悪魔侵入事件から翌日である現在、ネギとゆかいな仲間達はエヴァンジェリン邸にいた
「「「…」」」
「貴様ら昨日は大変だったな」
「「「…」」」
「うん?どうした?別に足を崩してもいいんだぞ?」
「「「…」」」
言葉では弟子思いのいい師匠に見えるが、実際のネギたちにとってはそうは思えなかった
今のエヴァはソファに座り、肩肘をついているのはまぁいつものことだろう
しかし、雰囲気がヤバかった。ダークなオーラが見えるくらい怒っているのがわかる
そのせいか、正座でエヴァに対応する選択肢が自然ととられていた
「…はぁ、いいから楽にしろ。今回は昨日の反省会をするだけだ」
エヴァの言葉と態度を聞いて、みんなそれぞれ楽な体勢になる
「では、昨日の反省会を始める。まずはネギのぼーやからだ」
エヴァは一人一人良かった点と悪かった点を挙げていく
ネギ
・武術の成長は実戦でも使えていた
・悪魔の一人に囚われず、まずは神楽坂のアクセサリーの効果を無くすことが先決だった
・過去の因縁かは知らんが、戦闘で私情は捨てろ。まだお前は強者ではないのだから
アルカ
・先に悪魔を撃破するための情報と武器を集めたことは褒められる
・先にネギなどの仲間に作戦を伝えるなどしなければならなかった。その時間は十分あったはずだ
・悪魔が最後、人質をとろうとしたが、それをさせないくらいの対策を取るべきだった
神楽坂
・スライムとの足止めでは、訓練の成果が出ていた
・風呂の最中だったとしても常に気を抜くな。貴様の能力は敵にも味方にも垂涎のものだからだ
綾瀬
・咄嗟に何をするべきか判断をできており、指示も的確であった
・スライムを封印する壺が偶然あったが、普通はそんなご都合主義はない。先に何か手立てを考えておくべきだった
早乙女
・初めての実戦にも関わらずよく動けていた
・自分を鼓舞するためか、平常心を保つためか知らんが、作戦中に関係ないことはするな
宮崎
・綾瀬の指示にしっかり従い、自分の出来ることをわかっていた
・指示に従うだけでなく自分で考える能力も鍛えろ
近衛
・風呂で襲われることくらい想定しろ。貴様は京都でも攫われたように、能力でも家柄でも利用しやすいのだから
ここまで言って、エヴァは最後の一人に目を向けた
「さて、最後だが。…私が言いたいことはわかっているか刹那?」
「…はい」
今回一番反省をしなければならないのは桜崎だった
「貴様は今回、風呂で護衛対象と一緒に攫われ、あまつさえ人質になった。これがどれだけ護衛としてダメなことくらい貴様ならわかっているだろう?」
「…」
「麻帆良は結界が張っているから大丈夫だと思ったか?風呂には他の生徒がいたから襲われないとでも思ったか?味方がいるから万が一でも大丈夫だとでも思ったか?」
エヴァからダメ出しの嵐が止まらない
桜崎は正座をしたまま俯いてしまっている
その顔は見えないが、雰囲気は後悔をしてもしきれないくらいなのは誰でもわかった
「ふん、こいつらとつるむ前の貴様ならば、今回のような失態はしなかっただろうな。確かに貴様は強くなっただろう、だがな、逆に精神性に甘えが出来たな」
「ちょ、ちょっとエヴァちゃん!何もそこまで言うことはないでしょ!?」
エヴァの強烈な叱咤に思わず神楽坂が声を上げてしまう
しかし、そこに怒られていた桜崎本人から待ったの声が上がった
「待ってください明日奈さん。確かに今回の件はエヴァンジェリンさんの言う通りだと思います。私はお嬢様をお守りする立場でありながら、そのお嬢様やみなさんに甘えてしまっていました」
「刹那さん…」
桜崎の後悔の言葉に神楽坂は何も言えなくなってしまった
周りの者たちもなんと言って良いのかわからない様子である
そんな中で、一人の人物が言葉を発した
「…せっちゃん、確かに今回のことはエヴァちゃんの言う通りダメダメだったんやろうなぁ。でもな、それはうちも一緒や。だからなせっちゃん、私も一生懸命修行するから一緒に成長しよな?」
「お嬢様…」
近衛が今回自分が役にたたなかったことを踏まえて、桜崎も励ましていた
なんかまた百合百合していた
そんな2人をネギたちは感動したように見ているが、エヴァは白けた目で見ていた
「はぁ、まぁいい。桜崎、今回のことを忘れず励め」
「はいっ!ありがとうございます!エヴァンジェリンさん!」
先ほど怒られたことも過去のことなのか、桜崎はすっかり持ち直していた
「さて、お前はこれからどうしたい?」
そう言ってエヴァが見たのは、ネギたちと一緒に同行して来た者であり、昨日人質になった生徒、那波だった
「あのぉ、私も昨日魔法について教えられたばかりで何が何だかわからないんですが」
そういう那波はどうしていいかわからない様子だった
「はぁ、おい貴様らこいつに魔法関係について説明していないのか?」
そうエヴァが問うと、ネギたちは昨日のうちにある程度教えていると回答が来た
「では今決めろ。これからこいつらと関わって私の門下に入るか。それとも今回のことは忘れて魔法のことは一切合切無関係になるか選べ」
「え、え?」
急なエヴァの2択に那波は慌てているが、そこにネギの声がかかる
「ま、待ってくださいマスター!那波さんは巻き込まれただけなんです!もう少し期間を空けても…」
「黙れ、私は那波に聞いているのだ。というよりも早く決めるほうがこいつのためにもなる」
「えっ?」
エヴァの思いがけない言葉に思わずネギたちは戸惑ってしまう
「…なるほど」
どうやらアルカはわかった様子だった
「え?アルカわかるの?」
なぜかをわからないネギがアルカに聞く
「ああ、というよりもこれは那波というよりは俺とネギに関することだけどな」
那波のことについて話していたのに、なぜ自分とアルカのことに繋がるのかわからないネギであった
「これは推測だが、俺とネギは英雄であるナギ・スプリングフィールドの息子だ。そんな俺たちには利用価値がプレミアでついている。ここまではわかるな?」
そういうアルカの言葉にネギ含めログハウス内の者たちはそこは理解している
「そんな俺たちの仮契約の者たちにももちろん注目が集まる。しかし、問題はそこで止まらない。俺たちが請け負っている生徒たちにも余波が飛んでいるんだ」
「えっ?」
アルカの思いもよらない言葉にネギは思わず声が出てしまった様子だった
ネギは頭が同年代よりはるかにいいことから理解してしまった
「まさか、僕たちの村を襲った悪魔が来たのは…」
「ああ、多分俺たちを狙っている誰かが送り込んだ刺客だろうな」
そう、封印されたはずの敵が封を解かれて自分たちを襲いに来た。それすなわち村を襲った悪魔たちの事件からずっと自分たちは誰かに狙われているということだろう
そしてそんな2人が麻帆良に来た、ということは、麻帆良にいる者たちにも被害がいくということに他ならない
「ああ、アルカの考察どおりだ。貴様らの父親は味方も多いが敵も多い。それゆえ、お前たち2人は必然、騒動へと巻き込まれる運命なんだよ。だから私は那波に関わるか記憶を消すか早く決めろと言っているんだ」
今の説明と、アルカの現状分析に納得がいったのか那波含めて周りの者たちも顔つきが変わる
「なるほどわかりました。ぜひ関わらせてください」
「えぇ!?那波さん決断早くないですか?」
あまりの選択の早さにみんな驚いているが、那波は気にせずにいつもの母性あふれる顔で答える
「ええ、確かに私が選択した結果はとても危険なものなのでしょう」
「ならっ」
「ですが、私が麻帆良限り今回ような出来事があるというのならば、自分のことはもちろん私に関わる人の安全のためにも逃げることは出来ません」
そう言った那波の精神性は彼女の外見にふさわしいものだった
「あっ!そうや夏美の姉ちゃんのこと忘れてたわ!」
那波の決意表明にみんな感心していると、急に小太郎が今思い出したように誰かの名前を挙げた
「ああ!そうでした!あの騒動のとき村上さんも居合わせたの忘れていました」
村上夏美とは那波とルームメイトで、ネギとアルカの生徒だった
那波が水球に囚われたとき、その場に村上もいて、しっかり魔法が使われているところを見ているのだ
そうして全員やべっと顔をしたあと、すぐに村上をログハウスに連れてきて、那波と同じ質問をするのであった
作者は綾瀬です