味方を自爆特攻させる気満々のクズ女 VS 激重ヤンデレ女   作:人間として終わってる人

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15話 突然すぎる

 宿に戻り、私はすぐさま椅子に座り、散乱しつつある紙切れを取った。

 ペンを手に取り、新しい情報を紙に書き込もうとする。

 

 しかし、どうしてもペンを動かす手が動かなかった。

 書くことは幾らでもある。

 謎のキスに謎の起死回生発動……。

 全ての行動の動機と理由が私には分からなかった。

 

 私が振り回されている……それは危機的な情報だった。

 私が主導権を握らなければ、自爆特攻させることなんてできない。

 私は天井を見つめ、脱力しながら声を出す。

 

「あーーーー……」

 

 どうしようかなぁ……。

 考え込んでいると、玄関の扉がトントンと叩かれる。

 来客……? こんな時間に??

 私は不思議に思いながらも椅子から立ち上がり扉を開く。

 

「こ、こんばんは……ミラさん」

 

 扉の先には頑張って笑みを浮かべるエイラが立っていた。

 え? なんで私の住んでる場所知ってるの?

 すぐさまそんな疑問が出てくる。

 

「え、エイラ? 何か用でもあるの?」

 

 私は少し冷や汗をかきながらも平静を装う。

 

「と、とりあえず入れて貰えませんか?」

 

 すると、エイラは半開きになった扉を掴み、強引に私の部屋に侵入してこようとする。

 まずい。それはまずい。

 私は今までにない危機感を覚える。

 

「ち、ちょっと待ってね? いや、本当に待っててね??」

 

 私も頑張って笑顔を浮かべながらエイラにそう言った。

 すると、エイラはニコッと笑って「分かりました」と言ってくれる。

 私は少し安心した後、扉をゆっくり閉める。

 エイラの顔が扉に隠れていく。ちらっと見えたエイラの顔はほんのり赤くなっていた。

 

 え? な、なに?? なんなの??

 私は装っていた笑顔を崩し、ひたすらに困惑する。

 い、いや待て。ここで時間を食ってるわけにはいかない。

 

 私は全力で机まで走り、散らばっている紙切れを必死に掻き集めた。

 そして、それを裏返しにして机の隅っこに安置した。

 よ、よし、これで見られない。

 これが見られたらマジで終わる。

 遠くから見て、違和感がないことを確認すると再び私は扉を開いた。

 

「い、いいよ。入って……」

 

 本当はめちゃくちゃ嫌だけど、私はエイラを部屋に招いた。

 エイラは本当に嬉しそうな顔で、部屋に入ってくる。

 そして、なぜか思いっきり息を吸い込んだ。

 

「ふふっ、ミラさんの匂いがします」

 

 エイラはそう言って私にニコッと笑いかける。

 その笑顔に私はただ苦笑いをするしかなかった。

 早く要件を言って欲しい。できれば早く帰って欲しい!

 

「あ、あの……それで何か用があるの?」

 

「いえ、特に用はないんです。ミラさんと話したくなっちゃって」

 

 私の問いをエイラは適当にあしらう。

 え??? 特に用はない??

 なんで来た??

 私はただひたすら困惑しながら、エイラの動向を注意深く見張った。

 

「そう言えば、私の住んでるところ教えたっけ?」

 

 私はふと思い出し、エイラにそう尋ねる。

 

「いえ、教会の人に聞いたら教えてくれました」

 

 いやいやいや、教会の人何してるの? プライバシーはどこ行ったんだよ。

 私は正体不明の教会の人にキレそうになる。

 というかエイラもエイラだ。私の住んでる場所なんて聞いちゃダメでしょ……。

 

「一緒に座りませんか?」

 

 すると、エイラは当然かのごとくベッドに腰を下ろし、隣をポンポンと叩いた。

 教会でわたしがやった事の逆をされていた。

 私がエイラに主導権を渡していた。

 

 そのことを自覚しながらも、私はエイラの隣に腰を下ろす。

 

「ふふ、なんだかドキドキしますね」

 

 エイラは柔らかい笑みを私に向けてくる。

 その表情に少し心臓が跳ねる。

 私もドキドキしていた。

 それは言うまでもなく、あの紙がバレないかの心配のせいだった。

 

「ミラさんは……その、ネルさんとどういう関係なんですか?」

 

 少しの沈黙の後、エイラがそう口を開いた。

 ネルとの関係……?

 私は質問の意味がよく理解できなかった。

 

「え? 関係……? そりゃ普通のパーティーメンバーだけど」

 

 私がそう言うと、エイラは無言のまま少し黙ってしまった。

 

「……そ、その、恋人同士ではないんですよね?」

 

 そして、エイラは再び口を開いた。

 その声音はどこか震えていて、ギュッと拳を握る音が聞こえてきた。

 何かを恐れるようにエイラは私の答えを待っていた。

 

「こ、恋人……? 女同士で?? どういう意味?」

 

 私はまたしてもエイラの言葉を理解できなかった。

 

「では……ネルさんと恋人ではないんですか?」

 

「そ、そりゃそうでしょ……」

 

 私がそう答えると、エイラはなぜか俯いたまま黙ってしまう。

 そして数秒後、意を決したようにベッドから立ち上がった。

 

「じゃあ、私にもチャンスありますよね……?」

 

 エイラは頬を赤く染め、私にそう言い放った。

 ち、チャンス……??? 何の??

 

「初めてなんです。こんなに胸が熱くなるの……ミラさんのことを考えてるとドキドキして……」

 

 私が返事を返せずにいると、エイラは私の手を手に取った。

 熱のこもった瞳で私のことをじっと見つめてくる。

 エイラはフニフニと感触を確かめるように力を入れる。

 よく耳を澄ますと、少し離れたエイラの心臓の鼓動が聞こえてくる。

 

「あっ……そ、それだけ確認したかっただけです……」

 

 エイラはハッと我に返ると、私の手を離した。

 そして「また明日」と小さく言い残し、私の部屋からいなくなってしまった。

 

「…………え?」

 

 私は一人部屋に取り残され、さっきのはなんだったんだと困惑する。

 え? なんだったの?

 あれが私の幻覚だったらどれだけ簡単に説明がついたことだろう。

 

 未だに脳裏に焼き付くエイラの表情を思い返し、また私は困惑するしかなかった。

 

「恋人って……どういう意味?」

 

 私は部屋に一人、小さくそう呟いた。

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