段ボール三つと〝鎮守府”になる前から愛用している背負い袋だけの執務室を眺める
「元々新築で、なにもなかったけれど…まさかこんなに早く離れる事になるとはね…」
叢雲 「その割にはアンタは荷物が増えすぎよ……他の皆も多かったけれど」
「まぁこれで補給船が来れば直ぐに積み込んで出発できるね…いつ来るのかな?」
大淀 「ええっと、それが……〝転号作戦”の内容的に〝皇国海軍”の補給船は使えません」
叢雲 「当然ね〝皇国海軍”の補給船使ったら、隠密性も戦線浸透も無理ね」
「………あっ(泣)じゃあどうやって皆の荷物を運ぶの(泣)」
叢雲 「…これよ」つ(ぼくドラム缶!)
「………マジですか(泣)……今のところ何本位になりますか?」
大淀 「燃料、弾薬、鋼材等だけで約350,000本、開発資材や高速修復材、私物やその他で
約50,000本、全部で約400,000本ですね」
「40万?!蓄積限界値を超えるってどれだけ古参なの?と言うか運べ無い(泣)」
叢雲 「訳の分からない事言うな!…今、夕張が此処の建設に使ってた貨物コンテナを改造して、
ドラム缶を圧縮しているわ……妖精さんの技術を使って」
「それでも重さとかは変わらないから曳航出来ないでしょ(泣)やはり補給船を」
大淀 「それが…」叢雲 「できるのよ…一隻で」
「…………誰が?」
叢雲 「……間宮さんよ……一人ずつの曳航力を試験したのだけど……測定装置をつけてた起重機
付きの浮き桟橋ごと引っ張っちゃってね…………」
「……深く考えるのは止めて、夕張さんのドラム缶圧縮収納貨物コンテナの完成を待とう」
大淀 「夕張さんの途中報告では、ドラム缶圧縮収納貨物コンテナは40個に納まりそうです」
叢雲 「それでも多いけれど、速度と隠密性が保てればギリギリ何とかなりそうね」
大淀 「予想ですが、10個連結で大体30~35m位ですね、曳航索次第ですが」
叢雲 「それは明石に頼むしかないわね…揚陸も考えるとなるべく取り回しが良いのが欲しいし」
「引っ越しって大変なんだな……工廠の様子見にいくかな」
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夕張 「と、言う訳で、ドラム缶圧縮収納貨物コンテナ⦅ドラム缶圧縮艀運べる君⦆出来まし
たぁ…コンテナ開閉部を横から上向きに変更、今後の作戦も考慮して大発動艇に二個
搭載可能にし、運搬の際は各⦅ドラム缶圧縮艀運べる君⦆が連結、曳航索の削減と運搬
能力の向上と、外洋での耐久性を確保しました…正し、あくまでも急造品なので、対弾性
や対爆性は皆無と考えて下さいです」
叢雲 「せめて敵機機銃掃射に耐えれる防弾性能は欲しかったわね…」
夕張 「もう止めて!夕張ちゃんの頭は大破寸前なのよ!?」
「そこはもう、輪形陣で皆で守っていくしかないかな…自分達の荷物もあるし」
一人、大喜びしそうな艦娘が目に浮かぶ
叢雲 「やるなら陸地を背にした半輪形陣ね…扇型の」
目に浮かんだ艦娘が扇を開いて高笑いしている……?違和感あるような無いような?
「そこは任せるよ……今気づいたんだけど自分は何処に居れば良いのかな?まさか艦隊司令
部施設に入れっぱなしは流石に泣いちゃうよ?」
夕張 「今⦅ドラム缶圧縮艀運べる君⦆と並行して、明石の余った艦艇修理施設を研究分解して、
入渠施設の小型化と、調理室も乗せる艀を作る作業を実施しているので、そこに四畳半位
の執務室も作っておきますね~」
大淀 「!海の上でも書類整理ができるんですね!なんて素晴らしい!」
「……戦闘海域で優雅に事務処理はイヤでち……」
明石 「適度に休ませてはいるけれど…頭夕張になっちゃっているから、これ以上作業を積み込め
させないで下さいね…」
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「やっぱり引っ越し準備は大変だなぁ……工廠フル回転だったし……」
叢雲 「〝鎮守府”をそっくりそのまま移動させるからね…本当なら〝皇国海軍”の補給船とかで
代用するけど〝転号作戦”を考えるとどうしてもね……」
「ある意味、千堂がやった長門さんに肩車が正解だったのか……絵面が酷かったけど…」
叢雲 「私達は水雷戦隊中心だから仕方ないわよ…はい、航行予定表よ…第一寄港地の呉まで約
三日の予定ね」
「千堂達が往復して、はぐれ深海棲艦達を根こそぎにしているらしいけど、警戒しとくには
問題ないからね~、ありがとう」
叢雲 「〝天号作戦”発動後、呉に移動してから〝転号作戦”よね?皆に伝えておくわ」
「よろしく頼む…取り敢えずは準備も一段落かな?」
大淀 「基地航空隊がまだですよ?それと大阪の八島帝国海軍補給部長と呉の朝日技術機関長に
連絡や停泊の確保もあります」
「……本当に終わりが無い(泣)」
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伊33 「〝天号作戦”が発動するみたいです、先程申請に入りましたので、そろそろ書類が廻って
くるかと思います」
百月 「意外と早かったな、それでこの前の課題は出来ているのか?」
伊33 「今さっき慌てて集めて来ました……こちらです」
百月 「……何枚か逆さまになっておるぞ?それ位の時間は待つというのに……この懸念点の提案
書は貴様のか?」
伊33 「あ、ひゃい!……こぼしたお茶と羊羹の食べかすが残ってましたか?」
百月 「違うわ!このたわけ!…ここの本土防衛の際〝海棲点” 及び深海棲艦の発生の所が気に
なってな」
伊33 「あ、そこですか…私もですが、艦娘や深海棲艦は、いわゆる〝あちらの世界”での最後の
場所とかに縁がありまして…そう考えると日本沿岸も事故とか遭難とか、はたまた台場
みたいなのがあちこちにありますので、それが深海棲艦化したらウザいな~と思いまし
て、陸上型の鬼級とか姫級も増えてますから余計に心配しちゃったのですよ?」(早口)
百月 「長いが、確かにな…よくやった」
伊33 「……なんか知らないけれど褒められたから良いか」
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「色々と準備してたけれど、何個か間に合わなかったな……」
徐々に遠ざかる元〝鎮守府”を見つつ、先導哨戒する鳳翔基地航空隊の偵察機に力一杯手を
振る暁ちゃん達を眺める
……あ!電ちゃんが転んだ!
思わず腰が上がり、艦隊司令部施設の天井に頭をぶつける
「……痛いです(泣)頭ナデナデして、飛んでいけ~して欲しいです!」
叢雲 「何それ…もしかして電の真似かしら?あの娘が見たら号泣するか真顔で魚雷撃ち込まれる
程酷いわよ?」
「(泣)」
大淀 「そ、そこまで酷くはありませんでしたよ?」
叢雲 「大淀…中途半端な慰めは本人が勘違いするからダメよ……あら?響どうしたの?」
少し離れた所で哨戒していた響ちゃんが近づいて来る
叢雲 「さっきの電の真似に対する抗議かしら?」
響 「Нет…アレは確かに酷かったけれど、全く違う事なんだよ」
「そんなにか(泣)……ところでどうしたのかな?何でも良いから話してくれないかな…
海の上では君達の感覚が一番信用できるから」
響 「Спасибо…大湊警備府の時から愛用している12.7cm連装砲の兵装妖精さんと、昨日搭載
した九四式爆雷投射機の兵装妖精さんが、この先危ないって騒いでいてね…」
「兵装妖精さんが?…確かに手信号で危ないって言っているな…この12.7cm連装砲と九四
式爆雷投射機は元々響ちゃんが持ってた兵装?」
響 「違うよ、12.7cm連装砲は潮さんから、九四式爆雷投射機は夕張さんが持ってきたよ」
叢雲 「ちょっと夕張を呼んでくるわ」
「頼む…兵装妖精さんって〝あちらの世界”の記憶ってあるのかな?」
大淀 「どうなのかしら…妖精さんとは手信号での会話で意思疎通をしていますので、中にはいる
かもしれません…明石や夕張さんみたいな専門家ではないのであやふやですが……」
「なら、記憶があるって考えた方が良いか…」
確認している間に明石さんと夕張さんを連れて来てくれた
叢雲 「一応明石も連れてきたわ」
夕張 「航行の合間に、間に合わなかった物を作っていたのですが……どうしました?」
「流石叢雲助かる…夕張さん、響ちゃんのこの九四式爆雷投射機…元は誰のですか?」
明石 「夕張?あんたまさか…?」
夕張 「いやいやいや流石の夕張ちゃんも他の艦娘の装備は盗みませんよ…その九四式爆雷投射機
は、浜風ちゃんの大破して破棄したのを修理、再生した子ですね」
明石 「破棄したのをレストアしたの?夕張あなた必要資材を別のに流用したり、横流しとかして
ないでしょうね?」
夕張 「してないしてない!ちょっと手慰めに治しただけよ!」
「響ちゃんのこの九四式爆雷投射機は浜風さんのか……となると…もしかして……叢雲
航行予定表だと、今夜の停泊地は何処だったけ?」
叢雲 「予定では石廊崎を廻って駿河湾を横断して御前崎沖で停泊予定ね…それがどうしたの?」
「……航跡は違うけれど…出発はほぼ同じだから…もし捕捉されてたとしたらヤバいな…」
大淀 「〝提督”さん…ひょっとして〝あちらの世界”の信濃さんの事ですか?」
響 「だけどまだ信濃さんは〝こちらの世界”には来ていないよ?」
「信濃さん本人ではなくて、深海棲艦達の中にも〝あちらの世界”の影響を受けている個体
がいるって事がヤバいんですよ……もし〝あちらの世界”と同じ戦術を取られたら……」
叢雲 「……そうか夕張特製の⦅ドラム缶圧縮艀運べる君⦆ね…しかも〝あちらの世界”の潜水艦
は群狼戦術……」
「そうそれ!、浜風さんの九四式爆雷投射機の兵装妖精さんは、その事を伝えようとして
いると思う」
妖精さんは激しく同意の手信号を送る
明石 「皇都湾出口で早くも熱烈歓迎ね……」
湾内の藍色より深く濃い紺色の海がうすら寒く感じる
夕張 「早速響ちゃんの聴音機で探して、⦅ポイポイ水中一網打尽君EX⦆でやっちゃいましょ!」
響 「流石に今は音が多過ぎるし、だからと言って泊まると良い的になるよ」
「それに千堂達が往復して、徹底的に掃海している時も隠れきった可能性がある個体だった
ら……鬼級以上の可能性があるんだよな……」
叢雲 「群狼戦術なら三~四隻だけど、鬼級以上なら一隻でも十分だし…」
大淀 「どうしますか?〝提督”さん」
「………このまま航行予定表通りに行きますが、対潜水艦哨戒を特に厳とし、発見、識別し
駿河湾横断中に迎撃します、駿河湾横断までに感知出来なかった場合は航行先を変更し、
沿岸沿いに進みます」
大淀 「了解しました、全員に伝達します」
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?? 「…………アレハ、クウボ?……チガウ?……デモ……トテモ、オイシソウ……」
意識の遥か底の何かが囁く……
?? 「……オイカケテ………アナタヲ……ニ・ガ・サ・ナ・イ」
各妖精さん達=何となく居て、何となく〝こちらの世界”に干渉している存在、不明な点が多く
色々と謎、妖精さん達の作ったモノは妖精さん達のモノでしか干渉出来ず、例え
ば妖精さん作のエンジンに人間の燃料を入れても動かないし逆にしても動かない
艦娘と同じく〝あちらの世界”と関係しているっぽいがそれすら謎(手信号でしか
意思疎通が出来ない為)
後から幾らでも弄れるオリジナル設定ですm(_ _)m