味方を自爆特攻させる気満々のクズ女 VS 激重ヤンデレ女   作:人間として終わってる人

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32話 見つけた?

 初めて会った日のこと。

 私はネルを爆弾としか見てなかった。

 

 その爆弾はめでたく今日爆発する。

 それだけの話だった。

 

 それで全部解決なのに。

 

 

 私は足を止めた。

 

 そして、ネルの元へ走った。

 

 無数の槍が降り注ぐ。

 その中を私は一心不乱に駆け抜けた。

 

 まだ魔法は発動してない。

 その前に伝えなきゃいけないことがあった。

 

 

 私の命よりも大切な人。

 

 誰よりも生きて欲しい人。

 

 

 

 

 *

 

 

 

 無数の槍が降り注ぐ中、私は防御魔法を展開した。

 槍が降り注ぐ前に自爆魔法は展開できなかった。

 

 でも、今なら発動させられる。

 

 

「ミラさん……」

 

 轟音の中、私は小さくそう呟いた。

 

 私を見つけてくれた人。

 命よりも大切な人。

 誰よりも生きていて欲しい人。

 

 その人を守れるなら、それで良かった。

 

 ここで死ねるなら、私は本望だった。

 

 

「ふふっ、ネル。来ちゃった」

 

 すると、背後から声が聞こえてくる。

 ミラさんが立ってた。

 頭が真っ白になる。

 肩で息をするミラさんを見て、困惑する。

 

「ど、どうして来たんですか!? 馬鹿なんですか!?」

 

 私はただ混乱して、とにかく怒鳴った。

 しかし、ミラさんは悪びれる様子もなく私の所へ近づいて来た。

 

「私も一緒に死ぬよ」

 

 ミラさんはそう言って、いつもみたいに私の手を取った。

 温かい体温が伝わり、涙腺が緩む。

 

「死ぬって……私だけでいいのに……」

 

 私は笑顔のままのミラさんを直視できなかった。

 俯いたまま、ただそう呟いた。

 

「私、やっと見つけたんだ……命より大切なもの」

 

 ミラさんはそう言って、私の頬を撫でた。

 

 私も同じだった。

 やっと見つけた命より大切なもの。

 

 私が顔を上げると、ミラさんは優しく微笑んだ。

 

「一緒に行こ。私もついて行くから」

 

「…………」

 

 その言葉に胸が苦しくなる。

 どうしようもなく辛くて苦しくて。

 そして、嬉しかった。

 

 周りの轟音をかき消すように、私たちの周りに光が灯る。

 

「ミラさんは嘘つきです……」

 

「うん……ごめん」

 

 そんな嘘つきなミラさんが、どうしようもなく好きだった。

 謝るミラさんを見て、不意に笑みが零れる。

 綺麗な星空の下、私とミラさんは手を繋いで見つめ合った。

 

「好きだよ。ネル」

 

「私も好きです。ミラさん……」

 

 お互いの顔を見合って、少し笑ってしまう。

 体がボロボロで顔もグチャグチャで、それでも幸せだった。

 この人と死ねるのなら、どれだけ幸せな結末だろう。

 

 私は自爆魔法を発動させた。

 

 

 光が視界を埋めつくす。

 それでもミラさんの顔は最後まで見えた。

 好きな人の顔がずっと脳に焼き付いた。

 

 温かい体温の中、私は意識を失った。

 

 最後に見たのは、命より大切な人の笑顔。

 

 あまりに幸せな自爆だった。

 

 でも心残りはあった。

 できるなら、もうちょっとだけ一緒にいたかったな……。

 

 

 最後に夢を見た。

 

 

 あの日のこと。

 ミラさんに最初に会った日のこと。

 

 落ちこぼれだった私を見つけてくれた人のことを。

 

 初めて魔法を敵に撃てた日のこと。

 それを褒めてくれたミラさんのこと。

 

 嫉妬してキツく当たっても受け止めてくれたミラさんのことも。

 

 私を庇って腕を失ったミラさんのことも。

 

 

 全部が私の大切な記憶だった。

 

 

 

 *

 

 

 

 

 ゲートの中を光が包み込んだ。

 

 光は遥か空の星に届き、星空を包み込んだ。

 

 やがて星々は消滅し、厄災が消えていく。

 

 

 魔法使いネルの自爆により、最後の厄災は討伐された。

 

 

 王都は歓喜の声に埋め尽くされた。

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