フーシャ村の大海賊と大賞金稼ぎ   作:NEW謝

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お前の肉を貰いに行く

 「宝払いで!」  

 

 ルフィの一言で、店の店主は笑いながら厨房へと消えていった。

 見慣れた光景。原作でも見たことあるような、そんなシーンだ。

 

 「でもなんか嫉妬するわー」 

 「なんだ? オレの肉はわけねーぞ」

 

 軽く睨んでくるルフィに、「いらねーよ」とムスッとしながら顔をそむける。

 

 ──ONEPIECEに転生して半年。

 ……何やってんだろ、俺。

 

 俺だってルフィは好きだ。

 転生前の俺は修行後のルフィと同い年19歳、あの頃はは背中を押される事だって一杯あった。

 けど同い年で、同じ村出身の奴が、これから大海賊になっていくんだ。

 どれだけ無力なんだよ俺・・・・・・。

 

 ため息が勝手に漏れる。そっとカウンター席にもたれ寄りかかり、天井を見あげた。

 

 俺はただのモブキャラ。

 前世でも、誰のネームドにも無れなかった。この世界でもそうだ。

 本来なら、麦わらのルフィの隣に居れるだけで光栄なはずなのに。

 

「高望みし過ぎか……。けどまぁ、幼馴染ってだけで、海軍に狙われなきゃいいんだがな」

 そんなことをぼんやり考えながら、俺は店の窓から山の方を眺めてみる。

 

 (きっとロジャーのせいで歪んだ、エースの幼少期がある筈だ)

 

 きっとサボとも仲良くやってるだろう。

 しかし、ルフィと出会う前のエースは自分の価値を疑いっ放しだった。

 生まれてきて良かったのか?から愛してくれてありがとうだ。

 俺は赤犬を恨んでは居ない。エースの人生を肯定するならロジャーの生き方も否定できない。

 

 たが俺にはコイツらみたいな人生は歩めない。

 ロジャーの関係者の中には、登場もせず殺されたモブも沢山居た筈だ。

 このままじゃ、俺はその中の一人に数えられるかもしれない。

 

 (いや、だれに数えられる事もなく、人知れず殺されるんだろうな)

 

 俺の鼻からふっと情けない笑いが出る。

 その笑いも別にONEPIECE世界の特徴的なものでもなんでもなかった。

 

 「あーあ、せっかく転生したってのに」

 

 頭をくしゃくしゃにして、カウンターにべったりと体を押し付ける。そしてグラッとかキシッとかモノマネを始めた。

 

 「あひゃひゃひゃひゃ」

 

 ルフィが突然大笑いする。

 多分原作でもこんな笑い方してたな。

 

 「頑張れよ、お前」

 

 俺はプレッシャー混じりにルフィを睨む。

 お前絶対に世界解放しろよな。

 

 カランカランカランと背後で扉が開く音がした。 

 

 「邪魔するぜ」

 

 店内の空気が一気に変わった。

 入ってきたのは、荒くれた風貌の山賊たち。

 その姿には、妙な威圧感がある。

 ONEPIECEのキャラとしての格は俺よりも、高いと感じる。。

 

 (なんかのゲームで見たことあるかもな)

 

 登場するのかも覚えていない山賊が、自分よりもキャラとしての地位は高そうな気がして、俺はとても惨めな気分になった。

 

 しかし、だからこそ自然と笑みが溢れてくる。

 

 「フッフッフッフ」

 

 俺は、オレンジジュースを飲みながらドフラミンゴの真似で笑ってみせた。

 そんな俺を見て、山賊達は憐れむような目を向けて、口角を上げる。

 

 (フッフッフッフまったく馬鹿な奴らだ。

 こっちには四皇麦わらのルフィがついてるんだぜ、ほらキャプテン、……て寝てる!)

 

 ルフィは皿に顔を突っ込んで爆睡中。

 フォークを持つ手は90度で静止画のように固まっている。

 

 けどお前、強敵と戦った訳でも無いし、それどころか今さっき俺見て笑ってたとこだろうが。

 

 「確かアラバスタでエースも食べながら寝てたな。

 ってことは、ルフィやガープから伝染したのか。まったく器用な一族だな、ほんと」

 

 俺がこの状況に軽く絶望し始めた。

 

 (ちっ、ルフィが居ればなんだかん上手くいくと思ったんだがな)

 

 すると、この場で唯一頼れる大人が俺の肩に手を置き微笑みかけて来た。

 

 

 「おやっさん」

 

 俺が小声で言うと、店主は「心配するな」と言うように頷く。

 自分の方が危ないってのに子供の心配を。かたじけねー、やっぱ大人ってカッコいいな。

 

 店主は俺達一般の客に対応するのと同じ様に、山賊へ近づいていく。山賊はゲラゲラと笑っている。

 俺は心の中で「頑張れ」とおやっさんを応援する。

 

 「何かご用でしょうか」

 「ご用じゃねーよ」

 

 山賊のリーダーがおやっさんの腹を蹴り飛ばした。

 最低だ。

 

 おやっさんは椅子や机の上の食器を巻き込んで、派手な音を立てながら地面に崩れ落ちた。

 

 「おやっさん!」

 

 俺がおやっさんに駆け寄ると、おやっさんは背中を抑えて苦しそうな表情をする。

 どうやら倒れた時に腰を痛めたみたいだ。

 

 

 「なんだよ、ガキ」

 「ちっ」

 

 俺は山賊を睨みつける。

 しかし、向こうは余裕の笑みでサーベルを引き抜いた。

 卑怯極まりない……。

 だがこれがこの世界、間違ってるのは平和に暮らしてきた俺の方だ。

 俺は悔しさで顔を曇らせながら下を向く。

 

  

 「ぐー、ぐー、ぐー」

 

 静まり返ったった店内に、のどかな寝息だけが響いた。

 

 山賊達はその音の主、ルフィを観ながら大笑いし始めた。

 まったく、こんな状況で良く寝てられるよ。

 

 

 「ぐー、ぐー、ぐー」

 

 

 ルフィいい加減起きなさいよ、あんた主人公でしょ……!

  

 俺はウォーターセブン編のウソップを追いかけさせようとするナミと、気持ちがシンクロする。

 

 「ちっ起きねーな。未来の海賊王なら見聞色の片鱗位見せてみろってんだ」

 

 

 俺は立ち上がり、改めて状況を整理する。

 

 おやっさんは動かない。

 山までエースとサボ呼びに行く?、なんて現実的に無理。

 てか呼べてもどう説明すりゃ良いか分かんない。

 

 「待てよ……」

 俺は思考の狭間に、調子に乗った一つの可能性を思いつく。

 

 「主人公のルフィは起きねーし、ガープやドラゴンなんかは絶対来ない。村長やマキノに山の連中を除いて、他に戦えそうなネームドキャラは……」

 考えながら呟いていると、()()()()の地面に、カランカランと何かが落ちてきた。

 

 

 「マジか」

 

 鉄パイプだ、恐らくさっきの衝撃で店が壊れたんだろう。

 にしては店に破損箇所も見当たらないし、俺の仮説が正しければ店がボロ過ぎる気もする

 

 が・・・・・・、そんな事どうだっていい。

 

 

 「俺だってONEPIECEの住民なんだ」

 鉄パイプを引き抜くと、前世よりも身体にフィットするのを感じがあった。

 これは革命軍も武器として用意するわけだ。

 

 俺はもう一度静かに目を瞑った。

 頭に浮かんだのは、ドレスローザで孫と共に鳥籠から逃げた、あのお婆さんの姿だ。

 

 

 「覚悟さえ決めれば、俺だって戦える」

 

 ゆっくりと目を開け、俺は鉄パイプを剣のように構えた。

 そして、山賊を正面から見つめる。

 奴らはまだ、俺を見下している。

 

 俺はもう一度ルフィに視線を向けた

 相変わらず、まだぐーぐーぐーと寝息を立てている。

 

 

 「なら、目覚めた時にニカ位覚醒させなきゃ、主人公交代だからな。おらああああああ」

 

 気合を込めて、勢い良く駆け出した。

 ワンピースのキャラみたいに、流飛びかかったりはしない。そうせ無様に転ぶのがおちだ。

 

 山賊たちは、相手が子供とは言え、突然の事に焦りの表情を見せる。

 

 (よし、この隙だ!)

 

 狙いを定めたのは、山賊のリーダーの隣に立っている奴。

 咄嗟に防御しようとして、前に出した片腕に向かって

 

 「オラアア」

 

 鉄パイプを力任せに叩きつけた。

 

 「っ、ガキィ」

 

 山賊が痛みに顔を歪めて、思わずその場にしゃがみ込む。

 その様子を見て、リーダーが不機嫌そうに眉をしかめた。

 

 

 「……ガキにやられやがって」

 

 山賊達の表情が一瞬にして変わる、ヒィッと顔を引き攣らせる。

 

 俺は自分に集中し過ぎて、山賊の動揺が俺の攻撃に寄るものだと勘違いした。

 俺はニヤリと口角を上げる。

 

 

 「そうさ、アイツが大海賊なら俺だって今から大賞金稼ぎになってやるよ!覚悟しやがれぇ!」

 

 俺は迷いを断ち切り、鉄パイプを握りなおす。

 次は山賊のリーダーだ!

 

 

 「はああああああああもう一発!」

 

 鉄パイプが、止まった。

 リーダーは片手でそれを受け止め、びくともしない。

 

 「流石ONEPIECE、山賊ともなれば人外に入り込むんだな」

 「あ? 何ブツブツ言ってやがんだ」

 

 

 ◆

 

 「いってーオレ、ゴムなのに」

 

 ルフィが頭痛で目を覚ますした時、店内は大荒れであった。

 机と椅子は散らかり壁は血だらけ、店長は立ち上がれずに居た。そしてその周りには気絶している山賊達が倒れている。

 

 立っているのは2人、レンと山賊のリーダーが睨み合っている。しかしレンの方は血を流していて、かなり満身創痍だ。

 

 

 俺は息を荒げながら山賊のリーダーを睨みつける。

 コイツ以外の山賊は別に俺が倒した訳では無い。

 俺が山賊のリーダと向き合っている間に、おやっさんが無理をしながら根性で何人か巻き込んだだけだ。

  

 「だからコイツは俺が倒さなきゃいけないんだよ!」

 俺は普通の人間なので立っているのもやっとだ。

 しかし、気合で何とか山賊のリーダーに向かおうとする。

 

 「ちっ」

 

 

 山賊のリーダーは悪い笑みを浮かべる。

 俺の体が限界で膝が崩れだからだ。

 

 山賊のリーダーは俺の背中を踏みつけると、俺から奪った鉄パイプで、持ち主の頭を目掛けて大きく腕を振る。

 

 「舐めんなよクソガキ、あばよ」

 「クソッ」

 

 俺は目を瞑る。

 どうしても諦めきれない、もっと強くなりたい!アイツに勝ちたい。

 

 俺は歯が砕けそうな程に強く噛み締めて涙を流すが、いつまでも鉄パイプは頭に届かない。

 

 「な、なんだ?」

 

 山賊のリーダーは目の前で起こる奇妙な状況に、驚きで顔を歪ませる。

 

 「へっ、効かないねぇ」

 「「ゴムだから」」

 

 俺がルフィにセリフを被せるとルフィはニヤリと笑う。

 そして俺の前に麦わら帽子を置いた。

 守らせてくれる位に信頼を勝ち取ったみたいだ。

 

 俺は文字通りルフィの代名詞の麦わら帽を、なるべく触らない形で体で隠す。そこで、俺の意識は途絶えた。

 

 

 




 頑張れ海賊王お前がNo.1だ。
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 ありがとうございます。ONEPIECEは4.5年前位に何周も読んで考察とか解説とか漁ってたんですけど、最近は全く自身の無いにわかです。  
 小説も最近書き始めました、是非続けて読んで頂けるとありがたいです。
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