米花町でちんちん出したら逮捕された件について。 作:ひつまぶし太郎
「た、助けてくれ…!」
自分にすがりつくその男を、女はうっとおしそうに振り払う。
「ふん、助けてやるさ。お前が見事目標を達成できたらな」
透き通るような青空に眩しさに目を細めた拍子に忌々しい記憶が蘇り、思わず肩に手を添える。
その痛みを憎しみの燃料へと変えて、女は歯を食いしばった。
「───さぁ、早すぎるハロウィンパーティーを始めようか」
●
「うんうんでりゅ!うんうん出ちゃううううううううう!」
「ちょ、やめろ!なんかわからんがやめてくれ!私のシリアスを返してくれよ!!」
「しゅごいのおおおおおお!しゅごいのでるううううううう!」
「お前ほんとに何言ってんの!?」
どうも皆さん、僕だ。
開幕からフルスロットルのお排泄物で申し訳ない。
なんならちんちんじゃなくてうんうん出そうとしてるという、タイトル詐欺のことについても詫びようか。
どうもすみません。
現在ピンチです。
ははっ!!
HAHAHAHAHA!!!!
は?
何笑ってんだよ笑えよ。
「…あーやばい、漏れる!うんこだようんこ!う、ん、こ!!!聞こえなかったのかこの難聴野郎!!ぶっ殺すぞ!」
「言葉が聞き取れなかったんじゃないんだ!言葉の意味がわからないんだよ!!!」
今の僕は、首に蛍光色の液体の入った物々しい首輪をはめられ、コンクリの床に縛られて転がされている。
そしてうんうんでりゅと叫んでいる。
眼の前のペストマスクつけて黒いコートを羽織った、妹風に言うならチュウニビョウ患者は慌てふためいているが、僕の知ったことじゃあないぜ!!
なにせうんうんがでりゅんだからな!
「うるせぇなあ〜!だいたいさぁ!2時間近く電話しやがって!機械音痴か!着拒されてんじゃねえの!?こんな冷たい床に2時間放置されたらそりゃうんこだって出るよ!限界突破するよ!最終防衛ラインも突破されるよ!」
「限界突破してんの!?」
「してねーよ!今からするけど!もうあれだからね、大気圏への突入は始まってるからね!今計算したけどこのうんこは相当臭い!てめえの頑張り過ぎだ!」
「ちょ、待て待て待て!おまるとかなんかほら、探してくるから!なんとか押し返してくれ!絶対掃除したくないぞ私は!…というか私の頑張り過ぎってなんだ!」
「電話かけるのに必死になりすぎなんだよ!逃げるなよとか言って電波悪いこの部屋出て屋上に行ってさぁ!2時間たってから慌ててこの部屋戻ってきて『ほっ』じゃねーんだよ!ばーか!なんならこっち一回コンビニでアイス買って戻ってきてんだぞ!全然『ほっ』じゃねーから!手遅れだから!」
「じゃあお腹壊したのそのせいじゃん!そのアイスのせいじゃん!つーか行って帰ってきてんの!?なんで!?関係ない人巻き込むくらいなら死を選ぶとかなんとか言ってたのに!」
「関係ないやつが何人死のうが僕に関係あるかよ!むしろ僕が死ぬんだからありったけの人間巻き込むね!超巻き込んでやる!」
「クソガキ!!!!」
どうしてこうなったのか。
それを説明するためにも時間を遡りたいところなんだけど、ちょっと難しいかもしれない。
「───あ」
「あ?」
僕はそっと息を吸い込んで、力を抜く。
「もういいです」
「……………え?」
「もう…大丈夫です」
「………………もしかして漏らしちゃった?」
「…いや別に、全然そんなことないっすね」
「漏らしただろ!絶対漏らしただろ!だってめっちゃ遠く見つめて悟ったような目してるもん!おいふざけんなよ!これは私のプロとしてプライドを掛けた復讐劇なのに!うんこしやがったこいつ信じられねぇ!」
「はー?お前もうほんとふざけんなよ!誰のせいでこんなことなってると思ってんだ!だいたい漏らしてねえよ!漏らしてないっっってんだろうが!」
「じゃあちょっと座高が高くなった理由をいってみろよ!」
理由。
理由ね。
まったく、やれやれ。
ようやく落ち着いて話せるってもんだ。
「話をしよう。あれは今から36万…いや、1万4000年前だったか。まぁいい。私にとってはつい〝昨日〟の出来事だが…君達にとっては多分〝昨日〟の出来事だ」
「どっちにしろ昨日の話じゃないか!ていうか今日だろこうなったのは!」
「…まったく、霊夢はせっかちなんだぜ」
「霊夢って誰だよ、私はプラーミャだよ!」
「ツッコミがくどい。ボケもしょうもない。0点」
「ボケはお前だろうが!!!」
とりあえず、説明しよう。
なぜ見た目美少女(若返っただけ)でゆっくり魔理沙ボイスの中身十八歳の成人男性という化物が、恥も外聞もなくうんうんでりゅなんて叫ぶ怪物になったのか。
その秘密についてこれから解説していくぜ。
ゆっくりしていってね!
●
今日は快晴。
あむぴが亡くなった友人の夢を見たせいでちょっと朝からナイーブだったり、それを元気付けようとして僕があむぴのケツでメントスコーラして破茶滅茶に怒られたり、ちんちんライダーのスーツが熱で破裂して米花町を昼間から爆走する全裸男が現れたり、強盗を捕まえようとしてコナンが蹴ったボールに僕があらかじめ火薬を仕込んでいたせいでボヤ騒ぎが起こったり。
朝から順調に快晴らしいツキのなさを発揮していた。
ちなみにコナンの専用技かえんボールは車を一つ破壊した。
コナンはめっちゃ怒られたし、事情聴取で連れて行かれた。
素知らぬ振りをしてというかコナンがボールを蹴った瞬間に逃走して事なきを得ていたら、電話でめっちゃ裏切りもの扱いされてキレられたけど。
…怒られてばっかだな今日。
さすが快晴。
妖怪じゃなくてこの世の悪いこと全部快晴のせいだからね、ほんと。
真の悪だからアイツら。
とはいえ、これはもう格別だろう。
今日一番のニュースはこれで決まり。
もうほんと、どうしてこうなった。
「妙な気は起こすなよ。逆らうようなら、躊躇わずにいく」
僕は自分の首に嵌められた、独創的な金属製の首輪にため息をつく。
せめてものおしゃれなのか、左右にそれぞれ蛍光色の液体が入っているが、その程度じゃ誤魔化しきれない物々しさが全てを台無しにしていた。
米花町の今をときめく爆弾型チョーカー!
美少女のフリしたショタガキを捕まえるのに最適だよ!
今ならなんとあなたの生命を差し出すだけでただで手に入っちゃう!
「まさか道案内しただけでこんなことなるなんて思わないじゃん」
「余裕だな」
「あがいてもどうにもならないから足掻かなくていいかなって…」
「まぁいい。どのみちこれだけ縛ってれば逃げられないだろうしな…そこで大人しくしとけよ」
爆弾を装着するだけに飽き足らず拳銃まで僕に突きつけるその人物の格好は黒のコートにペストマスクといういかにもな格好だ。
妹風にいうのなら、チュウニビョウ感強め。
そんな怪しげな人物に話しかけられた時点で疑えという話ではあるのだけど、これも快晴デバフということか。
決して差し出されたチョコモナカジャンボに釣られたわけではない。
そして、道案内したら廃ビルにたどり着き、チョコモナカジャンボを頬張ってたら、後ろから首輪を嵌められたのだ。
「くそ!電波悪いなここ!」
イライラしてんなぁ。
やめてくんないかな、人に爆弾つけてイライラすんの。
暴発とかされると僕の秘密を知られて殺さないといけなくなんだけど。
「屋上でも行ってきたら?」
「逃げる気だろ!誰がそんなことするか!」
「逃げた先で無関係な人ごと爆破されたくないから逃げないよ」
「…ふん、それもそうか。いいか?逃げたら爆破だからな。爆破だぞおめぇ!死にたくなかったらそこで大人しくしとけよ!動くなよ、絶対動くなよ!」
そんな前振りされたら動きたくなっちゃうからやめてくれ。
ただでさえ動きたくてウズウズしてるのに。
でも、相手の目的を知るまでは大人しくしておこう。
最悪ちんちん出して爆発して死んだふりすればいいし、いけるいける。
「…でもやっぱ快晴ってクソだわ」
僕は廃ビルの割れた窓から見える空に向かって大きなため息をついた。
●
「そこから2時間。まさか一度も帰ってこないとは思わないだろ。バカなの?死ぬの?人質持ってる自覚をもっと持てよ!」
「だって…」
「だってもへっちゃらもあるか!言い訳あるってんなら聞いてやるけどな!」
「…だって、だって降谷のやつ電話に出ないんだもん!しかも人質とか取ったことないし!初めてだもん!だいたいみんな目撃者は即爆発してきたんだもん!」
「かわいこぶんなよおぞましーな!」
さて。
まぁ、時間稼ぎはそろそろいいか。
ちょっと縄を解くのに時間かかったけど、2時間かけてようやくほどけた。
コンビニだって行ってないし、うんこだって漏らしていない。
縄をほどこうともぞもぞしてるのを誤魔化したくてついた嘘だ。
いや本当に。
マジでマジで。
限界っていうのは、隠し通すのが限界って意味だから。
「で、座高が高い理由?それはお前を食べるためだよ!」
言うと同時に、僕は縄を振りほどいてプラーミャへと踊りかかった。
今回も最後まで読んでくださってありがとうございました。
作者が嬉しくなるので感想と評価頂けると幸いです。
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それかうんうんでりゅって言え()
まぁもう通報して運営さんに対処していただいたんですけど、萎えかけたので応援よろしくお願いします。