主人公初披露
その後、各地で戦いが起きたが苦戦しながらもこちらの陣営が勝利したという吉報を聞くことができた
しかしどちらの陣営も疲弊し、降伏や裏切りなども多く起きた
そして戦争が膠着状態になったところである異変が、いや魔法が発動された
急に大陸全体の街、村、国のすべての場所が入れ替わったのだ
俺達の陣営は大混乱である
今まで自分がいたところがまったく知らない場所になったのだから
いや建物を見ると知っているような様式の建物がごちゃごちゃにある
ここは一応フィオーレ王国がある大陸なのだろう
しかし、自分のいる場所がまったくわからない。だってすべてが混ざってしまっているのだから
そして俺は他のみんなよりも混乱していた
「どこだここ!?転移もマーキングがよくわからないとこにあるな…」
俺が転移するときのマーキングは今回のように位相が変わってしまうとまったく役に立たなくなってしまうのだ
そして何よりも俺は方向音痴だった
転生してまもなく森の中をずっと迷っていたのは今でも覚えているだろう
だから転移するわけにもいかず、なおかつ周りに誰もいないので頼れない
こうしている間にも戦争は続いているだろう
俺はとにかく空の鬼ごっこ(スカイ・ハイ)で飛び回るのだった
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「むぅ」
俺はある決断をするか迷っていた
あれから休みもいれたが、森の中をずっと彷徨っていたのだ
「…よし!度胸だ!」
決意して転移する
しかし、ランダムで転移するので危険もある
もしかしたら、石の中だったり、建物の壁の中だったり、危ないかもしれないが確率は低いだろう
そして男は度胸と自分に言い聞かせながら転移をするのであった
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「エルザさん!」
転移したと思いきや、エルザが倒れていて、エルザに似た女性がトドメを刺そうと…いやあれは
「ッ!?」
エルザに似た女性が刀を持って、振りかぶる
エルザに、ではなく自分に
そう女性は自害しようとしていたのだ
それを見た俺はとっさに女性の手を取って動きを止めた
「ゴジョウさん!?」
俺が急に現れたところに近くにいたウェンディが驚きの声をあげた
「ウェンディ、説明を頼む」
そう俺はウェンディに状況の説明をお願いしたのであった
…
まず、女性の名前はアイリーン・ベルセリオン
トゥエルブのひとりで、なんとエルザの母親だというのだ
その正体は400年前のある国の女王で滅竜魔法の母でもあるというのだ
しかし昔の滅竜魔法は使い続けていると徐々に体をドラゴンにしてしまうらしい
そして、エルザを身ごもったままドラゴンになり、元に戻れずにいたとのこと
そこで当時旅をしていたゼレフに会い、人間に戻ったが
感覚はドラゴンのまま、つまり食事をしても味がわからず、睡眠もしない
それでだんだん感覚がおかしくなっていき、お腹の中にいたエルザに自分の人格を付加(エンチャント)しようとしたらしい
しかし出来なかったのだという
それからはエルザを捨て、向こうの大陸に渡ることになったのだろう
だが俺にはそうは見えなかった
「あんた、本当にエルザのこと捨てたのか?」
「っそうよ」
「じゃあなんで自害しようとした」
息を飲む音がした
「…何をこと?」
アイリーンは惚けるが、俺は知っている
「アンタみたいな目のやつは何度も見たことがあるんだよ」
「アンタの目は母親の目だ」
「ッ!」
「どうせエルザのことも自分といれば不幸になるからとか言って、孤児院にでもおいていったんだろ?」
目の前でエルザが呆気に取られた顔をしている
「何度でも言うが、アンタみたいな目をした奴を多く見てきた。優しい母親の目だ」
俺の言葉にアイリーンは俯いてしまう
だから俺は聞いた
勘だ。ただの勘だ。だが彼女が俺の最後のピースだ
「そこで提案だ。俺があんたを人間に戻してやる。だから俺のものになれ」
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俺の言葉にアイリーンは様々な感情が混ざった顔をしている
なまじ長生きなため、俺の言葉の意図について考えているんだろう
「ま、待てゴジョウ!その女が私を、その、愛しているとでもいうのか!?」
急にエルザが割り込んできたが、俺は若いなと思いながら答える
「ああ、お前の母親はお前のことを愛してるよ。じゃなきゃ自害だってしないし、あんな目をしない」
俺はこれでも、色んな感情に触れて来たからわかるんだよと言ってやる
「…」
アイリーンは黙ったままだ
ウェンディはどうすればいいのかオロオロしている
「っ、わかった。あとはゴジョウに任せる」
エルザも色んな感情があるんだろうが、それを飲み込んで、俺に任せてくれた
「それでどうする?」
俺の問いかけに
「詳しく教えてちょうだい」
少し時間を置いたあとアイリーンはそう答えた
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俺達はエルザたちから離れたところにいた
「じゃあ、まずは傷を直しておくぞ」
そう言ってアイリーンの傷を直していく
アイリーンが驚いていたいたが、これから話すのはもっと驚くことだ
まず、最初に俺が違う世界から来たことと、この世界とは異なった能力を持っていることを説明する
そして、アイリーンを人間に戻す方法が不思議の国のアリス(アリス・イン・ワンダーランド)であることを話す
ここまで十分くらいで急いで説明したが、アイリーンはすぐ理解してくれた
「要するにゼレフ書の悪魔みたいになれということね」
「ああ、能力を行使したあとは俺に逆らえないし、死ぬことさえの是非もなくなる」
俺は、アイリーンに能力のメリットとデメリットを説明する
「そんなこと言ってもよかったのかしら?もしかしたらそれを聞いた私が断るかもしれないからわよ」
「その時は俺の見る目がなかったと思うことにするさ」
「ふふっ潔いのね」
アイリーンはなんともおかしそうに笑う
「…いいわ、やってちょうだい」
「決断早いな」
「ええ、一度なくしたような命だもの。なんでもよくなっちゃったわ」
「わかった」
どちらも即断即決である
「じゃあ、アイリーンの滅竜魔法を生贄に人間に戻すぞ」
そう言って俺は不思議の国のアリス(アリス・イン・ワンダーランド)の眷属を作る能力を行使した
すると紅い高級そうな本が現れ、アイリーンを吸収していった
「こうなるのか…」
俺は目の前の出来事を呆気に取られたように見ていた
だってこの能力初めて使うんだもん
そして数分後、輝いていた本が俺の手元に来て、収まった
「さて…」
本を開くと、アイリーンの絵とステータスが載っており、それからはアイリーンの人生について物語が書かれていた
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名前:アイリーン・ベルセリオン
年齢:■■■歳
力:C
体力:C
知力:EX
素早さ:B
才能:S
魔力:EX
備考:ドラグノフ王国女王、滅竜魔法の母
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おぉう
凄いなこのステータス
知力がハンパじゃねぇし、才能もSとかやっぱり強いな
あと備考も凄いのばっか
ってか、なんで年齢が見えなくなってんだ?もしかしてアイリーンが意図して見えなくさせてんの?
「まぁいいか。さっそくアイリーンを出してっと…」
「…」
「おーい」
「…」
出したはいいけど、自分の体を触ったり、動かしていて俺の声が聞こえていないのかな?
「おーいそろそろいいか?」
「ええ、もういいわ」
「体はどうだ?異常ないか?」
「ぜんぜん、むしろいいくらい。それよりもあなたに対して好意というのかしら、それが出てくるのだけど」
「え、マジで?…初めて使った能力だから俺もよくわかんないわ」
「えぇ…」
俺の言葉にアイリーンが引いている気がする
「すまんが、検証は後だ。まずはこの戦争を止める。それまで見つからないように不思議の国のアリス(アリス・イン・ワンダーランド)の中に入っていてくれ。中で好きにしてていいから」
「ええそうね、今私がいたら混乱しそうだものね」
「すまんな」
俺はそう言って、不思議の国のアリス(アリス・イン・ワンダーランド)の中にアイリーンを入れようとしたが、どうやら自分の意思で勝手に入ることが出来るようだ
これはいちいち能力を使わなくていいな
それじゃあ、いつの間にか風景が元のマグノリアに戻っているし、転移して敵本陣に攻め込むとしようかね
お読みいただきありがとうございます
今後ともよろしくお願いします