主人公無慈悲
「あれ、どこだここ?」
俺は何か匂いがしたと思ったら、不思議な出口(ランダム・ドア)を発動していた
「なんで不思議な出口(ランダム・ドア)が発動されてんだ?」
そう、俺は゛発゛を発動させた訳じゃない。それでも勝手に不思議な出口(ランダム・ドア)が行使されていた
「どうなってんだ?」
俺は訳がわからないと混乱していたが、体は勝手に周りを警戒をしていた
「ここは…ヨーロッパか?」
辺りは、人気が少ない路地裏
路地裏を出ると、建物や人の服装が中世のヨーロッパに酷似していたのだ
他にも、生活雑貨や街の臭いなどまるで本当の中世ヨーロッパに迷い込んだみたいだ
一応、不思議な出口(ランダム・ドア)は発動できる
マーキングも、2つの世界に残っている
俺はいつでも逃げられることを確認して、少し街を歩くことにした
…
少し歩くと、何やら街の広場が騒がしく、人が大勢集まっている
「ん?なんかやってんのか?」
気になって、近づくと声が聞こえてくる
「この女は、人々を騙し、人々を恐怖に陥れ、人々を操ろうとした魔女だ!」
「こんな魔女は神も許さない!これから神の怒りがこの女に降りかかるだろう!」
「殺せー!」
「魔女を許すなぁー!」
「神の裁きを!」
…えぇ、マジでここ中世ヨーロッパなの?
言っていることやっていることがマジで中世じゃん。しかも魔女狩りかよ
「えーと、磔にされてんのは…ってまだ少女、いや幼女じゃん!」
そう、磔にされていたのは、金髪で碧眼の愛らしい顔の幼女だった
年齢は10歳くらいだろうか、周りの民衆を睨みながらも今から火あぶりにされそうなその表情は恐怖がのぞいている
神父や民衆たちはこれから魔女を浄化出来るとでもいうように、祭りのような騒ぎで幼女を罵倒している
「マジで中世ヨーロッパの魔女狩りって気分悪いものだったんだな」
俺は実際の魔女狩り現場を目撃して、引いていた
当時の魔女狩りは一種のエンタメだったとか聞いたことがあるが、これを見ているとマジだったんだなぁとしか感想がでてこない
いや普通、少女にもみたない幼女を火あぶりにするって野蛮すぎない?とか思ってしまう
だが、この火あぶりは民衆たちの鬱憤も吐き出すためみたいのあるのかな
「はぁ、どうすっかなー」
俺は幼女を助けるかどうか迷っていた
まだこの世界のことは何ひとつわかっていない。ここで助けても、もしかしたら俺より強くてヤバい存在がいるかもしれないので慎重になるしかないのだ
磔にされている幼女は可哀想だが、彼女は知り合いでも何でもない
知人までなら助けようとするが、まず俺は自分が一番大切なのだ
だから…
「よし、すまんな名も知らない幼女よ」
だから俺は、彼女を見捨てる
「火を!」
神父の声でローブを着た人物が磔に近づくと、何やら言葉を発した
「ロイ・ロト・ロック、我が祈りに応えよ…」
「うん?」
小さい声すぎて、民衆たちには聞こえていないだろうが、五感が発達している俺には少し聞こえた
「今のは詠唱?」
そう、詠唱なのだ。しかも詠唱したあと、小さな火が磔台に灯った
このような魔法はFAILYTAILがある世界にはない。ハンター×2の世界にもない
「なるほど。やはりこの世界は新しい世界だということか」
不思議な出口(ランダム・ドア)はただの転移の゛発゛ではないのだろう
ランダム、つまり無限に転移の場所があるのだ
この゛発゛を初めて発動したときは逃げるためだったが、あのときのどこでもいいから別の場所へという想いが別の世界へ俺を誘ったのだろう
結果的には妻たちや子どもたち、新しく産まれてくる子どもたちに合わせてくれたのだ。今では良かったと思う
なので、ここは新しい世界ということだ
磔台が燃えている
幼女の絶叫が広場に響く
しかし、幼女の絶叫よりもさらに大きい歓声が民衆たちから聞こえてくる
俺は、そんな民衆たちが気持ち悪くて仕方なかった。なぜ、あれだけ笑えるのだろう。なぜ、あれだけ騒げるのだろう。なぜ、あれだけ人の死を喜べるのだろうと
「まぁ、今の常識と昔の常識、違うのはあたりまえか」
俺の常識をこの時代に持ち込んでも意味はないだろう
この人たちの常識は今なのだから
だんだんと幼女の絶叫も、聞こえなくなってきた
そして、火が消え終わり街が夕日に沈んだあと、民衆はいなくなっていた
民衆がいなくなり、磔台はしばらくそのままにされるのだそうだ
俺は、磔台に近寄って見ると幼女の死体が…
「うん?」
幼女の死体が動いた
「まさかまだ生きているのか?」
幼女は黒焦げのように見えるが、実際は黒い炭がかぶさっているだけであった
そう幼女は再生していた
「おーい、お前化け物の類なのか?」
俺の言葉に黒い炭をかぶった幼女は、ビクッとしたあと怯えたように目を俺に向けてきた
そんな幼女を俺はじっと見つめる
幼女も俺をじっと見つめる
「…」
「…」
そして10分後、幼女はコクリと頷いた
それを見た俺は
「(なるほど。精神性は化け物じゃない、か)」
そう直感的に危険はないと見切った俺は、幼女に提案した
「よし、俺がお前を助けてやろう」
「…!?」
幼女は驚いている。その表情は驚愕、疑念、歓喜、諦念の感情がありありと浮かんでいる
「さぁ、どうする?俺の手をとるか、また怯えながら生きていくか」
その言葉のあと幼女は少し悩んで俺の手をとった
ーーーーーーーー
あのあと、夜に紛れて幼女を大人の空間(ラブホテル)に入れて幼女を連れて、街を脱出した
それから、少し歩いて人がいないところまで来ると俺も大人の空間(ラブホテル)に入っていった
そして、ベッドに寝ている幼女を確認してから外に出て、FAILYTAILの世界へ帰って行った
FAILYTAILの世界の俺の部屋に戻ると、時間はまだ昼間だった
俺は驚いて、時間を確認すると、俺が転移してから1時間も経っていなかった
「あの世界は時間の流れが違うのか?」
一応、もう一度先ほどの世界にマーキングした場所へ転移してみる
そして、FAILYTAILの世界へ戻る
部屋にあった砂時計が、幼女がいた世界にいたときより砂がまったく落ちていなかった
「やっぱそうか」
ならばと、ミラやアイリーンに事情を説明して幼女のいた世界へ行く
2人は妊娠をしているが、ルカのサポートもあるし、向こうの世界とは時間の流れが違うから心配をしてもされてもいない
そして、幼女のいた世界は真夜中になっていた
俺は、ローブ姿の人物が火をつけるとき、魔法らしきものを使用しているのを見ていた
ならば、この世界にも魔法があるはずだ
だから、探しに行く
まずは文献から虱潰ししていこう
ーーーーーーーーー
それから、早速街へ着いて文献を探そうと考えたが、幼女のことを思い出し大人の空間(ラブホテル)の部屋に入る
中にはベッドに座って、そわそわしている幼女がいた
俺はなんだ?と思いながら幼女に近寄る
「おう、起きたか。調子はどうだ?」
「…レ」
「ん?なんだって?」
幼女がそわそわしながら、小さい声で何かを言っている
「だ、だからトイレはどこにありますか!?」
幼女はトイレに行きたいだけだった
「あぁ、ここ」
ダッ
幼女はすごい反射神経で、トイレへと向かう。しかし俺は幼女の行動を見てあることに気づいた
幼女は自分で化け物だと認めていたが、幼女の身体能力は良すぎる
今のトイレへと向かう反射神経はもとより、走力、トイレのドアを開けしめする握力など化け物の中でも、かなり上位の化け物だなと思っていた
そして、スッキリした顔をした幼女が戻ってきて、俺より少し離れた場所へ立っていた
「まずは、こっちのソファに座ってくれ」
「…」
幼女は黙って俺の言う通りにする
ソファに座ったところへ俺は質問をしていく
「さて、まずは自己紹介からだ。俺の名前はゴジョウだ。君の名前を聞いてもいいか?」
「…エヴァンジェリン」
「そうか、エヴァンジェリンか。よろしく」
幼女の名前はエヴァンジェリンというらしい
「じゃあ、なんでお前は火あぶりにされていたんだ?」
「それは、」
俺の質問にエヴァンジェリンは俯いて話したくなさそうであった
「言いたくないのなら、別に言わなくてもいい」
「…いえ、言います。私の本名はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルといいます。ある貴族の館にて吸血鬼にされただけの貴族の娘です」
「へー吸血鬼ねぇ、カッコいいじゃん」
エヴァンジェリンの一世一代のような告白に俺は気のない返事をした
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