

 

「そうだよ。一か月でお別れになるなんて寂しいよ。」

 

平田と櫛田さんの言葉によって、反対意見は消え去った。いや、言葉にするのを許されていないといったほうが正しかったかな?

 

「でも、増やすって言ったってどうするの?」

 

「そうだね。先生は、クラスポイントは生徒の評価を数値化したものだって言っていたから評価されればいいんだと思う。」

 

「詳しい評価は、先生が教えてくれなかったけど、減点はある程度教えてくれた。だから、みんなで声掛けをして授業態度をよくするべきだ。」

 

議論は停滞していく。目立ちたくない。意見が思い浮かばない。司会進行をしているからあまり意見を言うわけにはいかないなどの理由が見えて来るね。

しょうがないか。僕が口火を切ろう。

 

「まずは、中間テストを乗り切る方法を考えるべきだと思う。」

 

「そうだな。俺も賛成だ。テストの点だけで評価していないと先生は言っていたが、テストの点も評価対象ではあると思う。」

 

「うん、確かにそうだね。じゃあ。テストを乗り切るために勉強会を開くのはどうかな?」

 

「うん、賛成だよ。勉強会を開けば成績に不安がある人もある程度は安心できるようになるだろうし!」

 

まあ、やらないよりはましだろうね。七人の赤点者は減ってできればゼロになればいいけど。まあ難しいだろうね。勉強は積み重ねだからね。時間が足りないだろうし。

 

「じゃあ、これで話し合いも終わりだね。洋介いこっ。」

 

そのまま、軽井沢さんが平田を誘ってどっかに行ってしまった。司会進行役がいなくなってしまったため話し合いがなくなってしまった平田に誘われたから参加したってのと、ほとんどが参加しているからの協調圧力で来てるだけなんだろうね。。話し合いを潰すくらいなら参加しなければいいのに。まあ、あの結論自体は普通のことだろうけどね。

 

勉強会ね。わざわざ勉強会をひらいて他人に教えたいとは思えないな。自分自身の勉強がおろそかになってしまっては本末転倒だからね。それにそこまでする義理もないし。

 

「ねえ、小鳩くん。勉強会しよっか。」

 

「もちろん構わないけど、あまり懐事情が良いとは言えないから、カフェとかは無理だね。」

 

「じゃあ、私の部屋でやろう。」

 

そういわれて、勉強会は小佐内さんの部屋で行われる手はずとなった。

女子の部屋は、男子の部屋がある階層より一つ上のため、立ち寄ったことがない。少しだけ周りを見てみるけど、やっぱりあまり変わらないな。

 

「じゃあ、どうぞ。」

 

小佐内さんに手招きされて部屋に入る。

フローリングにカーペットが敷かれている。その上に背の低いテーブルが置かれている。生活感はあるように感じられない。まあ入寮して一か月だし仕方ないんだろうけどね。

 

「これ、どうぞ。」

 

僕の前にコーヒーが置かれる。それと手作り感満載のカップケーキが置かれた。

 

 

「このカップケーキは、無料でもらえる食材で作ったものだから、材料費を払うとか気にしないで。」

 

「うん、ありがとう。材料をもらいに行くときは、僕のことを連れて行って構わないからね」

 

スーパーによったのは、一か月くらい前の話だけど、あの時食材は、一人で持っていける量が決まっていた。僕は料理しないわけだし、僕の分も上げても問題ないだろう。

 

「じゃあ、勉強しようか。なんの教科から始める?」

 

「そうだね、じゃあ数学からにしよ」

 

そのまま、勉強道具を広げて勉強を始める。こういうことが、中学生のころになかったわけではない。むしろ、受験生のわけだからよくあったほうだ。だからこそ中学の範囲にかぶっているここら辺を、三週間前から勉強会を始めるのは少しだけ引っかかるところがある。

とはいえ最近はあまり守れていないとはいえ、小市民を目指すものとしてただ女子の部屋に誘われたことにドギマギしていればいいのだけど。

 

どうしても、引っかかるところが気になってしまう。

 

「確かに勉強会は、必要だけどこの時期から必要かな?」

 

「確かにあんまり必要ないかもね。けれど、少しだけ話したいこともあったから」

 

「あの、話し合いのこと?」

 

「そう、それと私たちの身の振り方についても考えないといけないと思う。結局この学校ではクラス間で争いが行われる。私たちはこのまま小市民を目指していいのかな?」

 

「そうだね。この学校での優等生は小市民ではなくて、狐と狼らしい。」

 

「純真無垢な小市民じゃ、食い物にされるだけ。私たちは狐と狼に戻るべきなのかな?」

 

「全部、戻ればいいわけじゃないと思うんだ。少しだけ制限を緩めるだけ。小市民の皮を着た僕たちが少しだけ目を見やすくするようなもの」

 

「そうだね…やりすぎないようにしないと...」

 

結局のところ、この流れは僕にとって待ち望んでいたものだった。仕方のない理由で僕の性癖を満たすことができることを。

 

 

「ねえ、小鳩くん。今回のテストどう思う?」

 

 

「そうだね。はっきり言って、全員が赤点回避をできるとは思えない。程度の差はあれど、ある程度は積み重ねが必要になってくるわけだからね。今まで、一切積み重ねていない人がいきなり高得点をとれるとは思えない。方法がないわけじゃないけどね」

 

「その方法って?」

 

「全員が、0点を取ればいいんだよ。今回の赤点は32点。はっきり言って中途半端すぎる。平均点の半分が赤点基準だろうね。だからそうすれば赤点は取らない。まあ、全員が裏切らない保証と、クラスポイントだってもらえないだろうから実現はしないだろうけどね。」

 

赤点を回避する方法を確信している…ね。こんな穴だらけの解決法が正解とは思えない。他に何か有るだろう。そうでなきゃ、テストを乗り越えられるとは確信できないだろうから。

 

つまり、ほかに方法があると考えられる。

 

「先生が言っていたことを考えよう。おそらく今回は先生から与えられたヒントを解き明かすことで片が付く」

 

「まず、一番最初に行われた小テスト。違和感があるよね。」

 

「それは確かに。全然解けそうになかった...」

 

「それは何のために?どれだけ予習が進んでいるかを見るために?それはない。そうするなら段階を踏んでいくべきだ。あの解き方について、図書室にこもって参考書を見てみたけれど、大学の知識が求められていた。調べるのに苦労したよ。どれだけ進んでいるかを知りたい場合、段階を踏むべきだ。それをしていない以上目的ではないだろうね」

 

「じゃあ、わざわざ解けない問題を出したのか?そうなるとだす理由が生まれない。つまりあの問題は解く方法があったわけだ。正攻法、大学レベルの知識を持つ以外でね」

 

「つまりあれは、問題を正攻法で解けるとは思われていない。解ける人もいるかもだけど。ではこの疑問を大げさにしてみよう。例えばあの問題文が存在しないとする。でも答えは一通りにしかならない。この時どうすればその一通りを書くことができる?」

 

「小鳩くん、悪癖出てるよ」

 

わざわざ、もったいぶって話始めるのは僕の悪い癖。これで痛い目を見たこともあるってのに。

 

「ごめん。そうだね。つまり答えを知っている必要があるというわけになる」

 

「答えを知る方法があったってことね...」

 

事実そうなる。答えを持っている人物は誰か?確定しているのは、先生だろう。ただ、先生に答えをもらいに行くのは情報漏洩になるから、渡されないだろう。情報漏洩にならず、情報を入手する方法は?もう情報が公開されているとすれば引っかからないな。ならば、それらはどこに公開されている?テストの問題は使いまわしされるとすれば一番いい。中学のテストでもサービス問題として問題集から同じ問題が出題されていたことがあった。本屋や図書館に保存されている問題集の模擬テストにあるかもしれない。ほかにも過去問を使用している可能性もあるね。

 

「小佐内さん、答えを入手する方法は、問題集、もしくは過去問だ」

 

「…、なるほどね…。それじゃあ過去問の入手は私がやるよ。でも、もし見つかったとしてももう一つ問題があるよ?」

 

僕は続きを視線で促す。

 

「どうやってクラスの人に渡すの?私たちは小市民を目指している以上目立つわけにはいかない。それにクラス闘争が行われるならマークされていいことなんてない」

 

「平田君か櫛田さんを頼ろうかと思っているよ。彼等なら答えを見つけ出して教えても問題にはならないと思う」

 

「それじゃあ、櫛田さんを中心にしてほしいの」

 

「どうして?」

 

「彼女は善人のふりをした悪人だから?」

 

彼女がこのように人を見るのは珍しい。でも人を見る目は僕よりもあるだろうね。それに悪い人のほうが扱いやすいから。

 

 

「…わかった。別にどちらが矢面にたってくれても構わないし。でもそうだとしたら彼女はなにを目的にうごくのかな?それと先に過去問を入手しておきたい。どれくらいの時間で入手できる?費用はいくらくらい?」

 

「そうだね。3日間、5000ポイント。ぐらいになると思う。それと櫛田さんとは話す機会もあるし私からとしとくね」

 

「じゃあ2500ポイント振り込んどく。それと櫛田さんのことはおねがいするね」

 

「ん、ありがと」

 

「僕は問題集の確認をするよ」

 

僕は考える。櫛田さんの行動原理は何か。小佐内さんが善人のふりをした悪人だからと評した以上そのような違和感を感じたと考えるのが自然だろうね。…情報が足りない。無理もないか。彼女についてなんてほとんど知らない。

 

「ほかにも、いろいろと話したいことがある」

 

「それって?」

 

 

「Dクラスになる基準のこと」

 

「確かに先生の口ぶり的に評価が良くない生徒はDクラスに落とされていたね」

 

「そう、でもそれだとおかしいことがいくつかある。それの最たる例は平田と櫛田だ。あの二人には目立った欠点はない。なのにDクラスに落とされているのはおかしい」

 

それにこれを言ったら傲慢だから言うつもりはないけれど、僕と小佐内さんもさすがにDクラスに墜ちるほどではないだろうからね。

 

「理由は何が考えられるかな?」

 

「そうだね。ここを一般の学校と変わらないとしてレベルが低い学校に入ったのかを考えた場合一番考え付くのは内申点だよね」

 

「あの二人の内申点が低いからそうなったのかな?それだけとは僕は思えない」

 

「なら過去に問題があるのかな?私たちDクラスに入ることになったのも多分過去が原因だろうから」

 

「そうだね…僕たちは過去に大きな間違いを犯した。それが理由でDクラスになったと考えられるからね」

 

「そうなると二人にも過去に大きな間違いを犯したことになるよね?それはなんだったのかな?」

 

「結論はまだ出ないと思う。でもそうしたら二人は悪人ってことになるかもしれない。情報を集めるまでは注意したほうがいいかもね」

 

「…そうだね」

 

そのまま黙々と勉強会を進めた。話すための言い訳に近いものだからあまり勉強ははかどらないんじゃないかなっておもったけれど、案外集中できるね。ペースが良い。

そんなこんなで勉強会は終了となった。

 

「じゃあ、次の勉強会は一週間後ね。それまでによろしく」

 

「うん。それじゃ」

 

それから僕は図書館や書店を周り問題集を探した。問題集は幸い無料で貰える物の一種の用でお財布に優しい。Dクラスはすべからず金欠だからね。絶対Aクラスに上がりたいとは言えないけどプライベートポイントは欲しい。少し目立つことは許容してクラスポイントを獲得するために行動に移そう。

 

小市民として目立つのは良くない、けれどお金のために協力するというのは小市民らしい。そういうものだろう。

 

勉強をするついでとして小テストの確認を始める。

今のところそれらしい気配は感じないな。過去問の方かな?小佐内さん待ちになるね。現物がない以上取引が難しくなる。

 

それから1週間が立った。僕の方ではない以上、小佐内さんの方だろうね。

 

「小鳩くん、これ」

 

 

「過去問はうん、小テストはそうらしいね。1字1句同じだ。となると中間テストも期待していいだろうね」

 

「うん、そうだね……でも一つ不自然なところがあるの。この問題の中にテスト範囲外の問題があるの」

 

「確かに……。だとするとこれは間違いだったのかな?テスト範囲が変更されるとしたら問題はなくなるんだけど」

 

「大丈夫だよ小鳩君。このテストを買い取るときに値段を吊り上げようとしていたから価値があると上級生は認識しているはず。これが無用の長物ってことはないと思う」

 

「ありがとう小佐内さん」

 

とはいえ、これが使えなかった場合他に攻略法があるはず。考えよう。

僕が考え事をしていると小佐内さんから声を掛けられる。

「これ。やっぱり小鳩くんの言う通りだったみたいだね」

 

小佐内さんから携帯の画面を見せられる。そこにはテスト範囲の変更が書かれていた。

 

「よかった。これが赤点を回避する方法だろうね。」

 

「うん、じゃあこれを櫛田さんに渡しておくね。私から渡した方が話も早いだろうし」

 

「うんありがとう」

 

「それじゃ、今日は帰らせてもらうね」

 

「うん、お疲れ様」

 

「こちらこそお疲れ様」

 

 

 

それから何日がたちテスト範囲が配られた。少し気になるところはあるけれどテスト前日だから追い込みを仕掛けたいしあまりそっちに頭を使えないな。テスト終わってからでも考えよう。

 

そして次の日

 

「おはよう、小佐内さん」

 

「おはよ、小鳩くん」

 

話もそこそこに茶柱先生が封筒をもって教室に入ってくる。

そしてテストが配られた。

 

よし、推理通りの展開だ。一字一句同じ。過去問が攻略法だったのは正しいかった。

すらすらと解けている。周りも苦戦している雰囲気は感じない。

これだったらクラスポイントの獲得も十分できるだろうね。

 

社会、国語、理科、数学、英語問題ないだろうね。過去問を見なかったって人でもない限り赤点を取る人はいないだろうね。

 

テストは続かなく終了した。

 

 

そしてテスト返し当日。

 

「今から発表する。ほとんどの生徒は高得点を取った。だが須藤。お前は赤点だ」

 

赤点?勉強不足かな?これだとクラスポイントは獲得できるのかな?

 

「赤点は平均点割る2。つまり39.8。須藤の英語の点数は39点以下。だから須藤。お前は退学だ」

 

クラス内は異様な雰囲気に包まれている。

退学者が出たことへの恐れと悲しみ。邪魔者が消える喜び。

その静寂は堀北さんによって崩された。

 

「前回の平均点は64.4つまり32,2。つまり32点を超えています。つまり小数点切り捨てている。今回の求め方が違います」

 

堀北さんはこんなにほかの人を庇う人だったかな?それは四捨五入をしているってことにきずいてるだろうにそんな無茶な反論を言うぐらいには。

 

 

「それは四捨五入されたからだ」

 

まあこれで須藤も退学ね。クラス対抗戦である以上戦力が無くなるのは困るけれど、まあ仕方ないか。遅かれ早かれ退学になってただろうし、須藤はおそらく肉体的に強い駒だろうから頼りきりになったあとに消えられるよりましかな。

 

 

 

そして一夜明けた後、小佐内セレクションのカフェに来ていた。

 

「小鳩君、テストお疲れ様」

 

「小佐内さんもお疲れ様」

 

「ここのアップルパイはね絶品なの。とろとろで」

 

小佐内さんは注文をする。

 

「二つください」

 

「今回のテストはいつもよりも疲れなかったね」

 

「そうだね。今回のテストは答えが事前にわかっていたからね。ある程度安全マージンを取って勉強していたとはいえ、いつもより精神的プレッシャーはすくなかったもん」

 

「けれどいくつか不可解な点がある。まず一つ、過去問配布が一日前だったこと。これは小佐内さんは何か知ってるかな?」

 

「ううん、わからない。櫛田さんに言ったときもこれでほかのみんなも何とか乗り越えられそうだよーってことを言っていたから」

 

「だとすると、櫛田さん自身が考えたわけじゃないだろうね。もしそうだとすればその時に相談するだろうし、あとあと考えたとしても伝えてくれただろうから。

だとすると、ほかの人物の手によって伝えられたんだろうね。櫛田さんと一緒に勉強していたのは、綾小路、池、沖谷、須藤、堀北、山内の6人。一番最初に見せる相手はその6人だろうからそこでストップがかかったと考えるのが自然。だから容疑者はこの六人に絞られる。

そしてこれは誰が一番得をするかで片が付く。須藤、池、山内はないと思う。この三人が前テストで点数が低かったから高得点を取るために早めに使い始めると思う。だから残るは綾小路、沖谷、堀北の三人になる。この中だと一番自然なのは堀北さんになるだろうね。他の2人の可能性もあるけれど、まあこれ以上は推理の情報がないや」

 

「仕方ないよ。そんなことよりアップルパイが届いたよ。このパイはあったかいからもう少し早めに食べるのも悪くないけれど、クーラーが効いた部屋で食べるのも十分美味しいの!」

 

そういい始め小佐内さんは食べ始める。僕も食べようか。

 

「へ―たしかに美味しいね。パイに甘味がサクサクで中身がトロトロだから触感も面白いや」

 

「そうでしょ!やっぱりアップルパイはサクトロがいいの」

 

そのままアップパイを食べ進める。

 

「もう一つの不可解な点について話してもいいかな?」

 

小佐内さんは少し首を縦に振る。

 

「もう一つ不自然なのは須藤が退学にならなかったことだよ。須藤は平均点以下、つまり退学するはずだったそれなのに退学が行われなかったのはなぜかな?」

 

「まず一つ、点数表記がミスで本当はセーフだった。これと似た推論で平均点が計算より低かったこと。これはないだろうね。退学が取り消されたのはテストが返されてからすぐだったし、もしそうだとしたら迂闊すぎる。退学がかかってるのにそこまで適当じゃないだろうし、適当ならテスト返却された後採点を直したりしないだろう。

 では二つめ、退学自体が取り消されたこと、そうやすやすと退学は行われない。これは上級生をみて違うといえるね。

 それじゃあ三つめ、僕はこれが本命だと思っている。平均点もしくは須藤の点数が操作された。先生はぼかしてくるけれど嘘はつかない。いつかつくかもしれないけどさすがに早いから本当のことを言ったとしよう。赤点者は退学、これは真実、だから赤点じゃなければ退学ではないんだ。

 平均点が操作された説から考えてみよう。そうした場合クラスの合計点数から引かなければならないのは32点。一人でも達成できそうな点数だね。100点から32点マイナスしても68点だから赤点にはならない。ではこれが行えたのは誰か、あの場で須藤を助けようと思うのはおそらく櫛田組の人と平田ぐらい。でも取り消されるまですぐだったからできたのは堀北と綾小路の二人だけ。あの二人だけクラス内に残らなかった。他の人は32点も減らしたら赤点になってしまうか、クラス内にいたから特別な動きはできないから。合算だったらほかの人もできたけどそれならもっと周りに言いふらしていると思う。ではさらに考えてみよう。どうすれば点数を減らすことが出来たのか?

 普通下げようなんて思わないから誰も言わないけど実際は下げることが出来るものなのかもしれない。たとえばここからここまで実は時間が過ぎてから書いたため点数から減らしてくださいとかあったかもしれない。認められるかどうかはわからないけど、退学者が出したくない先生と出したくない生徒の利害関係の合致でできる可能性はある。こうなった場合可能なのは綾小路だけだね。彼だけがそれを行う点数と情があってもおかしくない。堀北は50点、赤点を取らない点数の中でギリギリにしていたから。

 逆に点数を上げる方法を考えてみよう。こっちは利害関係の一致でも難しいと思う。さすがに点数を下げるのはグレーでも上げるのは真っ黒だろうから。だから点数を上げていい理由がないといけない。」

 

事実何かしらそういう方法がない限り、点数を上げる方法はないだろう。

 

何がある?

 

「…PPだ。先生は最初のころに言っていた。この学校でPPで買えないものは原則存在しないと。つまりテストの点数を購入することもできる。かもしれない。そうした場合可能になるのは、堀北か綾小路だろうね。5月にPPが貰えないと言っていた時、櫛田さんと沖谷は貸出、池、須藤、山内はほかの人にポイントをねだっていたか嘆いていた。持っていなかったからだろう。あの二人はそのようなことはなかった。PPが残っていたからかただ顔に出していないか。少なくとも可能性が一番あり得るのはあの二人だろう。」

 

「一度公開された点数。もう一度、確認することもできるはず。点数を下げたのなら、綾小路、買ったならあの二人のどちらか、もしくは両方の可能性が高い」

 

「だとするとPPってただのお金だと思っていたけれど、もっと重要だったのね」

 

「悩ましいわね。節約したらあまりスイーツが食べられない。けどいつか必ず役に立つもの」

 

そういって小佐内さんはとても悩ましい顔でアップルパイを食べていた。

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