「痛ってー、なんで紙で指切ると普通の怪我より痛みがあるんだろうな・・・・・・」
ファイリングするプリントを整理してたら指を切ってしまったので冬樹に話して保健室で絆創膏をもらってから同好会に合流することに。養護教諭は不在中だが保健室は解放されていたので勝手に絆創膏を探すことにした。とはいえ普段保健室に来ることがないからどこにあるかわからん。
「痛みは我慢するとしても出血は止めないとな・・・・・・」
「絆創膏なら棚の奥にあるよ〜」
「棚の奥・・・・・・あった。ありがとうござい・・・・・・ん?」
今どこから声がしたんだ?グルっと周りを見ても誰もいない。が、声の下方向には不自然にこんもりしたベッドがある。もしかしてと思いベッドに向かうとそこには女生徒が横になっていた。緑色のリボンをしているので3年生、先輩だ。
「あの、ありがとうございます」
「どういたしまして〜」
「それと体調悪いのに起こしちゃってすいません・・・・・・」
「大丈夫大丈夫、彼方ちゃんとっても元気だから〜」
元気なのに保健室で寝てる・・・・・・もしかしてサボり?それに彼方ってどこかで聞いた気が・・・・・・。
「あ〜、今彼方ちゃんがおサボりさんって思ったでしょ〜!」
「・・・・・・思ってません」
「本当か〜?」
「・・・・・・嘘です、思ってました」
「嘘をつく悪い子はこうだ〜」
そう言って俺の両頬を引っ張った。
「何するんれすか、離してくらふぁい」
「何してんのか聞きたいのはオレ達だ」
声の方を見るとみんながいた。確かに側から見たら何してんだろうな・・・・・・。
「えっと、それでこの人が同好会にいた近衛彼方さん?」
「はい、そうです」
とりあえず怪我の治療を終えてしずくに確認をとった。
「しずくちゃんかすみちゃん、久しぶり〜、元気してる?」
「はい、おかげさまで元気です。じゃなくて、今日は彼方さんをスクールアイドル同好会に連れ戻しにきたんです!」
「同好会、潰されちゃいそうなんです〜!お願いです!戻ってきてください!」
「潰される!?それは・・・・・・彼方ちゃん切ないな。阻止しないと。でも今戻るのは難しいなあ〜。戻りたい気持ちはあるんだけども」
「何か事情があるのか?」
「冬樹、この人先輩だぞ」
「いいよいいよ〜。それで、君たちは・・・・・・」
「そういえばまだ名前言ってなかったですね。2年の蒼井秋介です。それで隣にいるのが・・・・・・」
「白河冬樹だ。こっちは同じく2年の上原歩夢。あとここにはいないけど1年の天王寺璃奈と2年の宮下愛の6人が今のメンバーだ」
「よろしく〜」
「さっきかすみが言ったように同好会が解散の危機になってて。月末までに10人揃わないといけないんだ。だから戻ってきてほしい!」
「彼方ちゃんのいない間に、なんてことに・・・・・・。でも、彼方ちゃん今ホントに余裕ないんだよ〜。スクールアイドルは好きだよ?でも、今は無理、とってもピンチで忙しい〜」
「ピンチって何があったんですか?私たちで力になれることならなんでも言ってください・・・・・・!」
「成績が下がってしまったんだな、コレが・・・・・・。彼方ちゃん中間やばくってさ〜、期末ふんばらないとヤバイ。だからお勉強に打ち込んでるんだけど、それでも数学はピンチがすぎる。わけわかんない」
確かに数学は苦手な人からすればわけわかんないよな。一つわからないと次に進めないし。
「だったら璃奈と愛に教えて貰えばいいんじゃないか?あの二人理数系選択してるって聞いたぞ」
「おお〜、ないすあいでぃあ〜。それなら戻ろうっかな。さっそくだけど、今その二人は部室にいるのかなあ?」
「さぁ?「たぶんいると思いますぅ」
かすみが冬樹の言葉に被せる形で言ってるがこれは多分いないパターンだな・・・。
「じゃあ早速いこ〜!彼方ちゃん久々におめめがぱっちりしてきたよ〜!」
「・・・・・・って、部室にいないじゃーん!」
「やっぱり嘘だったか」
「かすみちゃんめ、嘘ついたな〜!」
そう言って彼方さんは俺にしたようにかすみの頬を引っ張った。
「あーん!だって、彼方先輩が心変わりしないうちに拉致って・・・」
おい・・・
「じゃなくて、囲って・・・・・・でもなくて、とにかく部室に来てほしかったんですもん〜!」
「だからって嘘はよくないよ」
「はい・・・ごめんなさい・・・・・・」
ガラッ
「こんにちはー、賑やかだね〜。あれ?いつの間にか人が増えてるね!」
「エマ先輩!?」
どうやら今入ってきた人がエマ・ヴェルデさんみたいだ。
「エマさん、もしかして私たちが動いてるのを見て、戻ってきてくださったんですか!?」
「え?戻る?うん、さっきスイスから戻ったんだよ〜」
「「スイス?」」
冬樹も俺と同じことを思ったみたいだな。
「はい、これお土産。たくさんあるから人数増えても大丈夫だよ。なかよく食べてね」
「は・・・・・・はぁ・・・・・・?」
「はじめまして、わたしはエマ・ヴェルデ。これからよろしくね〜」
「えっと・・・・・・エマさんは同好会に戻ってきてくれたってことですよね?」
「え?だってここスクールアイドル同好会の部室でしょ?普通にくるけど・・・・・・?」
「あのあのっ!エマ先輩ここしばらくこなかったですよね!?同好会と距離置いてましたよね!?」
「ん?わたし、スイスに一時帰国してただけなんだけど・・・・・・手紙置いていったよ?」
手紙?一体どういうことだ?
「えっ、あれ・・・・・・あれもしかしてエマ先輩の置き手紙だったんですか・・・・・・!?」
「どういうこと?かすみちゃん?」
「・・・・・・これ、エマ先輩の手紙だったんだ・・・・・・。ライバルからの怪文書かと・・・・・・」
「おい、まさかと思うが・・・・・・」
「あーん!ごめんなさーい!かすみんの早とちりでした〜!」
どうやらかすみがエマさんの手紙をよく読まなかったせいで彼女の一時帰国を知らなかったようだ。
「まったく・・・・・・人騒がせな奴だ」
「でも、エマさんは戻ってきてくれたし、全然いいよ。結果オーライだよ」
結果オーライ、ね・・・・・・
「ちょっといい?」
「秋介、どうしたんだ?」
「なんかいい感じにみんな戻ってきました、よかったですってなってるけどさ・・・・・・しずくと彼方さん」
「はい?」 「なに〜?」
「かすみに無断欠席してたこと改めて謝った方がいいんじゃないか?今回の騒動が起きるまで誰も同好会に来なかった理由を知らなかったって、一人で部室を守ろうとしてたかすみがいくらなんでも可哀想でしょ」
「あのっ、かすみんは全然気にしてないので!」
「気にする気にしないの話じゃないんだよ。こういうのはなあなあにしない方がいい、ただそれだけ」
「確かに、勝手に休んでごめんなさいくらいはしたほうがいいかもな」
「そうですね・・・・・・かすみさん、勝手に休んじゃってごめんなさい・・・・・・」
「ごめんね・・・・・・」
「さっきも言った通り、二人が戻ってきてくれただけで十分ですから!」
「まぁかすみにはエマさんの手紙の件で説教だけどな」
「そんな〜!?」
「ならその間にオレたちは優木せつ菜の説得だな!みんなで探せば案外すぐ・・・・・・」
ガタッ!
「なんだろ?いまなにかドアにぶつかったよね?」
「入部希望者か!」
冬樹がいち早く反応し勢いよくドアを開けた。
「ありゃ、誰もいねぇな・・・・・・ん?」
「どうかした?」
「・・・・・・いや、なんでもねぇ」
秋介は意外と真面目なのです。そしてやっとだ・・・・・・やっと次であの人が!