三上さんの名前を誤字った結果、誤字報告に大量のマキリッサが現れました。ご指摘頂きありがとうございました。
ランク戦は戦闘描写が苦手過ぎるので割愛します。また時系列もガバガバです。今、原作開始1年くらい前と認識して下されば幸いです。
ランク戦には実況解説システムがある。元々こういうシステムは無かった。武富桜子というオペレーターが上層部にランク戦実況の意義などを何度も具申し、最終的には東さんや風間さんもシステムの有用性を認めた上で上層部に提言したことで実装されたのだ。
ランク戦実況は基本的に武富自身かA級のオペレーターが務めることが多い。実際A級オペレーターは優秀揃いだし、自分の考えを言語化できて実況としての立ち回りも熟せるからだ。武富自身は可能な限り自分が実況すると決めていた。特にランク戦のシーズン初陣と最終戦には並々ならぬ拘りを見せていた。
ランク戦は昼と夜の部で別れている。これは防衛任務などに割く人員の調整をするためである。A級には上位中位の概念が無いが、B級は上位昼の部とか中位夜の部などがある。
こうした仕組みも武富が提案して実用化に至っている。武富はボーダーに必要な人間だと思うし、実際ようやっとる。うちのクソリーゼントとか米屋みたなボケナスに見習わせたくらいだ。
「真木先輩!解説をお願いできないでしょうか!」
その武富が隊室まで来て俺に解説を依頼してきた。最初は東さんや風間さんみたいなザ・常識人がやってたけど、途中から太刀川さんとか迅さんみたいなノリの軽い人もやり始めてて解説枠は良い言い方すればウィットに富んでいる。
「とりあえず理由を聞こうじゃないか。」
「あの、その……実況がお姉さんで、その……。」
「OK分かった。俺で良いなら手綱引いてやる。但し多少荒れても大目に見てくれよ。」
「ありがとうございます!宜しくお願いしますね!ちなみにもう一人の解説は歌川先輩です!」
うわぁ歌川可哀想……理佐の実況って見たことないけど、絶対情け容赦ないし。解説は2人の場合、ポジションは被らせない。アタッカーのことはアタッカーにしか分からんし、シューターのことはシューターに聞いた方が早い。双方の違う視点で解説を出すことでより充実した実況解説を作りたいらしい。武富これで中学生ってマジか?
────────
「お前と実況解説することになるとはな。やるからにはちゃんとやれよ。」
「当然だろ、お前こそ実況忘れて毒舌タイム入ったりするなよな。」
「あのお二人とも喧嘩はその辺りで……。」
「「してないんだが?」」
いやしてるように見えるんですが……という歌川の杞憂など構わずに実況解説の席へと向かっていく。
「B級ランク戦ラウンド6、中位昼の部。実況は冬島隊の真木理佐が務める。解説は冬島隊の真木理央と風間隊の歌川だ、宜しく頼む。」
「宜しくお願いします。」
「どうぞ宜しく。」
観覧室は既に人で賑わっているが、今日はやや張り詰めた空気が漂っている。本来なら単なるB級中位のランク戦なのだが、今日の実況はあの真木理佐である。
もう一度言う、あの真木理佐である。
ボーダーの訓練生の間でも真木理佐は有名、というより恐怖の対象として刻み込まれている。正隊員なら尚の事だが、その彼女が初めて実況をするという興味本位やこれは荒れるぞという野次馬精神の者も中には居た。
そして隣に座るのは真木理央。真木理佐とは双子であり、ボーダー内でも有名な姉弟だろう。その彼が姉とどんな実況解説を繰り広げるのかはある意味では興味を惹かれる。
「今日の対戦チームは香取隊、鈴鳴第一、那須隊の三つ巴だな。香取隊は今シーズンから参加でいきなり中位帯の上に食い込んでいる勢いのある隊に見えるが理央、お前はどう思う?」
理佐は一応は猫被りみたいな芸当ができる。実況としての役割に徹すればこんなまともなやり取りだって出来る。なら普段からもうちょい穏やかに行けませんかねぇ。
「ログは確認したが、隊長である香取のワンマンチームだな。香取が暴れて他2人が援護、といえば聞こえは良いが、実際は援護の意味も理解してるかも怪しいし香取の出来=チームの出来みたいな隊だな。」
会場から騒めきが起こる。理央は特に気にもしてないし理佐も気にする様子もなく話を続ける。
「そうだな。香取以外は思考を放棄しているように見える。今シーズンは種が割れてないから順調だが、次シーズン以降は中位グループに飲まれるだろうな。」
実況から更に追い討ちを掛けるような容赦ない補足に会場は更に騒つく。というより冷えた、空気もそうだが肝が冷えた。
「鈴鳴第一は急成長中のアタッカーである村上先輩を有する隊、那須隊の那須のバイパーが強力な新参チームだが、歌川はどう思う?」
割とちゃんと進行していくランク戦。今季は新参チームが多めだ。どの隊にもA級になれる機会があるが、現状B級1位の嵐山隊の牙城を崩せる隊は存在しない。今季が終わればA級に上がって来ると思う。
「さて転送開始だが、香取隊の動きが鈍いな。若村、三浦が置いていかれてる。」
「これまでの戦いを見る限り行き当たりばったり感が強いからな。どうせ試合前のミーティングをしてないんだろ。動きをアドリブに任せるには些か力不足だな。」
まあそれでも勝ててるのは香取が強いってことなんだが、単品の駒の性能でどうにかしてる内は上を目指すことは難しい。それが3人揃えば言う事は無いが、そんな都合の良い話はそうは無い。
戦況は変わっていく。村上先輩が来馬先輩を守ってベイルアウトしていった。
「今のは……庇う場面では無い気がするが?」
「鈴鳴第一の悪癖だな。ランク戦じゃ生存よりも点を取る方が優先度が高いからな。庇って得点を増やせる機会が生まれるならまだしも、エースがそれやってたら厳しいな。」
「那須隊は那須がバイパーでどうにかしてる感が否めない。点取り屋が欲しいな。」
「本来シューターは単独で点を取るのには向いていないからな。あれだけ暴れられるだけ十分だろ。ま、それで勝てるなら苦労もねぇけど。」
久々に中位の試合を観たが、単独の駒としては強い面々が揃っているが、それをチームとして動かすとなると今一歩だなと感じる。
あと理佐は俺に振り過ぎだろ。歌川にも振ってはいるが、これじゃログに色々言い合ってるのと大して変わらんだろ。──あれ、これもしかしてマズイやつか?
そうこうしている内に試合が終わった。結局最後は香取が暴れて香取隊の勝利。香取隊は初の上位入りらしい。
「さて総評に入る。全体的に課題が見えた試合内容だったように映るが、理央はどう見る?」
「鈴鳴第一と那須隊はエースの負担軽減だな。香取隊は……まあ勝ったんだしいいんじゃね。」
「本当にそう思ってるのか?」
「全然、これっぽっちも。」
何故か会場が騒つく。
「勝つには勝ったが、チームの勝利とは程遠いな。これは香取の勝利だ。実際、他の二人は得点もアシストも出来てないしな。」
そこからはもう理佐との舌戦だ。しかしまあ理佐の容赦ない指摘は怖い怖い。このレスバ上等みたいなノリを分かっててやってるっぽいのがさらにタチが悪い。そりゃみんなから怖がられる訳だわ。
その後、武富には少々怒られたり香取には凄い剣幕で迫られたりともう理佐との解説なんてこりごりだ。ボーダー実況部では真木姉弟、混ぜるな危険という格言が生まれたらしい。それはなんかすんません。
アニメ化した時のマキリッサのCVが気になります