陵辱フラグがとまらない!?TS転生したハンター、近未来で処女狙いの敵に無双します   作:わんた

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契約と共犯者

「この地には人間と敵対している種族――魔物がいるんだけど、体内に魔力を持っていて超常的な身体能力を持ち、魔術まで使うの。基本スペックは魔物の方が上ね。そのため人間は各都市に引きこもっていて、ほとんどは外に出ず一生を過ごすわ」

 

 地球では地上の支配者は人間だったが、この世界は魔物だ。

 

 過去には高度な文明を築き、魔物を撲滅させようといった動きもあったが、失敗に終わっている。

 

 かといって人間が一方的に虐げられる存在なのかといえば、それも違う。魔力を持たない代わりに科学の力によって対抗している。

 

 ただ同数では負けてしまうことも多いので集団になって都市を作り、防壁を建設し、強力な銃器、パワードスーツ、人型のロボットによって魔物と対等に戦えている。

 

 だが補給の問題等もあって遠征はできず、支配領域は広げられていない。

 

 その結果が都市に引きこもる人間と、大地を自由に徘徊する魔物という構図になったのだ。

 

「魔物は、さまざまな形をしていて中には人間と交配して子供を作ることもできるの。一瑠を襲った強盗は、そういった混血の子孫ね。ただ魔物の血はすごく薄かったから、体の一部しか変えられなかったみたいだけど」

 

 人類の3割程度は人間と魔物の混血児で、流れている魔物の血の濃さによって魔力量が決まる。それが身体能力や魔術の強さにつながるのだ。

 

 また強い魔力を持っていると科学兵器が動作不良を起こすことが多いため、強い混血ほど魔力や魔術を主体に戦うことが多い。

 

「俺は人間なのか? それとも混血?」

「混血ね。しかも魔物の血がかなり濃いタイプ」

「だったら俺も変身ができるんだな!」

 

 変身はロマンだといわんばかりに、一瑠の目がキラキラと輝いていた。

 

 その姿をアルゴスはカメラ経由で見て、新しいパートナーの好みを把握しようとしている。

 

「完全に血が目覚めてないみたいだから無理よ」

 

 否定されてしまって一瑠はガクッと肩を落とした。

 

 少年っぽい仕草をするところが、少女の体に慣れていない証拠である。

 

「覚醒させることは簡単よ。後でやってあげるから、今は私の話を聞いて」

「わかった。次は何を教えてくれるんだ?」

「今後についてね。ここ、デロス都市は防壁の内側と外側に人の住む場所があるんだけど、死んだとされた一瑠は外側で暮らすことになるわ」

「どうしてだ?」

「戸籍の管理をしてないからよ。無法地帯だし定期的に魔物が襲ってきて危険だけど、人が増えたところで気にする人はいないの。また監視カメラもないから、一瑠が生きているとエンが気づく可能性もかなり下がるわ」

 

 防壁の外側は魔物に襲われる機会が多く、毎日のように数十人が死んでいて住民の管理なんてしていられない。そういったこともあって公的機関も訪れることがまれで、重要人物が殺されない限り捜査されるようなことはない。アルゴスが無法地帯と言うぐらい、治安が悪化している。

 

 少女が一人で生きるには相応しくない場所ではあるが、アルゴスのように機械に侵入できるエンの目を誤魔化すには、防壁の外か魔物に飼われる生活しか選択肢はなかった。

 

「防壁の外に行く理由はわかった。生活はどうする? 金を稼がないとマズイよな?」

「そうね。だから一瑠はハンターになって魔物を倒しながらお金を稼ぎ、戦う力を付けて欲しいの」

 

 都市周辺の安全を守るためにハンターという職業がある。

 

 魔物を殺して金銭を得る仕事であるため危険ではあるが、身元不明の人間でもすぐに働ける。余計な詮索はされず、また一人でも行動できるため、資金が不足している現在の一瑠にとって最適な選択ではあった。

 

「この世界に詳しいアルゴスが言うなら、ハンターになって強くなる方針を受け入れるが、一つだけ教えてほしい。ハンターになればエンを失脚させられるのか? それとも別の方法が必要になるのか?」

 

 意外な発言にアルゴスは驚いていた。

 

 手を組んだ仲間のことも考えている一瑠の評価を少しだけ上げた。

 

「強くなれば、エンの近くにいても自由は奪われない。近づいて殺すことも可能よ」

「どうやって会うんだ? また死ねとでも言うのか?」

「会う方法はいくつかあるわ」

「例えば?」

「すべてを教えてたら、私を捨てて勝手に行動するかもしれないじゃない。それだと困るのよ。だから、強くなったら教えてあげる」

 

 相手を信じ切れないのはアルゴスも同じ。そう考えればすべてを伝える必要は無い。無謀より慎重な態度に好感をもった一瑠は、隠し事があっても利害関係が一致する限り良好な関係は続けられると判断する。

 

 またエンにかけられた加護によって同族を殺せないため、他人の力は絶対に必要だ。

 

 そう言った意味でも、一瑠にとってアルゴスという存在は手放せない。

 

「わかった。アルゴスが満足するまで俺は強くなるから、その時はエンに会う方法を教えてくれ」

「いいわ。約束する」

 

 円形状の体からアーム状の腕が伸びてきた。一瑠の前で止まる。

 

 何を求めているかなんて言葉に出すまでもない。

 

 腕を前に出して握手をする。

 

 アルゴスの手は、ひんやりと冷たく固かった。

 

「これで俺たちは共犯だ。もう後戻りはできない。覚悟はいいか?」

「なければ助けに来ないわ。あなたこそ、一線を越える覚悟は出来ているのかしら?」

「愚問だな。クソみたいな加護を付けられた時点で、どんな存在であろうともやり返すと決めている」

 

 生まれ変わったのにまた一方的に虐げられたくない。そういった感情が強い一瑠は、相手が人間をも超える存在であっても抗う意思を持っている。アルゴスの手を離すことはないだろう。

 

「いい目をしているわね」

 

 計画は順調だ。上方修正するほどである。

 

 アルゴスはエンを消滅させる手段をいくつか講じていて、その中で一瑠は最も可能性が低いと思っていたが、今は本気で手を貸してもいいと思っている。

 

 後は一瑠がエンへの恨みを薄れさせないことに注意するだけ。

 

 近くにいればコントロールも容易だ。

 

 今、人の体を持っていたら微笑んでいたことだろう。

 

 短い握手を終えると、アルゴスはアーム状の手を体に収納した。

 

「協力体制を築けたことだし、一つアドバイスをしてあげる」

「何だ?」

「もう少し女っぽくしなさい。所作が男のそれじゃ、悪目立ちするわよ。露出も減らさないと娼婦と勘違いされるわ。それと名前も変えた方が良いわね……一瑠(いちる)だからイチコ……イルカ……うーん。イチカにしましょうか」

 

 意識は男のままである一瑠はアルゴスの提案を否定しようとしたが、反論は思い浮かばなかった。

 

 アドバイスが間違っているわけではない。むしろ必要なことだ。しかし、だからといってすぐに受け入れられるものでもない。

 

「今すぐやらないとダメか?」

「最初が肝心なのよ」

「だよな……」

 

 抵抗してみたもののアルゴスに一蹴されてしまった。

 

 一瑠――イチカとして、新しい人生を受け入れるしかない。

 

「まだ時間はあるわ。夜になるまで私が教えてあげる」

 

 楽しそうにしているアルゴスとは反対にイチカは肩を落として元気がない。

 

 それでも立ち止まっているわけにはいかず、女性としての振る舞いを学ぶことになった。

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