「それで、この同好会の活動方針って決まってるの?」
「そりゃあライブだろ。とはいえ体力づくりとか、パフォーマンスを考えたりがメインだろうけど」
「いや、それはもちろんわかってるけど・・・・・・どんなライブをするかは本人が決めることとして、ただライブをするのが目的なのか、何かのイベントでいい成績を取るのが目的かで取り組み方に違いが出るはずだし、同好会として何かを目指すとかないの?」
特に、新しく同好会に入ったメンバーはどんなスクールアイドルになりたいか想像しにくいだろう。とりあえずの目標でも何かあったほうがいいだろう。
「それもそうか・・・・・・歩夢は何かあるか?」
「どうって言われても・・・・・・私もスクールアイドルのことそんなに知ってるわけじゃないし・・・・・・」
「それじゃあせつ菜は?」
「私個人としてはありますが同好会としてとなると・・・・・・」
「あの、ここは秋介先輩たちに決めてもらうっていうのはどうでしょう?」
しずくがそう提案をした。
「それいいかも・・・・・・」
「愛さんもいいと思う!」
「俺はパス、冬樹に任せる」
「本当にオレが決めてもいいのか?」
「ここにいるメンバーを集めて、もう一度同好会を作ってくれたあなたに決めてもらいたいんです!」
せつ菜が冬樹に力強く言った。
「・・・・・・わかった、そこまで言われて断るのはカッコ悪りぃよな」
「そうよ」
しばらく考える素振り見せている冬樹をみんなが見守るように待っている。
「よし、決めた!」
「それじゃあ冬樹、同好会は何を目指して活動していくのか教えてくれ」
「あぁ!スクールアイドルフェスティバルに出る!」
「「「「「「「「えぇー!?」」」」」」」」」
スクールアイドルフェスティバル?祭りって言うからには大きなイベントなのは間違いないだろうが知識がないからさっぱりわからん。スクールアイドルについて勉強しないとな・・・・・・
「μ'sとAqoursのステージを見た時、スクールアイドルってすげぇって思ったんだ。だからそのステージにみんなが立つところを見てみたい!」
「私たちにも行けるかな?」
「目標は大きく」
「璃奈ちゃんの言う通り、壁が高いほうが乗り越えがいがあるってものよ」
「うう・・・・・・冬樹くんが言うなら、頑張るよ!」
「彼方ちゃん、寝てる場合じゃないな?」
「うわー!なんか燃えてきたぞー!」
「夢の舞台・・・・・・!」
「全国のスクールアイドルが集まる一大イベント・・・・・・!」
「μ'sやAqoursもってことだよね!同じステージに立てるなんて、すごい目標・・・・・・!」
誰が言うわけでもなく円になり手を重ね合わせる。
「ほら、二人も一緒に!」
冬樹と目を合わせ円に加わった。
「・・・・・・・・・・・・誰が音頭をとるの?」
「そういえば部長を決めてなかったな。前の同好会だと誰が部長だったんだ?」
「一応私がやってたんですけど・・・・・・冬樹さんと秋介さんの二人にやってもらいたいです!」
せつ菜の意見に誰も異を唱えないってことはみんな同じ意見ってことか・・・・・・こういうのは柄じゃないんだけどな。
「よし!秋介、一緒にいくぞ」
「はいはい」
「「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会・・・・・・」」
「頑張っていこう!」 「スクフェスに向け・・・・・・」
「「「「おー!」」」」
「ちょっと、バラバラじゃない」
そんな予感はしてた・・・・・・だって何も打ち合わせとかしてないもん。
「これじゃあ全然締まらないですよー!やり直しです!」
「あははっ!」
「次は冬樹一人でやってくれ。お前のを途中で止めたしな」
「ったく、それじゃあ気を取り直して・・・・・・虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、スクフェスに向けて頑張るぞ!」
「「「「「「「「「「おー!」」」」」」」」」」
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同好会の活動が始まり、みんなは体力づくりとしてランニングに行っている。みんなが帰ってきた時のためにタオルとスポーツドリンクを準備しているのだが、9人分となると思ったより大変だ。世の運動部のマネージャーは何人分も用意しているってすごいことしてるんだなぁ。
「・・・・・・っていうか冬樹、お前は何やってんだよ」
俺が一人で準備している間、ずっとパソコンの画面を見つめている。
「スクフェスまでに誰でも出れるイベントがないか探してる」
「イベント?」
「せっかくなら、少しでも多くの人に知ってもらいたいからな。みんなのデビューライブにいいのがあるといいんだが・・・・・・あった、これなんていいんじゃないか?」
冬樹が提案したのは一ヶ月後に行われるイベントだ。グループだけでなく、デュオやソロで部門が分かれており、同好会にはもってこいのものだった。
「確かにこれなら丁度いいかもな。同好会として何か目標でも立てるの?」
「それは・・・・・・」
「というわけで、一ヶ月後のイベントに出てもらおうと思ってる」
早速、ランニングから帰ってきたみんなにクールダウンをしてもらいながら話を始める。
「今回の目標は、入賞ってとこかな。スクフェスの為にもね」
「スクフェスの為?」
「エントリーすれば誰でも出場できるんじゃなかったっけ?」
「はい、だからスクールアイドルの文化祭って言われてるんですし」
「成績を残さないといけない理由があるのかしら?」
「確かに、ただ出場するだけならそれでいいんだがメインステージに立つには資格が必要らしくてな。どうせやるなら一番を目指そうぜ!」
「ミュ、μ's?と
「
「「「「「「「「「おーー!」」」」」」」」」
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「6時になったし、今日の活動は終了だ。お疲れ!」
「「「「「「「「「お疲れ様でしたー!」」」」」」」」」
「ふぁー、今日も彼方ちゃん頑張った〜」
「陽が長くなったとはいえこの時間は冷えるんですぐ寝ないでくださいよ。ほら、タオルで汗拭いてください」
レッスン中の彼方さんは普段のイメージとは打って変わって真剣な眼差しをしていることも多い。そのせいか、部活終わりにはいつも以上にフワフワになっている。
「ねぇ、ちょっといい?」
彼方さんの相手をしているところに果林さんから話しかけられた。同好会に入った時に他人行儀みたいで嫌だと言われ、同好会メンバーは名前で呼ぶことになった。
「どうしたんですか?」
「衣装のことなの・・・・・・。ダンスをしてもスカートが落ちないようにしたいんだけど、いいアイディアないかしら?」
「俺にそれを聞きますか?一応調べておきますけど・・・・・・」
正直俺はファッションのことはさっぱりわからん。休日に着てる服もとりあえずサイズの合うTシャツにジーパンのワンパターンだ。
「ありがとう。・・・・・・ところで、居残り練習ってありなの?」
「冬樹が許可もらって8時まで残れるようにしたって言ってましたね。その本人は居残りの時間で事務作業してるからいないですけど」
「ふーん、そうなんだ。今日は私もやっていこうかしら。そろそろダンスの完成度あげていきたいし。けど、頑張るわね、せつ菜とかすみちゃん」
「あのふたりは最近、毎日のように残ってますよ。もともと、スクールアイドルに対する熱は周りより高かったですし」
「かすみちゃんが居残りするのはわかるけど、せつ菜が居残りってのは正直意外」
「そうですか?むしろイメージ通りな気がしますけど」
「だって、彼女私たちの中で一番うまいじゃない。なのに、なんで・・・・・・?」
「・・・・・・どこで聞いたかは忘れたんですけど、現状維持って退化と同じだって・・・・・・そんなに気になるなら本人に聞くのが早いと思いますよ」
「・・・・・・そうね、聞いてくるわ」
そう言ってせつ菜の元に向かったのを見送る。
「・・・・・・・・・・・・スヤ〜」
「寝ないでって言ったのに・・・・・・」
「せつ菜ー!ちょっといい?」
「ん?果林さん、なんですか?」
秋介の助言のもと、果林はせつ菜に声をかける。
「あなたよく居残り練習しているって聞いたんだけど、そうなの?」
「はい、イベントに向けて色々試したいことがあるので、ここのところは毎日、いくら時間があっても足りないですよ!」
「なぜか聞いてもいい?あなたのパフォーマンス、私からみたら完璧に見えるんだけど・・・・・・」
「あはっ、ぜんっぜん完璧じゃないですよ〜!まだまだ模索中なんです」
「それだけできててまだ模索中なの!?」
「はい、自分の中で着地点を決めちゃうと、やってる方も見てる方も飽きてきちゃうんじゃにかなって・・・・・・だから、ギリギリまで向き合っていたいんです。自分自身と、優木せつ菜というスクールアイドルと。それができれば、もっともっとレベルの高い、新しい優木せつ菜が生まれるんじゃないかって、そう思うんです」
時間ギリギリまで自分と向き合う、新しい自分への可能性。果林が思いもしなかった優木せつ菜の在り方。
「だから、部活動の時間だけじゃ足りないんですよね。それが私が居残りしてる理由です」
「・・・・・・そう。教えてくれてありがとう」
「あの、私からも果林さんに一つ聞いていいですか?」
「私に答えられることがあるのかしら」
「その、秋介さんにき、キスしたことですが・・・・・・」
秋介が同好会に入った日、秋介の頬にキスをした件のことだ。せつ菜はそのことを思い出し、顔を赤くしており、果林もそれにつられて少し赤くなった。
「あれにはどういった意味があるのかと・・・・・・」
「なんでかしらね?ただ、私を誘ったくせにスクールアイドルに興味ないなんて言われたら、私が上手く言いくるめられたみたいで納得いかないのよ」
「なるほど・・・・・・。でも、今後ああいうのはやめてください!」
「わかってるわよ」
「私は練習に戻ります!お疲れ様でした、果林さん!」
「え、ええ、お疲れ様・・・・・・」
無理やり話を終わらせ、自主練習に戻るせつ菜に呆然と返事をする果林だった。
「どうでした?」
「・・・・・・さすが、って感じ」
せつ菜の元から帰ってきた果林さんはどこか納得したような顔をしていた。
「あれがせつ菜の人気の理由になってるんですかね」
「そうね・・・・・・、でも、彼女暴走癖があるって言ってたでしょ?」
「そうならないように俺も時間まで残ってるんですよ」
「ねぇ、秋介にも一つ聞いてもいい?」
果林さんから俺に聞きたいことってなんだ?
「いいですよ」
「今もスクールアイドルには興味ない?」
興味、か・・・・・・
「・・・・・・正直イマイチです。一応、基本的なことはネットで調べましたけど、実際にライブに行ったわけじゃないし俺がやってることと言えばこうして練習のサポートだけですから」
「そう・・・・・・よし、決めた!」
「ん?」
「改めて宣言するわ!秋介、あなたを私の虜にしてみせる、あなたの一番のスクールアイドルになるわ!その為にももっといいパフォーマンスができるように練習してくるわね」
「ちょっ!」
俺に対する謎の宣言だけ残して果林さんは自主練に言ってしまった・・・・・・
「秋介先輩・・・・・・一体何があったんですか?」
「俺にもわからん。ただまぁ、目標があるのはいいことだ」
どうしよう・・・・・・秋介が冬樹に主人公を乗っ取られる