そこには何もなく、ただ無が満ちていた。
色の概念もなく、時の経過も、空間の上下すら存在しない。
空間というものも果たして、存在していたかどうか。
ただあるものがあるとするならば、それは揺らぎであった。
形はなく、水や空気でさえない虚無であったが、それは微かにそして烈しく動いていた。
矛盾するが、例えるならそれは押し寄せては返す波のようであり、または渦巻く大気のようだった。
全くの同一である虚無と虚無とがぶつかり合い、そして互いを砕いてまた混じり合うような、自然現象としか思えない事象がそこにはあった。
それは何も生まれず何も始まる事の無い、虚無と虚無による闘争に思えた。
この世の終わりから終末まで、或いは始まりすらなく終わりもない。
または既にこれが終焉であると示すような、希望も絶望もない虚無の世界がそこにはあった。
その世界に、不意に異変が生じた。
異変とは、輝く姿をした巨影と、その内部に座した少女の出現であった。
「!」
「あ。暁美さん、お目覚めですか」
年上の後輩であるまばゆの声が聞こえた時、暁美ほむらは即座に周囲を見渡した。
奇怪なオブジェが並ぶ、アリナ・グレイの部屋にいる事が分かった。
床に敷かれた布団の上に自分はおり、そして隣には
「…まどか」
自分と同じく、布団に横たわる鹿目まどかがいた。
安らかな寝顔であるが、アリナの私物である布団は黴が這い廻る腐乱死体というか露出した臓物のような色彩であった。
邪教の供物のような状態だったが、今の暁美ほむらには鹿目まどか以外の存在が視界に入っていないので問題ではなかった。
数秒ほど寝顔を見つめてから、暁美ほむらはまばゆを見た。
「あなた、最初から知ってたわね」
「何のことでしょうか?」
首を傾げてとぼけるまばゆを、暁美ほむらはじっと見た。
まばゆはじっと見返した。
数分が経過した頃だろうか。
「そうですね。私は全部覚えています」
まばゆは認めた。少し疲れたような様子だった。
「さて暁美さん。あなたも気付いているのでは?」
「………」
まばゆの問いの先には、横たわる鹿目まどかがいた。
何を問いかけているのか、暁美ほむらには分かっていた。
「暁美さん。選択肢は二つあります」
まばゆは、酷く辛そうな表情でそう言った。
「一つは、鹿目さんが起きるのを待ちます。そうすれば暁美さんの、いえ、みんなが望むであろう世界が訪れます」
「………」
「もう一つは、全てを思い出す道です。そうなれば、何が起こるのか分かりません」
「………」
暁美ほむらは眼を閉じ、まばゆの言葉を黙って聞いている。
「分かっていると思いますが、先ほどまで暁美さんが接していた鹿目さんは」
「分かっているわ」
眼を閉じたまま、暁美ほむらは応えた。
「だから、選ぶ道は一つよ」
暁美ほむらは眼を開いた。
黒い瞳の中に、禍々しさを湛えた闇が渦巻いていた。
光と闇の混沌の中を、マジンガーZが飛翔していく。
その頭部には、鹿目まどかが座している。
求めるものがを追い続ける中で、彼女は自分の存在というものを自覚した。
それは自らが属する世界から離れ、関係性が絶たれつつあるが故に、その意識ははっきりとしていった。
自分は、鹿目まどかであって鹿目まどかではない。
鹿目まどかが願いを叶えた際に発生した、彼女の願いを叶える為の力に過ぎない。
鹿目まどかの記憶は持っているが、それは記録でしかない。
自分という存在は限りなく希薄な存在であり、鹿目まどか無くして自分の存在は確立できない。
今自分は、その鹿目まどかから離れている。
だから今の自分はただの意識であり、何者でもない存在であると思った。
悪魔となった暁美ほむらに引き裂かれたことが切っ掛けだが、恨む気持ちは無い。
逆の立場であったらと思うと、彼女の行動も理解出来てしまうからだ。
それに彼女は自分で考え、自らの意思で行動を起こした。
単なる力、鹿目まどかが願いを行使し維持するための存在である自分にはそれは出来ない事だった。
しかし今、自分は自分の願いに沿って行動している。
自らが求めるものを求めて、混沌の中を進んでいる。
何があり何を求めているのか、それ自体は漠然としている。
思い描こうとすれば思考が崩れ、忘却してしまう。
それを押し留めているのが、マジンガーZの存在だった。
鋼の魔神を見ていると、何かを思い出しそうになる。
漠然としているが、それでもそれは確信だった。
自分が何者であるのかを定義してくれるものが、それにあるような気がした。
そう思った時、マジンガーZは動きを止めた。
混沌を抜けた先に、遂に辿り着いたのだった。
「………」
鹿目まどか、いや、女神の意識とでも云うべき存在は眼前に広がる光景を前に言葉を失った。
そこには何もなかった。
無という存在が全てを埋め尽くし、覆い尽くしていた。
乳白色にも灰色にも見える、というかそれを見る自分の意識が無という存在をそう捉えている。
女神の意識は今の現状をそう定義した。
無の中には、光輝くマジンガーZとそれに乗る自分の存在しかいない。
圧倒的な孤独感と虚無感が圧し掛かってくる。
呼吸など必要ないはずなのに息苦しく、無敵の存在を味方につけている筈なのに無力感に苛まれる。
それが今の現状だった。
だがしかし、彼女は望みを捨てていなかった。
求めていた存在を求めてここに来た。
そしてこの場所へは、このマジンガーZが導いてくれた。
ならば、絶望する必要などない。
希望が見当たらないのなら、探せばいい。
希望を叶えるために生まれた女神の意思は、そう思った。
その時だった。
かつて味わった感覚が、全身を駆け巡ったのは。
皮を肉から剥がし、骨から肉を抜き取り、体内から臓物を引きずり出す様な。
それは、身と魂を引き剥がされる感覚だった。
「 」
あらん限りの叫びも、形容し難い苦痛も、生じた瞬間に消えていく。
最初から何もなかったかのように、全ての感情が希薄化していく。
存在が二分化された感覚が残った。
「………」
即座に無となる感情の中で、女神の意思はもう一人の自分を見た。
それは無の中に生じた、少女の姿をした輪郭だった。
無色でありながら、その形だけで煌びやかであると分かる衣装を纏っていた。
感情ではなく、ただ知識や事象として、その存在を女神の意識は認識した。
虚空の中に浮かぶその背後には、これもまた無に生じた輪郭によって形を形成した、くろがねの魔神の巨大な姿があった。
刃を生やした左腕に肥大化した右の剛腕、そして刃のような翼を背負った魔神だった。
少し前まで、自分はその存在に誘われていた。
しかし今はそれを奪われ、ただ意識としてここに残骸のように残っている。
元々からして何者でもない存在であったのに、更に堕落することになるとは。
そう思った時に生じた想いはやがて、女神の意思に苦痛を残した。
消えていくはずの心の中で、それだけは残り続けた。
それに気が付いたのだろう。
無色に輝く少女の姿と、無が形を成した機械の魔神は、共に女神の意思を見据えていた。
今の自分は形もないはずなのにと思った時に、女神の意思へと無の少女と虚無の魔神は攻撃を放った。
前者は無数の弓矢であり、後者は刃を持った左腕と右の剛腕の射出であった。
抗う気も術もなく、女神の意思はかつての自分とその憧れからの攻撃を受けた。
恐怖は無く、胸の痛みだけを感じていた。
だがしかし、女神の意思は消えなかった。
弓矢は弾け、刃と装甲の腕は共にあらぬ方向へと吹き飛ばされた。
その様子に、少女と魔神は動きを止めた。
女神の意思に苦痛は無く、矢と腕を弾いた音だけを感じていた。
そこで女神の意思は気付いた。
自分の姿に、まだ形が残っている事と、自らを脅かすものを弾いたものが何であるかを。
「…マジンガーZ」
攻撃を弾いたのは、まさにマジンガーZであった。
眩い輝きはいくらか褪せ、強化された姿ではなく元の状態に戻っていたが、くろがねの城は確かに少女を守っていた。
状況としては、ある意味最初から変わっていなかった。
女神の意思は鹿目まどかの姿のままで、マジンガーZの頭部の中に座している。
その状態が強引に複製されたのが、今の現状だった。
そう理解した時、彼女は相手の思惑が分かった。
ここには何も無かった。自分達が来るまでは。
何も無いことがこの場の法則であったのに、それを自分は乱してしまった。
自分達が、形あるものがこの場に来て場を乱したから、虚無は怒っているのだと。
無の中に有が来たことで、法則が崩れた。
崩れたものは、直さなければならない。
法則は一つでいい。
一つであったものを二分し、相手を排除する。
矛盾しているが、逆の立場であれば自分もそうするだろうと思ってしまった。
自分が思い描いた世界以外の全てを否定する、傲慢な神であったために。
そして異物を排除すべく、マジンガーZと魔法少女の鹿目まどかの姿をした虚無は行動を起こした。
元々この場所には虚無が満ちていた。
なので、生じた事は単純ではあった。
「………」
発声した光景を前に、女神の意思は言葉を失った。
上下左右、広大な距離を隔てて夥しい数の存在が自分達を包囲していた。
それらが何か、言うまでもない。
虚無のマジンガーZと、虚無の魔法少女である鹿目まどかだった。
それら全てが、オリジナルのマジンガーZを見た。
女神の意思も、無数の鹿目まどかの視線を感じた。
敵意の眼差しであると彼女は思った。
そして無数のZの眼から、鹿目まどかの弓矢に虚無の輝きが宿る。
それらにとっての紛い物を排除すべく、一斉に虚無の光線と弓矢が放たれた。
「本当にやるんですか、とはもう言いません。御武運を」
従者の言葉に、暁美ほむらは頷いた。
眼の前には、のたうつトカゲの模様があしらわれた鉄扉が聳えている。
彼女の悪魔的な魔力で生成した存在であり、彼方へと向かう門であった。
一度行った場所であれば、今の自分ならば因果を辿って追うことが出来る。
それが彼女の下した決断であった。
黒く禍々しい扉に手を掛ける寸前、彼女は背後を振り返った。
従者である愛生まばゆに付き添われ、安らかな寝息を立てる鹿目まどかを一瞥する。
それで最後の迷いを振り切り、扉を開こうとした。
「ヴァアアああア!!!!」
背後で生じた、耳障りで悍ましい叫び声が、暁美ほむらの動作を中断させた。
出鼻をくじかれ、彼女は背後を振り返る。
予想通り、そこには狂い吠え猛っているアリナ・グレイがいた。
事の経緯は聞いている。
アリナもまた、まばゆが記憶していた事象を物語として垣間見たのだった。
この宇宙の、いや、遍く宇宙が誕生した過程とその瞬間の物語を。
そして、今のこの状況に至るまでに何があったのかの記憶を。
「なんで教えたの」
「だって元々、アリナさんの力を借りて彼方へ向かう予定でしたし」
「…う」
確かにその通りであった。
アリナの存在を放置し、自分達は勝手に話を進めていたのでアリナとまばゆからしたら寝耳に水であったことだろう。
漫画か小説で例えるなら編集が何も仕事をせず、また作者も自分の設定を忘れまくったり、その場の思い付きで話を進めているような感じだった。
言語化すると落ち込むくらいに意味不明の状況である。
しかしそれはそれとして、アリナを放置し向かおうと思った。
だがその時、異変が生じた。アリナが叫びを止めたのである。
少し迷ったが、暁美ほむらは振り返った。
これ以上トチ狂うのなら、少し可哀想だが殺処分も検討しようと思っていた。
多分何かまた始めたのだろうが、これ以上驚くことなどない。
視認するまでは、彼女はそう思っていた。
振り返ってから十秒ほど、彼女は言葉を失っていた。
その間、ぼりぼり、ぐちゃぐちゃという悍ましい音が響き続けた。
「キュゥべぇを…喰ってる」
嫌悪感に満ちた声で暁美ほむらは言った。
白い尻尾を掴かれて吊り下げられた忌まわしい獣を、アリナ・グレイは頭から喰っていた。
頭というか、既に胴体部分が半分は喰われ、見ている間に残りの部位も全て喰われた。
その間、インキュベーターはそれが鳴き声であるかのように只管に謝罪の言葉を続けていた。
「一応連れて来たんですが、流石にこれは予想外でした」
「………」
自分はどう反応すべきか、暁美ほむらは悩んでいた。
あのインキュベーターは、今回起きた問題事の原因の一つだった。
異界の力に触れて世界を弄び、筆舌に尽くしがたい残虐行為を働いた結果、それを遥かに上回る災厄に叩き落された存在である。
その結果、罪悪感という感情を覚え、それに囚われ続けている。
他に置いておく場所も無いので自分の部屋に置いておいたが、相棒はそれを連れてきていたらしい。
本来はもっと別の、異界の知識を持つ存在として悲しみを乗り越えて自分達に協力してくれる。
そんな展開もあったかもしれない。
しかし獣に待っていたのは、アリナ・グレイによる捕食であった。
色んな意味で、暁美ほむらは同情と
「ざまぁみなさい」
無限の嫌悪感と憎悪を抱き、言葉として吐き捨てた。
「これがある意味、救いなのかもしれませんね」
「そうね」
まばゆと暁美ほむらの二人は、自らの発言に何の中身が無いことも悟っていた。
異常な事態が起きすぎて、疲れているのが自覚できた。
だがしかし、事態はこれで終わらなかった。
アリナが獣の長い尻尾も耳も飲み込んだとき、獣の耳の輪が落下した。
断末魔のような金属音を響かせたとき、変化が始まった。
黄金の輪が砕け、その内側から無数の緑線が溢れた。
黴や葉脈を思わせる生々しい色の光は、瞬く間にアリナを覆った。
呆気に取られている二人を他所に、光は繭か卵のような形となった。
アリナの身長に等しい大きさの卵、または繭は次の瞬間には半分ほどの大きさへと縮んだ。
大きさが変わる際には、肉が潰れるような、骨が砕けるような、液体が弾けるような音が混じった悍ましい音が鳴っていた。
それが何度も続き、最後には小動物程度の大きさとなった。
緑色の奇怪な存在の表面は胎動のように脈打っていた。
「なに、これ」
「異形への変容はある意味、魔法少女らしいですね」
身に覚えのあり過ぎる例えに、暁美ほむらは納得しかけた自分を嘆きたくなった。
その時、異形に変化が起きた。
「私は、アリナは、僕は、我が名は」
異形が声を発した。
それは今名乗った通り、アリナ・グレイの声だった。
しかし抑揚が大きく減衰していた。
その発音の仕方には、既視感があった。
言葉が放たれるに連れ、異形の形が変わっていった。
ばきばき、べちゃべちゃ、ごきごきごきと、悍ましい音が鳴り続けている。
音と共に、こねられた粘土のように形を成していく。
やがて完成したのは、猫くらいの大きさの小動物の姿であった。
その姿は、インキュベーターに酷似していた。
差異を上げるとすれば、黄金の輪が着用されておらず、また耳や腕状の触手の端が緑色であるところだった。
白色の体毛も、よく見ればうっすらと緑がかっている。
インキュベーターが毒を有した存在ならこうなる、とでもいうべき姿であった。
それを前に、悪魔とその従者は言葉を失った。
唖然としており、そして呆れていた。
「我が名はA-Q」
無表情で、しかしそれでいて堂々とした口調で獣は名乗った。
「………」
「………」
不信と困惑と、そして度し難い展開に殺意を抱いた暁美ほむらの視線がエー・キューと名乗ったインキュベーターの変種を見据えた。
「暁美ほむら、それじゃ駄目だ」
殺意の眼差しを受けても、A-Qに動揺は感じられなかった。
ただ無感情という訳ではない。
A-Qの声には嘆きの響きがあった。
「…この畜生」
「暁美さん、抑えて抑えて」
更に殺意を募らせ、盾から銃を取り出しかけた悪魔を、従者の魔法少女は肩に手を乗せて宥めていた。
「我が、僕が、アリナが、僕が」
獣は一人称を連呼した。どうやらまだ、方向性とでもいうべきものが定まっていないらしい。
だがやがて、
「僕が」
と言った。このあたりは、オリジナルであるインキュベーターを踏襲するらしい。
「僕が彼方へと導いてあげるよ」
A-Qが耳の触手を掲げる。
そして演奏の指揮者のように触手を振るった。
すると周囲の光景が変化していく。無数の作品群の形が崩壊し、全てが光に変わる。
見る間に周囲が、世界が変容していく。
ほんの一瞬としか思えない内に、世界は一変していた。
光輝く天蓋の奥には、無明の宇宙が広がっている。
その宇宙に向け、暁美ほむら達が存在する空間は光を放っていた。
それが闇の中に一筋の光を通し、遥か彼方まで続いていた。
その光は、彼女達がいるこの空間、多数の家具や扉が無造作に並んだ空間の周囲を十重二十重に取り囲む構造物から発せられていた。
「たしか、こういう形だった筈だ」
金属で出来たコードの中を、眩い光が絶え間なく巡っている。
その存在に、暁美ほむらは見覚えがあった。
それを今、思い出していた。
「粒子加速器…ミネルバX」
声の震えを、暁美ほむらは抑えようとしたが止められなかった。
かつて経験したことが、記憶と体験の奔流となって自らの内を駆け巡っているのを感じた。
誰とも分かち合えないと思っていた、時間を遡る苦難の道。
自分のそれよりも遥かに最悪としか思えない世界で、必死に戦い続けた存在の姿が脳裏に浮かんでいた。
それはまだ茫洋としているが、その姿を明確にするにはどうすればよいか、彼女には分かっていた。
粒子加速器の終点、闇の彼方へと光を放つ場所へと暁美ほむらは進んだ。
強い力の奔流に触れれば、彼方へと行ける。
もう後戻りは利かず、そして戻るつもりはなかった。
「さぁ、暁美ほむら。君の物語を紡いでおくれ」
A-Qが声を掛けた。
相変わらずの抑揚の無さだが、インキュベーターには存在していなかった感情が乗せられている。
それは期待であった。
「あのポートレートが君や世界の遺影となるか記念となるかは、君達次第だ」
輝く天蓋の近くに、額縁に入れられた白紙が見えた。
どうやら獣はこれらかの事象を観測し、それを作品にするつもりであるようだった。
相変わらずのアリナであり、そしてインキュベーターであると思った。
自分の興味の対象外であればどうでもいい、という性格というか性質に、忌々しい二存在には類似性があるような気がしていた。
「後は頼むわ、まばゆ」
獣の言葉を無視し、暁美ほむらは光へと一歩を踏み出した。
光は即座に彼女の全身を包み込み、その姿を掻き消した。
消えゆく中、暁美ほむらは光の中で美しい姿を見た。
自分よりも幾らか年上で背が高い、ボディラインが浮き出た姿をした女性。
光の女神としか思えない存在だった。
「あなたは……」
ほぼ反射的に、暁美ほむらは手を伸ばした。
その手を、光の女神は優しく掴んだ。
そして暁美ほむらを、闇の彼方へと誘った。