『自』奏者に寄り添うヘメロカリス 作:ある日そこに居たであろうクマさん
それは本来、迷宮都市オラリオにおいて一番の名物にして一番の危険区域。
そこに入れるのは本来冒険者のみであり、更に一般人や神々は入ってはならぬのが普通なのだが...
今現在、その中に一般人でありながら異界からの来訪者とも呼べるとある存在達が入ってしまっていた。そしてダンジョンは...その意思はその異物を排除する為に自身の生み出した強化種と呼ばれるモンスターを複数生み出し
だが...
「よいしょ!」
「邪魔...」
頭上からのスコップとそれと並ぶサイズの二叉槍が強化種のミノタウロスを貫き...
「ごめんなさい、でも邪魔だから!」
「早くどきな!」
その声と共に白の仕込み傘と金属バットが新種のモンスター 仮にアクアイヴィルと呼ぶがその人形の十メートルを超えるモンスターを頭から粉砕する。
それ即ち...
「ふぅ、終わったーーー!!」
完全勝利!!
そしてそこで一息つく彼女達こそが...
「はぁ〜何でこんなに湧いて出でくるんだよぉ!?」
「多分私達を追い出そうとしてるんじゃないの?」
「マジか...」
彼女達もこの世界にやって来た...
否...
故にこそ...
「掘るよ!みんな!!」
『おう!』
彼女達はただその道を掘り続ける。自然の冒険隊。彼女達の特徴はただ全てを掘り続ける事。そこに火山があろうとも、そこに海があろうとも、ただただ掘り続ける。そこに光が見えるまで...
そこに何があろうとも...
そして数時間後...
ダンジョン内 階層にして21階層。そこで彼女達は再び穴を掘っていた!
「えっほえっほ!」
「輝未!そろそろ休んだ方がいいんじゃないか?」
「えっほ...ううん!もうちょっとだけ!」
「...そうか!分かった...もう少しだけだからな!」
「うん!」
そしてそのメンバーでトップクラスの実力を持つ、輝未と呼ばれた少女だが...
そして彼女が未だにダンジョン内を掘り進めるのを見て他のメンバーは不安を募らせていた。
「はあ...輝未の奴...あの事件以来ずっとこんな調子だよな。特にシスターとヴォルグの姉御が亡くなった事が相当応えてやがる」
「仕方ないわよ...あの子は九つある全てのグループでヴォルグさんとシスターに一番懐いて一番従順だったのだもの...」
「ん〜でも謎...何で輝未はシスターとヴォルグにあんなに懐いてたの?」
「あれ?
「えっ?」
そんな中...彼女達の会話の中で鈴猫と呼ばれた少女に他の皆が輝未の過去を答えようとした。
のだが...
「過去に輝未「ダメ!」あっ戻ってきた!」
その話を耳にした輝未が急いで喋っていた
「そっその話はダメだから!」
「え〜何でダメな「とにかくダメ!」ちぇっ」
そう、その過去は...
彼女にとって...
「大切な...ものだから...」
初めての輝きだったのだから...
そして彼女は知らなかった。
今度は自身が...
「うわあァァッッッーーーー!?」
「えぇ!?」
誰かの為の輝きとなる事に...
遠い雪の日...
雪が降る自身の故郷にて...
「誰か...誰か助けて!!」
グルオォォォォォン!!!
本来ならあり得ないサイズ。大きさにして全長五メートルはあろう狼。そしてその牙と爪は近くに居た親と離れ離れになり山で遭難した自身を今にも死へと追い込もうとしている。
そして自身の死を彼女が自覚したその時...
「邪魔だ!」
そこに二つの閃光が奔る!
そして気づいた時には...
「嘘...倒れてる」
巨大な大狼は血を流しながら大地にその身を堕としており、それを成した人物はというと...
「おま...貴女、こんな所で何をなさっておいでで?」
「お姉ちゃん?貴方は誰?」
「おれ...私は通りすがりの『シスター』ですよ」
「シスター?」
そう、それこそがいずれのクロスガーデンの教祖のシスターと私の出会いだった。
そして一年後...
シスターの事件とそれに立ち向かうある軍人の姿...
それこそが...
私の...
シスター、ヴォルグ。私、がんばるからね。
いつか、二人やみんなに追いつける様に...
もっと強くなって...
そしたらさ...
その願いが叶うまで、彼女は掘り続ける!
それが例え...
叶わぬ願いであろうとも...