味方を自爆特攻させる気満々のクズ女 VS 激重ヤンデレ女   作:人間として終わってる人

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16話 新メンバーって喜べない

 あまりに濃厚で意味不明な日から一晩。

 朝まで紙切れと対面し、何とか言葉にして情報を書き込んだ。

 まぁ書き込めたのは『私のことが好き』くらいだった。

 

 まぁ嫌われるよりマシだし、心酔度は間違いなく上がっている。

 前向きに捉えるなら、全て順調に進んでいた。

 ただ、私がそれを制御できないだけ……。

 

 いや普通に困るんだけどね……。

 私は眠い瞼を擦り、宿を後にする。

 今日もパーティー活動がある。

 ネルとエイラにどんな顔をして会えばいいか分からないけど、とにかくやるしかなかった。

 

 

「あれ?」

 

 一足先にギルドに向かうと、見覚えのある後ろ姿があった。

 私の好きなタイプの髪型をしているミリナがいた。

 懐かしい後ろ姿に落ち込んでいた気分が再び浮上するような感覚になる。

 

「ミリナ。早いね」

 

 私はミリナに後ろから話しかける。

 すると、少し飛び跳ねたミリナは私の方を振り向いた。

 いつものようにミリナは大きな溜息を吐くことはなかった。

 

「…………」

 

 ミリナはただ無言で私のことをじっと見つめてくる。

 私はミリナの行動に少し不安になってしまう。

 まさか、ミリナもあの二人みたいに想定範囲外の行動をするんじゃ。

 昨日の出来事が頭を過ぎる。

 

「笑顔、取り繕えてないわよ」

 

 ミリナは私の顔を指さし、そう言った。

 その言葉に私はハッとする。

 あれ? 笑顔で話しかけたつもりだったのに。

 私は少し動揺しつつも、いつも通りの笑顔を装った。

 

「ごめん。気づかなかった」

 

 私が謝るとミリナはバツが悪そうに俯いた。

 

「私の時は完璧だったのにね。さっそくボロ出まくりじゃない」

 

 ミリナは俯いたままそう言い放つ。

 あまりに心当たりがありすぎる発言に、取り繕った笑顔が消えそうになる。

 最近の私は少し変だ。

 いつも完璧だったのに、あの二人のせいで振り回される側になってしまう。

 

「ねぇ、あんたはまだ人を騙してまで生き残りたいと思ってるの?」

 

 ミリナは顔を上げ、私の目を真っ直ぐ見つめる。

 その瞳は微かに揺れていて、ミリナの感情が揺れているのが分かった。

 やっぱりミリナの感情は分かりやすかった。

 ミリナは私が良い人になることを期待しているのだろう。

 でも、それは違う。

 

「うん。死にたくないからね」

 

 私は諦めたみたいな苦笑をミリナに向ける。

 すると、ミリナは私の方へグッと近づいてくる。

 昨日のこともあって、ビクッと私の体が反応する。

 

「まぁいいわ。私、あんたのパーティーに入るから」

 

 すると、ミリナは私に向かってそう言い放った。

 

「え?」

 

 唐突に舞い降りてきた願ってもない最高の言葉。

 剣の勇者が私のパーティーにもう一度加入する。

 それは私にとってあまりに都合の良いことだった。

 そんなに都合の良いことをして、ミリナは何がしたいんだろう。

 私を喜ばせて、何になるの?

 どうしても、喜びより疑問の方が勝ってしまう。

 

「そ、それは大歓迎なんだけど……なんで?」

 

 私はミリナの真意を確かめるべく、疑問をぶつけた。

 

「あの二人が私みたいに裏切られるのを黙って見てられないわ。だから入る」

 

 ミリナは真実のような建前のような、そんな当たり障りのない返事を返した。

 それなら最初から私のパーティーに入ってればいいし、やっぱりミリナの返答には違和感があった。

 もっと私の想像から外れた場所に答えはある気がした。

 

「……ってのは建前。昨日の誰にでも分かる猿芝居を見て気づいたの。最近のあんたは少し変よ」

 

 ミリナは悪魔のような悪戯な笑みを浮かべ、私の手を取った。

 あの時、私がミリナにしたみたいに貼り付けたような笑顔を浮かべ、ミリナは私との距離を詰めてくる。

 

「あなたのこと、もっと知りたいわ」

 

 ミリナは笑みを浮かべたまま、私の頬を優しく触れる。

 まるで鏡を見ているようだった。

 私がやるような行動を、そのままミリナは私にして見せた。

 ただそれだけの事で、私は酷く動揺してしまう。

 顔には出さないけど、私の心臓がバクバクと鳴っているのが分かった。

 

 ミリナは私の頬をゆっくりと撫で下ろし、ゆっくりと顔を近づけてくる。

 口角の上がったミリナの綺麗な顔が近づいてきて、心臓がうるさく鳴り続ける。

 そのうち、私は耐えられなくなってミリナから距離を取る。

 

 唯一の癒しだと思っていたミリナ。

 そんなミリナですら私の想定外の行動を取り始めた。

 ミリナもあの二人のようになってしまうの?

 音を立てて私の計画が崩れていくのを感じる。

 

「ミラ……? 大丈夫? さ、流石に言い過ぎた……?」

 

 すると、いつの間にか笑みを浮かべていたミリナすら心配そうな顔をしていた。

 顔に手を当てると、まるで恐怖に怯えるように表情筋がピクピクと震えていた。

 私が攻めないといけないのに、私が攻められている。

 その状況に少しだけ興奮してる自分がいた。

 

「と、とにかくミリナが入ってくれるのはありがたい。昼から活動するから来てね」

 

 私はそれだけ言い残し、ギルドから逃げるように立ち去った。

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