スクールアイドル同好会の部員も8人になり、解散を阻止する条件達成まであと少しとなった。一人は優木せつ菜を連れ戻すとしてもあと一人は新しく勧誘しなければならない。
「そういえば優木せつ菜について詳しく知らないな・・・・・・」
確かに、最初にかすみとしずくから少し聞いただけで性格とか全然聞いてなかったな。
「どんな人だったんですか?」
「んー、どんな人、かぁ。一言で言うのは難しく、語るには・・・・・・」
「語るには?」
「彼方ちゃんが眠りに誘われる」
「えぇ・・・・・・」
保健室での一件から薄々感じてはいたが彼方さんは非常にのんびりやというか寝るのが好きな人のようだ。そこが彼女の個性なのだろうが今はそんなこと言ってられる状況じゃないいんだけどな・・・・・・。
「彼方ちゃんが眠くならない程度にお話しするね」
「以前少しお話ししたことと被りますが、せつ菜さんは、この同好会を引っ張って行く存在でした」
「可愛い顔してダンプカーみたいな」
「可愛いダンプカー・・・・・・なんか勢いがありそうな感じだな」
「それでも女の子にダンプカーって表現はいいの?」
「だってそれ以外にいい言葉がないですもん!」
「一番やる気があったし、もともと個人でスクールアイドル活動もしていたから、結構有名だったの」
「個人で活動、ね」
スクールアイドルって個人でもできるのか・・・・・・
「私も聞いたことはありました。そんな有名人が!?って、同好会に入った時は驚きましたよ〜」
「かすみちゃん、スクールアイドルのこといっぱい勉強してるんだね!」
「さすがだな!」
「将来のライバルになりそうな芽は早めに摘んでおかないと・・・・・・じゃなくて、いっぱい吸収させてほしいなと思って☆」
「そんなに有名な人なのに噂にならないよな?」
「そうなんです」
「虹ヶ咲にいるのは確かなんだけど、同好会以外では一度も見たことがないの」
「一度も・・・・・・(じゃあなんで生徒会長は優木せつ菜の事情を知ってるんだ?)」
「冬樹くん?どうかしたの?」
「いや、何でもない。続けてくれ」
「昔はスクールアイドルのライブに行けば、必ず会えたんですけど、最近はそれにも出ていないみたいなんですよねぇ」
「もしかして・・・・・・スクールアイドルをやめちゃったのかな・・・・・・」
「それはない。せつ菜ちゃんは心の底からスクールアイドルが好きだったから、やめるってことは考えられないよ〜。大好きって気持ちを世界中に広めたいっていう熱意に燃えてた。だから隠れてるとしか思えないんだよね〜」
「隠れる・・・・・・変装・・・・・・そういうことか」
「せつ菜さんは本当にすごかったですからね。歌もダンスも・・・・・・スタイルだって良かったし」
「ぬぬっ!?スタイルといえば!同好会に入れたい子が一人いたのを思い出した!せつ菜ちゃんを探す前に勧誘しよう!」
「どんな方ですか?」
「なんでも・・・・・・毒藻?らしい」
「読者モデルのことだね」
「連絡してみる〜」
「秋介、ちょっといいか?」
彼方さんが読モの人に連絡しているのを待っていると冬樹に声をかけられた。さっき何か考え事してたようだし関係があるのだろう。一応他のみんなに聞こえない場所まで移動し話を聞くことにするか。
「優木せつ菜の正体がわかった。オレはせつ菜に会いに行くから適当に誤魔化しといてくれ」
「みんなにも教えてあげればいいじゃん」
「いや、少し二人で話したいことがあるからな」
「・・・・・・わかった」
「サンキュー、それじゃ、行ってくる」
優木せつ菜に会いに行った冬樹を見送りみんなの元に戻る。
「あれ?冬樹くんは?」
歩夢は冬樹がいないことにすぐ気付いたみたいだ。いや、部室から出て行ったんだから普通気付くか。
「少し用事があるらしい。勧誘は任せた、だって」
うん、嘘はついてないし問題ないだろう。
「彼方さん、読モの人とは連絡ついたんですか?」
「うん、今から会いに行くよ〜」
「あれ?この前の・・・・・・」
「あら、久しぶりね」
彼方さんを先頭に、目的地に着いた先にいたのは迷子の人だった。
「秋介くんの知り合い?」
「知り合いってほどでもないけど、ちょっとね・・・・・・」
流石に迷子になってたからなんて説明するのはこの人に失礼だし、言わないでおこう。
「それで、えっと・・・・・・」
「そういえば自己紹介がまだだったわね。朝香果林よ」
「蒼井秋介です。朝香さん、スクールアイドルやってみませんか?」
「そうね・・・・・・今までいろんなお誘いをもらったけど、スクールアイドルっていうのは初めてよ。でも・・・・・・私にできるかしら?」
「朝香さん美人だし、スタイルもいいから人気になると思いますよ」
「そ、そうかしら・・・・・・?」
「秋介くんが口説いてる〜」
「そんなわけないでしょ・・・・・・俺は客観的事実を言ってるだけですよ。そもそもこのタイミングで口説くバカだと思われてることに驚きです」
彼方さんに反論しているとかすみが胸の辺りに手を置いて悔しそうな顔をしている。何を考えているかわかりやすいな。
「・・・・・・かすみちゃん、安心して胸を撫で下ろしてるの?」
「・・・・・・時々考えるだけです。神様って不公平だな、とか」
「スクールアイドルに興味はあるけど・・・・・・でも、私でいいの?私、フリフリの衣装とかは似合わないわよ?体のラインが出るような衣装とか、露出が高い衣装なら自信あるけどね」
「ろ、ろしゅつ、ですか」
「そう、例えば・・・・・・隣の子がチラチラ見ている胸元の黒子が目立つような・・・・・・ね?」
「みっ見てないです!!」
「それは見てる奴のセリフだよ・・・・・・それと、衣装はスクールアイドルの範囲内にしてくださいよ。過度な衣装は問題になるので」
「わかってるわよ。それと、スクールアイドルになるのにひとつ条件があるの。私は、私の目指すスクールアイドルになりたい、それでもいい?」
「普通そうじゃないんですか?」
「え?」
優木せつ菜の話を聞いてた時から考えていたこと・・・・・・
「かすみ」
「秋介先輩、何ですか?」
「優木せつ菜は元々ソロ活動してたんだよね?」
「はい・・・・・・それが何か・・・・・・」
「合わない歩調で無理にグループ活動する必要ってあるかなってね。例えば、朝香さんのスタイルを活かしたパフォーマンスとかすみのかわいいを意識したパフォーマンスの両立は難しいでしょ?」
「ちょっと!それ、どういう意味ですか!?」
「だったら思い切って全員がソロで活動すればいいと思うんだけど、どう?」
「彼方ちゃん、それに賛成〜」
「・・・・・・グループとしてまとまってなくてもいいってこと?」
「もちろん、一緒にやりたいことがあるなら一時的に組むのはアリだと思いますよ。でも基本は自分の個性を伸ばす方針で活動するんです・・・・・・朝香さん、今までにない刺激を与えるスクールアイドル、きっと面白くなりますよ」
「今までにない刺激・・・・・・ふふっ、面白そうね。そういうことなら入部させてもらおうかしら。それに・・・・・・」
意味あり気に笑みを浮かべた朝香さん。
「それに・・・・・・?」
「いえ、何でもないわ」
続く言葉は教えてもらえなかった。
「あとはせつ菜ちゃんだけだね!」
「そうだね、今の同好会なら戻ってきてくれるよ!」
優木せつ菜の復帰は冬樹にかかっている、大丈夫だとは思うが心配だな。
「蒼井秋介・・・・・・君にも興味があるしね♪」
次回は冬樹目線で書く・・・・・・かも