フーシャ村の大海賊と大賞金稼ぎ   作:NEW謝

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こんにちは、新謝です。
まだ未熟な部分もありますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
ご感想やご指摘などいただけると励みになります。よろしくお願いします。


なにもの

 実のところ、この村にCPが居る可能性については何度も考えたことがあった。

 だが真剣に向き合ったことはない。

 主人公の出発地点にCPが居ると、物語が都合よく始まらない。そう勝手に思い込んでいたからだ。

 フーシャ村は、英雄モンキー・D・ガープが生まれ、世界最悪の犯罪者モンキー・D・ドラゴンまでもが誕生した土地だ。政府が監視対象にしていても何ら不思議じゃないんだよな。

 

 「──おやっさんだったのか」

 

 少し笑ってしまった。

 余裕があるわけじゃない。半ば諦めや後悔によるものだ。

 今までは自分たち(原作に登場しないキャラ)はルフィ達とは違う世界の人間なんだと勝手に安心していた。

 本来なら登場しないからこそ、ここまで主人公と関わりを持った人間は疑うべきだった。

 

 まったく、CP9の正体がバレた時のブルーノを見ているような気分だ。

 「誰がそんな奴疑うんだよ!」と、自分に言い訳しておく。

 

 で、俺から溢れたさっきの言葉の意図を、おやっさんがどう受け取ったのかは分からない。

 ただ俺の後頭部に突きつけられた拳銃の感覚は、相変わらず一切ブレることがない。おやっさんからは何らかの覚悟を感じる。

 

 「俺とラシードを狙う目的は何ですか?」

 「大人として、これ以上お前等の行動を見逃す訳にはいかない。それだけだ」

 

 じゃあそのガキの後頭部に向かって、拳銃押し付けんなよ……なんて言えるはずもない。

 

 俺にはどこかの四皇ばりに過信癖がある。

 だが黒ひげと違い俺は、大した経験も訓練も積まずに、山賊や化け物達に向かって無謀な戦いを挑んできた。

 それでも、絶体絶命の状況でおやっさんに反旗を翻そうなんて思えない。

 こんな意気地なしな俺が、よくもラシードを無効化できたものだと自分でも感心する。やっぱもう一回起きて助けてラシード。

 

 俺が見つめたラシードはどこか、居心地悪そうな寝顔をする。まるで「自分で倒しておいて、何言ってんだこいつ」とでも言いたげだ。うるさい!(喋っては無いけど)

 

 そんな事はさておき、俺の問いに対しおやっさんは間髪入れず冷静に答えた。

 取ってつけたような物では無い本心なんだろう。

 長いことこの村を監視していたのは間違いない。

 

 「元々の狙いはガープ・もしくはルフィの監視で……」

 

 ──パァン!

 

 草木が眠り、静かに夜明けを待つだけのこの村に突然、銃声が鳴り響いた。

 頬を掠めた弾丸は一筋の血を残した

 

 ・・・・・・本物の血だ。ラシード戦で見せたなんちゃってケチャップとは訳が違う。

 誰かの攻撃で血を流すなんて、これで人生二度目だ。

 

 「政府の人間が、ただのガキ相手ににべらべら喋る義理は無い」

 

 おやっさんは左側の口角を上げ、皮肉げに笑う。

 だがその眼光はひたすらまっすぐに、俺の瞳だけを見つめている。

 おやっさんの覚悟とは、命のやりとりの事だったのだ。

 

 俺自身はまさか本当に撃ってくるとは思わなかった。

 心臓からは爆音が鳴り、今にも逃げ出そうとしている。体がひどく緊張して呼吸をするのも苦しい。

 

 だが、次に取った行動で自分がどうなってしまうのかを考えると、どうしてもこの場を離れる覚悟も出来ない。

 

 ・・・・・・死ぬ事がこんなにも怖いのなら、一度目の記憶がないのは、むしろ幸運だったのかもしれない。そう心の底から思えてくる。

 

 ──CPから任務の内容を聞き出そうなんて俺はとんだ大馬鹿者だ。

 

 「手荒な真似して悪いが、これで大人しく話聞く気にもなっただろう?」

 おやっさんは銃を構えながら、明かりが灯り始めた村を眺める。

  

 「さっきの銃声で騒ぎ起きちまったからな、人が来る前に帰ろう

 ──いつもの場所へ

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 店の外から村長の声が聞こえ、扉を叩く音が続いた。どうやら銃声と騒ぎを聞きつけたようだ。

 

 「いいか、大人しくしてろよ。

 この村にCPの情報が漏れたら、いくらか口封じしなければいけなくなる」

 

 おやっさんは肩に抱えて連れてきたラシードをそっと床に置き、「目覚めんなよ」と一瞥してから深く息を吸う。

 

 扉を開けると村長の鋭い目が飛び込んできた。

 

 「夜分遅くに悪いな。ここらで銃声があったと聞こえた、ヤツメ、お前何を知ってる?」

 

 「知ってる前提で聞かないでください、うちは何も関係ないですから」

 

 おやっさんはすかさず口を挟む。

 

 「多分、どこかの悪ガキが紙パックでも思いっきり踏んづけたんでしょう。あの音、銃に似てるって前に村長が禁止してたでしょう?」

 

 「・・・・・・ふむ」

 

 村長は疑わしげに目を細める。

 

 「まあとにかく、うちも飲食店だから朝は早いんです。続きは空いてる時間にでも」

 「あ、おい!」

 

 村長の背中を押し出して、おやっさんは半ば強引に扉を閉めた。

 

 カーテンの隙間から、村の様子を確かめる。

 夜には似つかわしくない松明の明かりが村中を照らしていた。

 村長は他の大人たちと連携して指揮を執り、辺りを警戒しているようだった。

 

 ──山から山賊が下りてきたとでも思っているんだろう。

 ガープが立ち寄る村に普通海賊は近づかない。

 本当は銃声の正体が政府の役人だなんて、だれも考えもしない。

 

 おやっさんがカーテンを下ろすと、店内は再び静寂が包み込んだ。

 

 沈黙の中、俺は切り出した。

 

 「ヤツメ。それって──偽名だよね?」

 

 さっき地雷を踏んだCPに対する言及だ。

 今度は本当に、許されないかもしれない。

 けれど、不思議と怖さは無かった。

 俺の中には死に対する恐怖と同じくらい、「もうどうにでもなれ」と投げやりな部分が存在していた。

 

 ──おやっさんは元軍人と言っていた。

 いつからCPだったのか。何処までが本当なのかは分からない。

 だが仮面で顔を隠す知恵があるなら、潜入する時に名前くらい変えているはずだ。

 命取りになるとしても一泡吹かせてやりたかった。

 

 先ほどまでは演技はしつつもダンディさを崩さなかったおやっさんが、俺の問に眉を上げた。

 おやっさんは無言のまま、面倒くさそうにポケットから煙草を取り出す。

 ──初めて見る姿だ。任務中は禁煙していたのか、それとも単に俺に見せなかっただけなのか。

 

 「自信を持っていれば、ある程度の事は跳ね返せる。だがな」

 

 煙をゆっくり吐きながら、言葉を選ぶように一拍置く。

 

 「世の中には、どうしたって変えられないもんがある」

 

 その煙は、そのまま俺の胸の奥に入り込むようだった。

 

 「夢ってのはな……夢を見た瞬間から、いつまでも夢の中なんだよ」

 

 諦めだけではない、何か別の覚悟が混じっている言葉に、俺は口を閉じた。

 

 そして次の瞬間、おやっさんの声が低く落ちる。

 

 「さて、ようやく本題だ」

 

 その声には、余計な飾りも感情もなかった。

 

 「政府は、身寄りのないガキを中心に、優秀な人材を育成している」

 

 ・・・・・・知っている。

 だがロビンの件がある。この世界において知識を持っている事は、それだけで命取りになる。

 俺は何も知らないフリをして、黙ったままだ。

 

 「ラシードを連れていく気か?」

 

 問いかけると、おやっさんは静かに首を振った。

 

 「それはお前も知ってる。ガープさんの部下が、既に目をつけている」

 

 確かに──

 ラシードはあの事件の後、ガープに保護(逮捕)されていた。

 実行犯の山賊どもはまとめて豚箱送り、でも彼女だけは「部下が後で迎えに来る」なんて理由で、フーシャ村に残された。

 ・・・・・・つまりラシードは海軍に入るのかも知れない。

 

 幼き日に保護された海兵には、ドレークとかコラさんが居たな。

 二人とも信じる者のために命を張る覚悟があった。

 逆にルッチの様な、CP9の怪物だって生まれる。ある意味育て方次第の世界だ。

 

 「──俺が言ってるのは、お前のことだ」

 

 一瞬の沈黙の後、

 

 「海軍の様にヒーローを目指すんじゃない。

 海賊の様にロマンを追い求めるんじゃない。

 我々が育てるのは、ただひたすらに己を磨き、自らを何者にする者たちだ」

 

 おやっさんの声は、静かだった。けれど確かに胸に刺さった。

 

 「お前はただの村のガキじゃない。俺の眼鏡にかなった」

 

 「臆病なくせに見通しも甘い、しかも無茶をした。

 ──そこまではただの賭けだ」

 

 おやっさんの視線が、静かに倒れたラシードへと落ちる。

 

 「──だがお前は結果を残した」

 

 煙が静かに揺れる。

 俺はまだ、何も答えられなかった。

 ──だけど、もう後戻りはできなかった。

 

 「判断材料としては、それで足りる」

 

 おやっさんはもう「俺が行く」と決めたみたいな顔をしていた。




 お久しぶりです。
 学校忙しくて、頑張る程小説投稿に割ける時間が・・・・・・。
 その分クオリティ上げたいので、色々とフォローお願いします!
 そろそろ原作キャラとも絡ませてあげたいですね!
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