偽アハウの奮闘記   作:有神要素

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キィニチのキャラストーリーを読み、心がえぐられた要素です。
辛い…辛いよ…
それにキィニチ以外にも辛いキャラのストーリーが存在する…

というわけで原神プレイヤーの男が原神のフォンテーヌからのストーリーをすべて知っていて、ナタに封印されているアハウに転生したらどうなるのか書いてみました。

クックックッ……待ってろよ、キィニチぃ……トラウマを無くして笑顔を増やしてやるからなぁ……


本編
アハウに転生した男


ん?お前キィニチのこと知らねぇのか……?

そりゃダメだな。アイツのことを知らないなんて人生損してるぜ。

 

……キィニチがどんな奴だって?

そうだな……一言で表すならオレの「最高の相棒」……だな。

 

もっと知りたい?ふふん、感謝しろよ?アイツも喜ぶだろうしな。

そうだな……初めてキィニチと出会う少し前から話すか…

 

確か……

 

~~~~

 

目を覚ますと男は薄暗く狭い空間に居た……

 

(どこだここ……?というか何で俺はこんな所にいるんだ?)

 

男は体を起き上がろうとした……が

 

(あれ?何で起き上がらないんだ?……いや待て!?そもそも俺は()()の感覚を感じていないのに何で苦しくないんだ!?)

 

男は覚醒したことで、ようやく自身の体に違和感を持ち始めた。

 

(というか声もでねぇ!?落ち着け…こういう時は冷静を保たないと死ぬリスクが上がるんだ。まずはここから脱出を…)

 

その時、男の体に突如光が包まれた。

 

「うわぁ!何だ!?ここからようやく…脱出……を?」

 

目の前の光景を見て男は絶句した。

 

目の前には遠くの巨大な崖に様々なペイントアートが見え、草原には地球では絶対に見ない全身が茶色っぽく、頭にドリルのようなものがついてる生物が親子と共に歩いているのが見えて男は察した。

 

 

俺は原神のナタの世界に転移したのかぁぁぁ!?

 

 

(……ちょっと待て。一旦待て!原神プレイヤーとしては夢のような展開だが、一体どうして俺はこんな……ことに…)

 

ふと自身の体に目を向けると男は自身の体が見えないことに疑問を持った。

 

(え?俺って幽霊みたいな存在になってんの!?嘘だろ!これじゃあ推しと会うことはできない……ん?)

 

自身の手がある位置の所から炎を紐にしたようなものが右の手首の位置に結ばれてあり、そこから男の後ろに地面の割れ目へと続いていた。

男は地面の割れ目から入り、紐を辿っていくと埋まっている遺跡を発見した。紐は遺跡の中へ続いていた。

 

「とりあえずここにいてもしょうがないから行ってみるか……」

 

男は炎の紐に続いている遺跡へ向かった。

 

 

………………

 

「……それにしても殺意が高い罠が多すぎるだろ!?」

 

男は遺跡の内部を探索していたが、一定の間隔で壁が動き、侵入者を押しつぶす罠や、時々床から爆発するエリアなどを見て、罠の製作者が遺跡の侵入者を絶対に殺すという殺意を込めたようにしか見えない設計の罠を見て男は引いた。

 

「俺は幽霊だから大丈夫だけど……人間のままだったら木っ端微塵になって死んでたぞ?」

 

そんなことを言いながら浮かんで行き、男はとうとう紐が続いている最終下層にたどり着いた。

 

「紐が腕輪の中に続いている?」

 

男が見た光景は薄暗い部屋の中央に腕輪が台の上に置かれていた。そして紐が腕輪の中に入っているのを見た。それに男はどこかで見たようなデザインの腕輪を見て、考え込んだ。

 

「うーん……?これどこかで見たような腕輪だな……あっ!」

 

男は考えていたことに確信をもって推測したことを口に出した。

 

「これキィニチが装備することになった腕輪じゃないか!?そしてその腕輪にはアハウという喧しい自称聖龍のドットの龍が入っているんだよな!」

 

男が言った人物の名前……「キィニチ」と「アハウ」は男が前世で最も好きなコンビとして覚えていたため、腕輪のデザインも覚えていたのだ。

キィニチはウィッツトランの竜狩り人*1であり、冷静で実直で現実的で功利的な少年。そのため、他の人から疎まれているがそんな性格になったのは毒親のせいである。

それはキィニチの父親だ。

 

キィニチの父親はギャンブル依存症に陥って、賭け事に負けたら酒に溺れてキィニチの母親とキィニチに手を出すクズ中のクズである。

最初は父親も非を認め、2人に謝罪してたが徐々にエスカレートしていき、遂にはキィニチの母親はキィニチを置いて家から出ていったのだ。

俺はこのシーンを見て何でキィニチも連れてかないんだよ!?と思ったが、よく考えてみたら父親……もうクズでいいや。クズの泥酔加減によって暴力が変わっていくのを見て、見かねて出ていったとキィニチのキャラストーリーに書いていたが、よく考えたら両腕の骨を折られて、一緒に連れていきたいけどナタの地形は険しい……となったらキィニチを連れてクズから逃げるのはリスクが高すぎるんじゃないか?もし追いつかれたら殺されるほど殴られたりするかもだし…と俺はそう思った。

……まぁ、部族の人に助けを求めてほしかったけど、そう考える余裕がなかったんだろう…

 

ちなみにクズはその後、キィニチの誕生日にキィニチがクズに母親のことを尋ねて、それに激昂したクズはキィニチを追いかけた。しかし、クズは直前に酒を飲んでいたため、判断力が鈍り、崖から落ちて死んだ。

そして、その光景を7歳となったキィニチは見てしまう……

キィニチは「自由」というプレゼントを手に入れたが、クズとはいえ親の死を見てしまったキィニチは自身の誕生日を最悪の日と認定し、悪夢を見るようになってしまったのだ……

 

俺はこのストーリーを見て、「は?」と声がでるほど怒った。それ程までに彼の境遇の不憫さに憤りを感じたのだ。

あ、ちなみにアハウは腕輪に封印された龍で体は本当にドットなのだ。……いや、マジで。体の厚さが薄っぺらいし、カクカクしてるからドットと言うしかないんだよな……

アハウは自由になりたくて、でも動けないから腕輪を発見したキィニチに「キィニチが死んだらその体はオレ(アハウ)のものになる」という契約をしたのだ。

そして、キィニチを殺すために竜をけしかけたり、崖から突き落としたりするのだ。

 

これを見た前世の俺は「アハウは聖龍じゃなくて邪龍だし、このまま封印されたままでよかったんじゃねぇの!?」と思った。

だけど、キィニチはアハウの妨害に何ともなく、それどころかキィニチはアハウを手ではたいて、アハウをどこか遠くの空へ飛ばすポケモンのロケット団のような去り方をするシーンを何度もするから面白いので、何だかんだ好きになったんだよな……

 

そうこの腕輪に……アハウがいる……あれ?

 

男はあることに気づいた。

 

「そういえば……アハウがこの中に眠ってるんだよな……?なのに、目の前にいるのに何で反応しないんだ……?」

 

キィニチのキャラクターストーリーでは、腕輪の前に行くとアハウの声が聞こえたと書いてあった。しかし、いくら俺が幽霊でもアハウは燃素*2を感知できるから燃素の乱れで気づくはず……このことを思った男はある一つの結論に達した。

 

「俺が……アハウなのか?

 

男はアハウに転生したと推測したが、すぐに否定した。

 

「いやいや……アハウに転生したとしてもおかしいでしょ。第一アハウは腕輪から出れなかったからキィニチに契約を結んだんだし……それに炎の紐が俺の右の手首と腕輪が繋がってるからって、腕輪の中に入……れたわぁぁぁぁぁ!!!!!

 

男は冗談だと思い、腕輪に手を入れた瞬間、腕輪に吸い込まれたのだ。

そして20立方メートルほどの白い空間の中にいたのだ。

 

「嘘だろ!まさか封印されたのか!?クソ!早くここから脱出……できるのかよぉぉぉぉ!

 

男は腕輪の中と外に自由に出入りすることができたため、思わず大声を出してツッコんだ。

 

……………………

 

「とりあえず、状況を整理しよう。」

 

男は落ち着きを取り戻し、その後いろいろと試して分かったことを脳内でまとめた。

 

①どうやら俺はアハウに転生した。

②なぜか自由に腕輪の中と外に出入りできる。

③遺跡の外に出ることはできるが、触れることはできなかった。

④触れることはできないが、竜に声をかけると竜が不思議そうに見まわしたから声を届くことができ、更には燃素を少しなら操れるため、果実を落としたり、ホウキなどを倒すことができる。

⑤自分の姿は他の人は見ることができないらしい。

 

「うーん…謎!まぁ、でも自由に動けるってことは分かった。良かったよ、これで退屈して一人じゃんけんとか虚しいことをせずに済んだ。」

 

男はそう言いながら、ナタの山岳地帯へ浮遊して散歩しに行った。

 

「まぁ、紐が結ばれているから迷子にはならないけd『ガシャァン!』何だ!?」

 

ふと、男の怒鳴り声と皿が割れるような音が山に建ててある古ぼけた家から聞こえたため、男は確認しに行き、窓から覗いた。すると、

 

 

「キィニチィィ!!!オマエはいつも俺をなめやがってぇぇぇ!!!何だ!?オマエは俺と違ってなんでもできる有能な人ですってアピールしてんのかぁぁ!!?」

 

「ごめんなさい、ごめんなさい…僕はお父さんのことを悪く思ってないよ……」

 

「その態度がムカつくんだよぉ!!」バキィ!

 

なんと、男は偶然、幼いキィニチが毒親……クズに虐待を受けてる場面を目撃したのだ。

 

(……ッ!コイツ……まだ幼いキィニチに暴力を振りやがってぇ……!)

 

男は家の壁をすり抜けて、とっさに燃素を使ってクズに向けて酒瓶で殴ろうとした。しかし、

 

(いや、ここでクズを万が一殺してしまったらキィニチは深いトラウマを植え付けることになってしまう……でも、この状況をどうやって……そうだ!)

 

男は外に出て、石を燃素で持ち、ドアに軽くぶつけて大声で怒鳴った。

 

「おい!ここから怒鳴り声が聞こえてんだけど何があった!?」

 

「……チッ」ドサッ!

 

どうやら、クズはふて寝したようだ。

男はひとまず安心したが、すぐに虐待を受けてるキィニチを救う方法を考えていた。

 

「待ってろ……!今すぐ助けてやるからな!」

 

*1
竜狩り人とは現世の言葉で簡単に言えばマタギのような存在。ナタは人間と竜が共生する国だが、人を襲う悪い竜もいて多くの人の命を落とす。竜狩り人はその悪い竜を討伐する人のことである。

*2
ナタに分布する特殊な高熱エネルギー。液体や気体などの様々な形態を持っている。




【キィニチ】

ウィッツトランの竜狩り人。代償を量ることに長けている。

キィニチの父親やキィニチの幼少の頃の一人称などは明確な描写が無いので、今作は独自に設定します。
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