『死』辺獄のスノードロップ 作:ある日そこに居たであろうクマさん
そこはヌメール湿原。
通称詐欺師の塒。この地域に生息する全ての動物達、場合によっては植物などであってもその全てが人間を騙し、欺いて自身の糧とする為に襲いかかってくる。
そんな危険地帯。
そしてその一角を走り抜ける集団があった。
それこそが...
ドドドドドッッッ!!!
ハンター試験参加者一同。
そしてその先頭付近を走る...
「ゴン、もっと前に行こう」
「うん、先頭を見失うといけないもんね」
ゴンとキルアの両名。そして二人はある理由から今の位置よりも更に前の方へと走り出そうとしていた。
その理由とは...
「そんな事よりヒソカから離れた方が良い」
「?」
「アイツ、殺しをしたくてウズウズしてるから」
「!」
「霧に乗じてかなり殺るぜ」
(それにもう一人...居るんだよなぁ、ヒソカとは違った意味で殺り始めそうな人間が...)
それはこの試験の参加者の中でも最も危険な人物。いや、最も危険な三人の内の一人。ヒソカが原因だった。
そしてキルアの忠告を聞きつつゴンは何故彼にそんな事が分かるのかが気になりキルアに直接聞こうとしたのだが...
「なんでそんな事分かるのって顔してるね...何故ならオレも同類だから、臭いでわかるのさ」
「同類...?アイツと?そんな風には見えないよ」
キルアはゴンの表情からその疑問を読み取っており、ゴンのその考えを見事に的中させながら自身もヒソカと同類であり未だ尚ゴン達とは別の世界で生きている事を話した。だがゴンは寧ろそんな事を気にする様子も無くましてや後ろのレオリオやクラピカに無事かどうか、安全確認を取る為呼びかけるくらいには考えていなかったようだ。
だが...そんな中...
ギャアアアッッッ!?
ひっひぃぃぃッッッ!!
たっ助けッ.....
イヤダアァァァーーー!!!
聞こえてきたのは霧の中で後方から次々と上がる悲鳴。
そして...
その瞬間ッ一瞬だけとはいえキルアの体全体に悍ましい死の気配が纏わり付いた!それは今まで彼が感じた殺気の中でもトップクラスに濃いものであり本人は知らぬ事だが、彼の中にある人物が埋めた針によって後少し気配を感じていればキルアの体はその場から何キロも離れた地点に無意識の内に逃げたであろう。そしてこの事はこの試験でそれを知る二人の人物からすれば容易に理解できた事だった。
「キルア、今のって...」
「...ああっ始まったみたいだな」
そして場面は移り変わり...
ヌメール湿原。
その中の中間地点にて...
「きひひひっあらあら、先程のデートの誘いは断った筈ですが?」
「悪いねえ♣︎ボクはどうしても君と闘ってみたいんだ♥︎」
そこに居たのは十数人ほどの受験者の死体の上に立ちながらお互いにトランプと二丁の銃を構えるヒソカとロンの姿があった。
更にその近くには...
「とんでもない争いに巻き込まれたな」
「ああ...だが、早く行かねえと先頭からどんどん突き放されちまうぜ。一体どうすりゃあ...」
その中で唯一死体になっていないクラピカとレオリオの姿もあった。
そしてその場で棒立ちすふ二人にロンは...
「何をやってますの?早くお行きなさい!」
「えっいっ良いのか!?」
その言葉を聞き、レオリオが驚きながら自分達だけ先に行っても良いのかと問いかけるが...
「ええ、ええ。わたくしは只今よりこの間抜けなペテンピエロをぶっ殺さなくてはいけませんので...まあ、巻き込まれて良いならそこにいても構いませんが.....」
ロンの台詞を聞き、尚且つその殺気を目の当たりにし流石の二人もまずいと思ったのだろう。そのまま二人は無言で頷き合い少し申し訳無さそうに目を伏せながらその場を立ち去った。
そして...
「おや、良いのかい?てっきりあの二人は君も殺したがってるものかと...」
「きひひひひっ面白いジョークですわねぇ、あの二人にしてもあの黒髪の子にしても殺す意味などございません。何せ我々は
「なるほど♠︎同意見だね♣︎」
ヒソカがロンに二人を逃した事について言及するとロンは別に二人を殺す気は無いと言い、更に自身は強者至上主義。所謂実力主義だと語り、ゴンやレオリオ達はこれから更に強くなる。だからこそここは逃したのだと語った。そしてヒソカもその話に同調し同意見だと話すが...
「変態ピエロと同意見だなんて死んでもごめんですわ」
「キミ、本当に酷いね♦︎イルミから話は聞いていたけど...」
無事一瞬で毒を吐かれ普通に貶されていた。
そしてヒソカの口からイルミという名前がでたその時だった。
「イルミ...ああっそういえば貴方イルミと知り合いでしたのね」
「...だったら...」
その瞬間...場の雰囲気が更に変化した。
「いいでしょう。殺すのは無しにして差し上げようと思いましたが...ダーメですわねぇ...やっぱりその顔とイルミの話を聞いたら我慢出来ませんわぁ!」
「これはこれは...予想外の興奮だ♥︎」
そこからだった。
「さあ、わたくし達の.....」
「デートを始めましょう!」
今、命懸けの
一方その頃...
ヌメール湿原。
その中をクラピカとレオリオは必死に走っていた。
「はぁはぁ、あの嬢ちゃん...大丈夫なのかな。一人にしちまったけど」
「はぁはぁ、大丈夫な筈だ。何時間か前の一戦で彼が私達より遥か高みにいる事は分かっている。だからこそ我々は自分の事に集中しよう!」
「...ああ、そうだって、うん?クラピカ...今お前、あの嬢ちゃんの事彼って」
「ん?気づいていなかったのか?彼は男だぞ」
「ええぇぇぇぇッッッーーーー!?」
そして真実を知ったレオリオの叫び声が響き渡る中...
それを合図にして...
「ッおいでなさい!」
「
「なるほどそれが君の能力か♠︎」
そしてロンが能力を発動...いや、顕現させるとヒソカはにへらと笑いながらもその能力と能力者たる彼を直視する。そしてその能力を見定めながらも自身も身体にオーラを纏いトランプを構える。
その後、先に動いたのは...
「きひっ!」
「ッ!」
ロン・ゾルディック!
「喰らいなさいなッ!」
「ッ!」
彼は自身の持つ2丁拳銃。その銃口から小手調べと言わんばかりに自身のオーラで作られた念弾を発射する。尚、普通の銃弾。ましてやそこいらの念能力者の念弾と比べる事なかれ。その速度、重さ、貫通力、どれを取っても一級品。並の能力者やアマチュアハンターレベルなら一瞬でその身体に風穴を開けていたであろう威力。
だが、相手は...
「キャッチ♥︎」
「あらあら、それが貴方の能力ですの?」
「まあね♠︎これがボクの能力...
奇術師ヒソカ。その実力はかの幻影旅団の団長からも評価される程のものであり、ヒソカ本人もその旅団の一員なのだ。これで弱い筈も無く。
そしてヒソカは正面から飛んできた弾丸を自身の能力、
だが...
「随分呑気ですのねぇ...」
「全く...頭にきますわぁ!!」
「おお、怖い♦︎」
やはり能力以上に本人達の性格の相性が悪いらしい。
ロンは自身の眉間に皺を寄せ、更に青筋を立てながら今にも血管が破裂しそうな勢いでブチギレており更にその身に纏うオーラの質と量を増していく。何よりヒソカもまたそれを見て興奮しより邪悪さを増したオーラを強めた。
「ッ!!」
「なるほど...次は肉弾戦か♣︎」
「良いね♥︎楽しもうじゃないか♦︎」
そして一気に飛び出しぶつかり合う二人。まずロンが右腕からのストレート...に見せかけ、ヒソカの膝を踏みつけシャイニングウィザードを見舞おうとするもヒソカも負けずそれを右腕で防ぎ更にそこから周により切れ味を増したトランプによって宙に浮いたままのロンの身体を斬ろうとするが...
「甘い!」
「これはッ!」
そのままロンはヒソカの頭を横から両手で押さえつけ更に逆立ちをする様な形でその上を取りそのままヒソカの背後の大地に向かい彼の身体を投げ落とす!
「はあッ!!」
「ごっ!?」
「貰いましたわ!」
そしてそのまま倒れたヒソカに銃口を向け、弾を発砲しようとしたロンだったが...
「まだこの程度じゃ終わらないよ♦︎」
「今度はこっちの番さ♣︎」
「しまっ!?」
その声と共にヒソカは自身の両脚でロンの首を挟み込み、更にそのまま自身がされた様に今度は彼を地面に叩きつける!
だが...
「チッ!やりますわねぇ」
「フフッ効くだろう♠︎」
とんでもない勢いで地面に叩きつけられるも彼もまた少し血反吐を吐きながらすぐさま起き上がり体勢を整えるロン。
そして...
「少しギアを上げますか...」
「
「それは...!?」
また、『時』が動く!その瞬間ッ何と彼は自身の銃から放たれる念弾を自身の頭に撃ち込んだ。普通なら自害などを考えるがそれは相手が普通ならの話。つまり...
「きひっ!」
「これは...」
(今、一瞬でボクの懐に移動して来た。どうやって...いや、考えるまでも無い♠︎キミに関しては...♥︎)
ヒソカが気づいた時にはロンは自身の目の前におり、彼がテンションが過去最高潮に達している状態でなければ反応すら出来ずに殺されていたであろう事は明白だった。
だがそのままロンは超スピードでヒソカの腕を掴みそのまま背負い投げで投げ飛ばし、ヒソカは一度脱力しながら空中で数回転し投げ飛ばされた事による勢いなどを軽減しながら優雅に大地に着地をした。
そして...
「うん♪準備OK♣︎」
「はあ?何の準備が出来たんですの?」
「え?決まってるじゃ無いか。君に勝つ準備だよ♠︎」
その発言は...
「面白いジョーク...ですわねッ!!」
それ相当の怒りを買い。
そしてその発言は...
「これで行ける♥︎」
その瞬間ッヒソカ飛ぶ!
「ハァ!?」
「フフフッさあ、僕を捕まえられるかな♥︎」
「いちいち気色悪い事この上ないですわね!?」
そんなロンの叫びを聞きながらヒソカは飛ぶ...いや、厳密には跳ねる。先程の戦闘の最中、彼は
だが...
「甘いですわね。確かにその状態の貴方を捉えるのは中々簡単な事ではありません。ですが...それは
ロンはその銃口に最大限のオーラを込めて撃ち放とうとする。
そして...
「ん?おかしいですわね。何故音が止んで...」
その時、彼の頭の上にヒラヒラと何かが落ちてくる。
それは...
「これは...」
『逃げるが勝ちって言うよね♠︎今は試験中だからデートの続きはまた今度♥︎ヒソカ♣︎』
燃え上がる静かな怒り。
判明したのは
そして一方のヒソカは...
「いや〜流石ゾルディック家の長男♪あのイルミの兄っていうのは伊達じゃ無いね♣︎今回は試験に集中したいからともかく、今度はゆっくり殺りあいたいね♠︎」
森の中を駆けながら奇術師は考える。
自身の当面の目的。それが終わった後なら...
「じっくり遊べるじゃないか♥︎」
そしてそこから数分後...
ヒソカやロンも無事二時試験会場到着。
そこから始まるのは...
十二時まで開かなかった扉の中から出てくる二人の人物。
「どお?お腹は大分空いてきた?」
ハンター試験二時試験 試験官メンチ
「聞いての通りもうペコペコだよ」
ハンター試験二時試験 試験官ブハラ
「そんな訳で二時試験は『料理』よ!美食ハンターの私達二人を満足させる食事「あらあら、何処かで見覚えのある顔だと思ったらミンチさんじゃあないですか」誰がミンチだ!?」
そしてメンチが二時試験についての説明を行う最中、ある声が聞こえてきた。そしてそれはブハラも一応聞いた事のある声であり、メンチに至っては試験会場などで無かったら声だけでも反応できる程聞き覚えのある声だった。
「あっメンチあいつ...」
だが、今回はそれに気づく事も無くブハラの声でその方向を向きようやく気づいた。
「何よブハラ!アタシは.....げぇッ!ナイトメア!?なっ何でこんなとこにアンタが居んのよ!?」
声の主が自身の天敵だった事に...
そして...
「決まっているじゃありませんの...わたくしが今年のハンター試験の受験者の一人だからですわぁ」
「は?」
気付かされた。
波乱の二時試験。
その会場に響き渡るのは...
試験官の一人の...
呆気にとられた声だった。