葬送のフリーレンに転生した一般人の話   作:Revak

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第2話

 

 根本的な疑問として。そもそも魔法ってなんだ。

 

 アニメならば"まぁよくある異世界なんだから"で済ませれるが現実となると"質量保存の法則とか何処行ったんじゃボケ"となるクソが魔法だ。

 現行人類の積み重ね全部に中指立ててクソにしてくるクソ技術──あるいは技術に見せかけたクソ。それが魔法だ。

 

 というか魔法とは何をどうして何が起こっているのか。

 

 少なくとも科学ではない。科学とは一定の法則で動くものであり"誰がどうやっても同じ結果になる"モノだ。

 

 だが葬送のフリーレンの世界における魔法は想像力が全てである。

 

 大体なんでも切る魔法(レイルザイデン)という魔法があるがあれをよく使うユーベル曰く「布は切れるモノ」とかいう理論で本来切れないという不動の外套を切っている。

 マジでふざけんなボケ法則を寄越せ法則を。

 

 "その日の気分とか体調とか精神状態依存で結果が変わりますし同じ魔法だとしても使用者によって結果が変わります"とかマジふざけんなよ。

 千空とかこの世界来たら発狂しかねないぞ。

 

 というか。そもそも魔法に使用するエネルギーは何処から来ている?

 てか魔力とはなんだ。個人に依存するエネルギー? 魂が発する力? あるいは魔素やらマナ等と言われる様に世界に漂っている力?

 仮に個人の魂が保有するエネルギーだとして。何でエネルギーが補充されるんだ。食事等で外部からエネルギーを得ることでそれを魔力としているのか?

 そうだとしたらフリーレンやゼーリエはどんだけ魔力保持出来てるんじゃ。あれだけ肉を食う描写があるのはあれか。魔力の補充か?

 

 もしも葬送のフリーレンの世界に科学の概念がやってきて発達しようものならば。魔法使いの行きつく果ては単なるエネルギー生成炉だ。

 一生死ぬまでエネルギーを出すだけの膨大なエネルギー源だ。化石燃料なんぞよりよっぽどクリーンでエコな力だ。

 地球人類全員が望む永久機関だ。それこそゼーリエ一人で一国家ぐらいの電力賄えるんじゃなかろうか。

 

 というか魔法で何が出来て何が出来ないのか。

 何で治癒やら回復が女神の魔法なんだ。それぐらい普通の魔法使いでも出来るだろう。というか出来ない方が可笑しい。

 何故フリーレンは女神の魔法が使えない。旅の道中何度か受けることがあるだろう。そこから逆算して使用ぐらい出来ても可笑しくない気がするが。

 いや……フリーレンは魔力制限こそ卓越しているが魔法の才能について言及されて──いないのか? 自身の情報がアニメしかないせいでそこら辺がわからないな。クソが。

 

 

 まぁ兎も角そこら辺の考察はそのうちだそのうち。とりあえずフリーレンをいずれ必ず殺せるように。

 転生する魔法(リィンカーネーション)自分を増やす魔法(トゥワイス)の研究をしよう。

 

 

 

 

 

 ■

 

 勇者ヒンメルの死から27年後。中央諸国グレーセ森林。とある村で。

 

 

 村のはずれの丘の上に奇妙なモノがあった。

 片膝を付いた異形の石像であり、人間の体に異形の頭。そして角が生えていることからこれが魔族であると主張している。

 

 腐敗の賢老クヴァール。かつてそう呼ばれ恐れられた大魔族。

 八十年以上前。かつて幾多の冒険者や魔法使いが挑み。全て敗れた最悪の魔族。

 

「フリーレン様。どうなさったのですか?」

 

 そこに。三人の人間がいた。

 いや一人は正確には人間ではない。分類上は人類に入るも何百年たっても変わらぬ姿と飛び出た耳が人間ではないと主張する。

 紫色の髪と瞳を持つ魔法使いの少女フェルン。かつての勇者一行の魔法使いフリーレン。ただの村長。

 

 クヴァールを見るなり硬直し固まったフリーレンを前に。村長とフェルンは何があったかと疑問を抱いた。

 

「……やられた」

 

 はぁ、とフリーレンがため息をついた。

 

 何を、と問う前にフリーレンが杖を取り出し。魔法を唱えた。

 

 魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)

 

 かつての腐敗の賢老クヴァールに対し。フリーレンは容赦なく一般攻撃魔法を放った。

 

 そして──容易くクヴァールの腹部を貫いた。

 

「え?」

 

 

 封印魔法とは。封印している間外部からの干渉の一切を遮断する強力無比な魔法だ。

 なのに魔法が通った。通ってしまった。

 

 腹部を貫かれて尚。クヴァールは動かない。そもそも動くものではない。

 

「多分、蟲の連中だろうね……既にクヴァールの封印は解除されていた」

 

 

 ガタンと、大きな音と共に石像が崩れ落ちた。

 

 それは。最悪の知らせだった。

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 勇者ヒンメルの死から×年後。中央諸国グレーセ森林。とある村。フリーレンが訪れる××年前。

 

 丘の上に封印されたクヴァールの前に。複数の人影があった。

 統一感の無い者達だ。武装をしている者も居れば如何にもな農民らしき服装の者等が居る。

 共通する点は雨も降っていないのに傘をさしているという点だけであり、奇怪な者達だ。

 

 その一団の一人が封印された状態のクヴァールに触れ魔法を発動する。

 

 

「──ー」

 

 一分。十分。あるいはそれ以上の時間をかけて。クヴァールに掛けられた封印魔法が解呪された。

 

 ごぼ、と口から血を吐き出し触れていた者が倒れこみ絶命する。

 

 仲間らしきものが死んでも一団は動かず。立ち上がるクヴァールを見上げた。

 

「……蟲の一団か」

 

「そう、だ」「初めまして、だ、な」「腐敗の賢老」

 

 自身の封印が解呪されたことを認識し。クヴァールは一団を見下げる。

 

「一つ聞こうか。魔王様はどうなった?」

 

 

 魔族が人間に問いかける。

 その問いに。蟲は苛立ちと共に答えた。

 

「死んだ」「殺された」「フリーレンに」「忌々しい」

 

「そうか……さて。では」

 

 

 人を殺す魔法(ゾルトラーク)

 

 

 何の構えも無しに。最悪の魔法が放たれる。

 黒い光線が蟲の一人を貫く──ことは無かった。

 

 

「……ほう?」

 

 

「……人を殺す魔法(ゾルトラーク)。かつて喰らえば必ず死ぬとされた魔法は。今の時代ではただの一般攻撃魔法に成り下がった」

 

 狙われた蟲は。直前に六角形型の防御魔法を発動することで人を殺す魔法(ゾルトラーク)を防いだ。

 

「偉大なる腐敗の賢老」「あなたの魔法は強大すぎた」「あなたの魔法を元に今の魔法時代が生まれる程に」

 

 人類はたったの八十年で人を殺す魔法(ゾルトラーク)を解析し終えた。結果人を殺す魔法(ゾルトラーク)は人を殺せる魔法ではなくなった。

 人を殺す魔法(ゾルトラーク)を元に防御魔法が生まれ人を殺す魔法(ゾルトラーク)を元にした戦法が生まれた。

 

 それらを。蟲はクヴァールに語った。

 

 それを聞き終えたクヴァールは。かか、と笑った。

 

「ふむ。攻撃魔法に同調し魔力を霧散させる仕組みか……面白い」

 

 掌の上で。クヴァールは蟲が発動した防御魔法を発動する。

 

「さて。質問続きで悪いが……蟲よ。何故お前たちはワシらに加担する? 何故魔族を支援する?」

 

 ぴくり、と蟲の一人が肩を震わせた。

 

「魔法の歴史をワシに語りに来たわけではなかろう。お前の目的は人を殺す魔法(ゾルトラーク)の開発者であるワシに現状を知らせ。対策を知らせた。

 そしてワシに新たなる人を殺す魔法(ゾルトラーク)を開発させること。違うか?」

 

「……流石、だな。腐敗の賢老」

 

 

「そうだ。我々の目的の一部はこれで達成した」「如何な腐敗の賢老と言えど八十年の技術的格差は如何ともしがたい」「故今の知識を提供させてもらった」

 

 全ては、フリーレンを殺す為に。

 

 

 原作においてもクヴァールは度々名前が登場し更には魔族からも"偉大な腐敗の賢老"とさえ称される存在だ。

 原作では封印解除直後に二体一かつ現代の魔法技術を知らぬせいで敗北してしまった。相手がフリーレンとフェルンという魔法使いの中でも上から数えた方が早い者たちのせいで。

 

 だがここにはいない。フリーレンは何処かの森にいるしフェルンは幼すぎる。

 

 そしてこれで。時間が生まれる。クヴァールが新たに現代で通じる人を殺す魔法(ゾルトラーク)を開発する時間が。

 

 原作・アニメでも一目見るだけで防御魔法を再現できるほどの頭脳と魔法の才を持つクヴァールに時間を与えればどうなるか。想像に難くない。

 

 蟲の集団が。空に浮かび始めた。

 

「ほぉ。空も手にしたのか」

 

 愉快愉快と。クヴァールは笑う。

 

 その姿に蟲は違和感を抱き、問いかけた。

 

「……我らを殺さないのか?」

 

 

 蟲の一人の言葉に。クヴァールははて、と言葉を漏らした。

 

「殺す理由が無い。戦う理由も」

 

 

 それは。魔族にしては余りにも奇妙な発言だった。

 

「…………そうか」

 

 たっぷりと時間をかけて。蟲は言葉を返した。

 

「……先ほど使った防御魔法の欠点として単純な物理攻撃への脆弱性がある」「今の時代は魔法で物質を操り戦うのが一般的だ」

 

 

「ほぉ。それはいいことを聞いたな」

 

 カカカ、とクヴァールは笑う。

 

 そして何かを思い出すかのように。クヴァールは飛び上がると同時に蟲の期待へ応えた。

 

「安心しろ蟲共。お前たちの願い通りいずれ必ずフリーレンを殺してやろうとも。ではな」

 

 

 クヴァールはそう言い残し。空の彼方へ消えた。

 

 

「……」

 

 残された蟲は地上に降り。クヴァールの石像を作り上げ。如何にも封印されている様に偽装魔法をかけ──何処かへ消えた。

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