自殺したいならメンションしろ 作:スマイルマン
「はーい、次は俺の番ねー」
俺のミゾオチに拳が入る。あまりの痛みに声を漏らす。
「はは、俺が一番音でかいんじゃね」
俺は半年前からいじめられている。最初は物を隠したり落書きなどささいなものだったが一ヶ月前から誰もいない校舎裏で殴られるようになった。それぞれ殴っていって一番大きく俺にうめき声をあげさせたやつが勝ち、そういう
その日は十数発殴られた。骨は折れていないと思う、いや、正確に言うと折らないように殴られている。
「畜生、いてぇ」
殴られたミゾオチを触る。ひどく腫れがっていて内出血によって血溜まりができている。スマホを見る。ニュースが流れてきた。隣の市で少女が自殺したらしい。その記事のコメントには気になることが書かれていた。
『この女の子スマイルマンチャレンジで自殺したらしいよ』
スマイルマンチャレンジ……。名前を聞くかぎりなにかのゲームなのか? 検索する。……つまり、スマイルマンの指示に従うと楽に自殺できるのか。
「はは、こんなの嘘だろ……」
何回か自殺しようとした、だが、すべて怖くて実行に移せなかった。死ぬのは怖い、それは命を持ったもの全てに生まれてから死ぬまで本能に刻まれたこと。それに抗うことなどできないに決まっている。
だが、だがもしこれが本当なら──。
文字を打ち込む、死にたいの4文字。ただその文字の羅列の意味の重さは他のどの言葉とも違う。@Smile_man。本当に俺は死ねるのだろうか。
「……」
歯を食いしばる、どうか本当であってくれ。死ねるなら今すぐにでも死にたい。この日常を終わらせたい。スマホが震える、誰かからメッセージが来たようだ。メッセージを送ってきたアカウントの名前は@Smaile_man,。どうやら本当だ。
『死にたいか? 』
短いメッセージだ、答えはもちろん『はい』。死にたい。既読がつきURLが送られてくる。何かの映画のようだ。
『これを見てください』
映画の内容はとてつもなくおぞましいスプラッター映画。吐き気がもよおしてくる。ただひたすら残酷な描写がずっと続く。そんな映画だった。
『次はこれを見てください』
2つ目のURL、これも映画だ。内容は先ほどと同じ残虐なスプラッタ映画。人体が欠損するのは当たり前。ただただ腕がちぎれ、足があらぬ方へへし曲がる、眼球は破裂する。だが先ほどより吐き気はこない。むしろ落ち着いている。
『これを見てください』
3つ目は動画だった。それは映画などの作り物ではなく本物の映像。中東かどこか国で兵士が処刑される映像だった。チェーンソーで男の四肢を切っていく。骨は飛び出し、男の悲痛な叫びが響く。だが、怖くない。
『あとは自分で決めてください』
最後のメッセージはそれだけだった。あとは自分で決める……。
俺はフラッと風呂場に向かった。カミソリをとる、そして、刃をゆっくりと手首に当てて切った。痛くない。切った手首を湯船に浸ける。透明な水は赤く染まり出した。意識はある、切った手首も見えている。怖くない、これから死ぬのかもしれない。なんだか、眠くなってきたな。俺はゆっくりと目をつぶった。
警察署のテレビにニュースが流れる。
『警視庁の発表によると今月の自殺件数は4051件、これは……』
4051件、今年最多の自殺数。明らかに異常だ。
「どうなってやがる……」
俺は自殺者のスマホのSNSを調べていた。今週中に管轄内の自殺件数は5件、全ての自殺者はSNSであるアカウントと接触している。その名前は……
こいつが自殺者に何かした可能性が高い。必ず見つけてやる。そして、必ず俺が法の裁きを受けさせる。