味方を自爆特攻させる気満々のクズ女 VS 激重ヤンデレ女 作:人間として終わってる人
ミラが旅に出て、一年が経過した。
最初の3ヶ月で、王都周辺の魔獣の八割が姿を消した。
あまりに唐突な出来事に、市民たちは全員困惑していた。
悪いことの予兆ではないかと勘ぐる人もいた。
でも、私は知っている。
そして、半年が経ち、王国周辺の魔獣は完全に0になった。
突然すぎる平和の訪れに、市民たちは歓喜した。
王国は平和を迎え、空前の繁栄を成し遂げた。
そして、一年後、魔王が討伐された。
その速報に王国中が沸き立った。
魔獣を生み出す魔王が打ち倒された。
もう魔獣に脅かされる人々はいない。
もう理不尽に命を奪われることはない。
この世界は何者かによって救われた。
無印の勇者でもなく、教会の大司祭でもなく、正体不明の誰かによって。
「……………」
今までにないほど活気に包まれる王都を見つめる。
それと対照的に私の心にはポッカリと穴が空いたままだった。
魔王が倒されて、世界は救われた。
でも、あなたは?
ミラは救われた?
それとも、今も地獄でもがいている途中?
まだあの人は地獄にいるの?
そのことを考えると、胸が苦しくなる。
涙がこぼれて、死にたくなる。
私も一緒に付き合っていれば……。
あの地獄の苦しみを少しでも分かち合えたなら。
どれほど幸せだったか。
「───知ってるか? 最近、向こうの方でヤバいやつが噂になってるらしいぜ」
そんなことを考えていると、男の話す声が聞こえてきた。
「ああ、知ってる知ってる。ボロボロで浮浪者みたいな奴だろ? なんでも魔大陸から来たらしいぜ」
男は笑いながらそう言った。
その言葉に私は頭が真っ白になった。
ミラのことだ。
魔大陸から来る人間なんて、一人しか考えられない。
「………ッ!!」
胸がズキンと傷んだ。
ミラは生きてたんだ。
嬉しさと苦しさが混ざる。
まだ死んでないのなら、まだあの人は地獄にいるんだ。
*
365日目。
ここら辺はまだ魔獣が残ってる。
私は残った力で何とか生き残った。
もう意識が遠のいた状態が続いている。
歩くことを止めれば、すぐにでも死ねる。
でも、まだやるべきことが残っている。
456日目。
魔大陸を抜けると、そこら中に人が溢れ返っていた。
ここら辺に人は住んでいないはずだけど……。
魔王を倒したせいで生存域が広がったのだろう。
私の知っている言葉が聞こえてきて少し安心する。
でも、そこにあの人の姿は無い。
私はひたすら歩き続けた。
502日目。
知っている場所に辿り着いた。
高い城壁に囲まれた場所。
やっと、会える……。
そう思うと救われた気がした。
あまりに長い間、あの人のことを忘れていた。
でも、もうしっかり思い出せる。
ネルと過ごした日々のこと。
愛おしい時間のこと。
ネルの最期の笑顔も全部、私の大切な記憶。
だから、私に残った全部をあげたい。