もし個性の伸ばし方を指南してくれる教本があったら   作:毎日がチートディ

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お茶子

side:爆豪

 

 

「記憶は無いが、俺のプロミネンスバーンの威力が高すぎて皆に迷惑をかけてしまったようだな。だが、俺があそこであの先輩を倒していなかったらもっと被害は大きくなっていただろう」

 

 

首筋を掻きながら、やれやれと自意識高そうな事を言っている半分野郎。

麗日が起こした天変地異を自分の力だと勘違いしていやがる。

 

 

「おい、緑谷。おまえ、麗日さんのことをどさくさに紛れてお茶子ちゃん呼びしてただろう! 抜け駆けしてるんじゃねーよ」

 

「え、いや、僕そんな事言ってたっけ。あわわ、麗日さんごめんね」

 

「ううん、あの時はごめんね。私なんかが勝手に前に出て」

 

「大丈夫、危ないときは僕が守るから。でも麗日さんはやっぱり個性的に直接戦うのは向いてないから後ろで援護してた方が良いと思うよ」

 

 

デクの奴、まだ気付いてねぇのか。

もし、あの馬鹿が邪魔しなければきっとあそこで終わってただろうに。

 

 

最後どうなったのか、倒れた後も辛うじて気合いで意識をつなぎ止めてみていたから知っている。

あの麗日がトンデモねぇスピードで捻れ女に突っ込んでいってパンチ一発で奴の胴体を消し飛ばしたのを。

 

あの時は流石に殺しはヤベえだろうと内心焦った。

麗日の奴も自分のヤッタ結果について混乱していたが、どこからか現れたメイド服のガキが麗日の頭部に触れて落ち着かせていた。

生首状態になった捻れ女は、ナース服の変な奴に注射されると、欠損した胴体が瞬時に復元していたので助かったのだろう。

その後も、俺を含めてクラスメイト全員がそのナースにクラス全員注射されて怪我が古傷含めて全て回復していた。

あんな回復個性持ったヒーローは見たことがないが、あそこまで強力な回復力だ。噂に聞く公安ヒーローって奴かも知れねぇ。

 

 

麗日はあのメイド服が何か個性を使ったのか、最後自分が倒したのは覚えていないみたいで、半分野郎を尊敬した目で見ていやがる。

だが、あの時振るった力の感覚は覚えているのだろう、奴から感じられる力が今までより更に高まっている。

ただでさえ力の差が見えないぐらい開いているって言うのに、実戦経験を経て更に化けやがった。

耳女に励ましで背中を強く叩かれてもビクともしていない。先日までならよろけていたのにな。

今じゃ不意を突いて転がすなんてことも出来ないだろう。

 

 

だが、山は高ければ高いだけ登りがいがあるってもんだ。

どれだけ高くなろうが、いつか俺がぜってぇ登り切ってやる。

そのためにはまた山ごもりだな。

丁度荒ぶって火を噴いてるあの富士の山に挑戦するのがいいだろう。

 

 

未だに大噴火を続けている富士の山に向かって、俺は更に強くなることを誓った。

 

 

 

Side:相澤

 

 

あの後は大変だった。

 

 

麗日の起こした災害、震度7を軽く超える地震で静岡を中心に都市部の建物は悉く倒壊、富士山の噴火で東京は火の海らしい。

おかげで監督不行届で俺の給料と、傍観していて止められなかったエンデヴァーの今後1年分の報酬が無くなることになった。

飯は雄英高校で喰えるし、職員寮もある。

貯金も少しはあるから大丈夫だが、麗日の存在が公安にしれてしまったのが問題だ。

今回の件をこの程度の罰則で済ませてくれたのも公安が新たな戦力を確保するための手回しだろう、でなければ今頃俺と麗日はタルタロスに投獄されていてもおかしくない。

それだけの被害規模だ。

 

 

それに、最後の麗日の攻撃も桁外れの威力で、波動の身体は頭部を残して吹き飛んでしまった。

だが、クラッシャー伊東は「生首状態になっても10秒ぐらいなら生きているだろう。なら治せるから大丈夫だ」とゲートからナース服の女を呼んで治療させた。

生首から四肢を再生させて復活させるほどの強力な回復個性など聞いたことはないが、それが魔法少女という存在なのだろう。

今までの会話から、魔法少女は後天的になる存在で、個性に似た固有の魔法を持っていると言うことが分かっていたが、これほど強力な能力もあるとは。

 

 

「お前の目的は何だ?」

 

 

ナース女が生徒達を順に回復している間、俺はクラッシャー伊東へと問いただした。

さっきまで、こいつの言うことを何故か好意的に解釈していたが、よくよく考えると不可解なことが多い。

 

 

「麗日の為と言っていたが、一体何を企んでいる。彼女に何をさせているんだ」

 

「あー? おい、どうなってる」

 

「のっこちゃんはお茶子ちゃんのメンタルケアに回ってるんで、その間リップルさんはスマイルスマイルで不信感持たれないように頑張ってください」

 

 

こそこそと白い少女がクラッシャー伊東に耳打ちして、クラッシャー伊東は引き攣った不自然な笑顔を向けてきた。

 

 

「別に、お茶子ちゃんにどうこうはしないさ。ただ、あの子に個性に頼らない強さを身につけて貰ってるだけだ」

 

「個性に頼らない?」

 

「ああ、個性なんて封じ込められたり、はたまた奪われたりすることだってあるだろう。そうなったとき、無個性でも生き抜く術を身につけさせたいのさ」

 

「体術、とかか。だが先ほどのパワーアップは個性による物ではないのか」

 

 

急激な重力変動による天変地異と、その後の身体能力の急上昇は麗日の個性による物だと思っていたのだが。

 

 

「地響きとかはお茶子ちゃんが痛みで重力の調整をミスっただけだろう。それと最後の攻撃についてはお茶子ちゃんの純粋な身体能力によるものだ」

 

「あそこまでの身体能力など、オールマイト並の強化系個性ではないとなかなかないが」

 

「個性ってのは調べるとなかなか面白い物でな。自分の個性に耐えれるように肉体を適応させるように出来ている。例えば火を扱う個性なら火傷しにくかったり暑さに強かったりな」

 

「確かにそうだが。それでも限界はあるだろう。火を扱う個性の者だって火力を上げすぎると火傷したりする」

 

 

轟の場合も、氷の個性を使い続けると凍傷などになっているしな。

 

 

「それは身体の適応が追いついていないだけだ。適応と出力上昇を管理してやればしっかり耐えれるようになる。ある程度はな」

 

 

クラッシャー伊東はそこで麗日の方を面白いものを見るような目で見る。

 

 

「お茶子ちゃんはそこがバグってるんだよな。恐らく個性の本質の問題だろう。どんな負荷にも"お茶の子さいさい"で適応していく。まるで上限が見えてこないんだよ」

 

「一体・・・お前は麗日に何をさせているんだ」

 

「重力の負荷さ。お茶子ちゃんは中学の頃から毎日自身へと掛かる重力を少しずつ増やさせているんだよ。まぁ少しと言ってもあまりにも負荷に耐えるのが早すぎて、今では1万倍を軽く超えているようだけどね」

 

 

1万倍・・・麗日の小柄ながらガッシリした骨格からして体重は60キロと想定(何故か身体測定では25キロしかなかったが)、1万倍なら・・・600トン、だと・・・。

 

 

「さっき、たったの10%の重力を解放してアレだ。もし、彼女が個性を奪われることがあったら・・・きっととても面白い事になるだろうね」

 

 

オール・フォー・ワン。あいつに対する対策か。

ならばクラッシャー伊東はあいつがタルタロスから抜け出してくると考えているのか。

 

 

「今回で身体能力を貫通してくる能力者相手の対応も覚えて、より防御面も硬くなっただろう。これで不意打ちでやられることもないだろうし、僕的には満足だね」

 

 

そういって去って行ったクラッシャー伊東に不信感が拭えないでいた。

一体、あいつは何を知っているのか。

今後の1年で何が起きるというのか。

 

 

去り際、白い少女の愉悦に染まった顔がとても不吉な物に見えた。

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