夕焼けが乱反射する皇都湾の内側に入る入口付近の真ん中辺りに、一つの艦影がプカプカ浮かぶ
伊33 「夏には少し早いですが、たまには悠々と海の上での諜報活動も良いですね~」
日が水平線に沈むにつれ、彼女の瞳の何かがどんどん広がっていく
伊33 「…深海棲艦、艦娘、ついでに鯨さんの音声ON……後はOFFでいいか」
今まで警戒の為に人間の漁船や浪打の音等も聴いていたが、夜になるのでそれらはOFFにする
伊33 「今日で3日目、さてと、鯨さん達の井戸端会議をラジオ替わりに過ごしますか~」
富士 「ふむ、だが今夜は騒がしくなるらしいぞ?」
警戒してたのにも関わらず、後ろから声をかけられ、慌てて急速潜航する…が
富士 「まぁ待て、直ぐにどうこうするつもりは無い」
急速潜航する伊33の首根っこを掴み、海上に引き揚げる
伊33 「は、放して下さ~い!ただ、私は諜報活動してただけなんです!」
富士 「ほう…百月のところのか…しかも〝どこかの世界”から来たやつとは、珍しい」
完全に観念して、脱力する
伊33 「……富士大将も似たようなモノだとお聞きしてますが……」
富士 「その辺りも含めて聞くとするか、今夜の晩酌に付き合って貰うからな?」
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千堂 「流石みんなね!よく三日でここまで来てくれたわ!」
長門 「ついでに深海棲艦を追い出しながらだったが……日が暮れるな」
日が水平線に沈み、そろそろ夜闇が忍び込んでくる
千堂 「私達機動艦隊は夜明け前に攻撃発起点まで移動、潜水艦部隊はあいつの〝鎮守府”
を偵察、封鎖をお願い」
赤城 「解かりました」
伊58 「行ってくるでち!」
千堂 「むっちゃん達と北上ちゃん達も先行して攻撃発起点周辺の確保をよろしくね!五月雨ちゃ
ん達はこっちの護衛で残ってもらうけれど、それでも確保出来る戦力の筈だから」
陸奥 「わかったわ」
北上 「はいは~い」
千堂 「では皆よろしくね!」
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伊33 「あらら……ホントーに来ちゃったみたいだな~」
富士 「ふむ、アヤツの予想通りだな、配置もそのままでいけそうだ」
伊33 「アヤツというのは例の〝提督”さんですか?」
富士 「そうだ、まぁ百月も予想して貴様をここに潜ませたのだろうしな」
伊33 「てっきり季節外れのお休みかと思いました…そんな訳ないか……」
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明石 「早速戦場に駆り出されるとは思わなかった……」
夕張 「まぁ戦場って言っても砲弾飛び交う場所じゃないからね~まだ楽よ?」
「すいません明石さん、どうしても人手が足りなくて……」
大淀 「艦種も数も違い過ぎる相手に演習で押し通すしかありませんしね…」
明石 「まぁそれは仕方がないから良いですけど…今のこの状態は大丈夫なのですか?」
ちょっと薄気味悪く足元の海面を見つめる
夕張 「大丈夫よ~真下にいるし、こちらの声は聞こえていないから」
「どうも皆、〝あちらの世界”の固定観念が強くてね…艦娘になって出来る範囲が広がって
いるのに、気が付いて居ない艦娘が多い感じだね…」
大淀 「真上に魚雷打ち上げるなんて、私達には無い発想だったのですので…」
明石 「今回のもそれな訳ね?」
夕張 「その通り!これが今回のビックリときめきの⦅水中一網打尽君⦆よ!これと一緒に、この
前響ちゃんに作った⦅メロン式水中聴音機⦆を一般的にグレードダウンした物を明石に
使ってもらいたい!」
明石 「ハイハイ…どれどれ……」
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伊58 「……直上にいるでちね……」
伊168 「一応バレないように深く潜ったけれど……こうなるとこちらも動けないわね…」
伊8 「だけど、このままだとシオンちゃんとシオイちゃんの晴嵐さんが…」
伊401 「流石の晴嵐さんも海の中だと発艦出来ないしね…」
伊400 「ですね…このままだと司令さんや陸奥さん達にも連絡出来ませんし…」
伊19 「夜明けまで時間あるし、どうせ聞こえないから、このままお喋りするのね」
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夕張 「ところがどっこい、全て丸聞こえなのよね~」
明石 「……聞こえすぎよ、これ……」
夕張 「これでも大分感度を落としているわよ?というわけで、⦅水中一網打尽君⦆投下~」
大淀 「今回はあくまでも演習って形ですが、大丈夫でしょうか?」
「上手く行けば大丈夫な筈」
夕張 「よし!かかったわ、明石、お願い」
明石 「私の艤装の起重機をまさかこんな事に使われるとはね……」
鈍い動きながら、確実に巻き上がっていく
夕張 「大漁♪大漁♪」
明石 「さ、流石に重いわね…」
とうとう水面上に巻き上げきった
伊58 「どうゆうことなのでちか?」
伊168 「つ、潰れちゃう!」
伊8 「はっちゃん達お魚さんになっちゃった…」
伊401 「狭くてぎゅうぎゅうだよ……」
伊400 「まさか、上から防潜網が降ってくるなんて……」
伊19 「よりによって、投網に捕まるなんて思ってもみなかったの!」
⦅水中一網打尽君⦆……投網型防潜網に見事にひっかっかかている
大淀 「……ここまで効果があるとは…」
「正直なところ、彼女たちが一番厄介だったのですが……ここまで嵌るとは思わなかった…」
夕張 「さてと…ジックリたっぷりねっとりと、〝鎮守府”に帰って、使われ心地や感想を聞かせ
てもらうわね?」
潜水艦娘「「「「「「ひぃ」」」」」」
「夕張さん、程々にお願いいたしますよ……」
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島風 「天龍さん、おっそ~い」
天龍 「おめぇが速すぎるんだよ…それに司令に黙って勝手に着いてきやがって」
龍田 「天龍ちゃん、島風ちゃんに好かれているからね~」
島風 「おっそ~いけどね!」
天龍 「ちっ…栄光の第十八戦隊はいつから子守に……島風ちょっと止まれ!」
島風 「オゥッ!?」
龍田 「警戒してたけれど、何処から現れたのかしら?」
新月の夜闇の中、突然探照灯に照射された艦娘が現れる
那珂 「皆~!!今日は那珂ちゃんのオールナイトソロライブに来てくれてありがとう!」
とびっきりの笑顔と元気をふりまく
天龍 「……アイツ正気か?」
龍田 「正気だとしたら、凄いアイドル魂ね~」
島風 「速く近づいて、捕まえちゃお?」
言うなり島風が飛び出す
天龍 「気を付けろ、島風!アイツ一人とは限らないぜ!」
島風 「その前に捕まえちゃうんだもん!」
急速に近づく島風を華麗なステップで躱しつつ
那珂 「ダメよ?アイドルにはお触り、き・ん・し・なのよ~♪」
神通 「……それに折角の速力を活かしきれてませんね……」
島風 「オゥッ!?」
何時の間にか神通に後ろから肩を掴む
神通 「…しかもそんな破廉恥な恰好して…ちょっとこっちに来て下さい……」
島風 「ちょっと!?放して!助けて!!」
神通に首根っこを掴まれ、宵闇の海に消えていく
那珂 「あらら~、神通ちゃんのお説教は長いよ~♪頑張ってね!」
天龍 「ふざけるな!島風を返しやがれ!!」
近づいた天龍と龍田の斬撃も、まるで舞台の殺陣の様にひらりひらりと躱す
那珂 「きゃは♪応援ありがと~!那珂ちゃんも頑張るね!」
龍田の後檣薙刀をくるりと回転して避けながら、ステージ衣装に着替える
那珂改二「早着替えはアイドルの基本!夜はこれから♪那珂ちゃんは歌い続けるよ~♪」
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北上 「ん~……何か暇だね~大井っち」
大井 「北上さん、そうですね…近頃は思いっきり冷たくて、素敵な魚雷を撃っていませんし」
木曾 「……姉貴達、どっちみち明日からまた暴れられそうだから、少しは真面目に偵察しよう
ぜ?」
北上 「木曾っちは真面目だね~…まぁ確かにこんな風に来る艦娘もいるものね~」
先を見ると、四つの艦影が電探越しに辛うじて見える
暁 「…あっあ~……テステス……これ声大丈夫?……コホンッ、そこの未所属の艦娘泊まりな
さい!この辺りは、暁達の〝鎮守府”の守備範囲よ?!」
電探すら辛うじて確認出来る距離から、拡声器で増幅された声が聞こえてくる
大井 「張られてたのかしら?見つけられるのが早かったわね…」
木曾 「だが、それで居場所をばらしてくれるとはな…姉貴?」
北上 「つまんないけれど、開幕雷撃で黙らせて拿捕しておこうか~…大井っちも撃ちたがって
たしね~」
大井 「流石北上さん!酸素魚雷20発、発射です!」
木曾 「早いって!こちらも発射だ!」
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雷 「来たわよ!凄い数の魚雷よ!」
電 「なのです!」
暁 「大丈夫よ!心にレディがある限り、魚雷なんか怖くないわよ!」
仁王立ちする暁達から離れた海面下で、次々と魚雷が爆発、誘爆していく
響 「……実際は岩礁の上に立っているだけなんだけどね…」
暁 「…立地的戦術有利を取るのもレディの嗜みよ?」
電 「なのです!」
響 「японялa、勉強になるよ」
雷 「来るわよ!皆も頑張っているから、私達も頑張りましょ!」
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高雄 「……陸奥さん、先行している部隊からの定期連絡が、全て同じ内容の異常無しなのです
が……」
陸奥 「おかしいわね…定時報告の符号は毎回違う文面になる筈なのに…」
愛宕 「妨害電波か、もしくは偽物の符号かしら?」
遠雷の様な微かな音が響いている
加古 「だとしたらヤバいかな?流石に各個撃破される奴らじゃないとは思うけれど」
古鷹 「それもありますが、正確な符号通信が来ていないのが問題ね…私達のも司令さん達に変に
伝わっているかもだし…」
陸奥 「……お相手の戦力的にそんなに広範囲に配置出来ないと思うけど…先行している天龍、
北上隊と合流して、潜水艦部隊の所に威力偵察を兼ねて行きましょう」
川内 「そうそう、夜戦は取り敢えず自分で接敵してからだよね~」
陣形のど真ん中に突然現れた川内に対して即座に射撃体勢に入る
陸奥 「何時の間に?」
川内 「夜戦だからだよ?それに今更気付いても皆私の魚雷範囲だよ?」
既に魚雷発射管の照準は合わされている
高雄 「この距離では貴女も只ではすみませんよ?それとも時間稼ぎ?」
川内 「戦艦1、重巡5なら、戦果は上々だけどつまらないしね~……それに夜戦は長ければ
長い程良いからこのまま続けようね?」
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伊33 「だいぶ騒がしくなってきたなぁ……しかし皆様お元気ですね~」
富士 「貴様もな、さて千堂の部隊とあやつの部隊のどちらかが各個撃破されるのか」
伊33 「?富士大将はどちらの味方なのですか?……正直、艦娘か人間かに分けたら艦娘よりかと
思いましたが?」
富士 「ふむ、勘違いしておるようだが、百月と同じこの国の味方じゃよ…やり方が違うだけだ
な」
伊33 「なるほどなるほど…あの…味方でしたら、そろそろ降ろしてくれませんか?」
富士 「まだ駄目だな、夜は長いぞ?」
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那珂 「那珂ちゃんはね?那珂ちゃんって言うんだ♪ほ・ん・と・に・ね♪」
天龍 「ウロチョロ避けやがって!」
龍田 「天龍ちゃん、魚雷!」
上手く捉えかけても、絶妙な時に魚雷が飛んでくる
天龍 「神通の奴、島風捕まえながら良く見てやがる!」
龍田 「正座で島風ちゃんを説教しながらなんて…器用を通り越しているわね…」
那珂 「余所見していると、みのがすぞ♪きゃは♡」
天龍 「うぜぇえええええ!絶対に捕まえてやる!」
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神通 「……という訳でしてね……ちゃんと相手の目をみなさいね?」
島風 「…足が痺れてきた……」
神通 「……神経滅却すれば火もまた涼しと言いまして、足の痺れも気にならない筈です……」
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北上 「中々やるね~岩礁とかの地の利を活かして、躱しまくるね~」
大井 「かと思ったら、三人一組で逆襲して来て、中々連携が取れているわね」
木曾 「おい、姉貴達!一番おかしい奴を俺に押し付けるな!」
暁 「レディのことを知らないんだね、革命はいつもインテリがはじめるんだ、夢みたいな目標
を持ってやるから、いつも過激なことしかやらない!」
木曾 「そんな事少しも考えていねぇ!!お前たちも止めてくれ!」
響 「Ксожалению、姉さんがああなったら、誰も止められない」
雷 「何か多分、木曾さんに何らかの琴線が触れたと思う」
電 「なのです…」
北上 「まぁあっちはあっちでほっといて、こっちはこっちで真面目にやろうかね~」
大井 「はい、北上さん!」
木曾 「だから!一番おかしい奴を俺に押し付けるな!」
暁 「レディは伊達じゃないのよ!!」
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川内 「やっぱりこうゆうピリピリ感は夜戦の醍醐味だよね~」
加古 「言いたいことは何となくわかるけど……」
古鷹 「ちょっとやり過ぎかも?」
川内 「?なんで?」
陸奥 「幾ら何でも一人で来ないからよ……ひょっとしてあの〝提督”に脅かされているとか?」
川内 「そんな事無いよ?そこに夜戦があれば征くし、何より夜戦だしね!心ゆくまで付き合って
貰うけれど、このまま夜戦を続けよう!!」
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千堂 「……むっちゃん達からの定時連絡はいまだに異常無しのまま?」
五月雨「はい…変わり無いですね……」
長門 「陸奥達に限って黙ってやられるとは思わんが……どうする千堂司令」
千堂 「このまま発起点まで移動するわ」
「一航戦、ニ航戦、五航戦は夜明けと同時にアイツの〝鎮守府”を空襲して沈黙化させる
から、移動中にそのように装備換装よろしくね」
「ちとちよちゃん達は夜明けと同時に全周囲を哨戒、むっちゃん達の捜索を頼むわ」
「五月雨ちゃんは今のうちに皆に補給をして貰って、その後ここで補給部隊と待機、
ないとは思うけれど色々と気を付けてね?」
次々とテキパキと調整、命令下達する
五月雨「あの千堂司令さん、雪風ちゃんも連れていってくれませんか?」
千堂 「?どうしたの?出来れば補給部隊の皆には、むっちゃん達の手助けもお願いしたいけれど
……何かあるの?」
五月雨「私と雪風ちゃん共に何か嫌な予感がしまして……私はともかく雪風ちゃんなら司令達の
邪魔にはならないと思います」
千堂 「わかったわ、なら雪風ちゃんには私と長門の護衛をお願いするわ…それと、五月雨ちゃん
は邪魔どころか物凄く助かってるわよ」
五月雨「ありがとうございます、では雪風ちゃんに伝えて来ますね」
長門 「……ところで千堂司令、私は構わないのだが、その…いつまで私の肩で指揮をするのだ?
夜風が厳しいので、そろそろ休んで欲しいのだが……」
千堂 「ここのが指揮し易い上に皆の様子が見えるしね~…それに一番安全ね」
長門 「そう言ってもらえれば有難いが……あまり無理をなさらずに頼みます」
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伊33 「もう丑三つ時も過ぎますし、各戦場も渾沌としてますし、そろそろお暇を……」
富士 「まぁもう少し待て、そろそろ此処にアヤツが来る頃じゃ」
伊33 「それこそ勘弁して下さい!流石に調査対象に直接接触は百月大将に顔向け出来ません!」
富士 「ふむ、お主はある意味正直者みたいだな、だが恐らく百月の奴はそれすらも勘づいている
筈じゃ」
伊33 「確かに……いやいやいやいや、それでも一応それなりの事を示しませんと」
富士 「仕方ないのぅ、その忠義に免じて簀巻きにして流してやろう」
伊33 「中々酷い仕打ちだった……」
〝こちらの世界“の物理法則=人間の世界の現象が100とすると艦娘の世界の現象は1となります
(例)人間側の波の高さ100mだとすると艦娘側は1mに
砲弾貫通力や爆発力もかなり影響されますが、妖精さん作の兵器等はその壁を打ち破ります、この世界そのものの互換性を与えていると考えられています
当然ながら都合の良いオリジナル設定となっておりますm(_ _)m