『死』辺獄のスノードロップ 作:ある日そこに居たであろうクマさん
それはあの日見た始まりの秒針。
自身という分針を動かす為のものであり...
自身という『死』を動かす為になくてはならない。
『ようこそ...Ave Mujicaの世界へ!!』
そんな存在。
故にこそ...
「汝らが望むなら当方は.....」
今、『時』は始動した。
そしてまもなく...
『死』も動き出すッ!!
そこはザバン市のとある定食屋。
正確には...その地下の...
287期ハンター試験。
その会場にて...
そこに居たのは...
「はぁ〜やれやれだぜ」
受験番号:16番 トンパ。またの名を新人潰しのトンパ。彼はある目的の為に今年で35回目の試験を受けている。そしてその目的と言うのが彼の異名新人潰しに関係しているのだが...
(クソッ本当にどうなってんだ!今年の受験生は!?どいつもこいつもまだ序の口とは言え誰一人下剤入りのジュースに引っ掛かりもしねぇ)
そう、彼は十歳の頃から試験に参加しておりそして試験を受け続ける内に他の受験者の脱落していく様を見る事に刺激を感じるようになり不合格を前提とした上で様々な手で他の受験者を陥れるのだが...生憎今回の試験は彼にとって不幸そのものであった。何せ今回の試験受験者のレベルが高すぎてその殆どが未だに全員無事であり、中には圧倒的にレベルが違う裏の住人の中でもトップクラスとも呼べる者もおり非常に厄介極まりなかった。
だが...
(だが、これはまだ序の口。つまりはここからが重要だ。ハンター試験の本当の恐怖をこいつらに教えてやるぜ)
カツッカツッ
(おっ今回はまだ受験者が居んのかッなら、次こそは)
「おーいそこのお嬢さんー」
そしてこの言葉が彼にとって...
「邪魔ですわ」
「えっ...」
最後の言葉となった。
一方そのころ...
「こっこれは...」
「なんだ...こりゃあ...」
そこに居たのはある島のある場所に集まったハンターの集団。彼等は近隣住民や情報屋などの話からハンター協会より緊急で派遣されてきた協専のハンター達。そしてそんな彼等が見たもの。それは...
「血はある。だが...
「これは念によるものなのか?」
そこにあるのは二階建ての建物からその周囲の建物まで侵入する血の海だった。だが、死体なども...ましてや人の姿は影も形も無く消えており、皆が血相を変えてその周辺を見渡していた。
そしてその内の一人の疑問にそのグループのリーダー格の男がその事件の跡を観察しながらも自身の見解を話しつつ指示を出す。
「今はまだ分からん!だが、これを放っておく訳にはいくまい!直ちに調査を開始しなければ...全員一人二組で島中から情報を集めるんだ!分かったな!!」
「「「「「「はい!」」」」」」
そして他のハンターが去って行った後...
(これは間違い無く
「...どうに「きひひひっ」ッ!?」
そこに残ったのは...
「くっやはりッ貴『バンッ』...」
物言わぬ骸と...
「真っ赤な真っ赤な彼岸花♪」
始まりを告げる銃声だった。
そして『時』は...
「ギャアアアッッッーーーー!?!?」
「なっなんだ!?」
「今の悲鳴はッ!」
「トンパさんだ!」
「えっさっきのオッサン?」
ハンター試験の会場内。そこに響いたのは一つの銃声。そしてその方向に聞き覚えのある声を聞き、驚愕を露わにしながらも走り出すのはレオリオ、クラピカ、ゴン。そしてその近くでスケボーを持っていたキルア。彼もゴン達の様に走り出しはしないものの、遠目でその様子を伺っていた。
そして彼等が目にしたものとは...
「あっアァァァァッッッ!?」
「あらあら、実にいけませんわぁ」
足を銃弾で撃ち抜かれるトンパとそれを為したと思われる赤と黒が入り混じるドレスを着た少女?であった。
「とっトンパさん!」
「おいおいこれは...」
「貴様ッ!何故こんな事をした!?」
そしてその前に現れたゴンとレオリオはトンパに駆け寄りクラピカはそれを庇う様に木刀を持ち目の前の人物にその切先を向けながら何故トンパを撃ち抜き未だにその銃口を向けるのかを問いただす。
だが、それに対し彼女...いや、
「何故ですって?それは撃ち殺したくもなりますわぁ。本来なら人が集まる筈の試験会場。そこに醜い豚擬きのゴミ屑が混ざっている。つまりわたくしは場違いなソレを駆除して差し上げようとしただけですわぁ」
「なん...だと!?」
最早それは罵倒などと言う範疇を超えたもの。ましてや彼の目に映るのは本気の軽蔑の眼差し。いや、それはそれ以下の...人を生命とすら見ていないようなそんな視線だった。
そして彼はそのままクラピカ達諸共トンパを撃ち殺す。
と、思いきや...
「まあ、ですが...今回は辞めておきましょう。目的の
そして彼はゴン達一行と話しながら二つの場所に目を向けていた。
そこには...
(あっアニキィィィィッッッーーー!?!?!?)
一人は白髪の少年。受験番号99番 キルア。
そしてもう一方の方向には...
「アァッ良いね♥︎何て濃厚なオーラなんだッ♣︎」
このハンター試験の中でも変態中の変態であり、変人中の変人。常に周囲の受験者から警戒されている
受験番号:44番 奇術師ヒソカ。
そして彼はその
「まあ、そういう訳なので、わたくしは失礼しますわ」
そうして彼はドレスのスカートの端を持ち上げながら一礼し彼等の元から去っていこうとしたが...
「ちょっと待って!」
「ごっゴン!?」
「あら?まだ何か?」
そこに待ったをかけたのは三人の一人ゴン・フリークス。その呼びかけは彼の足を止めて、尚且つ見ていた受験者のほぼ全ての動きを止めた。
「ねえ、さっき本気でトンパさんを殺そうとしたでしょ」
「ええ、それが何か?」
「何で、そんな簡単に人を「殺す事が出来るのか、と」ッうん」
そしてそのゴンの発言を聞いて彼はその顔に満面の笑みを浮かべながら何処か嬉しそうにこう答えた。
「貴方...良いですねぇ。でも、純粋すぎます。その質問はこの場の...いえ、生きとし生けるもの全てからして愚問とせざるを得ないものですわ。何せ貴方の質問は何故アリを踏み殺すの?と聞いているのと同じ事」
「えっそれは違「いいえ、同じなのですよ」それって」
「ええ、確かにその方は人です。ですが、わたくしからすればあまりの弱さに虫ケラ同然の存在。即ち、いつ踏まれても文句は言えぬ存在。何せ死人に口無しですから...まあ、そういう事です。これ以上は話が長くなるのでやめておきましょう...それと坊や、貴方お名前は」
「...ゴン。ゴン・フリークス」
そして彼はゴンの質問に対して満足のいく回答をし終えた後にもう一度ゴンの方を向き彼の名前を尋ねた。するとゴンが自身のフルネームも教え、真っ直ぐとした視線を向けると彼は...
「なるほどゴンさん...ええ、ええ...覚えましたわぁ。それではゴンさんにわたくしから一つアドバイスを...」
そこから放たれたのは...
「圧倒的弱者が圧倒的強者に対して...」
瞬間ッその場の誰にも感じ取れた...
それは、圧倒的な『死』の気配。
最早五感全てと身体中の神経そのものが自身という存在に逃げても無駄だと、諦めろと言うが如く。周囲にいた受験者が数人を除きその場に膝をつき自然と首を前へと出す。それは何よりも先にその気配に肉体が屈服し自身の死という生物としての権限を相手に差し出そうとしている証拠だった。
だが...
「んぎぎぎッ!!!」
「あぁ、やっぱり貴方...良い、実に良いですわぁ。ここまで上質な者は中々居りませんわ!」
それは受験者の殆どが膝をつく中でただ一人...唯一
少年のその姿を見た途端彼は殺気を解き、そのままゆっくりと冷や汗を流しなから緊張が解けその場に伏した少年に歩み寄りこう呟いた。
「貴方は本当に面白いですわねぇ。ですが...だからこそ生き残って下さいな。わたくしが貴方を喰らうその時まで...」
「え?」
「また、何か困った事があれば言ってくださいな。その時の場合によっては助けてあげますわ」
そう言って彼は自身の手から少年の横に一枚の紙の様な物を置き立ち尽くす受験者達の中を歩いて行った。
「なっ何だったんだ...ありゃあ...」
「わっ分からん。だが、どうやらゴンのお陰で助かった...のか?」
そして皆が彼の後ろ姿を見つめる中...
その場で二つの動きがあった。
一つは...
「これ...さっきの...」
ゴンの目の前には一つの小さな紙。
それは...
「
おそらく先程の彼の名刺。それを見つけたゴンが少しの間それを見つめ、そのまま自身の服のポケットに仕舞い込んだ事。
そして...
ジリリリリリッッッッ!!!!!
「ただ今をもって受付け時間を終了致します」
その声により...
「ではこれよりハンター試験を開始いたします」
第287期ハンター試験が開始した事。
これより血に濡れたマスカレードが幕を開ける!!
そして...
ふふっふふふ...
「ここが何処であろうとも我々はただ...」
「演じるのみ」
「ただそこにある人形...」
「否ッ!それでは終わらない!!」
「そう...我々はただ最高の
「「「「「皆様をお出迎えするのみ!!!」」」」」
「待っていてくださいねぇ...」
運命もまた動き出す。
いずれ出会うその時まで...
遠い遠い雪の中...
あの時見えた貴方の顔は何処かとても...
寂しそうでした。
故に...
「ようこそ...皆様」
私達の