鉱石と破壊の戦士達〜鍵の戦士達〜   作:Uさんの部屋

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※本作はフィクションです。


第0章 前日譚
第0話 初めてと終わりの日


世界征服を目指す秘密結社『漆黒の支配者達(シャドーインベーダーズ)』。6人のメンバーからなるこの組織は、過去の大きな戦いを経て、新たな世界へと移り住む事となった。この世界においても目的は変わらず世界征服を目指す事であった。これは、後に大きな戦いへ飛び込む事になった者達の、新たな戦いの序章だった………

 

 

 

そしてそんな中、白髪で青い目にした男が目の前の光景の様子を伺っていた。

 

「取り敢えずしらみ潰しに偵察とは………リーダーも人使いが荒いな」

 

男の名前はU。『漆黒の支配者達』6人目の戦士であり、ホワイトソードマンのコードネームを持った人物である。Uが現在いるのは大きな町近くの山であり、町の様子を見ていたのだが、特段怪しい様子が見えない事から、この偵察の必要性を疑問詞していた。Uがそうぼやく中、彼が左耳に着けていた無線機が受信音を鳴らした。Uが無線機のダイヤルを操作すると………

 

「こちらブラック、状況はどう?」

 

Uに無線を送ってきた人物、ブラックデーモンがUに状況を問いかける。

 

「どうもこうもない。目の前の光景は普通の町並みだ。何も怪しい所がないんだが?」

 

Uは状況が何も怪しくない事を不満気に伝えた。

 

「そっか………でも、興味ある噂だからもうちょっと頼めないかな?」

 

しかしブラックはUに対して調査の続行を依頼する。

 

「噂………ね。人に化ける怪人がいるって噂か。現状それらしき人物は見当たらないけどな」

 

Uが調査していたのは、人に化ける怪人がいるという噂だった。しかし、Uはその噂を裏付ける人物が見つからない事から疑問を感じていた。

 

「まあダメだったらダメだったでいいよ。噂は噂だからね」

 

ブラックはダメだった時は特段気にする気も無い事を語る。

 

「リーダーの興味に振り回される僕は惨めだと思うけどな」

 

Uはそんなブラックに皮肉の言葉を返した。

 

「………何か言った?」

 

ブラックは威圧をかけるようにUへ問い返す様子を見せる。

 

「いや………任務を続行する」

 

Uは何処かマズそうな様子を見せると共に無線を切った。Uは溜息を漏らしながら偵察を続けようとした時、近くの草むらが揺れる音が聞こえた。

 

「………! 誰だ!!」

 

Uは懐からSOCOMピストルこと、『H&K MARK 23』を取り出し、草むらの方へ身構える。すると草むらからは赤い髪の可憐な少女が姿を見せた。

 

「えっ? うわああっ!?」

 

少女は自身が銃を向けられている事に驚き、思わず腰を抜かした。

 

「女の子………!?」

 

Uは驚く様子を見せていたが、銃を地面に下ろした。

 

「………すまない。敵だと思って反射的に身構えてしまった」

 

Uは少女に敵意が無い事を見ると、すぐに頭を下げた。少女はUに敵意が無い事を確認すると、安堵するように溜息を漏らし………

 

「ビックリした………急にそんなものを向けられるから………でも、敵ではなさそうだね。武器があの国では見ない物だし………」

 

そう言って、Uに近付く様子を見せた。

 

「銃を知らないのか………いや、そうだったな。魔法とか蔓延ってる世界だからな」

 

Uはそう言うと、銃を懐にしまう。

 

「しかし、初対面で僕を敵対視するなんて………いや、銃なんか向けたら誰でも敵対視するに決まってるか」

 

Uは一瞬、少女がUの敵意に目を向けていた事に疑問を感じた。敵意を向けられた事については、銃を向けた事が理由とあっさり解釈したが………

 

「ううん、敵意を向けたのは別の理由………確かに殺されるかもとは思ったけど………」

 

曰く、少女が敵意を向けたのは別の理由だった。

 

「………それは悪かった」

 

Uは銃を向けた事に改めて頭を下げる。

 

「貴方ってとても誠実なんだね。そう何回も謝られた事無いよ?」

 

少女は、Uの中から誠実さを感じ取った。

 

「誠実なんかじゃない。間違った事にはごめんなさいと謝る………大事な人と約束してる事だ」

 

Uは自身の行為が誠実なものでは無いと否定した。それを聞いた少女はクスリと笑うと………

 

「ふーん、変な人」

 

Uの事を弄るようにそう言った。

 

「悪かったな、変な人で………」

 

Uは拗ねたようにそう言い返す。だが、一度咳払いを挟む事で落ち着きを取り戻すと………

 

「………そんな事より聞きたい事があったんだ。さっきの君の反応、まるで僕以外に敵対してる奴がいるみたいな反応だったが………?」

 

Uは少女の反応に首を傾げる様子を見せる。

 

「………いや、気のせいだよ」

 

少女ははぐらかす様子を見せる。

 

「そうか………(………話したくないのか? 無理矢理聞き出すのは………無理か)」

 

Uは少女の様子から聞き出すのは不可能と判断し、それ以上聞き出そうとはしなかった。

 

「………私からも1つ聞きたいんだけど………貴方は何故こんな所にいたの?」

 

それから少しして、少女はUに対して彼が現在の位置に立っていた理由を問いかける。

 

「………少し調べ事をしていたんだよ。人に化ける怪人がいるって噂らしいんだけど」

 

Uは少女に対し自身の目的を語る。それを聞いた少女は一瞬怪訝そうな表情を見せていたが………

 

「そっか………ちょっとそれは分からないかな」

 

少女は知らないと言って首を傾げた。Uはその様子を一瞬見逃さなかったが、この時はそれ以上聞く事をしなかった。

 

「………知らないならいい。イタズラならイタズラの方がまだ可愛げがある」

 

Uはそう言って話を誤魔化す様子を見せる。そして、その場から立ち上がると………

 

「………ここにいても事は進みそうにない。今、目の前にある町へ乗り込んでみるとするか………」

 

Uは町に乗り込む事を考え出し始めていた。それを聞いた少女は………

 

「………なら私が案内するよ」

 

そう言って案内を買って出る様子を見せた。それを聞いたUは………

 

「………助かる」

 

彼女の協力を受ける事に決めたのだった………

 

 

 

………そして町に向かう最中、少女の方が先に口を開いた。

 

「………そう言えば、名前を教えてなかったね。私はエヴィ、貴方は?」

 

少女ことエヴィはUに対し名を名乗った。

 

「………Uだ」

 

Uは自身の名前を彼女に名乗った。

 

「U………? 変わった名前だね」

 

エヴィはUの名前に首を傾げた。

 

「よく言われる」

 

Uは素っ気なく言葉を返した。

 

「なんだか暗いね」

 

Uの様子を見て、彼の暗さを感じ取るエヴィ。

 

「………仕事柄な。僕は昔からまともな生き方をしていない」

 

Uは仕事柄そうである事を語った。

 

「普段の仕事は何をしているの?」

 

エヴィはUの仕事を問いかける。

 

「なんでも屋だよ。文字通りなんだってやる………人を殺す事だってな」

 

Uは自身の仕事を説明する。最後の説明を聞いたエヴィは無意識に身体を震わせる様子を見せていたが………

 

「………じゃあ私を殺してと言ったら殺してくれるの?」

 

エヴィは突如としてそんな事を言い出した。

 

「………何?」

 

Uはエヴィの言葉に驚き、思わず足を止めてしまった。エヴィは少しして笑いを零すと………

 

「………なーんて、冗談に決まってるじゃん」

 

先の言葉が冗談である事を語り、町の方まで走り出した。エヴィの後ろ姿を見たUは………

 

「冗談でも出てこないぞ、そんな言葉………少なくとも普通の女の子からは………」

 

ボソッと、独り言のようにそう呟いたのだった………

 

 

 

それから間もなくして、2人は町の中に着いた。町の中は様々な人達がおり、賑わう様子を見せていた。

 

「………中々賑わっているじゃないか」

 

Uは町の賑わい具合を目にし、そう呟いた。

 

「そうだね。あっ、そうだ! 情報収集ついでにあそこにも行こうよ!」

 

エヴィはUの言葉に頷くと共に、彼の右手を掴んだ。

 

「あっ! ちょっ! おい!!」

 

Uはエヴィの様子に慌てる様子を見せながら、手を引かれて連れて行かれる事となった。そんな中、そんな2人の様子を見る2人の人物が、近くの建物の影から様子を見ていたのだった………

 

 

 

Uが連れて行かれたのは洋服屋だった。エヴィが色々な服をUに着させて来る為、Uは着せ替え人形状態だった。

 

「………あのなあエヴィちゃん。僕にお洒落の趣味は無い」

 

Uはそう言って着せ替え人形状態に不満を漏らした。

 

「そうは言っても、Uさんはスタイルもいいし、お洒落すればもっとカッコよくなれるよ」

 

しかし、エヴィはUの容姿から、Uはもっと着飾れる事を語った。

 

「………僕には似合わない」

 

Uはお洒落に興味が無いかのようにそう呟いた。それを聞いたエヴィは………

 

「そんな事は無いと思うけどなぁ………あっ、じゃあこれは?」

 

Uの卑屈な様子に首を傾げつつも、近くにあった帽子をUに被せる。Uが被らされたのは、白の中折れ帽だった。

 

「白のハットか………悪くない」

 

Uもこの帽子だけは気に召したのか、近くの店員に声をかけ………

 

「………これは幾らだ? 買おう」

 

帽子の購入を即決した。

 

「帽子は気に入ってくれたんだ………良かった」

 

エヴィは、自分の選んだ帽子を気に入ってくれた事が嬉しかったのか、微笑みを見せたのだった………

 

 

 

その後、購入した帽子を頭に被りながら町を歩いていた。

 

「その帽子、相当気に入ったみたいですね」

 

エヴィはUの様子から思わずそう問いかけた。

 

「まあね………ありがとう」

 

Uはどこか照れくさそうにそう呟いた。エヴィはUの様子に思わず笑顔を見せた………だがその直後、突如として彼等の近くで足音が響くと同時に、剣を持った兵士と思わしき人物2人が現れ、エヴィに対し剣を向けた。

 

「な、なんだお前達………!?」

 

Uは思わず懐に右手を入れて身構える様子を見せた。

 

「お前に用は無い! 用があるのは人間に擬態するそこの化け物女だ!!」

 

しかし、兵士達はUなど眼中に無く、エヴィを人間に擬態する化け物として非難する様子を見せていた。

 

「化け物女………エヴィちゃんがだと………?」

 

Uは兵士の言葉に首を傾げる様子を見せた。エヴィは先程まで見せていた明るさが嘘のように震えた様子を見せていたが………

 

「くたばれ! この化け物が!!」

 

兵士はエヴィに対し剣を振り下ろす。

 

「やめろ!」

 

Uはそれを止めようと足を動かそうとした………しかしその直後、エヴィに向けて振り下ろされた剣が直撃する直前、エヴィの身体は突如として異形の怪人の姿へと変貌。兵士の振り下ろした剣はエヴィの変貌した身体には通用せず、あっさり折れてしまった。

 

「なっ………!? (ほ、本当にエヴィちゃんが怪人になった………!?)」

 

Uはエヴィの変貌に言葉を失う様子を見せていた。エヴィは自身が怪人である事がUにバレた事がショックだったのか、慌てる様子を見せており………

 

「Uさん………これは違うの………これは………!!」

 

Uに拒絶される事を嫌がるようにそう呟いた。Uがどう言葉を返せば良いかと困惑する様子を見せていたが、そんな中でも兵士はエヴィに剣を向けており………

 

「ば、化け物がああ!!」

 

兵士はエヴィに対し、体当りをしようとする。しかしその直後にエヴィは生存本能が働いたのだろうか………兵士達に対し反撃してしまい、兵士達は近くの建物の壁まで吹き飛ばされてしまった。

 

「エヴィちゃん………」

 

Uは困惑しながら彼女の名前を口にした。

 

「う………ああ………うあああああ!!」

 

しかし、エヴィは心がボロボロになってしまったのか、悲鳴を上げてしまい、その場から逃げ出してしまったのだった………

 

「ま、待ってくれ!!」

 

Uは慌ててエヴィを追いかける。だが、怪人のエヴィは足が早いのか、Uは中々追いつけない様子を見せた。

 

「(マズイ………多分パニックに陥ってる………!!)」

 

Uはエヴィの心理状態を思わず察してしまう様子を見せていた。そして、Uは左耳に着いた無線機のダイヤルを操作すると………

 

「リーダー! 僕だ! 例の噂は本当だった!! 人に化ける怪人はいた!!」

 

ブラックに対して無線連絡を行い、噂が本当であった事を語った。

 

「………本当に!? その怪人の居場所は分かる?」

 

ブラックはUに対し怪人の居場所を問いかける。

 

「僕の目の前………追いかけている最中だ」

 

Uは目の前で追いかけている事を語る。

 

「追いかけてる!? ………因みにそれはどんな化け物なの?」

 

ブラックは怪人がどのような化け物かを問いかける。

 

「えっと………って! そんな事言ってられる状況じゃない! 説明は後だ! こっちに誰か増援を送ってくれ! ブルーとかビリジアンとか!!」

 

Uはそのような状況では無い事をブラックに説明すると、他の仲間を自分の元へ送るよう頼み込んだ。

 

「ええ………分かった、今からブルーを送るからその怪人、逃がさないでよね?」

 

ブラックはUに対し、ブルーフレイムガンナーを増援として送る事を約束すると共に、怪人を逃がさない事を約束させてきた。

 

「………分かったよ」

 

指示を受けたUはブラックの約束に頷く返事を返したのだった………

 

 

 

それから少ししてエヴィは近くの洞穴に逃げ込んでしまった。Uはすぐさま後を追いかけると、洞穴はそこまで大きなもので無かったのか、エヴィは洞穴の行き止まりで立ち止まっていた。

 

「エヴィちゃん………」

 

Uはエヴィの後ろ姿を見ながら彼女の名前を呟く。

 

「あはは………失望したよね。探していた怪物が私だと知って………」

 

エヴィは乾いた笑いを零しながらそう呟いた。

 

「そんな事は思ってない………意外だとは思ったけど………」

 

Uはエヴィに対し自分の抱えた印象を語った。

 

「………ごめん。騙すつもりは無かったんだ………」

 

エヴィはUに対して謝罪の言葉をかける。

 

「分かってる。君が僕に近づいたのは騙すつもりなんかじゃなかった。本当に偶然だったんだろうなと感じてるよ」

 

Uはエヴィの心中を察しながら彼女に近付いた。しかし、Uがエヴィに近付くと、突如としてエヴィが頭を抱えながら苦しんでいた。

 

「………ううっ! 近づいちゃダメ………!!」

 

エヴィはUに対し、自身へ近づいてはいけない事を口にする。

 

「………なんでだ?」

 

Uは首を傾げながらその理由を問いかける。

 

「この姿の時に人に近づかれると………反射的に攻撃しちゃうの………!! ………私はUさんを傷つけたくない………だから近付いちゃダメ………!!」

 

エヴィは自身に近づいてはならない事を語る。

 

「………傷付くのは慣れてる」

 

Uは冷静な様子で彼女に近づく事を止めようとしなかった。

 

「やめて………やめてって言ってるでしょう!?」

 

エヴィはUに対し、反射的に右拳を動かして彼の左頬を殴ってしまった。しかし、Uは微動だにせず………

 

「………君の拳は悲しいな。人を殺そうとする奴のものじゃない………完全な生存本能がもたらすものだ」

 

冷静な様子で左手を動かし、彼女の右手を掴んだ。

 

「………君の身体は確かに怪人かもしれない。でも心は人間だ………!」

 

続けてUは、エヴィの心は紛れもない人間のものである事を告げる。

 

「Uさん………ううっ………!?」

 

それを聞いたエヴィは思わず涙を零し始める。だがその直後、エヴィは頭痛を感じたかのように左手で頭を押さえ初め、呻き声を漏らす。

 

「………? どうした?」

 

Uはエヴィの様子に首を傾げる。

 

「はあっ、はあっ………ごめん、この姿で長くいるのもマズイんだ………私の頭が………心が………自分でない何かに支配される気がして………お、抑えられない………!!」

 

エヴィは精神的に苦しむ様子を見せていた。そしてエヴィは左手でUの懐を突如として触り始める。

 

「え、エヴィちゃん………!?」

 

彼女の行動にはUも大きく驚いていたが、エヴィはUの懐からSOCOMピストルを取り出すと、グリップをUに握らせると共に、銃口を自身の胸に当て………

 

「お願い………私を殺して………私が………私で無くなるのだけは嫌なの………せめて………人間として死にたい………」

 

なんとUに対して、自身を殺害するよう依頼してきた。

 

「何を言って………!?」

 

Uもこれには困惑する様子を見せていたが………

 

「なんでも屋なんでしょう………!? だったら………私を殺す依頼だって受けられるはずだよ………!! ………報酬は………死んだ後の私。死んだ私の死体とか全部あげる………! 燃やしたって捨てたって構わない! ………全部貴方の好きにして………!」

 

エヴィはなんでも屋としてのUにこれを依頼していた。それを聞いたUは………

 

「………僕には出来ない。君は悪人じゃない………」

 

エヴィが悪人でない事を理由に殺害を拒否してきた。

 

「放っておいたら悪人になっちゃうかもなんだよ!? ………確かに出会ったばかりの貴方にこんな事を依頼するのもどうかと思ってるけど………でも貴方は、こんな私でも嫌いにならなかった! 人間だって認めてくれた! だから………人間として私に引導を渡して欲しい………」

 

エヴィはそう言って、Uによる死を望んでいる心の内を明かした。Uは躊躇いからSOCOMの安全装置すら外せなかった。その躊躇いがエヴィの意識を蝕む何かが大きく侵食を進めてしまい………!?

 

「あっ………! ああっ!! うああああっ!!」

 

エヴィは事切れたように首を地面に向けて項垂れさせた。だがその直後、エヴィはUを突き飛ばしてきた。

 

「ぐあっ!」

 

無防備だったUは無抵抗のまま吹き飛ばされ、地面に倒れる。Uが身体を起こすと、エヴィは咆哮混じりの声を上げた。

 

「暴走か………!?」

 

Uはその光景を目にし、エヴィの暴走を察知する。そしてエヴィはそのままUに向かって突撃。Uは無防備のまま対処を放棄しかけていたが、その直後、突如として洞穴の入口から2発の銃声が聞こえた。それと同時に蒼炎を纏った弾丸2発がエヴィに直撃。エヴィはダメージによる悲鳴を上げ、地面に倒れた。

 

「蒼炎の弾丸………!!」

 

Uは後ろを振り向いた。するとそこには、青いマントを羽織り、愛銃のリボルバー拳銃、コルト・パイソン357マグナムの改造銃を持ったブルーフレイムガンナーが立っていた。

 

「………ブルーか」

 

Uはブルーが現れた事で、約束通り援軍が来た事を察知する。

 

「………見ていられないわよ、U。貴方程の実力者がそんな無様な姿を晒すなんて………」

 

ブルーはUを叱責する言葉をかける。それを聞いたUは………

 

「………僕は愚か者だよ。彼女を生かしたいのか殺したいのか………どっちつかずの大馬鹿野郎さ」

 

自身を嘲笑うように思わずそう言い放った。

 

「彼女? ………どういう事?」

 

Uの言葉に首を傾げるブルー。Uはその場で立ち上がると………

 

「彼女の身体は化け物だ。でも心は普通の人間の女の子だった。この帽子を選んでくれたのも彼女だ」

 

Uはそう言って、頭の白い帽子を撫でながらそう呟いた。

 

「………趣味じゃなさそうな帽子を被っていたのはそういう事ね。つまり貴方は彼女に同情してしまったと?」

 

ブルーはUの様子を察し、彼の心情を問いかける。

 

「そんな所だな………」

 

Uはそう言って、ブルーに言われた心情を肯定する。

 

「………そんな愚かな事を言っても何も変わらないわよ。残酷なようだけど」

 

ブルーはUに対し厳しい言葉をかけた。それを聞いたUは思わず笑いを零すと………

 

「そうだったな………だから僕は自分の事を大馬鹿野郎だと思ったのかもしれない」

 

そう言って再び自嘲の言葉を語る。しかし、Uは突き飛ばされた際に近くに転がっていたSOCOMピストルを取り出すと、安全装置を解除し………

 

「………だが覚悟は決まった。僕は彼女の心を解放する。その為に彼女の依頼を果たすとしよう………」

 

覚悟を決めた様子でそう呟く。

 

「依頼?」

 

ブルーはUの言葉に首を傾げる。Uは帽子で自身の目元を隠すと………

 

「………彼女を殺す事だ」

 

そう言ってSOCOMのトリガーを引き発砲。エヴィにダメージを与えた。

 

「ブルー、援護頼む」

 

Uはブルーに対して援護を求めると共に、その場から高速移動を行い、エヴィの後ろへ回り込む。それを聞いたブルーは自身の身体に蒼炎を纏わせると………

 

「その気になった訳ね………いいわ、殺し方は貴方に任せる」

 

そう言って、コルトパイソンから蒼炎を纏った弾丸を4発射出する。これを受けたエヴィは再び悲鳴を上げる様子を見せる。ブルーはシリンダーを動かして空の弾丸を排莢。素早い手付きで次の弾丸を装填してシリンダーを戻すと、再び蒼炎の弾丸による狙撃を行う。ブルーの狙撃の速さを身をもって感じたエヴィはブルーに対して近付こうとする。しかしその瞬間、エヴィの背から胸にかけて光の刃が貫通した。エヴィは何が起きたか分からない様子だったが、背後を振り向くと、愛用武器の1つであるビームサーベル型の武器、ZEROセイバーを手にしたUの姿があった。

 

「………君の人生は苦しいものだったんだろう………死を望むまでの状態はかなり末期だと思ってる………多分僕が君を殺した事を正当化出来る日は無いんだろう。実際僕もそう思ってる………だけど………約束だけは守る………せめてあの世では………幸せになってくれ………!」

 

Uはそう言って、エヴィの身体からセイバーを抜き去った。それが致命傷となったのか、エヴィは力尽きて地面に倒れ、ピクリとも動かなくなった。

 

「………」

 

Uは彼女を殺した後、無言のまま左手で帽子を押さえ、自身の目元を再び隠す。それと同時にセイバーの光の刃が消え、持ち手のみとなった事から、Uはそれを懐にしまうと………

 

「………ブルー。彼女の死体を持って帰るぞ」

 

そう言って、エヴィの死体を持ち帰る事を語った。

 

「彼女の死体を持ち帰るの?」

 

ブルーはUの行動に首を傾げながら問いかける。

 

「これでリーダーも満足してくれるだろうに。それと、博士に解剖させてみよう。彼女なら人間との違いについても何か明らかにさせてくれるはずだ」

 

Uはそう言って、死体を持ち帰る意味を語る。それを聞いたブルーは………

 

「なら死体は私が持ち帰る。貴方は先に戻って総帥に報告しておいて」

 

そう言って、死体回収を自身が行うと語った。

 

「………恩に着る」

 

Uはそう言って帽子を押さえたまま洞穴を去ろうとする。その直後、彼は一度足を止めると………

 

「………前に聞いた事がある話だ。帽子は被るだけのものじゃない。涙を隠すためのものでもあるってさ………」

 

帽子の事について語りながらそう呟いて洞穴を去った。一見すると意味の分からない言葉だが、ブルーはそれを聞いてUの心情をすぐさま察した。

 

「(………つまりは泣きたいって事でしょう? ………回りくどく言わなくても分かるわよ、そんな事………)」

 

ブルーは心の中でそう呟いた。それと同時に、Uは1人、帽子で顔を隠して涙を隠していたのだった………

 

 

 

………そしてUはこの日の事を忘れる事は無かった。心を通わせられたかもしれない少女の殺害。それはUにとって本当は望まない結末の可能性もあった。しかし、Uは非道な選択を捨てずに任務と依頼の遂行を優先した。そこには彼にしか分からない複雑な心境が隠れていたのだった………

 

 

 

それから数日経った日の事。秘密結社『漆黒の支配者達(シャドーインベーダーズ)』の科学者、ピンクボンバーによってエヴィの死体の解剖は進んでいた。

 

「解剖は進んでるのか?」

 

Uはピンクの元を尋ねると、彼女に対して解剖の事を問いかける。

 

「………Uくん無理してない? ちょっとの時間とはいえ親しい仲だったんじゃ………?」

 

ピンクはUに対して、様子がおかしいのではないかと疑問を感じていた。

 

「………親しい仲だったさ。でもいつまでも悲しみに暮れる訳にも行かないだろ? ………それに、今回の事で感じた事もある………」

 

Uは自身の様子を隠しきれていない事を理解しつつも、悲しんでばかりいられない事を感じていた。それと同時にUは1つある事を感じていた。

 

「感じた事………?」

 

ピンクは何の事かと首を傾げる様子を見せた。

 

「怪人だからって悪とも限らないって事さ。もしかしたら殺さなくてもいい怪人も現れるかも………ってさ」

 

Uはそう言って、怪人に対する希望を持ち始めていた。それを聞いたピンクは………

 

「私にはまるで分からないけど………まあ有り得ない事じゃないかもね」

 

理解しようとする様子こそ見せなかったものの、有り得る未来だとはどこか感じる様子を見せた。そんな中、ピンクは近くに置いていたモニターを目にし、驚きの表情を浮かべた。

 

「………Uくん、今丁度分かった事があるんだけど………」

 

ピンクはモニターに映る情報から何かを知った様子を見せた。

 

「………? なんだ?」

 

Uは首を傾げながら事を問いかける。

 

「彼女の死体の中には鉱石のような物が入っていたんだ。Uくんのセイバーで貫通したと思われる穴があったから、死んだと同時にこれが壊れたんだろうとは予想していたんだけど………それが鼓動する反応があったみたいなんだ。彼女の身体に心臓のような物が無かった事と、胸にあった事を考えると、それが私達人間で言う所の心臓部って所かなって考えちゃったんだけど………」

 

それは彼女の胸にあった鉱石のようなものが鼓動していたという反応であり、同時にそれが心臓部であったのでは無いかと考察を交えながら説明した。

 

「心臓………」

 

Uは少し考え込む様子を見せた。

 

「まだ詳しくは分からないけど、現時点の考察材料を見ると有り得る事なんだよね………」

 

ピンクが現実味を感じるこの考察。それを聞いたUは………

 

「まだ調査が必要みたいだな。他に怪人がいないか探してみるよ」

 

他の怪人がいないかどうかを捜索してみる事を語った。

 

「やけに熱心だね」

 

ピンクは、Uの様子に対して思わずそう呟いた。

 

「彼女の無念を晴らせる可能性もあったのかハッキリさせたいからな」

 

Uはそう言ってその場を去ろうとする。

 

「待ってUくん、忘れ物」

 

するとピンクは、エヴィに選んでもらった帽子が自身の近くに置いてあったのを思い出し、これをUに渡そうとする………

 

「………いや、この状態の時は持っていかない。この帽子を使うのは………ホワイトソードマンとして活動する時だけだよ」

 

だが、Uはこれを受け取るのを拒否し、敢えて置いていく事を明かした。

 

「………分かった。じゃあ必要な時になったら渡すよ」

 

ピンクはそう言って帽子を預かる事を語った。それを聞いたUは………

 

「頼む………博士」

 

そう言って、今度こそピンクの元を去ったのだった………

 

 

 

Uが体験する事になったとある日の出来事。しかしそれは、怪人を巡る戦いの序章に過ぎなかった。果たして、この先に待ち受ける、大きな戦いとはいったい何なのだろうか………?

To Be Continued………




次回予告
小さな村に住む普通の少女リヴィス。そんな彼女を甘い誘惑で誘う謎の鉱石は、彼女に取り憑き怪人へと変貌する。しかし、怪人の前に特別な力を持った少女が現れたのだった………
次回「モンスターウォーリアー」
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