剋盾神聖譚《シールド・オラトリア》   作:ソレルス

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 誰ですか!!サブタイトル考えるの難しいのに、安易につけようとか言ったアホは!!
 
…………俺ですね!!すみません!!
 



期待と希望

 

 

 俺たちは、『英雄』だった。

 

 

 

 

 

 大地を蝕む陸の王者を、

 

 大海を荒れ狂わす海の覇者を倒した俺たちは、

 

 

 

 

 

 『英雄』()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「くあぁ………」

 

 

 あの黒竜(クソトカゲ)に傷つけられても、今だ屈強なこの身でも、朝の陽気には敵わないのか、なさけないあくびが漏れる。

 そうしながら、まだ豊かなこの町を、

 

 俺たちの失敗した()()で滅ぶかもしれない、この町の朝の中をゆっくりと進んでいく。

 

 ────どうも、考えが暗くなっちまう、なさけなぇ 

 

 まぁ、そんなやりたい放題だった己には、微塵も合わない停滞を頭の隅に追いやりつつ足を動かしていく。

 

 

 「あん?」

 

 

 騎士団の建物が視界に入ったころ、階位を昇華し感覚が鋭くなった己の両耳に懇願と困惑のの声が聞こえた。

 くだんの建物の前にいる、己が鍛えている騎士団の青年と黒髪の少年からのものらしい。

 

 

 「………から、俺もここの訓練をやりたいんです。お願いします

 

 「そうはいってもなぁ。お前はまだ子供の身だぞ

 

 「ふーん………」

 

 

 それは、その幼子が町を守るための騎士団の訓練に参加したいとゆうもの。

 まだ幼い子供が年不相応なことを口にするのに興味を惹かれ、俺は少し速度を上げる。

 

 

 「わかっています。………でも、お願いします」

 

 「俺らは、町を守るのが仕事なんだが、それに子供をつきあわせるのもなぁ……」

 

 

 常人でも聞こえる距離まで近づいたのだがその二人は会話に集中しているらしく、己にはきずかない。

 ………あいつはもっと、気配を感じ取れるようにしてやらないといかんな。

 

 

 「おう、朝っぱらから苦労してんな~、クルトン」

 

 「ん?………げっ!バルメテウスさん………」

 

 「げっ!はねぇだろぅ、テメェ………」

 

 「あ、え~とそれは~………そ!それよりこの子をが俺らの訓練にって」

 

 「まぁ、それは聞こえていたんだが……」

 

 

 己を、化け物でも来たのかのように驚くアホをほおっておき、まだ小さい子供へと視線を向ける。 

 目を向けた存在をよくよく見ると、アホが答えを出し渋った理由がそれとなく分かった。

 その子供は、己の腹ぐらいに届くほどの身長しかない。

  確かに()()()にはおかしなと言える、生まれてから七から八年ほどの子供が過酷な訓練に参加したいなど、確かにおかしなといえること。

 

 

 「坊主、なんでこ~んな「こんなって言わないでくださいよ………」とこで鍛えたいいてゆうんだ?」

 

 顎髭をさすりながら、先ほどからの己の興味の対象に問いを投げる。

 子供は警戒心を宿した目で己を見上げた。

 子供はいきなり現れた男に、不審者を見る目で己の質問には答えずに、逆に問いを返してきた。

 

 

 「………あなたは?」

 

 「俺か?そうだなぁ………この騎士団相手に一方的にボッコボコにできるおっさんかな?」

 

 

 何も知らぬこの子供に、その口に意地が悪い笑みを作りながら、また不審者度が増すような紹介。

 己の言葉にクルトンが泣き喚いた気がしたが、無視して大げさに、されど純然たる事実を語る。

 その一見荒唐無稽な自己紹介に、この目の前の子供が驚くのか、疑うのか………はたまた馬鹿にするのかを楽しみに見ていると、

 

 

 

 こいつは、吠えやがった。

 

 こいつは、照らしやがった。

 

 

 

 「じゃあ………、おじさんに鍛えてほしいです」

 

 「あん?それまたなんで?」

 

 

 返されたのは、意思を宿した瞳に、決意が込められた言葉。

 己の言葉を疑うどころか、出てきたのは鍛錬のお願い。

 己の予想を裏切った子供に、思わず疑いの声を上げる。

 本日二度目の己の疑惑の声に、その子供は………少年は、はっきりと自分の理想を語った。

 

 

 「強い人に教わったほうが、強くなれると思って」

 

 「………なんで強くなりてぇ」

 

 子供らしい、かっこいいものへの憧れ………、そんな生易しい思いではない、これは。

 強くなりたい、強者の己が聞き流してない決意。

 その決意に、己は再び問う。 

 

 「………なりたいから」

 

 「なににだ?」

 

 少年の目に思いが映し出され始める。

 少しの興奮に包まれながら、己は再び問う。

 

 そうして、あふれ出る少年の思い。

 

 「………………『英雄』に、なりたいから」

 

 「ほぉ……」

 

 

 少年の理想はあの『英雄』。 

 よりにもよって、(元英雄)の目と鼻の先で、『英雄』になりたいと語りやがった。

 民衆が耳にしたら、鼻で笑われる子供の夢。

 

 だが、この朝日も昇りかけの町にたたずむ己のうちから湧き出てくるのは、嘲笑や侮蔑のような下劣なものでわなく、ただただ心からの歓喜の感情。

 

 

 

 「『英雄』なら守るから…………」

 

 

 

 「新しく、守りたいものができたから………」

 

 

 

 「今度こそちゃんと守りたいから……なりたい」

 

 

 「っ!……だから!!」

 

 

 強い強い『英雄』に、弱い弱い子供が届けた厚顔無恥な言葉。

 そんな少年の言葉に()()()喜んでしまう。

 ほころびそうになる己の顔を必死に抑えるが……、我が身のうちは荒れ狂う。

 

 俺たちが失った輝きをともした少年に、心が躍ってしまう。

 

 おかしなことに、まだ会って数刻もたってないとゆうのに、少年に俺たち(英雄)の影を見てしまう。

 ならば………、そうならば!

 

 

 「………いいぜ、この俺がお前を鍛えることに、今した」

 

 

 まだまだ小さいが、生意気にも己を焼き付けたこの輝き。

 『英雄』の光。

 世界の希望。

 この残滓が、世界を照らす『英雄』にしてやろう。

 

 この歓喜に流されるままに、少年の理想を叶えてやろうと地獄を少年に課すことを、今決める。 

 

 

 「ちょ!ちょっと!バルメテウスさん!?」

 

 「うるせぇ、黙ってろ」

 

 二人の外野がうるさいが、関係ない。

 誰が何と言おうと、もう関係ない。

 

 (元英雄)と、この少年(英雄の卵)には。

 

 なってもらおう『英雄』に。

 まだ名も知らぬこの『英雄』の卵に。

 なぜなら、

 

 ―世界は英雄を欲しているのだから。

 

 

 

 「坊主、名前は?」

 

 「アル……、アルドゥームです」

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 豊穣の町カルモネア、その町のお昼が過ぎて少しした頃。

 町の中心部にある騎士団本部の中のとある一室、そこは武人が己の力を高める訓練室。

 

 剣で切りかかるための数体の藁人形に、弓で射るための数枚の的がその広く天井が高い部屋の壁際にそれぞれ並べられている。

 そんな部屋の中央に、

 

 

 「やぁぁぁぁぁぁぁぁl!!!」

 

 

 「無意識にふるうなぁ!アル!」

 

 

 床を覆う土くれからの砂ぼこり、少ししわがれた男の声と、少年の声、そして数本の()が舞う。

 男の名はバルメテウス、少年の名はアル、その二人が訓練をしている最中であった。

 宙を舞う糸はアルが操る武器、「鋼蜘蛛」。

 

 アルを転生させた、()()()()がアルの今の体が使っていたのを再現した、鉄でつくられた細く鋭い糸である。

 それをアルは、まだまだ小さい両手を鋼蜘蛛とともに送られた黒の手袋でつつみ、まだまだ短い10本の指で糸を操り、『英雄』に立ち向かう。

 

 鋼蜘蛛をバルメテウスの上や下、横や斜め、前や後ろからも攻撃を通そうと必死になってアルは何度もふるう。

 皮膚をたやすく切り裂くその糸が幾度も自分の全方位から襲ってくるのは………、しかも子供がそれをふるうのは一種の()()()だが、

 

 

 「上、右上、後方左………、よっと」

 

 

 バルメテウスは素手で鋼蜘蛛の進行方向をそらし、身をひねり最小限の動きでかわし、糸と糸の合間を息継ぎをせず流れるようにかわしアルに近づいていく。

 

 アルがまずいと感じた時には、バルメテウスは彼の目の前に立ってい、そのままアルの眉間へ優しい優しい大砲(デコピン)をお見舞いし、「ふっぎゅううぅぅ!!!!」情けない声とともにアルは部屋の壁まで一直線に吹っ飛ばされた。

 

 

 「俺に向かって糸はふるえてる!それをただの攻撃ではなく、技を使って俺にあてろ!」

 

 「いっっった~~~~~~!!!」

 

 「おいコラ、アル!」

 

 「っ!わ……わかった!」

 

 

 訓練中でありながら、余裕しゃくしゃくなバルメテウスからの教えに、なんとか返事をする。 

 されど、アルはまたもや1本ずつそのままバルメテウスに鋼蜘蛛をあてようとするだけ。

 そしてまたも、バルメテウスに避けられてしまう。

 

 

 「だから、アル!」

 

 「わかってる!だから………こう!」 

 

 

 それだと前へ、成長できないぞ。

 バルメテウスはそんな苛立ちを返してしまうが、アルはその避けた姿勢のままのバルメテウスに向かって今度は技を仕掛ける

 先ほどは1本ずつふるっていた鋼蜘蛛を一気に引き、バルメテウスの縦横斜め360度から一斉に仕掛ける。現時点での、アルが操れる最大本数の糸が風切り音をならしバルメテウスに迫っていく。

 只人ならば逃れられぬ、糸の檻。

 鋼蜘蛛を使えば他の一般の兵士などにも勝てるほどに成長しているアル。

 

 ………だが、アルの目の前にいるのは、

 

 

 「それでいい………だが!」

 

 

 そう、Lv7の元冒険者………、『英雄』である。

 

 バルメテウスは、その場から足を動かさずにアルの目では追えない速度で片方の腕を綺麗な弧を描きながらふる周りを囲んでいた檻を、その無駄のない動きで己に迫っていた数本の糸を、片手に収まるただの糸の束に変えて見せる。

 

 「っ!つかまれ………」

 

 「た、だけじゃ終わらんぞ!」

 

 「た………ってうわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 通じないことなど今までの訓練で分かっていたことだが、こうもあっさり突破されたことにアルは一瞬呆けてしまう。

 が、それを見逃すほどバルメテウスは甘くなく、片腕で引き寄せたその勢いで糸を引く。

 

 アル(無所属)バルメテウス(Lv7)能力(ステイタス)で叶うわけもなく、今度はバルメテウスに向かって半円の軌道をそって、アルは吹っ飛んでいく。宙を舞うアルの足元にはもう地面はなく、向きを変えることもせずバルメテウスに向かって突っ込んでいく。

 

 ただ、またあの大砲(デコピン)か、あるいはチョップ(ギロチン)かを受けるまでの待ち時間。諦めるには丁度いいほどの負け直行ルートにアルは乗っている。

 

 ───しかしまだ終わっていない。『英雄』になりたいなら………!

 

 

 「っ!!糸が!」

 

 宙を飛ぶその最中、諦めるの「あ」の字も浮かんでいないアル。

 しかし次の技を繰り出そうとアルは指を動かすが、鋼蜘蛛はいまだにすべてがバルメテウスにつかまれたままである。いくら引き寄せようとも、暖簾に腕押しのごとくバルメテウスの手からすっぽ抜けることなく、収まったまま。

 

 

 「なぁらぁ!!!」

 

 「お?」

 

 

 掛け声とともにアルは今手に付けている鋼蜘蛛をすべて外す。

 女神に多く送られたはいいが、如何せんアルのスペックが低く、全部を扱いきれない。予備としてズボンのポケットにしまっておいた鋼蜘蛛、それを取り出し技を繰り出さんと手をポケットに入れようとする。

 

 しかし、アルは今、空中を()()()()()()()のである。

 再び武器を取り出すなんて暇、バルメテウスの膂力が許すはずもなく顔面から突っ込んでいくアル。もう、腕で顔を覆って守る時間もなく、「っ!」来る痛みに備えてアルはおもわず両の目をつむってしまう。

 

 「目をつぶっちまったら、避けられないだろ?まったく………」

 

 「あ……あれ?」

 

 

 しかし来たのは、呆れとお説教が混じった、バルメテウスの声。

 そしてアルは自分の後ろの服の襟をバルメテウスにつかまれ、親猫に首根っこをくわえられる子猫の体制でプラプラと揺れるアル。

 アルは段々と自分の状況を把握し、青ざめながら恐る恐る自分をつかむバルメテウス見上げる。

 怒られるのか………大砲(デコピン)か………びくびくしているアル。首根っこをつかまれているのも相まって、はたから見れば可愛い子猫に見えてしまう。

 

 が、バルメテウスの顔には訓練特有の緊張感はなく打って変わって穏やかな目でアルを見ていた。

 

 

 「よし、そろそろ休憩にするか」

 

 「………………わ、わかったぁぁ」

 

 

 訓練の終了の合図とともにアルを優しく地面に降ろすバルメテウス。

 まぁこれでも子供には甘いのである、彼は。

 

 しかしアルは2時間ぶりの休憩を………、2時間ぶっ通しの地獄から解放されて、緊張が解けたのか降ろされてそのまま臀部からズボンが汚れることを気にする余裕もなく、地面に座り込んでしまう。

 アルの顔には先ほどの諦めず前を向いた、子供ながらに凛々しい顔はどこへ行ったのやら、見るからに疲労困憊の表情をはりつけている。

 だが、それもそうはなるだろうと言えるほどにアルに課された訓練は厳しいものだった。

 

 それはもうギッタンギッタンのメッタンメッタンである。

 皮膚が切り刻まれたり骨折したりはしていないが、アルの柔肌にはところどころに青あざが浮かびあっがており、髪は砂埃のせいか黒色に濁りがかかってい、訓練の過酷さを物語っている。

 彼は、バルメテウスは、ほかの歩く災害(ゼウス・ファミリア)と違い、まぁ………ま~~だやり過ぎはよくないことを多分、おそらく理解してはいるのだが。

 

 それにしても、バッタンバッタンのガッチャンガッチャンである。

 

 ────これでも、あの福音(ゴスペル)お義母さんより数百倍もましなことなど、アルには知りえないことだが………

 

 

 「ほれ、水だ」

 

 「ぜぇ………あ、ありが………とう………。んぐっ!んぐっ!」

 

 「まぁ~、流石にその()にも慣れてきたなぁ」

 

 「んぐっ!ぷはぁぁぁ………まぁ、バルおじさんに5か月も訓練してもらったしね……」

 

 

 アルに水とともに今のアルの()の成長をバルメテウスは投げる。

 

 転生したアルの体は転生前の体とは、黒髪なことと年齢が近いことが同じなだけ。

 身体能力や顔は全くの別物の人物となっていた。

 

 そして何よりアルの今の体には前世で習得したこともない、戦闘のための()を覚えていた。

 

 突然の攻撃に対して、身体の防衛本能なのかどうかは分からないが、シロと2人のときに遭遇したこの世界でゆう()()。なぜか名前を知っている鋼蜘蛛を使い、その首をはねたり、拘束したりする技を出すことはできた。

 

 が、自ら技を出そうともそもそも出す方法をアルは知らず、鋼蜘蛛の扱い方も知らなかった。

 糸を戦闘に使う人物も周りにおらず、バルメテウスと訓練を始めたばかりの頃は自ら鋼蜘蛛の扱い方を見つけていくしか無かったのだ。

 

 ……両手で一本ずつ、慎重に、鋼蜘蛛も使おうとしても、なんか自分に雁字搦めに絡まったり…

 うっかりあの人から送られた手袋をつけずに鋼蜘蛛を触った時には、手の皮膚が線切れて血まみれになったり、それを見た今の家族に泣きながら心配されたり…

 

 まぁ、色々ありながらも5ヶ月もすれば、子供ながらマトモと言える戦闘はできるようになっていった。

 

 

 

 「しっかしおかしなもんだよなぁ~。技はあってもそれをいいときに出せたり、繋いだりはできないなんてよ。」

 

 「………………」

 

 「記憶喪失……ってわけでもないんだよな?」

 

 

 バルメテウスの問いに、アルは力なく頷くだけで何も言えない。

 転生したあの時、あの人はアルに向けてではないがアルの転生後の肉体について喋っていた気がするが……元々いた別の人の体とゆうことしか覚えていない。

 

 そもそも、バルメテウスに…今の家族にも、アル自身に起きた転生について何といったらいいのだろうか……

 この、普通はありえない現象を話してもよいか、思わず悩むアル。

 

 

 「………まっ、俺はお前が強くなれるっつうなら、そんで大丈夫だからよ」

 

 

 そんなアルの悩みを察してか、アルの顔から知ったのかバルメテウスは安心しろとアルに言葉をかける。

 

 アルには、とりあえず触れないでいてくれるそれが、一番ありがたかった。

 

 

 「……………うん、ごめん」

 

 「謝ることぁねえだろ?」

 

 「じゃあ………ありがとう、バルおじさん」

 

 「おう」

 

 

 バルメテウスの気遣いと感じたそれにアルは少年らしい愛くるしい笑顔を、またそれにバルメテウスはカラッとした笑いを互いに交えた。

 

 一段落したその空間に、木を小突いた音が部屋に静かに響いた。

 音のしたほうをアルは見てみると、方向は部屋の入口。

 ノックの後、扉を開けて入ってきたのは茶髪の40代ほどの男。彼の騎士団への所属が纏っている鎧から見て取れる。その身体は鎧の上から分かるほど引き締まっており、筋骨隆々としている。まさに、町の守護者と言える風体である。

 

 

 「失礼、バルメテウス殿にアル君、訓練は終わったか」

 

 「あっ!隊長!こんにちは~」

 

 「お~今終わって休憩中ってところだ」

 

 

 入っきた男はこの町の騎士団を統率する身である人物。町の人や団員からは()()と親しみを込めて呼ばれている。

 アルにとっては見た目は厳ついが、剣の手入れを教えてくれたり、身体のトレーニングを指導してくれたり、とても優しく頼れる人とゆう好感度が爆高い印象。

 

 ……訓練してもらったとき、バルメテウスおじさんより丁寧だったしネ……

 

 

 「隊長、どうかしたの?」 

 

 「いや何、もうそろそろ剣の訓練を皆で始めるので、アル君を呼びに来のだ。そちらの訓練が終わってすぐなのならば、少し休んでいても構わないが……」

 

 「ううん、大丈夫。俺もいま行く!」

 

 

 アルが使おうとしていた鋼蜘蛛には師といえる人がいなく、バルメテウスも騎士団も教えることができない。

 ならばと、バルメテウスより提案されたアルの身体能力の向上や、予備武器(サブウェポン)の作成も兼ねた、剣の訓練へと隊長がわざわざ呼びに来てくれた。  

 

 ちなみにその訓練も『英雄』の剣技を見て覚えたバルメテウスが指導している。

 そもそもそれが、バルメテウス(オラリオから追放されたニート)がこの町に入った時に得た仕事である。

 

 

 「おじさんは?」

 

 「ん?あ〜〜俺はこの部屋片付けてから行くわ。だからアル、先行っとけ」

 

 

 「わかった。おじさん、先行ってるね!」

 

 

 バルメテウスの返答を聞いたアルは急いでバルメテウスから鋼蜘蛛を受け取りまとめる。そして、壁に立てかけてあったアル用の短剣を取り早足でかけていった。

 

 先ほど、アルの身を心配してくれた隊長には悪いと思うが……

 

 疲れていても、関係ない。

 だってアルは、『英雄』にならねばならないのだから。

 そんな自分の信念を心に、アルは走っていく。 

 

 

 

 

 

 「………やっぱおじさんかなぁ、俺………」

 「今更では?まぁ、おじさんさんの私よりも年上なのだから……一歩間違えたらおじいさんなのでは?」

 「なんであんたにも刺されるかなぁぁぁぁ!?」

 

 

 …そんな慟哭が響いたが、まだ理解できないアルは剣の訓練を行う部屋へ、また足を速めていった…。

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 「で?なんでわざわざ隊長サマが呼びに来たんだ?」

 

 「……………やはりあなたは鋭いな」

 

 「冒険者やってりゃあ嫌でも身につくさ、これは」

 

 「………アル君は、今どのような状態だ?」

 

 「ん?まぁあいつの()にしみついてた技を、操れるくらいにはなったな」

 

 「彼の思い通り、強くれているのならば、今はまだうれしいことだ………が、私が知りたいのは彼の夢のほうだ」

 

 「あぁ……そっちか」

 「そう、そっちだ」

 

 

 

 「「『英雄』になりたい」」

 

 

 「まぁ、そっちも思うところは変わっていないと思うぞ。

ま、どんなこと経験したらあんな覚悟ガンギマリになったかなんて聞けてねぇがな」

 

 

 「あの子は、()を守りたいと聞いたが、守るというよりあれは………やはり本質は、あなた(英雄)に似ていて不安だ」

 

 「………あんたのゆう『英雄』の本質って?」

 

 「誰よりも勇敢で、そして、()()に行くのにためらいがない」

 

 「………………」

 

 「それが、私のあの子への不安だ」

 

 「………………随分入れ込んでるなぁ」

 

 「それは、あなたもだろう?」

 

 

 

 

 「アルが言ったんだぜ?『英雄』になって、守りたいって」

 

 「あの子が望むのならいいが………あなたの()()任せようとするのは、失礼ながらどうかとは思っている」

 

 「………知ってたのかよ」

 

 

 「これでも、この都市の守護を担っている身なのでね」

 

 

 

 

 「あんたは、何もねぇのか?」

 

 「私は、オラリオへ行ったこともなく、過去のあなた達も見たことがない。それに……アル君も今のあなたも、この町に属する、騎士団が守る身だ」

 

 

 「……………やっぱあんた、『英雄』に向いてるぜぇ。腕っぷしも恩恵もなしに下手なlv1には勝てるぐらいだしな」

 

 「先ほども、私はこの町を守護する身だと言っただろう……とりあえず、私は先に失礼する」

 

 「お〜〜う、俺もすぐ行くわ」

 

 

 

 

 

 

 

 「だがよぉ、隊長」

 「俺ら(英雄達)は、黒竜に負けたんだ。無様にな」

 「せめて育てるくらいはなぁ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 The設定保管庫のコーナー
 
 あの女神からアルに与えられたもの

 アルの転生後の体は夜桜凶一郎を元に女神が作ったもの。凶一郎の人格や記憶は、アルへの性格改変につながりかねないと思い、女神はアルが強くなるために必要だと判断した鋼蜘蛛の技や才能なんかは残しています。
 その説明を紙なんかに書かず伝えなかったのは変に情報を与えると下界の神々に変にちょっかいをかけられると思ったから。(アルの元の世界ではダンまちはない設定です。あると異世界としてあるのに小説としてもあると女神視点でおかしなことになってしまいそうなので)


 隊長
 
 故郷のカルモネアに生まれ育って早40年。
 見た目も話し方も初対面では緊張感を与えられるが、面倒見もよく人格者。
 こんな人が町の人から好かれるのは当然で、よく食料を大量にもらっては騎士団の飯の当てにしているとか…

 作中でバルメテウスが言った通り恩恵なしにしてはアホみたいに強いです。
 設定ではゼウスファミリアに入団できるくらい才能はあります。
 でも彼は、愛する故郷と町の人のためカルモネアを出ていこうとは思わずひたすら剣を磨き、今では町の守護者となって
います。


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