そして色々と忘れている部分があるため、話が飛んでたりするかもしれません。
城下町で武器を買いルイズの部屋に戻ってくつろいでいたら、誰かが部屋のドアをノックしてきた。誰だろうと思いドアを開けてみると、そこにはキュルケとタバサが立っていた。僕が驚いたことと言えば僕の知る限りいつも本を読んでいて、誰とも関わりをもたなそうなタバサがキュルケと一緒にいたことである。
「はーいダーリン」
「・・・・・」
だから誰がダーリンだ、そしてタバサはそんなキュルケにも動じずずっと本を読んでいる。
「ちょっとキュルケ!?何しに来たのよ!!」
しまった部屋にルイズがいるのを忘れていた、あまりこの二人を合わせてはいけないと思っていたのに。
「あなたに用はないわ、私が用があるのはユウトの方よ」
そういうとキュルケは背後に隠し持っていた剣を取り出し僕に差し出してきた。
「今日たまたま城下町に行ってユウトに似合う剣を見つけたのよ」
それは僕とルイズが行った店にあった、あの装飾品と思わしき綺麗な剣だった。この剣武器としては使えないが値段は相当高いんじゃないか?
「ちょっと私の使い魔に勝手なことしないでちょうだい!!」
どうやらキュルケから何かもらうことも嫌っているらしい、借りを作りたくないのかもしれない。
「これを受け取るか受け取らないかはユウトが決めることよ?」
そういうと二人が一斉にこちらを見てきた、完全にとばっちりだ。僕としてはわざわざ買ってもらったのだから受け取りたいのだが、おそらくルイズはそれを許さないだろう。
「ちょっと!早く断りなさいよ!!」
「やめなさいルイズ!ユウトが困ってるじゃないの!」
できれば二人ともやめて欲しいのだが、そんなこと言ったら殺されそうだ。
僕は唯一この争いに関わっていないタバサに助けを求めるようにアイコンタクトを送った。
するとタバサは僕のアイコンタクトに気づいてくれたのか、そっと本を閉じ一言こういった。
「決闘」
僕の判断ミスだったようだ。てか貴族同士の決闘って禁止されてるんじゃなかったっけ?
「いい提案じゃないタバサ、そろそろこの子にお灸をすえてやる必要があるわよね」
「上等じゃない!やれるもんならやってみなさいよ!」
ダメだ、二人とも完全に火がついちゃってる。でも決闘となると圧倒的にルイズが不利になってしまう、どうにかしてやめさせなければ。
「二人とも落ち着きなよ、話し合いで解決とかさ!」
「そうと決まればさっそく校庭に行くわよ!」
「その強気がいつまで続くのかしらね!」
完全にスルーされてしまった。
どうやらキュルケは「トライアングル」という非常に優秀な魔法使いらしい、そんな相手に「ゼロ」であるルイズが真正面から魔法で決闘を挑んでも結果が目に見えている。ならばどうするのかというと学院の一番高い塔に、ある「物」を縄でくくりつけその縄を魔法で切ったら勝ちというルールで決闘するらしい。なんでもその塔には宝物庫があるらしく、万が一塔に魔法が当たってしまってもその宝物庫を守る魔法が防いでくれるのだとか、それで肝心の「物」なんだけど。
「なぜ僕が・・・・・」
この決闘には僕も関与しているとのことで、強制的に縄にくくりつけられてしまった。
「さぁ始めるわよ!」
「私が最初じゃすぐ終わってしまうから、あなたからお先にどうぞ?」
その言葉にムキになったのか、ルイズは杖を僕のほうに向け詠唱を唱えた。
「ファイアーボール!!」
ルイズの魔法は僕のすぐ右隣で爆発した。
そしてその魔法の影響で塔の一部にヒビが入り、爆発の影響で塔の破片が僕の頬をかすめて飛んでいった。
誰だこの塔は魔法で守られているなんて言ったやつは、ヒビ入ってるじゃないか、今のガもし強力な魔法だったら、今頃塔が崩れ落ち僕もその下敷きになっていたところだ。
「次は私の番ね」
僕の心配をよそに次はキュルケが杖を構え魔法の詠唱を唱えた。
「ファイアーボール!」
ルイズと同じ詠唱だったが見た目は全然違う、まずルイズの魔法は爆発するまでその軌道が見えなかったが、キュルケの魔法は火の塊が飛んでくるのをちゃんと確認できた。そしてその火の塊は僕を結んでいる縄に直撃し、いとも簡単に縄を切ってしまった。
「うわっ!?」
すると当然今まで僕の命綱になっていた縄が切れたことで、僕は重力に引っ張られ地上に向かってまっさかさまに落ちていった。
落ちている最中一瞬塔の方を見たが、ルイズがつけたヒビ以外傷が見えなかった。キュルケの魔法は相当威力があったと思うが、やはり火の塊と爆発では物に与える影響が違うのだろうか。
なんて考えごとをしている余裕はない、いくら魔法で回復ができる世界だからって死んだ人間を生き返らせるなんてできないだろう、このままでは確実に死んでしまう。
なんてことを考えていたら、タバサが使い間のドラゴンに乗って僕を見事キャッチしてくれた。なんでも最初からこうするつもりだったとか、なら初めにそれを聞かせて欲しかった。
僕はタバサの使い魔の背中に乗りながらそんなことを考えていると、僕がさっきまで吊るされていた塔の最上階付近が大きな手のようなもので壊されるのが見えた。
「何だ!?」
その手はどうやら土でできているようだった、手の奥にはその手の大きさと同様の大きな人形が立っていた。人形といってもギーシュが出していた人形とはわけが違う、この人形は一体しかいないようだがこれとタイマンしろといわれたら間違いなく勝てない。
「ファイアーボール!!」
大きな土の人形に注目していたら、いきなりルイズの声が聞こえた。そしてその土の人形の腕がルイズの魔法によって爆発したのだ。
「なんなのこのゴーレム!?」
キュルケは驚いていた、どうやらこいつはゴーレムというらしい。
「はっはっは!破壊の杖は確かに頂いたよ!?」
良く見てみるとゴーレムの肩にフードを深くかぶった人間が乗っていた、その人間の手には一つの箱が大事そうに抱えられている。
「土くれのフーケ」
タバサがそうつぶやいた、なんでも貴族など金持ちの家を狙い盗みを働く輩らしい。土くれのフーケと呼ばれたそいつは用が済んだのか、目撃者である僕らには見向きもせず学院近くの森へと逃げていった。
トリステイン魔法学院の学院長のオールドオスマンは学院長室に教師を集めていた、緊急の会議を開くためである。会議の内容は宝物庫から破壊の杖が盗まれたというものであった、そしてその時間まさに土くれのフーケが宝物庫から破壊の杖を盗むところを僕らは見ていたため、一緒に会議に参加しているのだ。
「土くれのフーケを倒し、名を上げたいと思う者はおらんのか!?」
白くて長い顎髭を生やした老人が教師達に問いかけていた、その人物こそこの学院の学院長のオールドオスマンである。
オールドオスマンの問いかけに誰一人答えようとしなかった、それもそうか聞いたところによると土くれのフーケとはトライアングルの魔法使いだという、教師の中にもトライアングルの魔法使いはいるが、土くれのフーケと対等に戦えるような者はそうそういない。
すると僕のすぐ近くから一本の杖が頭上高くに掲げられた。
「ルイズ!?」
オールドオスマンは教師達に問いかけたのであって、決してこの場にいる三人の生徒に問いかたものではない。
「ミス・ヴァリエール!?君はまだ学生じゃないか!?」
ルイズが杖を掲げたことに驚いたコルベールは杖を下ろすように注意した。
「ですが誰も杖を掲げないじゃないですか!?誰もいかないというのなら私が行きます!!」
しかしルイズの意思は堅かった、そしてルイズに続いて一本、もう一本と杖が掲げられた。キュルケとタバサも参加してくれるとのことだ。
「・・・どうやら君達に頼むしかないようじゃのう、土くれのフーケの潜伏場所はワシの秘書であるミス・ロングビルがすでにつきとめておる。ミス・ロングビル案内役を頼めるかの?」
「わかりました、彼女達は私が責任を持ってお守りします」
「うむ、頼んだぞ」
ミス・ロングビルと呼ばれる女性に連れられて、僕らは土くれのフーケが潜伏しているという森までやってきた。
「周辺の人に聞き込みをしたところ、あの小屋に入っていく人影を見たとのことです」
森を少し進んだろことに今は使われていないであろう物置のような小屋があった。窓ガラスにはヒビが入いっており、壁も虫に食われているのかボロボロだった。
「あんなところに本当にフーケがいるのかしら?」
「私は念のため周囲を確認してきます」
もしかしたら森の中にフーケが潜んでいるかもしれないと、ロングビルが周囲を探索することにした。
「私達はあの小屋を調べることにしましょう」
みんなで小屋の中に入っては背後ががら空きになるとのことで、初めに僕が小屋の中に入り、続いてキュルケとタバサが小屋に入ることにした。ルイズは小屋の外で見張りをする役割だ。
「・・・・・・問題ないようだよ」
僕が小屋の中に人気がないことを確認し、キュルケとタバサを小屋の中へ入れた。
「本当にこんなところにフーケがいたのかしら?」
「あまり潜伏していたって雰囲気ではないよね、その辺埃まみれだし、蜘蛛の巣とかもあるし」
床には泥のついた靴の跡があったため、最近誰かがこの小屋に入ったことは間違えないのだろう、しかし潜伏していたにしては物が動かされた形跡などがまったくなかった。
「もしかしたら目撃証言自体間違いだったのかもしれないね」
僕が他の場所も探してみようと言いかけたそのとき
「あった」
タバサの手には宝物庫から盗まれたという箱があった。
「もしかして、破壊の杖!?」
キュルケが驚いて声を上げたそのとき、大きな地震でも起きたのかと思うくらい地面が揺れた。
「きゃああああああ!!!」
そして外で見張りをしていたルイズの叫び声が聞こえたのだ、僕らは慌てて小屋から出た、そしてそこには学院を襲った大きな土のゴーレムが立っていたのだ。
「ファイアーボール!!」
「エアカッター!」
キュルケとタバサが瞬時に魔法を繰り出した、そしてゴーレムの体に魔法が直撃し大きな穴が開いたのだ。
「いけるわ!!」
キュルケが勝利を確信したそのとき、ゴーレムが回りの土を吸収し見る見るうちに再生した。
「そんなのあり!?」
「逃げる」
タバサは近くに待機させていたのか、使い魔のドラゴンを呼び背中に飛び乗った。
「それがよさそうね!!ルイズ・・・って、あら?」
キュルケがルイズを呼ぼうとしたが、肝心のルイズの姿が見えなかった。
「あそこ!」
いつにもなく慌てた様子でタバサがゴーレムの足元を指差した、そしてそこにはルイズの姿があった。
「あの子!?あんなところで何してるのよ!?」
「僕が行く!!二人は空へ!!」
二人の返事を聞かないうちに僕はすでに走り出していた。
「私だって貴族なのよ・・・・ファイアーボール!!」
巨大なゴーレムに向かって魔法を詠唱した、しかしルイズの魔法ではゴーレムに傷をつけることができなかったのだ。
そしてゴーレムは巨大な足で足元にいたルイズを踏み潰そうとしていた。
「この!!ファイーアボール!!ファイアーボール!!」
当然ゴーレムにその魔法は通用しない、僕は背中に背負っていたデルフリンガーを抜き一気にルイズの元へと走っていった。
まさに間一髪だった、僕は走りながらルイズを担ぎゴーレムに踏み潰されるのを回避したのだ。
「ユウト!?すぐに離して!!あいつは私が倒すわ!!」
僕に担がれながらルイズはジタバタと暴れていた。
「うるさい!!死ぬところだったんだぞ!!」
僕が本気で怒ったのはいつ以来だっただろうか、それくらい僕は怒っていたし怖かったのだ。そんな僕に驚いたのか、ルイズは少し涙目になり暴れるのをやめた。
「だ、だって・・・私だけ何もできていないなんて、そんなの嫌なのよ」
ルイズは自分の無力さを悔いていた、普段何もできずに馬鹿にされているため、フーケを捕まえて手柄を立てたかったのだろう。
僕はすぐにタバサを呼びルイズをドラゴンの背中に乗せてもらった。
「あなたも」
「僕はいい4人も乗ったら動きも遅くなるでしょ?あいつの気を引きつけるから先に行って!」
「ユウト!?」
僕はルイズを送り届けたあと、再びゴーレムの足元まで移動した。
「ねぇデルフ、これに勝てると思う?」
「こいつは傷がついてもすぐ再生しちまうからな、再生する前にズタボロにすりゃなんとかなるかもな」
「それって結構難しいよね?」
「結構なんてもんじゃないぜ、少なくとも今の相棒には無理かもな!」
そんな希望のないことを元気良く言われるとテンション下がるな、でもこのゴーレムがどんな攻撃をしてくるのかまだ分かってないんだ。少なくとも三人が安全なところに逃げ切るまでは時間を稼がないと。
僕はデルフリンガーを強く握り、震える膝を必死に押さえながらゴーレムと戦う覚悟を決めた。
次回はフーケ討伐