主人公盗賊
あれから俺は無理やり動かした体を使って、食料や貴金属、将来必要になるかもしれないものを不思議の国のアリス(アリス・イン・ワンダーランド)に収納していた
心のなかでごめんなさいと謝りながらもその手は止めない
将来的に他に生きている人がいれば俺はお尋ね者になるだろう
だから今のうちにこの街のありとあらゆる場所から必要なものを収納していたのだった
収納はすごく便利だ。1メートルというが範囲指定はあるが、自分が動き回れば目を向けるだけで吸い込んでくれるのだ
主に収納していく場所は店舗だ。スーパーや宝石店、銀行などひたすら将来困らないようなところを物色していく
そして寝ずに1日かけて大体のめぼしいところは物色し終えた
自分でも何を収納したか覚えていないが、作業のように終わらせていった
さすがに体が限界を迎えていたので、店舗の従業員スペースみたいなところで誰もいないのを確認してから眠りにつくのだった
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起きたら朝日が昇っていた。
「おはよう世界」
なんかそれっぽいことを言ってみた
こんなことをしている場合じゃない。もし外に人が生きていたら俺は捕まるだろう
俺はすぐに行動に移す。まずはこの街、いや国から離れなければならない
なのですぐに街で集めたなかから地図を取り出し、この街の出入り口まで行く
この街をでたら、世界地図っぽいほうの地図を頼りに別の国に行くようにする。だから次の国に近い方の出入り口から出て、なるべく目立たずにこの国を出なければならない
一応、従業員スペースにシャワー室があったので体を洗い、店舗から取ってきた新品の服を着て外に出るのだった
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side???
「…」
そこはいわゆる道場であった
そこには小柄ながらも完成された筋肉をしており、短パンに半袖という子供みたいな格好をした老人がいた
その老人は瞑想していた。そうただの瞑想だ。だがそこにいるのにいないかのような存在になっている
一般人がみたら何も感じないだろうが、少しでも武術を嗜んでいる者からしたら、この瞑想だけで老人がいかに完成された武道家かどうかがわかるだろう
「…ス」
そして老人が目を開くと、道場のドアの外から何者かが歩く音がした
そしてドアが軽くノックされ、老人が入室の許可を出すとひとりの黒いスーツを着た人物が入って来た
「なにがあった」
「はい。閣下が追っておられたヘイケイの潜伏場所がわかりました」
その言葉に老人は片眉をあげ、その瞳をギラギラとしたものにする
「ほう、して奴はどこにおった?」
老人が問うと黒いスーツを着た人物は少し苦虫を噛みながら答えた
「…ノーマードの街にいました」
黒いスーツを着た人物の言い回しに老人は疑問を感じた
「ノーマードの街にいるのか?」
「いえ、正しくはノーマードの街に存在していたということです」
「お前はなにが言いたい?」
老人はさっさと言えとばかりに少し強めに黒いスーツを着た人物に問う
「ヘイケイは死亡しておりました。いえ、ヘイケイだけでなく街のありとあらゆる人、動物が死亡していたのです」
その言葉に老人は
「なに!?」
と、初めて声を荒げるのだった
お読みいただきありがとうございます
今後とも拙作をよろしくお願いします