陵辱フラグがとまらない!?TS転生したハンター、近未来で処女狙いの敵に無双します   作:わんた

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アルゴスのハッキング能力

「慌てないで、ゆっくりとこちらにきなさい」

 

 イチカは倉庫の隅に移動すると、アルゴスからAM-15を受け取った。

 

「使い方は普通の銃と同じで狙いを定めてトリガーをひくだけ。それで魔術が発動するの。簡単でしょ」

 

 現代では原理を知らなくても、魔術は誰でも使える道具として利用されている。

 

 魔力が足りれば強力な魔術すら発動できるようになっているため、今では研究者以外は魔術文字の詳細は知らない。魔術が広く普及しても詳しい人間が増えていないのである。

 

「私は撃ち殺せませんよ?」

 

 エンが与えた加護によって、イチカは同族に危害を加えられない。

 

 武器を渡されたところで入ってくる敵は攻撃できないのだ。

 

「何もしなくていいわ。音を立てずに立っていてね」

 

 理由は分からないが、イチカはアルゴスが見つからない自信はあると感じた。

 

 自己判断で動いても事態を悪化させるだけである。素直に従って銃口を下に向けて待っていると、鋼鉄製のドアが静かに開いた。

 

「明かりが点いているじゃねぇか」

 

 男の声だ。消灯されていないことに気づき、侵入者がいると警戒していて銃を構えながら入ってきた。イチカと似たようなゴーグルを着けていて、室内の情報を収集、分析している。服の下にはパワードスーツを着込んでいて、イチカと接近戦をしても力負けしないだろう。

 

 続けてもう一人が倉庫内に来た。サイボーグ化が進んでいて全身は肌ではなく金属になっている。内部も脳の一部を除いて、すべて機械で動作しているため常人よりも反射神経、視野、処理能力などすべてが高水準だ。部屋の隅に立っている一人と一個を見失うなんてことはありえないのだが、二人とも気づいていない。

 

「誰もいないようだな……消し忘れか?」

 

 警戒を緩めた男が銃を下ろした。

 

 サイボーグ化した男が奥に入って周囲を見渡す。間違いなくイチカやアルゴスを視野に入れたはずなのだが、存在を認知できていない。

 

 何故だと疑問に思っているイチカのゴーグルに文字が浮かぶ。

 

『彼らの視覚をハッキングして、私たちだけ見えないようにしたの』

 

 アルゴスからの通信だ。

 

 機械を使うリスクとしてハッキングによる改ざんがある。全身サイボーグ化している場合は、体が乗っ取られる危険性もあるが、何重ものセキュリティを作っているので普通は防げる。

 

 各企業も入念な対策をして日々アップデートをしているため、事前準備なしに突破は不可能なのだが、アルゴスの前では無意味であった。索敵や情報収集、改ざんに特化しているため、人間が作ったセキュリティ程度では容易に突破してしまう。

 

 倉庫へ侵入する前にはハッキングが終わっていて、今も偽の映像を送り続けているのだ。

 

『音を立てずに出るわよ』

 

 最初に入ってきた男は、聴覚や嗅覚はサイボーグ化されておらず補助用の機械も使っていないため、音を立ててしまえば存在はバレてしまう。

 

 アルゴスが横にスーッと移動をして出口まで着く。侵入者を警戒して突入したため、ドアは開きっぱなしであった。

 

 後を追おうとしてイチカも動き出そうとしたが、サイボーグ化した男の方が近づいてきた。思わず止まってしまう。

 

 サイボーグ化した男との距離は1メートルを切っている。

 

「良い匂いがしないか?」

 

 鼻をひくつかせながら、相棒の男に聞いた。

 

「センサーの類いに反応は?」

「ない」

「だったら、さっきまで抱いていた女の残り香じゃねぇのか?」

「それにしてはリアルなんだよなぁ」

「だが誰もいない。考えても時間の無駄だ。すげぇ良い経験をしたってことで納得しろ」

「……そうだな」

 

 サイボーグ化した男はイチカから離れ、近くにある銃を手に取っている。

 

 もう一人の男も武器を探しているようだ。

 

 緊張から解き放たれたイチカは小さく息を吐くと、すり足で移動をして倉庫へ出た。

 

 アルゴスの姿はないがゴーグルに位置情報が送られているため、どこに行けばいいかはわかる。

 

 AM-15を肩にかけるとイチカは走り出す。指示はすべてゴーグル経由で来ているので迷いはない。

 

『その道を右に曲がった後、壁があるから乗り越えて』

 

 言われたとおりに移動すると行き止まりに着いた。眼前には5メートル近い壁がある。

 

 抑えていた魔力を少し解放すると身体能力が強化された。その場で跳躍しただけで壁の上まで到達すると、そのまま越えてしまった。

 

「すごい力だ……」

 

 思わず言葉が漏れてしまった。イチカは今まで経験したことのない万能感を覚えている。力に飲み込まれそうになったが、音声を拾っていたアルゴスが注意する。

 

『このぐらい誰でもできるわ。時間が無いから早くこちらに来て』

「わかった」

『口調が戻っているわよ』

「……わかりました」

 

 丁寧な言葉づかいに慣れてないが、女性っぽく振る舞う必要性はわかっているため、イチカは反抗しなかった。

 

 再び走り出してしばらくするとアルゴスの姿が見える。外とつながる門は開いていて、警備のためにいた数十人が倒れている。

 

 全員が高度なサイボーグ化手術を受けていたため、ハッキングによって意識を奪われたのだ。

 

 他にも監視カメラや各種センサーも偽造データを送っており、イチカたちの存在は秘匿できている。

 

「あと10分ぐらいで交替が来るから。立ち止まらないでね」

「了解です」

 

 倒れている警備兵を飛び越え、走ったままイチカは防壁の中に入る。いくつもの無人の受付があって、昼間であれば行き来が盛んであったであろうことがわかった。

 

 数メートル進むとついに外へ出る。

 

 アルゴスによる指示によって目的地へ真っ直ぐに進む。

 

 深夜の暗い道を走りながら誰もいない空き部屋に入って、ようやく落ち着ける場所に到着したのだった。

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