米花町でちんちん出したら逮捕された件について。 作:ひつまぶし太郎
幼馴染のしーちゃんを連れ出すために戦ったあの夜、ボコボコのボコにされた僕は最後の最後に毒薬を飲まされた。
父親の細胞から生み出され、父の死後は僕の細胞を使って開発された毒薬。
名をアポ…なんちゃらかんちゃら。
いやごめん、正直あんまちゃんと覚えてない。
これも後遺症か…。
たぶん違う気がするけど、まぁ後遺症ってことにしておこう。
僕がちょっとお馬鹿なのはアポなんとかのせい。
そういうことにしておけ。
なんなら名前アホなんちゃらなんじゃないのだろうか。
飲んだやつをアホにする効果を持つ毒みたいな。
…やっぱ組織ってろくでもねえな!
とりあえず再生者を元に作ったその毒は、回復能力を過剰作用させて再生者をぶっ殺すことを可能とする激ヤバな薬なわけだけど、死に体の僕にはちょっと普通とは違う反応を引き起こした。
過剰作用させるほど回復能力が残ってないほど死にかけだったお陰で、むしろ足りなかった回復力が足りたというか、奇跡が起きたと言うか。
とはいえ、無償とはいかなかった。
全回復する代わりに、僕は赤子へと巻き戻された。
生まれ直し。
ある意味、若返りの極地みたいな。
もしかしたらアポなんちゃらにも若返りの効果あったりしてね。
もともとこっちの能力に多少の若返りもあるんだし。
「ははっ、なわけ。ないない。ファンタジーやメルヘンじゃあるまいし」
僕の存在が既にファンタジーではあるんだけど。
とりあえず、まじうちの元保護者ファインプレー。
『くくくっ、お前の親父で作った旧タイプの毒でお前を同じところへ送ってやるよ』とか言ってたけどマジサンキュー。
性格がドブカスでほんとよかった!
でも、確実に言えることだけど。
次はない。
普通のときに僕があの薬飲んだら、間違いなく死ぬだろう。
今回だって、色素と知性を失ってるわけだし。
後天的アルビノ。
僕の今の姿は、僕から見てもアルビノ系美少女だ。
認めたくないけど。
ほんと、可愛いだけじゃダメなんだよな。
で。
僕の嘆きはさておき赤子になった僕は組織に不穏な動きがあったのもあって探りを入れに来ていたあむぴに拾われたってわけ。
やー、そっからはそっからで大変だった。
死んだと思ったら赤ちゃんになってるし、なんか僕が笑うたびに嬉しそうな曇ったような顔をする新しい保護者も心配だったし。
なんか自殺しようとする知り合いの代わりに一回撃たれるハメになったし。
あの時はやばかったなぁ。
周りの人間はパニックになって半狂乱になって、その後しばらく家から出してもらえなくて大変だった。
それを思えば、今の気安い関係になれたのは、時間という薬の素晴らしさを物語っていると言えた。
…いや、時間というよりあれのせいかな?みたいな出来事はあったりするんだけど。
そう、あれは3年くらい前。
僕が撃たれて、ちょっと公安ズ消沈中…みたいな時の話だ。
『…なぁ、ゼロ。前立腺ブレーキって知ってるか?』
『ま、待て…!あいては警視総監だぞ!?』
『…知るか!俺は死んだんだもういない!つまり怖いものなしだ!』
『おー…めっちゃいいかんがえ。みならお』
『やばいやばい、やばい!?警視総監もそうだけど、なんかやばい学習してるって!ヒロ、やめろ!やめてくれ!?』
『…ふ…安室くん。やってくれ…それで皆が助かるなら…本望さ…!』
『いい人すぎる!』
『やってみせろよ、ゼロ!』
『ああくそ、僕が一番うまくガンダムを扱えるんだよ…!』
『おっほ!』
『きたない』
詳細は省こう。
というか割と僕ら全員変なテンションで正直会話だけ思い返しても最低な思い出しかでてこないし、意味不明な文章の羅列にしかならない。
終始いい年した大人たちが全力で遊んでた記憶しかないのは良いのか悪いのか。
とりあえず、公安ズの落ち込み具合に気を利かせてくれた警視総監といっしょにスキーをしに雪山を訪れたら、殺人事件が発生。
その捜査中に僕らは警視総監“で”スキーをしたのだという事実だけ陳列しておこう。
何やってんだろうねほんと。
遭難しかけ、時に罵り合いながらも雪山から帰還した僕らは結構仲良く慣れたと思う。
警視総監のちんちんは無事じゃなかったけど、まぁもう…ね。
年だし。
ちんちんじゃない方の息子はいるわけだし。
殺人事件の方は、なんか帰ってきたら知らない中学生たちが解決したらしいし。
僕らの絆が深まったという事実があれば十分と言えるだろう。
この世からちんちんが一本減ったけど、気にしてはいけない。
いわゆるコラテラルダメージってやつなのだから。
●
翌日。
快眠スッキリばっちり。
昨日は確かあむぴといっしょにゲームして寝落ちした気がするんだけど、いつの間に運ばれたのやら、ふかふかのベッドで目が覚める。
鼻孔をくすぐるのは、ソーセージの焼けるいい匂い。
おそらくあむぴが朝食の準備を始めてくれているのだろう。
「ぬぁー…眩しい…灰になる…」
のろのろと起き上がり、這う這うの体でなんとかベッドから脱出する。
髪の毛はぼっさぼさだが、アホ毛の主張は変わらない。
乱れまくりな髪の毛と格闘しながらリビングに出れば、案の定元気いっぱいのあむぴが料理を作っていた。
クマもない。
よく寝れたようでなにより。
「おはよ、あむぴ」
「…ああおはよう。ちょっと待っててくれ、もうすぐ出来るから」
目玉焼き、サラダ、焼いたソーセージ、スクランブルエッグ。
バターがいい感じに溶けたトースト。
オニオンスープ。
あとヨーグルト、バナナ。
「…なんか豪華じゃない?」
作ってもらっておいて言うのもなんだけど、多い。
「何言ってるんだ?今日は登校初日だろう?気合い入れないとな!」
「あー…そういやそんな話あったなー…」
入学式サボった小学生とか僕の他にいるんだろうか。
「入学式の日はお互い組織の対処に回って忙しかったし、行けなかったのはしょうがないさ」
たしかに、カレンダーを眺めれば入学式のあったらしい日は大変な一日だった。
爆発に次ぐ爆発。
ついでにウォッカのちんちんも爆発。
そんな混沌とした状況で組織の幹部として振る舞いながら、めっちゃいい笑顔で組織に嫌がらせするあむぴはめっちゃイキイキしていたのを覚えている。
「まぁそもそも入学式行くなんて予定頭に入れてなかったんだけど」
「…そのお説教は昨日済ませたからもういい。あ、そう言えばそこにヒロがウキウキで用意してたランドセルあるから使ってやれ」
「…足長おじさんか?」
「それより、シャワー浴びてこい。色々酷いから」
「はーい」
ちなみに朝ごはんはめっちゃ美味しかった。
いつもありがとうございます。
●
工藤新一は黒尽くめの男たちの怪しげな取り引き現場を目撃し、それを見るのに夢中になっていたら背後から襲われ、毒薬を飲まされた。
そして、目が覚めたら体が縮んでしまっていた。
だが、すぐに現実を飲み込めたのは自分と同じく体が小さくなっていて、奴らの根絶を目論む少女が接触してきたからだろう。
「…ジンたちを追いかけるより、眼の前の被害者のケアが先よね…まったく。ヒーローも楽じゃないわ」
彼女に聞かされた組織の存在と、それに関わった人間の末路。
そして、奴らが久しぶりに日本に来ていること、それを掴んだ彼女とその仲間たちが取り引きに使われる遊園地にたどり着いたこと。
「まさか、あんな格好の男たちが遊園地でジェットコースターに乗ってるとは思わないじゃない…」
途中割と深刻なトーンで放たれた呟きは聞かなかったことにして、彼女が小さくなった理由も聞いた。
彼女は2年前、組織に追い詰められ新一が飲まされた毒薬と同じ物を飲んだ。
結果として身体は縮み、自分の死を偽装できたという。
ただ、その毒は唯一組織から掠め取れていたたった一つの毒薬で、手元には毒薬の現物は残っていないらしい。
データがいるのだ。
組織の握る開発データが。
そして、それを手に入れたければ組織を壊滅させるしかない。
「他にも色々話をしてもいいけど、今はこれだけ。私達だって自由に動き回れる身ではないし、あなたを完全に信用しきれてるわけでもないのよ…。それでも、何も知らないっていうのは酷だから伝えた。異論はある?」
その言葉に、思わず食ってかかりかけたが、理性を総動員してねじ伏せた。
気丈に振る舞う彼女の瞳の奥に深い悲しみを見たから。
だから新一は、覚悟を決める。
自分がこれから危険な相手に立ち向かっていくんだという覚悟を。
何かを失っても立ち上がっている人たちに報いるための覚悟を。
とりあえず、自分の家の番号と、やり取りをするための暗号を渡して、新一はその少女と別れる。
彼女たちの信用を勝ち取り、組織壊滅のために動くにしても、まずは生活の基盤を整えないと話にならない。
工藤新一は江戸川コナンになって、幼馴染の毛利蘭の家へと転がり込んだ。
そして、その1ヶ月後。
江戸川コナンはバカに出会う。
「我が名はちんちん!前科一犯持ちの小学一年生!経歴以外はピカピカだぜ!よろしく!!…あ、すみません。はいふざけたの謝るんでノータイムで保護者への連絡帳に書き込むのやめてください。あー!お願いします、待って!待ってください!真面目に自己紹介しますから!やめ、やめろー!怒られちゃうってマジで!」
「な、なんなんだあいつ…」
これが銀の弾丸と出来損ないの弾丸のファーストコンタクトであり、ワーストコンタクト。
第一印象は、当然のように最悪だった。
まずはプロローグ的な3話分お付き合いありがとうございました。
調子乗ったら作品の評価が一瞬でオレンジになり、調子なんて乗るもんじゃないしちんちんも出すもんじゃねえなと反省しました。
でも思いついたら続きは放出していくので、良ければ評価と感想お願いします。