『夜』幻想に泣くユウガオ   作:ある日そこに居たであろうクマさん

3 / 11
第二夜 鬼さんと腕相撲

 

 

幻想郷。

 

博麗神社。

 

そこに住まうのは二人の人物。

 

一人は幻想郷の調停者とも言える存在。

 

現博麗の巫女。博麗霊夢。まあ、どちらかというと調停者というより怠け者の方がイメージ的に強い。だが、実力は確かで幻想郷の猛者達とも渡り合えるだけの実力は持ち合わせている。それに彼女の本来の役割は幻想郷と外の世界を分かる博麗大結界の維持であり、それこそが博麗の巫女本来の役割である。とはいえ、それでグータラ過ごしていい理由にはならないのだが...

 

そしてここに住まうのはもう一人...

 

「ぺったん♪ぺったん♪ぺったん♪」

 

現在、幻想郷の人里で一人で餅つきを行う小さな影。本来持っているマントを外し、脇と背中が見えるノースリーブの白いチャイナ服姿で周囲の視線を無視しながら約150ある臼の周りを高速で移動してギリギリ残像を残す程度のスピードで餅つきを行うのは...

 

「ふぅ〜美味しそうにできた♪」

 

『おお〜』

 

博麗神社の居候。『最夜』のロン!

 

そして...

 

「兄ちゃん!餅は出来た?」

 

「早く食べたい!」

 

「私も!」

 

「うへへ〜ちょっと待ってね。今から餡子とかきな粉とか用意するから」

 

周囲で出来た餅を貰うために目を輝かせる子供達。

 

と...

 

「あいつ、本当に男か?」

 

「偶に来て飯を作ってくれるが...」

 

「マジで女房より綺麗なんだよなぁ」

 

「特にあの下の服から見える脇や背中が...」

 

「クソッ男じゃあ無かったらッ」

 

ロンの姿を見るたびに色々な意味で危なくなる人里の男性陣であった。

 

だが、彼等は気づいていなかった。

 

彼等の後ろに...

 

「へえ、私達じゃあ満足出来ないと...」

 

「それも、いつもお世話になってるあの子に...」

 

「どちらにしても失礼だと思いませんか?」

 

嫁が立っていた(鬼が立っていた)ことに...

 

「「「「「カアァッッッ!?」」」」」

 

そして更にその背後には...

 

「諦めろ。お前達」

 

『慧音先生!?』

 

幼き頃に恩師の姿が...

 

「お前達、少しは反省しろ」

 

そうして...

 

「「「「「いやだーーー!!!!」」」」」

 

彼等は連れて行かれた。

 

家族会議という地獄裁判へと...

 

一方子供達は...

 

「にいちゃん!おかわり!」

 

「僕も!」

 

「良いよ〜まだまだあるからゆっくり食べなよぉ」

 

『はーい』

 

めちゃくちゃ和んでいた。それはもう満面の笑顔で...

 

そしてそれを見て慧音も笑う。

 

子供達が幸せそうで何よりだと...

 

そして本題として...

 

「で?この臼や餅は何処から持ってきた?」

 

「え?山の天狗を脅して作らせたの!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何ィ!?」

 

その瞬間、慧音の顔は死んだ。胃も死んだ。精神も死んだ。

 

だが、それも当然の事だった。

 

何故なら...

 

「ばっ馬鹿!?お前天狗を「大丈夫!慧音ちゃんがそういうと思って一匹だけじゃ無くて上層部?って奴等を全員ボコボコにして天魔って奴を殴って山に植えたら全員大人しくなったから!」

 

「ああ...そう、か。なら...大丈夫か」

 

「慧音ーーー!!死ぬなあァァァ!!!」

 

天狗に手を出せばお前だけでは無く里自体にも被害が出る。そう言おうとした瞬間、慧音の不安を叩き潰し、さも当然の様にもっととんでもない事をやらかしていた彼に慧音はその全身の肌から色を無くして立ち尽くしそのまま灰になりかけたがこっそりと様子を見にきた妹紅によって介護されそのまま静かに眠りについた。

 

「?なんかよく分かんないけど大変だね〜」

 

「お前のせいだがな!」

 

尚、本人は全く状況を把握していなかった。

 

 

数時間後。

 

場所は移り変わり...

 

幻想郷の地下 旧地獄。

 

そこでは二人の人物が酒を飲み交わしていた。

 

「アッハッハ!お前、天狗をボコボコにしたって!相変わらず元気だねぇ!」

 

「う〜んお姉ちゃんお酒くさい」

 

「仕方ないだろう。鬼はみんな酒臭いもんさ...って!人を酒臭いって言うな!

 

「お姉ちゃん鬼じゃなかったっけ?」

 

それこそがロンと対面する鬼の一人。

 

この旧地獄に住まう鬼達の中でもトップクラスの実力を持ち、山の四天王の一人。力の勇儀と称される。

 

星熊 勇儀。

 

この二人は数ヶ月に一度、ある理由から地下の決まった場所で集合し二人だけである事をするのが決まっている。というのも始まりはロンが初めて旧地獄に来た時の事が起因しているのだが、今はその話は置いておく。

 

「準備は良いかい!」

 

「良いよ〜」

 

二人はお互いに地面の上に寝そべり片腕を相手側に出してそのままお互いの手を握り合う。そして数秒後...

 

「オラアァァァァッッッ!!!!」

 

「おお〜また強くなってる」

 

二人の恒例行事。

 

酔賭相撲(ようとずもう)が始まった。

 

これはお互いが最初に多くの酒を飲み、腕相撲で買った方が自分の飲んだ酒と同じものと量を相手に奢らせる。更に最初の分の支払いも負けた側が持つのである。即ち、勝てば最初に飲んだ分も含めてその倍の酒をタダで飲めるというゲームでる。

 

因みに今までの戦績は12勝0敗でロンの勝ち越し。勇義は貰うものより失うものが多すぎて最早涙目である。

 

そして今日ロンが飲んだ酒は酒瓶合わせて132本、樽ごとで言えば50以上、勇儀は酒瓶合わせて157本、樽で言えば42と...

 

最早数えきれない程の酒を飲み干しており店に居た他の妖怪などはドン引きである。

尚、何処かの無意識の妖怪は偶然その場に近づいて誰にも気づかれぬままぶっ倒れた。

 

「クソオォォォォッッッ!!!」

 

「えへへ〜勇儀お姉ちゃん。もう諦めたら〜」

 

そしてそんな中...

 

場が動いた!

 

ロンが少し力を強めたのだ。

 

(相変わらずどんな怪力してんだ!?こいつ本当に人間なのかいッ)

 

「人間じゃなくて半神だよ(・・・・)〜」

 

「いや、心を読んでくんなよ!!.....ん?今お前なんつった!?半神!?」

 

その時、勇儀の考えに答える様にロンが自身は人間ではなく半神だという驚愕の発言をしたのだが...

 

その発言のせいで勇儀はうっかり力を緩めてしまった。

 

そう、力を緩めたのだ。

 

「隙あり♪」

 

「ゲッ!しまっウォォォォォッッッ!?」

 

そしてそのまま勇儀の身体は地面に吸い込まれていった。それはまるでブラックホールに吸い込まれるが如く。

 

気づけば勇儀の上半身は地面に埋まっており見えている足の先がピクピクと痙攣していた。

 

「いや〜やっぱり強いな〜勇儀お姉ちゃんは...まあ、約束だからこのお酒の支払いと倍のお酒も用意して貰うけど...」

 

そうして地下での勝負は終わった。

 

勇儀から失うものが増える結果を残して...

 

「クソオォォォォ!!!」

 

因みに本人が目を覚ました時にはロンは地上に戻った後だったとさ...

 

めでたしめでたし。

 

「めでたくねえよ!!」

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。