初日の戦いが終わって次の日、俺はある程度目的を達したので、あとは暇になってしまった
「はぁ、これからどうしようかねぇ」
ホテルのどデカいベッドの上で寝転がりながら、ぼーとしていると、横にキャスターが座ってきた
「ご主人様、本当におっしゃっていたことが出来るのですか?」
キャスターが固有結界の性能について聞いてくる
「ああ、触れたときに登録されたのが確認出来たからね」
「それはおめでとうございます!…あら?それではもうわたくしって用済みではありません?」
「そんなことはないさ。キャスターがいてくれるだけで俺はこんなにも幸せなのだから(キラン)」
「もう!ご主人様のイ・ケ・魂♡」
2人で漫才をするが、みなさんなんのことを言っているかわからないだろう
説明すると、今回のセイバーとランサーの立ち会いに参加したのはある目的があったのだ
その目的と言うと、俺が収集した固有結界、アリスの図書館に英霊を登録するという野望があったのだ
アリスの図書館に人物を登録するには、まず相手に触れなければならないという制約がある
そうしてやっと固有結界内にある本棚にその人物の人生が登録されるのだ
結構簡単そうに聞こえるが、今回の金ピカのように、触ることさえ難しい相手もいる
だから、俺から認識が少しでも外れた瞬間を狙うのが肝なのだ
もともと、セイバーとランサーだけでも収集出来れば良かったがプラスで大物を2人も固有結界内に登録出来たので嬉しい誤算だ
これで、魔術を発動させたときに英霊の人形を顕現させることが出来る
もう金ピカ、ギルガメッシュ王を顕現させるだけでこの聖杯戦争勝てるんじゃないかな?
まぁ、油断はしないようにはするが
あと、もともとこの固有結界を持っていた魔術師だが、奴は登録する対象を隅から隅まで知らなければ登録出来なかったみたいで、それで拷問まがいのことをしていたんだろう
その点、奴と俺では存在の格が違う
言ってしまえば、一般人と神霊くらい格の開きがあるので、固有結界1つとっても、使い手が違えば術式の格も変わってくるものだ
いやーほんと良い術式収集出来たよ
ーーー
「うん、決めた」
「はい?どうなさったんですか、ご主人様?」
突然の発言にキャスターが驚いているが、俺は決めた
「うん、今回の聖杯戦争、キャスターの願いを叶えようか」
俺の言葉にキャスターは絶句している
それもそのはず、基本的に聖杯戦争というのは魔術師であるマスターの願いが優先される
それを、まさか英霊に聖杯を使うなど普通はやらないことだ
キャスターも良妻系サーヴァントを謳っているだけあって、マスターに聖杯を使ってもらう気でいたのだ
まさか、そのマスターから自分のためにあの強力な英霊たちを勝ち上がって聖杯をとりに行くなど正気ではない
「本当にご主人様はイケ魂ですね。でもわたくしは聖杯など本当にどうでも良いのですよ?もうわたくしの願いは達成されていますから」
「え?そうなの?」
「はい。わたくしの願いは惚れた相手と過ごすこと、だからもう願いは叶っているのですよ」
キャスターの突然の告白に驚いたが、俺はあの漫才がマジのものだとは思いもしなかった
「そうか」
「そうです」
2人で見つめ合ってしまうが、ここはちゃんと返さないとダメだろう
「なら、今回の聖杯戦争では受肉しないとなキャスター」
「!はいっ!そうですねご主人っ!どこまでも憑いていきます!」
「あれ?なんか字違くね?」
最後はぐだぐだになってしまったが、今回の聖杯戦争を勝ち抜く目的が出来たので、再度キャスターと誓いあった
ーーー
それからは、どこの陣営も静かなものだった
みんな他の勢力が動くのを待っているのだろう
それに、退場したはずのアサシンが俺含め、すべてのマスターたちを監視している
明らかに監督役がルール違反をしているのだろう
アサシンのマスター、言峰綺礼は遠坂時臣の弟子だ。ということは聖堂協会と遠坂が手を組んだか
聖堂協会と魔術教会は基本的に犬猿の仲だ
だが、今回遠坂は本気で聖杯を取りに来ているのだろう
でも遠坂の家訓って優雅たれだったような?
とりあえず、何か起きなきゃ俺も動きたくないし…
うーんと悩んでいると、唐突に閃いた
「そうだ、他の陣営が強制的に出てこないといけない状況を作り出せばいいんだ!」
「え?突然どうしたのですかご主人様?」
いきなり声を上げた俺にキャスターは尻尾をぴーんとさせて聞いてきた
「ふふふ、今聖杯戦争は膠着状態が続いている」
「はい」
「どの陣営も他の勢力が動くのを待っている。それじゃあ、いつまでたっても誰も動かない。なら、どうしても動かなきゃいけない状況にしようではないか!」
ふははは。とまるで悪役のように笑いながら言う
「なにか手立てがお有りなんですか?」
「ああ、俺の不思議の国のアリス(アリス・イン・ワンダーランド)内には長年のマッドな嫁たちの作った魔導具があるのだ」
その魔導具とは、ルカの『発』である千変万化の粉(エバー・チェンジ)で研究所に概念を持たせて、その空間でミラの悪魔の因子とマインの水銀スライムをそれぞれ加えて、それをもとにアイリーンとエヴァが巨大キメラを作ったのだ
「ええっ!?そんなの作ってたんですか!?」
「うん。でも失敗しちゃった奴だから、ちょうど処分するところ探してたんだよね」
丁度いい機会だ。英霊たちの戦力分析も含めてまさに一石二鳥だね!
そうして、キャスターを置いてこそこそと大きめの河原まで来た
「さーて、実験体909号ちゃん。おもしろいもの見せてね」
そう言って、不思議の国のアリス(アリス・イン・ワンダーランド)から出した実験体を解き放つ
「ふっふっふ。この実験体は食べれば食べるほど育つ。この河原には水性生物がたくさんいるからどんどん大きくなるだろう」
あとは、この実験体が巨大になって英霊たちが何とかするのを見てるだけでいい
俺は早く大きくならないかなーと思いながら、ホテルに帰った
ーーー
「おいっ坊主よ、なにがあったのだ?」
「ああ、監督役からの連絡が来たんだよ。何でも未知の生物が出現したから、一時聖杯戦争は中止。各マスターは協力して討伐せよだってさ」
そう、今回ゴジョウが解き放ったキメラが巨大になって、一般市民に見られるという神秘の秘匿に反するという状況になったので急遽聖杯戦争が中止になったのだった
そして各マスターと英霊が河原に集結して、キメラ討伐の準備を始める
「あんた、何でそんなに楽しそうなんだ?怖くないのかよ」
俺はイスカンダル王のマスター、ウェイバー・ベルベットに話かけられていた
「うん?ああ、ウェイバーくんか。別に怖くないわけじゃないよ。でもね、俺にはどうにかなる手段がある。だから、どんな状況でも対策があるから余裕そうに見えるんだろうね」
「手段か…」
「そう手段。ウェイバーくんも手札は持っていると色々と役立つから、持っているといいよ」
俺の言葉にウェイバーは考え込みが、これで彼になにか変化があるかどうかは将来のお楽しみだね
そうこうしていると、準備が終わったみたいで、まずイスカンダル王が固有結界を発動する
セイバーの準備が終わるまでイスカンダル王が足止めをしていると、そのセイバーにバーサーカーが襲いかかってきた
「Aaaaaaaaaaaaaaaa!」
「なっ!?バーサーカーだとっ!?」
突っ込んでいくバーサーカーにセイバーが聖剣の発動を止めようとするが、これじゃあおもしろくない
「キャスター、セイバーとバーサーカーを離せ」
「かしこまりました」
俺がそう言うと、キャスターが呪術でバーサーカーをセイバーから数百メートルほど引き離した
「セイバーはそのまま宝具の準備をしときな。バーサーカーは俺たちが相手しとくから」
「なっ!魔術師では英霊には太刀打ち出来ませんよ!?」
「いいからいいから」
そう言って、俺はキャスターを伴ってバーサーカーのもとへ向かう
「キャスター俺が相手するから援護頼む」
「かしこまりましたご主人様」
俺は迦具土の権能を発動して、刀を作り出す
この刀は権能作った分、宝具として成立している
ランクとしてはB程度だろうか。まぁ数打ち要領で作ったのでただ壊れにくいだけだが、これで十分だろう
今回はバーサーカーを足止めするだけなので、そこまで本気ではやらない
バーサーカーは手に持った物を宝具にすることが出来るらしい
どうやら今回宝具化したのは戦闘機らしい
どうやら、実験体キメラを市民が通報して、自衛隊までも出てきてしまったとのこと
そして、バーサーカーはその戦闘機を宝具化してしまったのだ
「すげーな。戦闘機が宝具になるとミサイル撃ち放題じゃん」
俺はバーサーカーがミサイルや機関銃を撃ち込んでくるのを躱しながら、接近していく
バーサーカーが遠距離攻撃では通じないと思ったのか、戦闘機ごと突っ込んでくる
「はっ!」
俺は気にせず、バーサーカーごと切る勢いで戦闘機に刀を振り下ろす
「Ugaaaaaaaaa!」
当たる直前にバーサーカーは戦闘機から飛び降りる
「はっ!」
地面に足が着いた瞬間にキャスターが呪術でバーサーカーを動けなくした
「Aaaaaaaaaaaaaaaa」
あとはこのまま抑えておくだけだと思ったら、急にバーサーカーが消えていった
「…令呪による強制転移か」
「ご主人様追いますか?」
「いや、俺たちの役目は足止めだ。これ以上は意味がない」
それに、戦闘中にバーサーカーに触れられたから、固有結界に登録出来たしな
いやー、あのバーサーカーは使い勝手良さそうだから、欲しかったんだよね
「それより、そろそろ向こうも決着が付きそうだ」
セイバーを見ていると、黄金の粒子がいたるところから溢れ出している
「エクスカリバーッ!!!!!!!!!!」
黄金の光線がキメラを飲み込んでいき、やがて塵すら残さず消えていった
「あれが、星の聖剣ってことか」
「凄まじいですね」
「ああ、あれが大量に撃たれたら、俺も危ないかもな」
ランクで言うとAは確実に超えている
アーサー王、流石は超大物の英霊だな
「それより、アーチャーは終始見ているだけだったな」
「本当ですよ!少しは働けって感じですっ」
まぁまぁとご立腹なキャスターを宥めつつ俺は思った
「(さて、これでどの陣営も動き出すだろう。しっかり物語を見せてくれよ?)」
ゲットだぜ