『生』永遠を紡ぐジンチョウゲ 作:ある日そこに居たであろうクマさん
「ハアァァァッッーーーー!!!!」
「吹き飛べッッ!!!」
ぶつかり合うは黒きオーラを纏う暗黒の拳とガングニールの黄金に光輝く拳。その威力はその場に近い幻霊獄島は勿論。この場から遠く離れた日本の本島までも届いていた。
だが、二人は未だぶつかり合ったままの状態を保ち続けている。それは片方の...シンフォギアを...ガングニールを纏う人物。奏者の一人立花響。彼女の意思だった。
「奏さんッ!なんでこんな事っ」
「...貴様と喋る事はない」
「貴女に無くても私にはあります!それに翼さんだって」
「知らんな...人間は全員死ぬべき存在。貴様はその中でも特別に我々やロン様達の為に死ねるのだ...有り難く思えッ!!」
「そんな...」
あの遭遇から数分...響と奏と思わしき奈落の人物。彼女達は海上でたった二人で戦闘を行っていた。だが、その理由は単純。相手側発したセリフにあった。奏と思わしき人物。彼女は言った。
『捕獲対象...立花響を発見』と。
つまりこの女性の狙いは響一人の可能性が高い。そこで響は自身がそこに残り皆を先に行かせて翼の救出を最優先にさせる事を思いついた訳である。無論、他のメンバーは反対した。非常に危険だと...
だが...
『大丈夫!へいき、へっちゃらです!』
響のその言葉を聞いた事...だけでは無い。
その時の響の目がいつもとは違った意志を宿していた事。そして何より今は一刻も早く翼を助け出さねばならない事。それらの事を考え、皆は先に向かった。
彼女に
『響君...無理をするなとは言わん!だが...』
『はい』
『絶対に一緒に帰るぞッ!!』
『はい!!』
そしてその約束の為にも...
「貴女も...連れて帰るッ!!」
「無理だな。お前はここで捕える。そもそも貴様は新たな世界創造の為の生贄に過ぎん!ロン様の為に...あの方達の為に死ねるのだッ!光栄に思うがいい!」
「奏さん...」
(明らかに様子がおかしい...それに師匠が言ってた不死の話。そして奏さんの言う生贄。つまり今奏さんが仕えてる人。天召院奈落。その首領の人が...全ての原因...ああッ!もう分かんなくなってきた!)
響の宣言に奏は以前とは全く違う...ましてや響達が出会った並行世界の奏とも違う険悪な雰囲気で返答し更に滅茶苦茶な言い分で響を捕らえようとしていた。そして響がその奏の様子を見て思考を続ける中...
その隙を...
「何処を見ている?」
「うわあァァァッッーーー!?」
見逃す奏では無い...
いや、正確には...
「何度も言うが、私は奏では無い。我が名は灯。
「ぐっぐうぅぅッッ!!!」
新生天召院奈落。その幹部である...
奈落三鬼と呼ばれる一人。
灯。彼女は自身の事をそう名乗りながら空中から響の無防備な体に腕に着けていた籠手越しにボディブローをお見舞いし、そのまま響と共に空中で一回転しながら彼女を海に叩きつけたッ!!
ザバァァァッッ!!!
「ぐぶあぁぁッッッ!?...」
「チッ逃したかッ!だが、まだ近くに...」
だが、響は溺れかけながらも海に叩きつけられる直後に自身の拳で更なる水飛沫を上げ、灯の目を眩ましその姿を消した。そして灯は必死に彼女の姿を探すのだが...
「気配が...無い?」
(まさか...
そして次に隙を見せた。
否、見せてしまったのは...
「なら次は幻霊「行かせないッ!!」ッ!?」
「次は私の番ですよ!奏さん!」
「貴様アァァァッッッーーーー!!!!!」
灯だった!実は響は水中の中では無く更なる上空に既に移動した後だったのだ。というのもあの時、水飛沫を上げた時点であれは水中からでは無く水中に入る前の段階で拳を突き出しており、あの時の溺れたような声は一瞬だけ顔が思いっきりその中に浸かったが為に過ぎない。つまり響は最初から水中に逃げた訳では無かったのだ。
そして響は灯の身体を完全にホールドし、そのままある場所へと高速で突っ込んで行く。それは本来なら響が先程別れた弦十郎達と向かう予定だった島。
紫色の気味の悪い霧を抜け目の前に広がるのは...
「貴様ッまさか!?」
「目を...」
幻霊獄島...
彼女達が激突したのはその中の山岳地帯。
その一角であった。
一方そのころ...
数刻前...
翼達はというと...
「そこを退けェ...貴様らに用は無い。だが...今この場で散りたいと言うなら話は別よ...その心意気次第では一瞬で首を刎ねん事も無いッ!!」
「抜かせ...我々も貴様に用は無い!あるのはその女のみ。そして貴様にあるのは『死』のみである」
「ほう。貴様ら程度でこの風鳴訃堂を倒せると...」
「無論だな」
「「「「「.....」」」」」
牢屋から抜け出した訃堂と翼。二人はそこからかなりの距離を走るも一向に出口は見つからず...ましてや何処を見渡しても牢屋、牢屋、牢屋。そして翼がそんな景色を見飽きた頃に追手がやってきた。おそらく奈落の刺客であろう人物が二十名程...
そしてそのリーダー格であろう人物と向き合う訃堂。更にそれを背後から見守る翼だったが...
(クソッこんな時にギアを使えないとは...シンフォギア奏者に、防人にあるまじき失態。
そう、翼は投獄時に自身のギアを奈落に押収されており現時点でその使用は不可能と言える状態である。故にこそ今の所、戦闘は訃堂に任せる他無いのだが...
「フフッなるほど...」
「?何がおかしい」
その中で突如訃堂が奈落のメンバー相手に笑みを溢し、奈落のメンバーや翼はその姿に疑問符を浮かべるのだが...
「来たな...」
「何?」
そして次の瞬間ッ!!
「AMENッッ!!!」
ズザザザッッッ!!!!!
「「「ガアァァァァッッッッ!?」」」
「なん...だと?」
奈落の者達の背後から謎の物体が投擲され二十人以上居た彼等の部隊の凡そ五人から六人が前方の壁に串刺しにされておりその光を避けた団員も幾人かは足や腕を1本づつ吹き飛ばされる様な重傷を負っていた。
そして...
カツッ カツッ...
響き渡るのはとても重く、とても暗い足音と声...
カツッ カツッ...
暗闇から現れる姿。そしてその眼光は全てを射抜き...
カツッ カツ .....
異界の地。異例の事態。異常の登場。
未だ謎多き監獄の島。
そしてそこに降り立ちうるは...
「クルルルァァァッッ!!!」
「新しい侵入者かッ!!」
破壊か...
「みんなッ見張りは居ないが何かが起こっているのは確かだッ!行くぞッ!!」
『はい!』
希望か...
「なるほどな...そちらがその気なら使おう。奥の手を...」
「奏さん...それは...バイザー?」
絶望か...
それとも...
「どうやら...怪物がこっちに来てるみたいだね...」
混沌なのか...
今ここに混沌渦巻く島での決戦が...
「...私も、出ますか」
幕を上げるッッ!!!