修行を開始してから現実時間で1週間。修行出来ない期間もあったが、初日と比べてネギとゆかいな仲間達の実力は大きく上がっていた
ダイオラマ魔法球内で約半年だ
才能がある組みは基礎の練習を終えてすでにあらゆる状況下においての実践訓練の修行に入っている
ネギであれば雷の暴風以上の魔法である雷の斧や千の雷など覚えて、また戦いの歌などの自身の身体能力をあげて対人訓練をするなど麻帆良にきたばかりのネギと比べて大幅に戦闘能力が向上していた
アルカもネギと同じく強力な呪文を覚えて、柔術を中心に戦いの練度を上げていた
この兄弟相手が成長すると悔しいのか自分もさらに修行に励むので、ある意味相乗効果に繋がっているようだった
まぁ、この2人は成長しやすいという部分もおいてもそこまでじっくり修行を見るほどではなかった
だが、一番難しかったのが神楽坂だ
最初エヴァは神楽坂の能力や戦い方について論理立てて説明してあげたのだが、そこは勉強が苦手な神楽坂だった
エヴァがどれだけ丁寧に教えても、俺や周りが言葉を変えて説明しても覚えきれなかったのだ
これには流石のエヴァもお手上げになってしまい、軽いノイローゼになるほどだった
あんなに疲れたエヴァを見るのは、俺がエヴァと初めて会ったときくらいじゃないかと思うほどだった
そして最終的にエヴァがとった手段が、とにかく実践訓練をしまくることだった
エヴァ、俺、チャチャゼロ、桜崎、古菲、そしてマインまでも加えてひたすら日替わりで対戦をした
この訓練は神楽坂にマッチしたようで、身体に教え込むことで理解出来ることが増えたようだった
この訓練をした桜崎や古菲もどちらかというと頭より身体で覚えるタイプなので、時には人に合わせて訓練の方法を変えたほうがいいと学んだエヴァだった
あと、急に出てきたマインにネギとゆかいな仲間達は驚いていたが、俺が知り合いを連れてきたと一点ばりで説明すると、しぶしぶ納得した様子であったが
その際、早乙女がマインのある部分を見て、「那波より大きいの初めて見たわ」と眼鏡をクイクイさせながら凝視していた
そしてその早乙女含め魔法初心者たちは最初の灯りよ灯れの呪文を成功してからは、各々自分の長所を伸ばす訓練をしていた
早乙女はパクティオーで得た描いたものが出てくる能力で、ガ○ダムみたいなロボットを出して戦ったり、近衛は治癒魔法とパクティオーに大きく才能があったため、その習熟を
宮崎はパクティオーで得たいどのえにっきの読心能力を武器に戦う方法を編み出していたりしていた
まぁ、俺のこともお読心しようとしていたが、カンピオーネである俺の心はただの人間には読めなかったが
だいたいの強者であれば、人に考えを読ませることもさせない
実際、エヴァとマインはいどのえにっきをかけられても心を読まれていなかった
さて、問題なのが綾瀬だった
こいつは自分が興味のあることにはとことんのめり込むタイプだったらしく、他の初心者組みよりも才能があるのもあってか、先に先にと魔法の勉強を辞めなかった
ある日、新しく上級の魔法を試そうと実験して失敗してしまった
その時の怪我で危うく命が危ないところであったのだ。というか俺がいなかったらヤバかっただろう
なんとか治療したあと、綾瀬はエヴァにしこたま怒られていた
まぁ、実際中級魔法までしか許可を出していないのに勝手に上級魔法を使って、しかもそれで怪我をするなんて教えている方からしたらたまったもんじゃないだろう
エヴァに怒られたあと、最後にまた自分の教育方針に逆らったら全員破門だと言われすごく落ち込み、一人一人に謝っている姿があった
そうだろうな。周りを心配させて、かつ自分のせいでみんなまで破門させられたら周りが許しても自分が許せないだろう
そうして、説教が効いたのかあれから綾瀬はエヴァの言うことを聞くいい子ちゃんになっていた
ーーー
「ぐがぁーzzz」
今日は修行も休みで俺もエヴァもログハウス内でゴロゴロしていた
外は大雨で出る気もないので俺はDSでポケ○ンをしながらゆっくりしていた
やっぱり最初のポケ○ンは草タイプを選んだ
そうしてゴロゴロしていたが、俺の感知範囲に何か異物が入ったのを確認したのでゲームを一旦止めて顔を上げる
俺と同じく感知したのか、エヴァも眠りから覚めて起き上がっているところだった
「…ふぁ、あーこの感じ侵入者か?」
起き上がったエヴァが目を擦りながら異物が入ってきたであろう方向を見ながら言う
「気配から悪魔か。といっても良くて子爵級といったところか」
強者の余裕みたいな感じでエヴァが相手の分析をするが、俺は一つ言っておきたいことがあった
「…それはいいんだけどさ、まずは涎拭いたら?」
ーーー
涎を拭いたあとエヴァと俺は今回の問題にどう対処するか話していた
「さて、今回の相手は悪魔と低級の妖魔といったところだろう」
「…」
「しかし、ここは麻帆良だ。随時結界が張っていて、それは魔の生物にとっては戦闘力を大幅に下げる効果がある。無論吸血鬼である私にもな」
「…」
「当然、今回の潜入してくる奴らについては学園長のじじいやその他力のある者には筒抜けだろう」
「…」
「普通はすでに対処するために学園長のじじいの下、対策するもこ達が動いていなければおかしいが、その気配はない」
「…」
「…おい!いいかげん貴様も笑いを堪えてないで話さんかゴジョウ!」
「…っぷ!あっははははっははははははっwww」
ずっとエヴァが一人で話していて、俺が静かに聞いているように見えていたかもしれないが、俺はエヴァのあつ部分を見て笑いを堪えていただけだった
「だ、だって、涎はまだわかるけど、っぷwww腕を枕にしてたせいか腕の跡が顔について、っぷwあっははっはははwww」
そう、前回と同じく涎が垂れていたが、プラスで腕の跡が完全に殴られた跡ように顔についていた
同じ涎はわかるけど、まさかの二段構えに俺は笑い転げてしまっていた
それから数分笑い転げていた俺はなんとか平静になり、エヴァとの話を再会する
「…はぁあ、ふぅ。よし、で、何の話だっけ?」
俺の言葉に額に青筋をたてながら、エヴァは話を続ける
「ふん、悪魔が侵入してきたが、気づいているはずの学園長のじじいたちが動かないから何かあるという話だ」
「ああ、そうだった。そうだった。エヴァは何でだと思ってんの?」
「まぁ、一番に思いつくのはネギとアルカの成長のためだろうよ。次点で魔法世界の上の者の指示か、何か他の問題があったかだろうな」
「学園長たちが捕まっているとかは?」
「それはないな。いくら耄碌したとはいえ、あのじじいは上から数えるくらいの実力者だ。ネギのぼーやたちを鍛えている私に何としてでも連絡をつけてくるだろう」
エヴァのその確信めいた言葉に少しびっくりした
封印されていたとはいえ、曲がりなりにもこの学園都市にいる連中を信頼している部分もあるんだなと思った
「ふーん。じゃあ今回の侵入者は学園長たちが用意した敵か、あるいは試金石といったところかな」
「そうだろうな。まぁ、いいんじゃないか?そのために私が今日まで修行を見てやったのだ。逆に敗北でもすれば修行も一からやり直しだがな」
そう言ったエヴァの口には笑みが浮かんでいた
ーーー
ドンッ
外が大雨でネギは明日奈と木乃香と部屋でまったりとしていた
今日は修行が休みで寛ぎながらおしゃべりに興じていたところだった
途中で明日奈と木乃香が大浴場に行き、カモと2人で話していると大きな音がなったのだ
この時間は多くの寮生が大浴場に向かっている時間だった
だからこんなドンッなんて音は出ることが珍しい
「カモくん、今の音なんだろうね?」
「なんなんすかね?どっかの部屋で喧嘩でもしてんかねぇ?」
「え!?喧嘩!?す、すぐに収めにいかないと!」
カモのなんとなしに呟いたことにネギは教師らしく行こうとしてしまう
「あ、いや、かもしれないってことで…って兄貴行っちまってるし」
カモがもしもであると言おうと思ったら、すでにネギは音がした部屋へと走っていっていた
ーーー
「っぐあ!」
音があった部屋では怪我をしている犬耳の少年がスーツをきた中年の男に殴り飛ばされているところだった
「っきゃ!?」
この部屋には中年の男と犬耳の少年のほかに今悲鳴を上げた少女と水球に包まれた成人の女性にも見える女生徒がいた
水球に包まれている女性はネギとアルカの生徒で那波、悲鳴を上げた少女は那波ルームメイトである村上だ
この2人は中年の男、悪魔が犬耳の少年である犬上小太郎を追ってきた過程で巻き込まれてしまったのだ
小太郎はなんとか助け出そうとしているが、京都で捕まった際に術の使用を禁じられているせいでうまく力が出せないでいる
それで攻めあぐねているが、勝てそうにないというのも事実だ
どうしようか悩んでいるうちに展開が変わった
バンッ
「何事ですか!?」
ちょうど大きな音に気づいたネギが部屋へと入ってきたのだった
一瞬でネギへと注目が集まる
「えっと、これは一体…?」
注目されて戸惑っているネギだったが、発破をかけるように小太郎が大声で叫ぶ
「ネギっ!こいつは悪魔や!お前を狙ってこの学園に入ってきたんや!」
小太郎のその叫びにネギの顔つきが変わった
「ごきげんようネギくん」
悪魔と小太郎にバラされた中年の男だったが、その態度は紳士然としたものだった
「本当にあなたは悪魔なんですか?全然そうには見えないんですけど」
優柔不断な性格のせいで、相手が悪魔なのかがわかたないネギであったが、その不安をある意味で悪魔は取り払ってくれた
「ああ、悪魔だとも」
そう言いながら悪魔の顔が変わっていく
「!あ、あなたは…!」
変わった悪魔の顔はまさしく悪魔といっても過言ではない様相だった
『久しぶりだね少年。村での仕事は楽しいものだったよ』
そう、今回麻帆良に侵入した悪魔と、ネギとアルカの村を滅ぼして村人を石化させた本人だったからだ
悪魔の顔を見たネギの雰囲気が一瞬で変わり、部屋の中がピリピリとしたものになっていた
今にも飛び出そうとするネギだったが、悪魔は紳士然とした人間形態に戻り、那波が入った水球を前面に出してネギへの牽制とする
「っく、卑怯ですよ!」
「ははは。私は悪魔だからね。どんな手でも使うさ」
そう言う悪魔はまるで慈善事業をしている富豪のような表情であった
ネギと小太郎が攻めあぐねていたが、人質を出されてしまえばどうすることもできないでいる
そうこうしていると悪魔から提案があった
「さて、ネギ少年。私は麻帆良学園のある場所で君を待っている。私を探し出して人質を取り戻してみよ」
そう言って悪魔は水球に包まれた那波を伴って窓から出ていくのであった
「ま、待て!」
慌てて追うネギだったが、窓の近くにいたスライムの妖魔に邪魔をされて悪魔を見失ってしまった
ーーー
あのあと、ネギと小太郎は那波が攫われて動転している村上を眠らせて悪魔が来た経緯について話し合っていた
内容としては、小太郎が京都で逃げ出してから、麻帆良の結界前で侵入しようとしていた悪魔と妖魔を見つけて目的がネギとアルカを襲うということがわかったのだ
そのことを小太郎は伝えたが、ネギは驚いてそれどころじゃなかった
「(僕とアルカのせいで、那波さんと村上さんが襲われた?…いやそれよりもあの悪魔は僕たちが3歳のときに村を襲った奴だった。なんでまた、僕たちを襲いに来たんだ?)」
ネギの頭の中であらゆる思考がぐるぐると回っている
「っ!…ギッ!おいネギ!聞こえてへんのかっ!?」
「!?あ、ああごめん小太郎くん。少し考えごとをしていたよ」
小太郎が大声を出してネギを呼び、それに気づいた本人は今気づいたという感じに応じた
「それよりもネギ、今回あいつらはお前と弟のアルカを狙っているっちゅう話や。どうやって千鶴の姉ちゃんを助け出しつつ倒す?」
「そうだね、あの悪魔は正直結構な強さを持っていると思う。でも敵わないほどじゃないと僕は思う。あいつが狙っているのは僕とアルカだ。だからあいつの相手は僕がするよ」
「それはずるいでネギっ、俺もあいつの相手したいんやで」
「ええー、そんなこと言われても今の小太郎君は術が出せないんでしょ?なら僕が相手するのが当然だと思うんだけど」
ネギに正論を言われてぐうの音もでない小太郎であった
ーーー
そして、作戦会議を終えた2人は悪魔がいるであろう場所を探し出しそこに向かっていた
「おいっネギ見えてきたで!」
「うん!」
そこは広場だった
なにか軽いヒーローショーを行える場所であり、敵はそこにいた
だが、いたのは敵だけではなかった
人質として攫われた那波はもちろん、他にも桜崎や近衛、神楽坂が捕まっていた
桜崎と近衛は那波と同じく水球に囚われていて意識がないようだった
だが、神楽坂だけは違った
なぜか彼女は下着のような服を着せられていて、四肢を大の字になるよう拘束されて立たされていた
「明日奈さん!」
「あ、ネギ!ごめん捕まっちゃった」
「やあ少年。意外と早かったね。君の仲間は意外と捕まえやすかったよ」
そういう悪魔はこれから戦いが始まるというのに余裕の態度を崩さなかった
「っく!なら!」
そう言ってネギは無詠唱で魔法の矢を12本飛ばして、悪魔に当てようとするが、悪魔に当たる直前に魔法掻き消えた
「なんやてっ!?」
小太郎は驚いているが、ネギは別の意味で驚いていた
「まさか…」
「ははは、気づいたかね少年。そうこの力は魔法無効化だよ」
そう、悪魔が使ったのは正真正銘の魔法無効化であった
現在確認されている中で、魔法無効化の能力を持っているのは神楽坂明日奈だけであったのだ
だからこそネギは悪魔が魔法無効化を使ったことに驚きを隠せていなかったのだ
「少年は驚いているだろう。悪魔の私がなぜ魔法無効化の能力を使えるというのかとね」
そう普通悪魔に魔法無効化は使えないはずなのだ
なのに使っている。
それはなぜか
悪魔は親切にも教えてくれた
「このお嬢さんに付いている胸元のアクセサリーだがね、これは付けたものの能力を条件付きで他人にも付加させる効果があるのだよ」
「なっ!?」
「そんなもんがあるんかっ」
「ちょ、ちょっとそれじゃあ、私がネギの邪魔をしているみたいじゃないっ」
そういう神楽坂の顔は悔しげだ
「さてネギ君、どうやって私に勝ってお嬢さんたちを助けるかね?」
そう問われたネギは中国拳法の構えをとった
ネギの強さは魔法だけじゃない。ダイオラマ魔法球内で半年、血反吐を吐きながらもエヴァンジェリンの修行を受けてきたのだ
こんなところで、悪魔に負けるわけにはいかない。なによりも自分の生徒を助けなければならない
そう決心してネギは悪魔へと走っていった
ーーー
悪魔とネギの戦いは苛烈の一言に尽きた
ネギが技を出せば悪魔が対処し、悪魔が拳を繰り出せばネギが紙一重で避ける
魔法を使えないネギが不利だが、なぜか悪魔は魔法を使わない
ネギはそれを疑問に思いながらも、なにか理由があるのだろうと考え戦闘を続ける
少し離れたところではスライムの妖魔3体を相手に、小太郎が戦闘をしている
スライムという変幻自在な相手に攻めあぐねているのか、こちらはやや分が悪い
「っち、術さえ使えればこんな奴ら一瞬でのしてやるんやけどなっ!」
悪態をつきつつもスライムの妖魔がネギに向かわないように押さえ込む小太郎だった
2組の戦闘が激化しているころ、ネギたちとは別に神楽坂たち人質を救出するために行動している者たちがいた
ーーー
「拘束されているのが明日奈で、水球に囚われているのが木乃香と刹那さん、そして千鶴さんです」
「いやー、よく水に包まれて息が出来ているよね。魔法って不思議だわ」
「ちょ、ちょっとパル!今それどころじゃないよ〜」
「あはは、ごめんごめん」
人質救出の隙を虎視眈々と狙っているのは綾瀬、早乙女、宮崎であった
「今あの敵と思われる人たちはネギ先生と犬耳の少年が抑えてくれています。私たちは見つからないように水球を壊して3人を助けます」
「おっけー」
「うん!」
そして軽く作戦をたてた3人は見つからないように人質の場所まで移動する
「ふっふっふ〜、私のアーティファクトにかかれば見つからないように接近なんてお茶の子さいさいよ〜」
「パル静かにするです」
そう言いながらも、人質の場所まで移動した3人は静かに神楽坂の胸元のアクセサリーを外そうとする
しかしここでアクシデントが起きた
「あれ?ユエちゃんにパルにのどかちゃんなんでここにっ!?」
あとちょっとというところで、人質のはずの神楽坂に居場所をバラされてしまったのだ
「バカですかっ!?」
「明日奈のバカ〜!!!」
「あうあう」
「あっ」
その声に小太郎の相手をしていたスライムが戻ってきた
「こうなったら!パル!スライムの足止め頼むです!のどかは私と一緒に水球を破壊するですよ!」
「おっしゃあ!任せなさい!」
「わかった!」
「えっ!?私は!?」
綾瀬の言葉に早乙女が絵を描いてスライムの相手をする
綾瀬とのどかはまず戦力である桜崎と近衛の救出から動き始めていた
胸元のアクセサリーと拘束から解放された神楽坂のことを忘れていた綾瀬は、早乙女と一緒にスライムの相手をするように指示する
そうして魔法を展開してまず2人を救出する
そして那波も助けようと行動に移そうとしたときに神楽坂と早乙女の2人を突破したスライムに邪魔をされてしまう
「ぐっ!?」
「きゃっ」
あと一歩のところで邪魔をされてしまったが、そこに神楽坂と早乙女も合流してスライムと再度相対する
そうして睨み合っていたが、ここで綾瀬がなにかを閃いたのか宮崎に指示を出す
「のどかっ!アーティファクトでスライムの倒し方を聞くですよ」
「ええっ!?そんなの教えてくれるわけが…」
そう言いつつもスライムに倒し方を質問する宮崎だったが、なんとバカ正直にいどのえにっきにスライムの攻略方法を教えてしまうのであった
「え?すごく丁寧に教えてくれた…ってそうじゃなくて!ユエわかったよ!なんか封印用の瓶があるみたいでそれに封印されたら困るんだって!」
「瓶ですかっ!?そんなものどこに」
そう、倒し方がわかっても肝心の魔導具がなければ意味がないのだ
他に方法はと悩む綾瀬の耳に小太郎の声が聞こえてきた
「おう!姉ちゃん方、俺それ持ってるで!」
そう言いながら、自分の手と同程度のサイズの瓶を投げ渡してくる
それを綾瀬はしっかりキャッチしてスライムに向ける
その瞬間スライム3体は瓶の中に吸い込まれるように入っていく
そうして入ったと同時に瓶の蓋を閉め封印をする
「ふぅ」
スライムは封印できた。スライムがいなくなったせいか那波を包んでいた水球も消えていた
残る敵は悪魔だけだ
ーーー
「おっと。スライム君たちは負けてしまったようだね」
「もう敵はあなただけだ!魔法も使えるようになった、どうしますか」
「ははは。そうだな、確かにこのままでは私は負けてしまうだろう」
「なら!」
「だからこそ、本気を出そうとしよう」
そういった悪魔の様相が異形のものとなり、今まで使って来なかった魔法も使ってくる
「っく!」
「ははは!さあどうするかね少年!」
本気を出した悪魔の力は先ほどよりも強大で、ネギと小太郎は苦戦を強いられていた
神楽坂たちも助太刀しようとするが、かえってネギと小太郎の邪魔になると思い動けないでいた
と、ここで気絶していた桜崎と近衛、遅れて那波が目を覚ました
「こ、この状況は一体…」
「あ、起きたのね!」
そうして起きた3人に何が起こっているかを説明した
那波に説明する際に、少し手間取ったが、那波はあらあらと度胸があるのか天然なのかよくわからない反応をした
そうこうしているうちに本気を出した悪魔に大きなダメージをうけてしまったネギたちであった
「「「ネギ(先生)!」」」
「ははは。さて少年たちよそんなざまで私に勝てるというのかね」
「ぐっ」
「くそっ」
立てないでいるネギと小太郎に興味をなくしたのか悪魔が神楽坂たちに目を向けた瞬間だった
「ぐあっ!?」
悪魔の胸から手が生えていたのだ
「ぐっ、こ、これは、まさか」
そう言って振り向いた悪魔の目に金髪が映っていた
「悪魔っていうのは、自分が有利なときほど油断するんだってな。このときを待ってたぜ」
悪魔の胸を貫いた人物、つまりアルカが勝ち誇ったように言うのであった
ーーー
アルカが悪魔の胸から腕を抜いたあと、悪魔は異形化を解き、仰向けに倒れた
「ア、アルカ?なんでここに…」
ネギは驚愕したようにアルカを見ている
「そんなもん、悪魔を倒すために決まってるだろ?」
「それはそうだけど…」
「ちょ、ちょっとアルカ今までどこにいたのよ!?こっちは大変だったんだから!」
「え、いや普通にマスターのところまで行って対悪魔用の装備を借りてたんだよ」
「「「あっ」」」
全員やべっという顔をしていた
「え?みんな何の対策もしないで突っ込んでいったの?」
アルカのその至極真っ当な質問に誰も彼もが顔を逸らしていた
「ゔゔん、それでアルカ、エヴァちゃんに貸してもらった装備ってなんなの?」
話を切り替えるように神楽坂がアルカが借りた装備について聞いてくる
「ああ、これだよ」
アルカがつけていたのは銀色のブレスレットだった
「え、これ?」
神楽坂の顔にはこんなのが対悪魔用の装備なの?ってかいてあるようだった
「俺もそう思ってマスター言ったら殴られたから、気をつけろよ」
それを聞いた全員がエヴァンジェリンの前では絶対に言わないでおこうと考えた
「それでアルカ、その装備の効果なんだけどーーー」
「君たち、少し油断しすぎじゃないか?」
ネギが効果を聞こうとした瞬間、悪魔が口を挟んで動き出す
「よく覚えておきたまえ。悪魔は胸を貫かれたくらいじゃ動くけるのだと」
そう言った悪魔がこの中で一番非力な存在、つまり一般人の那波を人質にしようと動き出す
「きゃあ!?」
全員が突然の凶行に動けない中アルカの声が悪魔に届く
「ああ、ネギ。こいつの効果だがな、触れた悪魔の行動を一度だけ止めることが出来るんだ」
そう言ってアルカはブレスレットに力を入れ、悪魔に止まるよう言う
「ぐっ!?」
急な停止に悪魔思わず声を荒げてしまう
それが悪魔にとって最後の言葉だった
止まった悪魔に近づいたアルカが事前に詠唱していた遅延魔法による一撃を繰り出す
そして今度こそ悪魔は祓われたのだった
いいところだ持っていきやがって