もし個性の伸ばし方を指南してくれる教本があったら   作:毎日がチートディ

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なんか昔の番組を見ていたら浮かんできたので書きました


怪人

Side:上鳴

 

 

「おーっす。峰田ぁ、今日も元気に爆睡してるかぁ」

 

 

早朝、俺は朝食を食べに行く前、一つ下の階の峰田の部屋に寄るのが最近の日課になってる。

 

 

「あら、上鳴さん。おはようございます。今日も来てくれたのですね」

 

 

そういうお前は毎日ずっと峰田の部屋にいるよな、ヤオモモ。

ついさっきまで峰田の身体を拭いていたのだろう。お湯が入った桶と濡れた手拭いがベッドの直ぐ脇に置かれている。

 

 

「ったく、そういうのは俺ら男子に任せろって言ってるだろう」

 

 

俺は桶を取ろうとするが、ヤオモモに素早く奪われてしまう。

 

 

「いいえ、私にやらしてくださいませ。この程度しかお役に立てませんから。片付けてきますので、上鳴さんは峰田さんのことを見ていてあげてくださいね」

 

 

そういってヤオモモは足早に部屋を出て行った。

前まではヤオモモの事をおっかない女だとばかり思っていたが、こんなに健気で甲斐甲斐しいなんてな。人は見た目(個性)によらないもんだ。あんなにヤオモモに夢中だったエロ峰田の方が人を見る目あったんだな。

俺は峰田の部屋を見回す。峰田が眠りについてもう2ヶ月が経とうとしている。その間、ヤオモモはずっと峰田の部屋に籠もりっきりだ。部屋にはヤオモモの私物も大分増えてきている。これで峰田が昏睡してるんじゃなきゃ、同棲しているとしか思えない部屋だな。

一時期はヤオモモの飯が食えなくなるんじゃないかって心配したが、なんかコピーロボットとかいうヤオモモそっくりのロボットが以前からずっと家事をやっていてくれたそうで、そこは変わりなくなんとか安心したが。それでもずっと峰田につきっきりのヤオモモの方が不安になってきた。

個性で栄養などを回しているから体調は大丈夫だと言っていたが、精神の方は確実にダメージを負っているのが鈍い俺でも分かるぐらい顔に出ているぞ。

峰田の側に寄ろうとベッドに近寄ると何かを蹴飛ばしたことに気づく。

見るとヤオモモが大事にしていた本だ。

そんなものを無造作に床にほっぽり出している時点でヤオモモの精神が案じられてしまう。

俺は本を拾い上げて、なんとなく中を開いてみてみる。

 

 

「ん? なんだこりゃ」

 

 

本の中身は真っ白で、何も書いてない。

別の本かと思って表紙を見返すが、『サルでも分かる魔法の教本』と、何時もヤオモモが読んでいる本で間違いない。

裏表紙には『しえはっさいかいようちえん にんきょうぐみ やおよろずもも』と年齢の割には達筆なひらがなで名前も書かれている。

いつ見ても酷ぇネーミングの組だな。どんな幼稚園だよ。

だけど、どうしてヤオモモはこんな何も書いてない本を大事に読んでいるんだ。もしかしてウェーイには読めないインクとかか? いや、今の俺はまだウェーイになってないぞ。

まぁそんなことどうでもいいか。

俺は、机にその本を置いて、改めて峰田へと向き合う。

 

 

「いや、いつみても見事なリアルHK変態仮面だな。お似合いすぎて恐いぜ。それにしてもお前、ホント馬鹿だよな。なんでヤオモモが振り向いてくれているってのにずっと寝てるんだよ。お前、あんなにヤオモモの尻に夢中だっただろうが。今なら頼めば幾らでも揉ませてくれそうだぞ。早く起きてこいよ」

 

 

バイタルは極めて良好。心拍数も血圧もどれも平常値。脳波や体内の生体電気にも全く異常がない。

 

 

「やっぱりただの病気って訳じゃないよな。こりゃ、本当に姐さんに一度見て貰う必要あるかも。ん?」

 

 

峰田の枕の裏に何かある?

 

センサーで峰田をサーチしていると、枕の下に、何かがある事に気付いた。小さくて丸い形状。エロ本って訳ではなさそうだな。

峰田には悪いが、ちょっと確認させて貰う。

峰田の枕の下に手を突っ込んで探ると直ぐにそれは見つかった。

 

 

「なんだれこ。宝石か? やたらキレイって言うか・・・お、なんか濁ってきた?」

 

 

綺麗な装飾がされた宝石のアクセサリーだ。だけど、その宝石、不思議なことに中身が光ったり濁ったりと変化している。

峰田の趣味じゃねーし、ヤオモモのか? でもだったらなんで枕の下に?

 

 

「上鳴さん、お待たせしました。お紅茶入れてきましたから」

 

「ッ! あ、ああ、悪いな。でも俺、用があるからもう行くわ」

 

 

俺は足早に部屋から出て行く。

 

ヤベぇ。咄嗟の事でついアレ、ポケットの中に隠しちまった。どうすっか。まぁ、後でコッソリ返しておけば良いかな。

それにこれがなんなのか、ちょっと興味が沸いてきた。これも姐さんに見て貰おうかな。どうせ今日辺り、連絡あるだろうし。

 

 

そう思っていたら、案の定、姐さんからの通信が入った。先日から追っている奴が見つかったそうだ。

 

 

俺は自室に戻り相澤先生に個性の使い過ぎでアホになったんで休む連絡をする。ウェーイウェーイ言っておけばまたかこいつ、と呆れながらも承諾を得られた。俺は部屋に偽装を施してウェーイウェーイと五月蠅く響く自室からベランダに出る。この寮、一階層毎の高さがそこそこあるので三階の俺の部屋からは結構良い眺めだ。そんな高所から、俺は躊躇せず飛び降りる。

 

 

 

 

そういえば、皆には言っていないが、俺、上鳴電気は改造人間である。

 

 

 

 

 

俺を改造したソザ解素材に拘る解放戦線は世界制覇を企む秘密結社である。上鳴電気は人間の自由のためにソザ解と戦うのだ・・・とか言えばちょっとは格好いいかな?

まぁ実際中学の頃、電気工学の権威だった父がソザ解に拉致されて、それを俺が無謀にも自分で救おうとソザ解のアジトに潜り込んだけどなすすべ無く捕まり、改造人間として改造されたんだよなぁ。

 

 

「やめろぉう、ソザ解ぃ。ぶっどばすぞぉう」

 

 

改造手術ベッドに拘束された俺は個性を封じられ、呻き声と罵り声を上げるしかできなかった。

俺を捕らえた怪人クモ男がそんな俺を見て愉快そうに笑っていたを今でも思い出すぜ。

そんな俺を助けてくれたのが・・・

 

 

「姐さん、お待たせ」

 

「遅い。あと、その姐さんっての本当にやめて。私は組を継ぐつもりなんてないんだから」

 

 

金属製の純白のボディに十字が入った大きな赤い瞳。丸みを帯びた角みたいな髪が4本生えた頭、背中にはランドセル型のブースターを背負ったロボット。それが姐さんだ。

本当の名はマジカロイド44とか言うらしいが、母親が付けてくれた別の名前を気に入っていて、それ以来そっち名前を使い続けているそうだ。口では母親はダメ人間だとか、あんな大人には絶対ならないとか言っているけど、いまいちマザコンが隠せてないよな。それに姐さん、もう年齢三桁ってアブねぇ! 無言で機銃掃射は止めてくれ。死んじまう。

 

 

「自業自得。それに、新しい戸籍作ったから今の私は15歳。高校にだって入ったんだから。本物のピッチピチのJK。今度年増とか言ったらぶっ殺すからね」

 

 

それって公文書偽造・・・いや、死にたくないからこれ以上は黙っていよう。

こんなんでも俺にとっては命の恩人だしな。この人が助けてくれなかったら身体だけじゃなく精神まで改造されて怪人ヴィランの仲間入りしていただろうし。

 

 

「それで、ヴィラン連合の出っ歯野郎は」

 

「あそこ」

 

 

姐さんが指さす方をサーチすると、10キロ先の公園で蹲ってブツブツ呟いている拘束着姿の人物が確認できた。

彼の周りには解体されたばかりと思わしき年端もいかない子供の死体。

2人の警官が彼に拳銃を向けているが、ヒーローは一向に現れる気配がない。いや、ヒーロー、あれは確かスライディン・ゴーか。彼が近くまで来ていたが、相手が出っ歯野郎だと分かったら肩をすくめて帰って行きやがった。

あ、警官の一人が警/官になった。

 

 

「あのままにしておけない。行くよ」

 

「がってんしょうち、あいあいさー」

 

「なんなのそのキャラ」

 

 

いや、ちょっとキャラを立てようかなって。

姐さんは背中のバーニアから火を噴きながら音速を超えて飛び出す。

俺も身体の内部に埋め込まれたアークリアクターに火を入れ、身体に電気を漲らせて追いかける。

 

残った警官に出っ歯野郎の歯が迫るが、それは姐さんの右腕から伸びたビームサーベルによって切断される。

 

 

「に、にく・・・?」

 

 

出っ歯野郎、ムーンフィッシュが俺たちを警戒するように後ずさり、身構えた。

可哀想に。死ぬ寸前だった警官は下半身を湿らせて意識を失っている。

だが目撃者は少ない方が良いからな。

 

 

「鉄腕少女」

 

 

姐さんが名乗りを上げて戦闘ポーズを取ると背負ったランドセルの下部が開き、そこから小型爆弾が彼女の背後に落ちてピンクの爆発が起きる。

いつの間にか姐さんが起動した疑似魔女結界により、辺りがいつもの採石場に変わっている。

更にランドセルからは彼女の主題歌である『戦え正義の鉄腕少女(歌:クラッシャー伊東 feat. てつわん児童合唱団)』が流れ出す。

 

 

「相変わらずぶっ飛んだ仕様ですね、姐さん」

 

「母さんからの誕生日プレゼントなんだから、しょうがないじゃない」

 

 

シリアスな展開が一転してコミカルに早変わりだ。

姐さんも相当恥ずかしいのだろう。ロボットフェイスであるのに心なしか赤くなって見える。

 

 

「き、きさまら・・・に、にく・・・じゃま・・・シェエエエエエーーー」

 

 

出っ歯野郎が拘束着を引きちぎり、右腕を垂直に上げ、左腕を胸の前で水平に、そして右足を上げて左足に交差させるポーズと共に奇声を上げると、身体がみるみる化け物へと変化していく。

 

 

「本性を現したわね、おフランス怪人ムーンフィッシュ。上鳴も早く変身しなさい」

 

「分かったぜ。えい! やあ! とう!」

 

 

俺は右腕を上げ、そのまま両手を振り回してから高くジャンプする。

飛び上がった俺の体内でアークリアクターが全力稼働を開始し、粒子化して体内に格納されていた戦闘スーツが俺を身体を包み込む。

それに伴い、俺の肉体にも変化が現れる。

胸が膨らみ、腰がくびれ、自慢の妖刀村正が体内に格納される。

何処となく丸みを帯びてきた俺の肉体に赤を基調とした戦闘スーツが装着される。

胸には六つの黒い丸型プロテクター。十分に膨らんだオッパイ部分には黄色で「P」の文字。下半身に履いていたズボンもいつの間にか無くなり赤いミニスカートと黄色いブーツが装着されている。そして頭部には赤にこれまた黒い斑点が入ったヘルメットが装着され、トレードマークの黄色いマフラーが首に巻かれてから俺の変身が完成する。

 

 

 

「電波人間パックル!」

 

 

 

テントウムシをベースとした女性型怪人。それが俺の変身した姿だ。

 

 

 

 

・・・なんで女性型なんだよ。

 

 

 

 

本来なら同時期に開発されたカブトムシをベースにした男性型怪人へと改造されるはずだったが、手違いで女性被験者と入れ違いになったのだとか。ちなみにそっちの子は改造前に助け出されたそうだ。

 

 

「相変わらず変態ね。変身したまま銭湯とかにいったらダメ。成敗しなきゃいけないから」

 

「いかねーっすよ!(女性声)」

 

 

これだから皆には秘密なんだ。絶対馬鹿にされるに決まってる。

 

 

八つ当たり気味に、俺は出っ歯野郎に向かって両手を上下に振る。

 

 

「えいっ! 電波投げ!」

 

 

すると電気エネルギーが衝撃波に変換されて、ベルトのバックルから放たれる。それが直撃した出っ歯野郎はトンボを切りながら吹き飛ばされる。

エネルギー消費が少なく、遠距離から攻撃可能な使い勝手のいい俺の必殺技だ。

 

 

転倒した出っ歯野郎を守るように、どこからともなく全身黒タイツのソザ解戦闘員が多数現れる。ソザ解怪人の標準能力である召喚魔法だ。

 

 

「えい! えい!」

 

 

俺は戦闘員達を水平チョップやヤクザキックなどで蹴散らし、そこに姐さんが大量のマイクロミサイルを発射、同時に両腕に展開したガトリング機関銃を掃射して俺もろとも戦闘員達を一気に吹き飛ばす。ここまでがお約束の展開だ。

 

 

「何時も言ってるけど、邪魔」

 

「何時も言ってるけど、情緒がなさすぎですよ。姐さん」

 

 

折角出てきたのにミサイルや銃撃で瞬殺されるとか可哀想だろう。幾ら木っ端な戦闘員だろうが見せ場ぐらい作ってやろうぜ。

特撮ヒーローがそんなに容赦ないなんて視聴者の子供達が泣くぞ。

 

 

「合理的じゃない」

 

「俺の担任と同じこと言ってんじゃねぇよ」

 

 

姐さんは出っ歯野郎にも銃口を向けるが、出っ歯野郎は歯を伸ばして銃撃を跳ね返した。

そして大きく飛び上がり、上空から大量の歯を分離させて銃弾のように飛ばしてくる。

俺たちは素早く飛び退いて飛んでくる歯を避けるが、地面や壁に突き刺さった歯が一斉に伸びて俺たちへと襲い掛かる。

更に本体からも歯が伸びて挟み撃ちにしようとする。

 

 

「だけど、この程度!」

 

 

俺は電気の力で地中の砂鉄を集めて高速振動させ、巨大な刃として襲い掛かる歯を切り裂く。

姐さんも危なげなく、敵の攻撃を避けながら、ランドセルの中から何かを取り出す。

 

 

「今日のビックリドッキリ魔法のアイテム~~!!」

 

 

取り出したのはなんというか、男性器を模した歯ブラシに見える。

 

 

「なんと、このアイテムは! 周辺の男性の男性器と存在をリンクさせる魔法の歯ブラシ! って今日もハズレだよ!」

 

 

赤面した姐さんはそれを地面に叩きつけ、踏みつけて砕く。

 

 

「「「~~~~~~~~~~~~~ッ!!!!」」」

 

 

すると出っ歯野郎。そして地面に倒れていた戦闘員の何人かがアソコを押さえて声なき悲鳴を上げる。

 

 

「じょ、女性型で、良かった・・・」

 

 

俺は変身中は無くなっている妖刀村正が砕け散る様を想像して顔面が蒼白になってしまう。そして無意識にアソコを押さえてしまった。

 

 

「なんだかよく分からないけど、チャンス」

 

 

倒れ、泡を吹いて痙攣している出っ歯野郎を見て、姐さんは上空へと大きくジャンプ。空中で前方宙返りをしてから相手へと放物線を描くようにキックを繰り出す必殺技、鉄腕キックを放った。

度重なる自己改造により強化された姐さんの鉄腕キックを喰らった相手は、体内に直接膨大な魔力ダメージが叩き込まれ・・・相手は爆散して死ぬ。

 

 

そして姐さんのランドセルからはエンディングテーマの『今日もどこかで鉄腕少女(歌:クラッシャー伊東 feat. てつわん児童合唱団)』が流れ出す。

 

 

『だ~れも知らない知られちゃいけ~ない~♪ 鉄腕少女がだ~れ~なのか~♪』

 

 

どこか哀愁が漂いしんみりくる良い曲だよな、これ。なんかパクリ臭いけど。

 

 

「それにしても、ヴィラン連合のこいつが怪人化していたってことは」

 

「ヴィラン連合とソザ解は繋がっている。そして恐らくこの街にソザ解の基地があるって見て間違いない」

 

 

ここは愛知県・泥花市。人口10万を超える地方都市だ。

あのサポートアイテムのデトネラット社もあることでも有名だ。

以前からソザ解の資金源としてデトラネット社を調査していたが、そこに最近になってヴィラン連合も出入りするようになり、そして今回の怪人化。

怪人脳無の件からも怪しんでいたが、やはり全ては繋がっているとみて良いだろう。

 

 

「ヴィラン連合の手フェチ野郎がここ2ヶ月ほど感知できないってお茶子ちゃんが言ってたけど」

 

「恐らく魔女結界の中にいるんだと思う。それなら外からの干渉を防げるから。恐らく彼も既に改造されていると見た方が良い」

 

「確か崩壊とかいう危険そうな個性だっけ。アレが怪人化とか面倒そうなんだが」

 

 

なんかオールマイトも復帰後は大きく力を落としてるみたいだし、敵は逆に強力になっていってる。

お茶子ちゃんは加減を謝ったら地球吹っ飛ぶから当てに出来ないし、他の戦力はヤオモモやBクラスの大小じゃ通常怪人相手が関の山だろう。

いや、俺だって改造人間の力を使わなきゃヤオモモにすら勝てないけどさ。

かといって、正規のヒーローはなんかパッとしないんだよな。

捻れ先輩とかぶっ飛んでるけど、あれは本来あっち側だろう。絶対野放しにしちゃいけない類いだ。

そのうち、俺も表舞台で戦うときが来るんだろうな。

 

 

「この姿で戦うときは絶対に正体がバレないようにしないと」

 

「以前から思っていたけど電波人間パックルって呼びづらいから、今度からその姿の時も上鳴電気って呼ぶから」

 

「やめてくれぇぇ!! 俺、パックル。可愛い可愛いパックルちゃん。もうパーちゃんでもクーちゃんなんでもいいから本名だけは勘弁してくれ!」

 

「なんか面白そうだから断る」

 

 

オワタ・・・絶対この姿でみんなの前に出ないからな。

もしバレて笑われたら・・・禁じ手の「ウルトラサイクロン」で敵のボス巻き込んで自害しよう。

 

 

「あ、そういえば姐さんに見せたい物があったんだった」

 

 

俺は峰田の部屋で見つけた謎の宝石を取り出して姐さんに見せる。

 

 

「ソウルジェムだね。どこで拾ったの?」

 

「いや、友達が寝てて、そこに転がってた」

 

「ふーん。その友達、死んじゃうから早く元のところに戻した方が良いよ「死んじゃうの!?」」

 

 

どうやら、これには峰田の魂が移されているらしく、肉体から魂が分離している利点として、肉体がどれだけ傷つこうが死ぬことは無いけど、この宝石、ソウルジェムが砕けたり、濁りきったりしたら死ぬらしい。また肉体から離しすぎてもリンクが途切れてしまい、肉体の生命活動が停止して、魂の汚染が急速に進むそうだ。

 

 

「ん~、結構濁ってるね。たぶんあと少しで魔女化だね。お悔やみ申しておくね」

 

「姐さんごめん! 俺、急いで帰るから!!!」

 

 

俺は専用バイクのテントローを召喚して、マッハ10の速度で寮へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「上鳴さん! 峰田さんが! 峰田さんが!! うううぅ」

 

 

峰田の部屋に向かうと、部屋の前で顔を涙でぐしゃぐしゃにしたヤオモモがクラスメイト達に慰められていた。

部屋の中には見たことのない数人の女性がいる。

 

 

「お、戻ってきたね。ビリビリ君」

 

 

ビキニ姿の女性がニヤニヤしながら声をかけてくる。

 

 

「ほれ、出すもん有るんでしょ。結界張って維持してるけど、早くしないと時間切れだよ」

 

 

俺はすぐさまソウルジェムを取り出し、峰田の側で結界を張っていた少女に手渡した。

 

 

「うん、大分濁ってるけど。まだ私の魔法でなんとかなるね。大丈夫。もう絶望する必要なんて無いからね」

 

 

ピンク髪をツインテールにしたヒラヒラの魔法少女然とした格好の少女。その子がソウルジェムを受け取ると、眩い光を放ち、白いワンピース姿に変貌する。そして背中からピンクの翼が大きく広がっていた。

すると濁っていたソウルジェムが輝きを取り戻し、青白くなっていた峰田の身体に生気が戻る。

部屋の外からヤオモモが飛び込んできて、峰田の身体に縋り付いて、良かった良かったと繰り返す。

 

 

「クラッシャー伊東。峰田は大丈夫なのか」

 

 

様子を見ていた相澤先生がビキニ女に声をかける。

 

 

「ああ、大丈夫。アレは“謎の病”で危篤中の丁稚君の生命を維持する魔法のアイテムなんだ。だから彼の身体から離さないようにね。いやぁ僕も丁稚君のことは心配でね。一体何があったのか調査しているんだが一向に判明しないんだ。世界ってのは未知で溢れているね」

 

 

この女、なんか嘘をついているような気がする。ソウルジェムのこと・・・だけじゃない気がするが・・・。姐さんと同じ魔法少女だってのはなんとなく分かるんだけど、俺とは実力が桁違いだ。

相澤先生はこの女と面識があるようだが一体何もんなんだ。もしや・・・。

 

 

「大丈夫。私はソザ解じゃないよ」

 

 

!!!

 

 

こいつ・・・俺の正体にも気付いているのか。

勝てねーな。姐さんよりヤバい匂いがプンプンする。

次から次へと恐い奴が現れる。

マジでこの世界、どうなってるんだ。

 

 

あと、峰田。幾らヤオモモが縋り付いてるからってそれはどうなんだ。リトル峰田が天を突いてるぞ。それで本当に意識無いのかよ。それにしても・・・いや、マジでデケぇな。黒人だってそこまでデカくないぞ。身体との対比どうなってるんだ。全然リトルじゃねぇだろうが。見ろよ、普段済ましたイケメン顔の轟とか、自分のと見比べて絶望顔浮かべてるぞ。あと女子達。恥ずかしがって顔隠してるけど、指の隙間すっげぇ広いな。目を血走らせてガン見してるじゃねぇか。アレだな、峰田、いや峰田さんはエロ同人の世界から来た住人なんだな。竿役って奴だ、納得した。え? 俺の? えっとそうだな、そういえばまだ格納されたままだわ。だからサイズ比較できないの残念だなぁ。もし比べれるのなら良い勝負出来たのになぁ。

 

 

俺の村正のサイズについては詮索しないでくれ。

 

 

・・・もう一度改造手術を受ける機会があったら、峰田さんのサイズにして貰おう。

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