味方を自爆特攻させる気満々のクズ女 VS 激重ヤンデレ女   作:人間として終わってる人

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17話 いつものパーティー活動がなんか変

 部屋に戻って、再び机に向かった。

 しかし、どうしても紙切れに何かを書き込む気は起きなかった。

 私は椅子にもたれかかり、ボーッと天井を眺める。

 

 私の計画に狂いはない。すごく順調で上手くいってるはずだった。

 でも、私の心には微かに狂いがあった。

 私は生き残るためなら何だってする。

 仲間を見捨てるなんて当たり前にできる。

 そう思っていた。

 

 でも、その時のことを想像するとどうしても胸が苦しくなる。

 せっかく育ててきた爆弾が消える。

 いや、そのために頑張ってきたのに変な話だけど。

 それでも、私はどうしようもない矛盾を感じていた。

 

「ちゃんと……見捨てられるかな……」

 

 前回は失敗した。

 見捨てれば良かったのに、見捨てられなかった。

 あの時みたいなことは、もう許されない。

 

 私は覚悟を決め、立ち上がった。

 ただ自分だけが生き残るために、頑張ると決めたから。

 

 

 

 *

 

 

 

 少し遅れてギルドに到着した。

 ギルドには三人の姿があった。

 三人は笑顔を浮かべていながらも、無言で睨み合うような形で立っていた。

 

「ごめん。遅れちゃった」

 

 私がそう言うと、パッと私の傍に移動するネル。

 ネルは無言のまま私の右腕に絡みつく。

 その様子を見てエイラは眉を微かに顰める。

 

「遅いですよ。結構待ちました」

 

 エイラはそう言うと、無表情のまま私の左手を握る。

 その瞬間、ネルの方から強い殺気を感じた。

 言うまでもなく、エイラに向けられた殺気だった。

 しかし、エイラは前までのように私から離れることはなく、ギュッと私の手を握り締めていた。

 

「はぁ……そんなにくっついてたらパーティー活動になんないでしょ」

 

 ミリナはそんな様子を呆れるように見つめていた。

 ハッとしたような表情で二人は私から手を離した。

 少し気まずくて、私はゴホンとわざと咳をしてみる。

 

「話してたから分かると思うけど、ミリナは新メンバーだから。二人とも仲良くしてね?」

 

 私はミリナの加入を簡潔に二人に伝えた。

 まぁなんか三人で少し話してたから知ってると思うけどね。

 予想通り、二人の表情は少し曇ったものの、大きな反応は無かった。

 ネルあたりが怒ると思っていたが、そうはならなかったことに安心する。

 

「その……ミリナさんはミラさんの元カノなんですか?」

 

 すると、私から少し離れたエイラがそんなことを言い出す。

 その言葉に私ではなく、ミリナの方が顔を真っ赤にして反応した。

 

「ち、違うわよ! こんな奴と誰が……っ!」

 

 ミリナは怒りにわなわなと震えながら反論した。

 その言葉に両脇の二人がパァっと表情を明るくさせるのが見えた。

 安心してるような喜んでいるような……。

 私が来るまで三人は一体何を話してたんだろう。

 

「と、とりあえずクエストに行こっか」

 

 私は複雑になってきた状況をリセットすべく、そう切り出した。

 

 

 

 *

 

 

 深い森を四人で歩く。

 私はわざと一番後ろから三人を追いかけるような位置を取った。

 これなら三人のことがよく見えるし、色々制御しやすい気がする。

 

 今回のクエストは普通に簡単だし、すぐ終わるだろう。

 それなら有効活用させて行きたいんだけど……。

 もう計画の八割は完璧に成功させている気がする。

 そのせいで、私は目的を見失っていた。

 

「はぁ……」

 

 誰かを自分に心酔させるのは得意だ。

 しかし、そこからはどうしても苦手だった。

 だいたい私の知らない動きをし始めるし、理解が及ばない範囲が確かにあった。

 

 そんなことに思考が侵食され、やがて足元がふらついてしまう。

 

「やばっ……」

 

 謎の段差に足が取られ、私はそのまま地面に顔ごと突っ込みそうになる。

 その瞬間、偶然私の方を見ていたエイラがなぜか飛び込んで来た。

 ドサッと音が鳴り、柔らかい感触に全身が包まれる。

 

「ふふ、ミラさん。大丈夫ですか?」

 

 私の眼前に迫るエイラの膨らみ。

 エイラの柔らかい感触のせいで心臓の鼓動が早くなる。

 

「ご、ごめん……」

 

 私はエイラのことを直視できないまま、小さくそう謝った。

 そして、すぐさま体勢を立て直し、エイラの上から離れようとする。

 

「私、ミラさんのこと守れましたよ」

 

 しかし、エイラは私の腰にまで手を伸ばし、がっちりとホールドしたまま耳元でそう囁いた。

 何度起き上がろうとしても、想像以上に強いエイラの抱擁に拒まれる。

 

「え、エイラ? 私、立ちたいんだけど……」

 

 私はエイラの目を見つめて、そう懇願する。

 すると、私は自分の力ではなく、後ろからの力で強制的に立ち上がらされる。

 

「……早く離れてください」

 

 後ろから私を引っ張ったのはネルだった。

 ネルは酷く不機嫌そうな顔で、私のことを抱き抱えていた。

 あれ? ネルってこんなに力あったっけ。

 

 

 

 *

 

 

 

 結局、その後、私は三人の後ろを着いてくるつもりが一番前にいた。

 ネルとエイラが私の両脇を陣取るせいで、そうならざるをえなかった。

 ミリナはミリナで、その様子を愉快そうに眺めているだけだった。

 

「来るわよ」

 

 私達はなんとか魔獣の生息地にまで辿り着き、戦闘を開始した。

 緊急クエストは比較にならないほど小さな魔獣の群れ。

 戦闘が始まると、私はようやく後ろを陣取ることができた。

 

 ミリナが魔獣を切り裂き、それを援護するネル。

 そして、ずっと私と手を繋いでいるエイラ。

 完璧な布陣(?)だった。

 

 ネルの圧倒的な火力、ミリナの安定した立ち回り。

 魔獣の群れは二人の前では無力すぎた。

 数分も経たないうちに、魔獣の群れは消滅してしまった。

 

 なんだったんだろう。ここまでの移動時間。

 そう思えるほどに呆気なく戦闘は終了した。

 

「ミラさん……私、たくさん魔獣を倒しました」

 

 戦闘が終わると、真っ先にネルが私の方へ走ってきた。

 そして、上目遣いで何かを欲しがるようにそう言った。

 私は即座にネルが欲しいものを理解した。

 

「よく頑張ったね」

 

 私はネルの頭を撫で撫でして、適当な労いの言葉をかけた。

 ネルは目を細めて猫みたいに気持ちよさそうな表情をする。

 

「……私もミラさんの隣で頑張りましたけど」

 

 すると、ずっと隣にいたエイラが不満そうに私達を見つめる。

 え? い、いや、隣にいただけじゃ……。

 そんな疑問が浮び上がる前に、エイラはネルに並んで頭を下げた。

 そして、上目遣いで私のことを見つめる。

 

 私は空いている左手でエイラの金髪を撫でた。

 この状況に私は満足気に頷いた。

 うんうん、これこれ。やっぱり私が与える側じゃないと……。

 

「飼い猫みたいね。馬鹿らしくなるわ」

 

 すると、そんな様子を遠目で眺めるミリナ。

 

「ミリナもやって欲しいの?」

 

「そんなわけないでしょ……」

 

 私がそう言うと、ミリナは私から目を逸らしそう呟いた。

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