味方を自爆特攻させる気満々のクズ女 VS 激重ヤンデレ女   作:人間として終わってる人

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29話 緊急

 目の前に広がる満天の星空を忘れられなかった。

 

 私はその空を見て、あの日を思い出した。

 初めてミラさんが私を追いかけてくれた日。

 

 私はエイラさんが加入して、そのことに嫉妬してた。

 そしたらミラさんが私が一番大切って言ってくれて。

 それが何より嬉しかった。

 

 隣で空を見上げるミラさんはどんな景色を見てるんだろう。

 

 

「ミラさん……これ」

 

 真夜中、私とミラさんはいつものベッドで二人っきり。

 ミラさんが眠らないように私は声をかけた。

 

 すると、ミラさんは私の方を振り向いてくれた。

 今のミラさんは記憶がなくて、きっと分からないと思う。

 でも、これを渡したかった。

 

 私はミラさんの首に付けられた首輪を外した。

 

「これは……首輪?」

 

「はい。ミラさんがくれて……私がミラさんにはめたんです」

 

 私がそう言うと、ミラさんは怪訝そうな顔をした。

 

「え? 私、首輪をネルにあげたの?」

 

「え? は、はい。そうですよ」

 

 私がそう答えると、ミラさんは顔を押えて小さく唸っていた。

 何を考えているのか分からないけど……。

 

「これは私が付けておきますね。私、いつか死ぬので寂しくないように」

 

 私がそう言うと、ミラさんは驚いたように目を丸くした。

 

「死ぬって……?」

 

「ふふ、ミラさんとの約束です」

 

 私は頬を緩ませながらそう答えた。

 ミラさんはただ無言のまま私を見つめていた。

 その瞳は微かに揺れていて、罪悪感を感じているようだった。

 

「でも、ミラさんは死ぬまでは……ずっと一緒にいるって言ってくれました」

 

 私は不安そうな顔のミラさんの頭を撫でた。

 すると、ミラさんは何故だか苦しそうな表情をした。

 

「私は……死んで欲しくないよ」

 

 ミラさんはそう言って、私の手を払い除けた。

 

「ダメですよ……私との約束ですから……」

 

 私はミラさんの手を握り、動かないように握り締めた。

 すると、ミラさんはハッとして思い出したように私を見つめた。

 

「分かってる。だから、それまでは一緒にいるって言ったもんね」

 

 ミラさんはいつもの笑顔で、私の手を握り返してくれた。

 

「遅いですよ。思い出すの……」

 

 私はいつものミラさんが戻ってきて、嬉しくて少し泣きそうになった。

 

 

 

 

 *

 

 

 

 あれから数日が経った。

 

 ミラさんは記憶を取り戻して、いつも通りの日常に戻った。

 

 でも、私は……いつもと違う気がした。

 ミラさんを見ると、どうしても切ない気持ちになってしまう。

 

 どうしてだろう。

 

 

 目の前まで終わりが迫っている気がした。

 

 もうこの幸せな日々は終わる気がした。

 

 ミラさんの顔を見る度に、そのことが頭を過ぎる。

 

 

「ね、ねぇ……ミラの記憶喪失の期間の記憶はどうなってるのかしら……まさか覚えてないでしょうね?」

 

 いつもの日常。

 隣を歩くミリナさんは不安そうに私にそう話しかけてきた。

 

「え? い、いや、普通に覚えてるんじゃないですか?」

 

「え? そ、そうなの……? やっぱり、そうよね……」

 

 ミリナさんは私の隣で深く溜息を吐いた。

 

「あんなこと……するんじゃなかった……」

 

 ミリナさんは目に見えて落ち込んでいた。

 な、何があったんだろう……?

 まぁ聞かないことにしておこう。

 

「あ、そういえばミリナさん。緊急クエストってまだ来ないんですか?」

 

 私は少し気になって、ミリナさんにそんなことを聞いてみる。

 

「うーん、そうね……厄災はもう一つしか残ってないし、大量発生も暫く起こってないわね……」

 

 ミリナさんは頬に手を当てて考え込む。

 

 もう結構な時間、緊急クエストは起こっていなかった。

 どこか胸騒ぎがした。

 次の緊急クエストで、私は死ぬ気がした。

 だから、その日を知りたかった。

 

 その日になったら……もう覚悟は出来てるから。

 

 

 

 まぁそうは言っても、怖いものは怖い。

 できるだけ遅く、できるだけ長くミラさんと一緒にいたい。

 そう思って流れゆく時間に身を任せていた。

 

 

 

 しかし、次の日、緊急クエストが発生した。

 

 

「……もう……来ちゃった……」

 

 

 私は一人、誰にも聞こえないように路地裏でそう呟いた。

 

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