米花町でちんちん出したら逮捕された件について。 作:ひつまぶし太郎
前回変な時間に投稿してるのでもし見てない方いたらそちらからご覧ください。
「なぁ、それ何してるんだ?」
「怪人の出現位置をデータに入れてるのよ…。息抜きがてらね」
「…ちん…んんっ。へ、変態ライダーかぁ。僕はちょっと相手にしたくないかなぁ」
真の名前を呼ぶのが恥ずかしいのか、顔を背けるその女子高生に絡まれる女児は、呆れたようにため息をついた。
「そうやってえり好みするからあなたは探偵としてまだまだよとか言われるのよ」
「…ぐ、でも不審者の撃退って探偵の仕事じゃないと思うなぁ!?」
「そう?ストーカーとかであれがでてきたら、あなたの仕事の範疇になるんじゃない?」
「…………」
女子高生探偵。
もとい、世良真純は女児の鋭い指摘に沈黙した。
思い出すのは一度だけ自分の目で見た猥褻物。
拳銃を持つ強盗たちを、通りすがりに白くベタつく何かで拘束し、金を車からおろしてから流れるように車を奪って逃走。
どこからか飛んできたサッカーボールに車が破壊されて、爆発していた。
まず車を破壊するサッカーボールが普通に怖いし、燃え盛る火の中から『これが光の力ァ!』と言いながら、なぜかアフロを被った猥褻物が飛び出してきたのも怖い。
できることなら関わりあいになりたくない、というのが華の女子高生の本音だった。
「真純。あまり彼女の邪魔をするな」
「あ、ママ!お帰り!」
そんな会話をしながら、女児…もとい現灰原哀を後ろから抱きしめて絡む真純に向かって、軽い拳骨が振り下ろされた。
「彼女は我々の鬼札であると同時に、一番貧乏くじを引いてくれている存在なのだ。休暇の時くらい自由にさせてやれ」
「…別に。大型犬に絡まれるくらいどうってことないわ」
「大型犬!?」
「ならいいが…」
「良くないよ!大型犬呼ばわりは全然良くないよ!」
尊大で、男性のような喋り方をする新たな登場人物もまた小さい。
中学生くらいの見た目の中身はたぶん普通におば…お姉さんなその人物の名前はメアリー・世良。
夫の行方を追いかけており、その途中でベルモットに騙されて身体の縮んだ一人である。
史実では宮野志保が薬の開発を引き継いでいたりして気まずい関係になっていたかもしれないが、さっさと組織を抜けて薬の解毒薬を求めて奮闘している彼女からすれば、別に隠すこともない普通の味方であった。
相変わらず組織追跡中に見つけた被害者を優先した結果であり、最初こそ信用されなかったが、話を聞いて飛んできた赤井秀一と親戚の宮野明美によって和解。
以降行動をともにしていた。
「…それで。あなたが帰ってきたのならなにか進展があったのでしょう?」
「…賢すぎるのも考えものだな…」
「あら、勘のいいガキは嫌いかしら」
「好きではないさ。好奇心で身を滅ぼす、謎を追い求めずにはいられない存在は特にな…」
脳裏に浮かぶのは夫か息子か。
それとも最近新たな協力者として関係を持った江戸川コナンか。
正直彼を前にすると娘が変態チックな挙動になるのと、事件に巻き込まれすぎていて普通に面倒くさいので、メアリーはあまり彼との情報共有の場には顔を出していなかった。
「…もったいぶるほどのことではない。またカーネイジが出たぞ…やはり、ガキをよこせと叫んでいたそうだが?」
「そう…。偽装なのか、本物なのか。私の幼馴染レーダー的には彼本人だと思うのだけど。具体的にはあの右腕を回す動作とか、発音のクセとか…最近普通にカーネイジの顔があいつに見えてきたのよね。もしかして私の幼馴染ってあんな顔だったっけ?みたいな。そんなレベルで同一人物認定できるってことはつまり本物ってことなのよ。こないだ現場から採取したカーネイジの血の匂いも彼のものと同じだったし。わかる?つまり彼は生きてたの」
「……………」
こいつたまに阿呆になるんだよな…。
哀ちゃんって幼馴染のことになると早口になるよね。
みたいな親子の内心に気づきながらも、志保は普通に話し続けた。
「それに食べた程度で彼になれるなら、私だって食べたし」
「…それは…その。別の意味だろう」
「と、とりあえず!あいつのお陰で組織がだいぶ虫の息にはなってきたよね!」
「だからこそ、奴らは暗がりに紛れやすくなったとも言うがな」
「その分、奴らが動けばすぐに分かるくらいにはなってるし。悪いことばかりでもないわ」
現在。
組織はもうほぼ片手で数えるくらいの人数の幹部かそれに準ずるような十数人のメンバー、それに付き従う取るに足らない練度の低い下っ端数百名しか残っていなかった。
そして、幹部全員が命の危機に陥るほどの瀕死に一度は追い詰められているせいで、幹部にスパイがいるという線もない。
…表向きには。
実際のところ、瀕死(見た目だけ。その後本人は治療を受けると言って行方をくらませて、謎の地下室で悠々自適に暮らしていた)な金髪が一人いたり、その他意外と幹部でなくとも多数スパイがいたりするんだけど。
ようは少数精鋭になったことで見つけにくくなったが、半分くらいがスパイなので、なにかするときにはスパイの誰かしらに声がかかり、それによって動いたら即バレるみたいな状況になっていた。
故にこその膠着状態。
ここまで追い込んでなお崩せない組織の牙城は、ある種の恐怖を各国の諜報機関に知らしめていた。
闇の奥底に潜む彼らの頭は、どれほど危険な人物なのか。
まぁこの一週間後、経済界に顔の効くピスコは死に、万能サポーターなウォッカは意識不明の重体、組織の粛清担当のジンは腹部損傷による全治数カ月の傷を負うわけなので、やっぱり死にかけの虫かな?みたいな惨状になって、膠着状態からさらに状況が進むことにはなるのだが、それでもやっぱり組織の壊滅にいたらず、むしろ組織による犯罪の成功率すら上がるという組織の異常さもまた発揮されていた。
「カーネイジとちんちんライダー。出現位置が近いと言うか。時期がわかりやすく交互というか…」
「やはり同一人物だと言いたいのか?それにしては活動の開始時期はかなり違うがな。カーネイジは3年前。不審者はここ数ヶ月だ」
「…それに、ちんちん出して捕まるなんてバカは一人しかいないわ」
かつて、出した本人はちんちん出しただけで自分の生存を確信するやつなんて変態だろと呟いていたが。
その変態がここにはいた。
「私の推理通りなら、あのバカは生きてる」
変態的な探偵役で答えだけは合っている迷推理。
示し合わせたかのように似た者同士なふたりは、二人ともちんちんを起点に推理しているという点を見ないふりすればエモいのかもしれなかった。
ちなみに、その推理を聞いたメアリーの反応は沈黙である。
バカはお前だろ。
なんだその希望的観測と意味のわからない理論武装による妄想は、と切り捨てるのは簡単だ。
だが、あのカーネイジの異常なまでの回復力と現実離れした姿を思い返し、そのあとに通り過ぎるだけで犯罪者を全裸にしてお手玉していた不審者を思えば…不思議と同じ人物に見えてくるというか。
温度差がひどいけど、むしろこの不条理な存在が同一であってくれないと世界の常識的に困るみたいな感傷もあった。
あんな理不尽なやつ二人もいてたまるかみたいな。
二人いるなら勝手に戦って対消滅して欲しい、みたいな。
幼馴染とやらは生きていないだろう。
だが、変態はカーネイジ。
その論法だけは認めてやってもいい。
そんな何目線だかわからない結論とともに、メアリーは息子に定期連絡を送るのだった。
●
「ほぉ…」
「秀くんどうかしたの?」
「カーネイジがまた暴れたらしい」
ほら、と赤井秀一がメールを見せれば、それを覗き込むようにその彼女。
宮野明美が思案顔になる。
「彼…なのかな」
「生きていてほしいという彼女の気持ちもわかるが…」
あの血で結ばれたとも言えるほど強固な幼馴染特有の絆がなせる直感なのか、それともただの幻想か。
「少なくとも、遺体はまだ見つかってない。…でしょ?」
「ああ…」
それを判断する術は現在どちらも変装してキャンパスライフを満喫している二人には持ち合わせていなかった。
お前それ元カノにキレられるんじゃね?みたいな状況ではあったが、グループの頭である志保が姉を優遇して隙あらば接着しようとするせいで、もはや二人行動が当たり前となっていた。
二人で暮らして、二人で授業を受け。
二人で一般人のデートのフリ…本当に振りか?して情報収集。
時には大胆にも組織の取引に潜入して情報を持ち帰る。
意外なことに、スパイとしての才能があるのは明美だったりする。
組織の信用を得るために強盗をすることになったときは、いつの間にか人を集め終え、金を盗まずして組織の人間に強盗の成功を納得させるとかいう…字面だけ見ても意味不明どころか、その場にいた赤井すら理解できない異次元の口車で乗り切っていた。
「やはり、カーネイジとコンタクトを取る必要があるな…」
「そうね。できることなら、遺体を食べた化物じゃないほうが嬉しいし…」
そんな物騒な会話をする二人の横を、大学生たちが駆けていく。
突如騒然とするキャンパス内に警戒心を高めた二人は、次の瞬間目が点になった。
「おら!人に頭からカレーかけてごめんなさいってしろ!」
「ひぃ!ありがとうございます!ありがとうございます!」
「お礼じゃなくて謝れつってんだろ!なにガキに足蹴にされて喜んでんだ!化物か!?」
「最高です!我々の業界ではご褒美です!」
「気持ち悪!!!!」
白髪の少女が、大学生の頭を踏んづけている。
公衆の面前で。
事案臭しかないその絵面は、しかしすぐに警備員が駆けつけたことで事なきを得た。
警備員に確保される直前に少女の右足がぶれて、股間からめきゃ!というナッツの砕ける音みたいなのがしたけど、気のせいだろう。
「「な、何だったんだろう…」」
その少女が実は男の子で探し人である…なんてことに当然気が付かないほど短くて濃い邂逅は、ちんちんライダーが捕まって中身と対面してから、ようやく思い至ることになる。
それまではこの邂逅に意味はなく、全てはただの日常風景として流れていった。
不審者は米花町では珍しくもないのだから。
「…だからね、私の下で悶える彼の姿ってば本当に可愛かったのよ。永久保存版ね。VHS、DVD、ブルーレイに保管しなくちゃなのに、なぜか私の脳内から出力できないのよね…不思議だわ…」
「アーウンソナンダーフシギダネー」
「これは、妖怪のせい…?」
「ソウカモー」
ついでにいうなら、暇つぶしに幼馴染の話を聞いたら、聞きたくもない性事情まで垂れ流されて、真純がパンクしたという話も完全なる余談だろう。
「ヒーローモードとやらじゃないときのあの子は…見てられないな。うん。アホすぎて」
シリアスとの落差みたいな。
そんなとこまで幼馴染で似なくていいから、みたいな。
そんな娘みたいな存在と娘の会話を、普通に影からビデオカメラで保存している
全員が何かを失って。
それでもなお、悪意に向かって立ち向かう。
そんなつながりの集団には、確かな温かみがあった。
「───ウンチンパンジー!ウンチンパンジー!!図書館に麻薬隠す間抜けはお薬漬けからの全裸露出逮捕エンドだ!!!ちんちん出せオラァ!尿道から薬ねじ込んでやる!尿路結石(薬物の姿)になーれ!ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~!」
「落ち着けって!まじで!やめ、やめろぉ!くそ、なんで麻酔銃効かねえんだよ!」
「効かねぇ!バカだから!」
「お前はほんとにバカだよ!…誰か大人の人助けてー!」
そんな平和な赤井&宮野ファミリーの束の間の日常の裏で、すべての温度を台無しにするようにバカが殺人犯に向かって叫んだ。
だから何だという話だが。
コナンは頭を抱えていたし、おあとは別によろしくない。
本作への評価として下品すぎるというものを頂きまして、爆笑しました。
その通りです。
むしろこのタイトルからして品性のある作品な理由はないのである意味タイトル通りで10点評価と言えるかもしれません。
下品すぎる本作を今後もよろしくお願いします。
あと感想もたくさんください。
各話に振り返り感想とかください(乞食)
ウンチンパンジー!ウンチンパンジー!