『生』永遠を紡ぐジンチョウゲ   作:ある日そこに居たであろうクマさん

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人の子よ...聞きなさい。

人とは有限たり得て初めて人なのだ。

だが、私は...

いや、これで良い。

私の命は...

我が『生』はこの為に...

()()()()()()()()()()()()()()()()...





第九生 "無限の黒鬼,,と"有限の者達,,

 

 

幻霊獄島内の南側〜

 

風鳴翼が投獄されているその場所では...

 

「これはまた、随分と...」

 

「何者だ?...いや、その面は...まさかッ!?」

 

「そういう事。どうやら、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

響と翼を除いたS.O.N.G所属のシンフォギア奏者達と司令である風鳴弦十郎。そしてこの島内で出会った謎の女性 江華。

 

それに対し、今やってきた影。

 

いや、絶望こそは...

 

「天照院奈落...いや、()()()()()()() ()()():()()()。アンタ達の知る天羽奏に『(アルタナ)』を分け与えた人物であり、アンタ達の真の敵さ」

 

「この女が...空亡ッ!?」

 

「デェス!?いきなりラスボスが出てきたんデスか!?」

 

「こいつが、先輩をこんな目に遭わせて、あの馬鹿を狙ってるっていう...!」

 

「天照院奈落の首領!」

 

新生天照院奈落 首領:空亡。

 

またの名を...

 

「なるほど...そこの赤髪の男性は風鳴弦十郎殿でしたか?貴方もまた風波の...()()()()()()()()...」

 

「何?どういう事だ?彼女とは一体誰のことを言っている!?」

 

「ああっ失礼。自己紹介がきちんと出来ていませんでした。改めて、私の名は()()()()。天照院奈落の首領をやっている者であり...」

 

「最生のロンとも呼ばれております」

 

風鳴ロン。『最生』の称号と権能を持つ『ロン』の一人である。

 

「「最生の...ロン?」」

 

「それに、コイツ今なんつった!?」

 

「風鳴...ですって!?」

 

「なん...だと...」

(風鳴だと...馬鹿なッ!奈落の首領が風鳴家の者だとでも言うのか!?そもそも親父はこれを知っているのか?)

 

そしてそれに対するS.O.N.Gメンバーの反応は疑問と驚愕に満ちたものだった。突如現れた敵の首領が名乗った最生という単語と聞き覚えのある風鳴と言う苗字。弦十郎と翼。果てには訃堂と同じ苗字。

 

つまり彼は...

 

「君達、名前の事なんてまともに聞いちゃいけない。コイツらが名乗る名前ってのは一部例外を除いて()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

だが、皆が同時に思い浮かべた考えを否定する様に江華が声を上げた。それは彼女がロンの正体についての情報を所有しているからに他ならなかった。

 

それは...

 

「?どう言う事だ!何か知っているのか!?」

 

「簡単だよ。さっき自分で語っていた様にコイツの名は『最生』のロン。こことは別の異世界出身の存在であり、ロン・クロイツと呼ばれる男に付き従う複製体(クローン)に近い存在」

 

「何!?クローンに近い存在だと!」

 

「しかも異世界って言ったら、前に会ったキス...アイツや調査兵団なんかと一緒って事か!?」

 

「そうね。良く考えたらイリヤ達や調査兵団に時空管理局。その他にも異世界やそれらしき存在との接触は今まで無かった訳じゃ無いわ...」

 

「なるほど、確かにそれならこの異様な気配や不死にも納得は行く。だが、事前に調べた情報ではコイツはおそらく数百年以上前からこの世界に居た筈だ!それについてはどうなんだ!」

 

最生のロン。彼こそはロン・クロイツなる存在の複製体(クローン)に限りなく近い存在であること。そしてこの世界とは別の異世界出身の存在でもあるという事だった。そしてクリスやマリアを筆頭にした奏者達はその存在に驚きつつも今まで解決してきた事件の中に異世界関係のものがあった事を思い出し納得していた。

 

だが、弦十郎だけはそれ以上にある部分が謎のままである事について言及する。それが事前に調べた奈落の情報。限られたものしか無かったが、奈落首領の情報については数百年前か数千年の時を生きているというものが見つかっている。それが嘘か本当かは定かでは無かったが、あの奏の姿と現在現れた眼前の存在を見るにそれは本当だったと理解するしかなかった。

 

故にこそ、異世界の存在だと言うなら何故その存在が大昔からこの世界居て、更に風鳴の名を冠しているのか?更に自分達のモデルとなった人物の名を名乗っているという発言。

 

これは一体...

 

だが、またしてもそれに答えてくれたのが江華である。

 

「簡単に言うと、そいつらはさっき言ったロン・クロイツって奴の()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。どちらかと言うと人造人間に近いのかもしれないけど...」

 

「人造人間?、って事は自動人形(オートスコアラー)みたいな奴って事か!?」

 

「じゃあこの人も誰かに...そのロンって人に造られた存在って事デスか?」

 

「そうさ。そしてそいつのモデルには君達の良く知る風鳴訃堂のものも入っている。これを奴等は人格モデルと呼んでるのさ」

 

『人格モデル?』

 

江華の言葉を聞きS.O.N.G一同は再び思考を回させられる事になる。他社の魂の複製、異世界の最強に近い存在の人格、そしてそれらを合わせた人格モデル。様々な謎が新たに浮上し、弦十郎や奏者達は唯一過去の経験からキャロルや自動人形達の事を思い出し、あれと近い物かと納得する。

 

いや今ある情報では()()()()()()()()が正しいのかもしれない。

 

「...良く知っていますね。確か江華さんと言いましたか?貴女の事はあの世界含めて知っております。貴女や他の方も含めて、『あの方』のお仲間で?」

 

「...一度は交渉したと聞いてたが...やっぱり知ってるんだね。アタシ達の事も...」

 

「ええ、最初は最死と交渉したと聞きました。そして最死...いえ、最死の分身はその話に乗ったと...尤も、この件に関しては我々もオリジナル達には伝えておりません。何せオリジナルに話せば計画に()()()()()()()()()()()

 

「それに、我々はあの方に危害を加える事が出来ず、オリジナルもそれを嫌う。それ故に()()()()()()()()()()()()()()()。この事が奴に知られれば、全ての世界を巻き込み、今ある計画も全て無視して奴はあの方を滅ぼすでしょう」

 

「あの方?計画?それに最厄だと?何の事だ?」

 

再び続くロンと江華の話。生憎、今のS.O.N.Gのメンバーにその全てを理解する事は叶わなかった。

 

だが、唯一理解出来たのは...

 

「貴方達にも...そして江華さんにも...どちらにも申し訳ないですが、こちらは早く風鳴翼を捕らえ直し、立花響を捕獲したいのですよ」

 

「故に...そろそろ始めましょうか」

 

「ッ!全員構えろ!相手を人間だとは思うな!奴は今までお前達が戦ってきたどの敵より強い!先ずオレとマリア君で積極的に前に上がる!調くんと切歌くんは隙を見て切り込んでくれ!クリスくんは今回は後方からの遠距離狙撃による援護のみに徹してくれ!状況次第で決めに来い!!」

 

『了解!』

 

「では、アタシも多少は手伝おうかな。流石にキツイとは思うが、問題は時間が稼げるかどうかだ」

 

「そうですか...貴方達は何も分かってはいない」

 

理解、出来たのは...

 

「果敢無き哉...否.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

既に...この戦いが...

 

 

「儚き哉」

 

『ッ!?』

 

「?なんで...なんでみんな...そこに居るデス?」

 

「切...ちゃん?」

 

相手側の王手(チェック)の状態であった事。

 

「ッ!全員しっかりしろ!切歌君はここに居る!」

 

「えっそれは...あれッ!?本当デス!ちゃんと調達と一緒に居るデス!」

 

「切...ちゃん!良かったっ...でも、まだあの人...」

 

「ああ、どう言う原理かは分かんねえが、オッサンが指摘してそこに居る切歌(本人)を認識しても消えねえ。つまり幻覚や幻の可能性は低いって事だ」

 

「そうね。勿論低いだけで無い訳ではないけれど...じゃあ、あれは一体?」

 

ロンの片手にある切歌の頭。それは幻では無く、偽物では無く。

 

その正体とは...

 

「これは本物ですよ...本物の切歌さんの頭。ただし星の観測した今までの情報にある切歌さんご本人の()()()()とも呼べる代物ですがね」

 

「同一媒体...だと?」

 

「そう、同一媒体。この星の今までの歴史に刻まれた...()()()()()()()()()()()()。『生』ある者の記録そのものであり、現在進行型で刻まれ続けている足跡にして痕跡。これを世に星人記録帯(アルマニクス)と呼ぶ」

 

星人記録帯(アルマニクス)?...でも、要はそこからコピーした切歌の頭を自分の手の中に再現した...貴方の言っている事はそれだけに聞こえるけれど...」

 

「マリアさんでしたか?確かに貴女の言う事は()()()()()

 

「半分?」

 

同一媒体...正確にはそれを作り出す為に使った星人記録帯(アルマニクス)。ではあの切歌の頭とその存在に何の意味と共通点があるのか...

 

それは。

 

星人記録帯(アルマニクス)とは即ち人類や生物がその星で如何にして『生』きて来たかの歴史。では何故私は今ここで切歌さんの頭を自身の手に出したと思いますか?大事なのは結果より過程...私は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「まさか...お前は、その星人記録帯とやらに...!!」

 

「そう。第一に過程の重大さを...第二に結果の予測を。より早く、より的確に貴方達は判断すべきだった。そうすればここからこの場の皆だけで逃げられるという選択も出来たかもしれない」

 

「ねえ、司令。これって...!!」

 

「ああッ!非常にマズイと言わざる得ない...!!もし奴の言っている事がオレの想像と合致した場合...」

 

そう。最生のロン。その力は『生』への干渉と永劫の『生』。ありとあらゆる生命へ干渉し、操り、操作し、生かし、殺せる。権能を使っているかどうかでどれほどの事を出来るかは限られるが、現状の力でも、その気になれば...

 

「惑星の一つや二つ。その数億年分の記録を取り出し、操る事など造作もなく。ましてや...記録から貴方達を...()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「!おいおいおいッ!?とんでもねえ事言ってんぞ!あいつッ」

 

「ええっ!?どう言う事デスか?頭がごちゃごちゃして何がなんだか...」

 

「切ちゃん...よく聞いて、つまりこう言う事...」

 

他人の身体と遠距離から繋がっ(リンクし)た肉体を作り、それを傷つける事で...

 

「つまりだ。切歌君含め、我々の肉体と同じ物を奴が作り、その部位を傷つければそれと同じ傷やダメージが俺達の方にも来るという事だ!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

あまりに凶悪、あまりに理不尽。本来なら絶対に回避は不可能であり、防御なども不可能だろう。もしこれに抗える者が居るとしたらそれは『生』たり得ない者か。

 

もしくは...

 

「ッ!だからこそアタシが居る!」

 

彼女(江華)の様な存在である。

 

(奴のやった事はアルタナの...龍脈のコントロールに近い現象!ならこちらも同じようにこの龍脈に接続!星人記録帯とやらにアクセスし、多少の動きを阻害する!奴がこの原理で出来た事を確認出来た以上、アタシに同じ事が出来ない事は無い!!)

 

江華が地面に向かい手をついて何かを流すように念ずると彼女の中のアルタナがこの大地へ流れだし、そのまま彼がやった様に星人記録帯への干渉に成功し、自由にコントロール出来ないものの彼の星人記録帯の操作を一時的に無力化した。

 

だが...

 

「ほう...真似事とはいえ、一度見ただけでこれが出来る様になりますか...何とも素晴らしく、そして()()()()()()()。その力をオリジナルの為に使い、人間を絶滅する側に使えればどれほど幸せに生きれたか」

 

「ハッ!悪いけど、アタシはそんな事をする気は無いし、アタシの家族に至ってはアンタやオリジナルとやらと居るよりよっぽどアタシの事を幸せにしてくれる人達ばかりでね」

 

「悪いが、アンタの思い通りにはならないよ!」

 

「そう...ですか...」

 

『彼女』すら分かっていなかった。

 

否、知っていたのに...

 

()()()()()()()()()

 

『生』とは...

 

新虚刀流(しんきょとうりゅう)...」

 

『ッ!』

 

その声が聞こえた瞬間、彼女達の見ていた超常的な日常(いつもどおり)は...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華我黒霊(はがくれ)

 

「先ず...一匹」

 

「へ?...」

 

『なっ!?』

 

「そん...な」

 

本当の意味での非日常(おそれ)へと姿を変える。

 

彼女は分かっていなかった...

 

『生』とは...()()()()()

 

「クリ...ス...くん?」

 

「嘘...先輩...」

 

「そん...なっ」

 

「嘘デス...こんな、嘘に決まってる、るデス」

 

永劫の時を生き、永劫の時間を過ごし、その中で彼は様々な『生』を見て来た。

 

そしてそれと同時に数えきれ無い『死』と数えきれない『善』と『悪』を見て来た。そしてそこで一番目の当たりにしてのが...

 

『人間』である。自身達が慕うオリジナルがどうして()()()()()()()()()()()?それは生まれたばかりの彼には分からなかった。

 

だが、永遠に近い時を生き、それを体験した事によって全ては一転する。

 

オリジナルだけでは無い。『彼女』や『あの娘』の居場所や努力を...その結果を奪った人間は...

 

人間(クズ)どもだけは...赦しておけぬのだ...!!!

 

 

「無駄な努力ご苦労。先ずはご褒美に全員その『生』を没収して差し上げます。そしてより確実な死を与え、その後に立花響諸共生き返らせてあげましょう。何せ...」

 

「『彼女』には良く働いてもらいました。故に彼女への褒美として...」

 

「貴方達との『生』を与えてあげましょう」

 

絶対の『生』。『生』という絶対の無限の体現者。全ての『生』を切り伏せる死剣にして、全ての『生』を代表者。

 

ここより始まるのはただの闘争では無い...

 

『生』である生物達による生存競争。

 

その理からの脱却の為がゲーム。

 

主催者たるその代表は...

 

「さあ、謳いましょうか。『生』なる詩を...」

 

 

『最生』のロン。

 

またの名を風鳴ロン...

 

否...

 

 

 

 

真名:七之姫(ななのき)ロン!!

 

 

人格モデル:吉田松陽 風鳴訃堂 宮本武蔵 鑢七実。

 

かつての風鳴一族の先祖であり...

 

風鳴叶愛(かなめ)の主君にして絶対の鞘。

 

唯一...彼女と()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

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